作業科学研究
Online ISSN : 2434-4176
Print ISSN : 1882-4234
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日本作業科学研究会第26回学術大会佐藤剛記念講演
  • 高木 雅之
    2024 年 18 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/22
    ジャーナル フリー
    本論の目的は,作業経験を共有することの意味や効果を考察することである.まず,記録と対話を用いて作業経験を共有したことにより,作業的アイデンティティが表現され,生活や健康に好影響が生じた事例について述べる.次に,地域在住の健康な高齢者に対する集団プログラムに関する研究結果から,作業経験の共有の効果について考察する.作業経験の共有は個人の健康関連 QOL や生活満足度,人生の意味を高めると考えられる.この効果は,人と人をつなげ,個人を社会的,精神的によい状態にする作用が作業経験の共有にはあるためだと推測される.さらに,作業経験の共有には相互理解と連帯感を生み出し,インクルーシブなコミュニティを形成する効果が期待できる.最後に,作業経験の共有を個人やコミュニティを変化させる手段としてだけでなく,目的や権利として捉え,作業経験を共有する機会が豊かな社会をつくる必要性について言及する.
日本作業科学研究会第26回学術大会基調講演
  • 作業科学と作業療法の共生
    イキウグ モーゼス, 中村 めぐみ, 横井 賀津志
    2024 年 18 巻 1 号 p. 10-28
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/22
    ジャーナル フリー
    人間の作業は,作業療法と作業科学の存在理由である.しかし,最近まで,人間の作業を正確に定義し,経験される現象としての作業の種類を区別し,作業が持つ治癒の働きを明らかにするための努力はなされていなかった.本講演では以下について論じる.1)意味のある作業は健康とウェルビーイングを高めるという命題について,2)すべての意味のある作業が同じではなく,心理的報酬(やりがい)のある作業は他のタイプの意味のある作業とは異なること,3)意味のある・心理的報酬のある作業を追求することは,人類にとって進化的な基盤があること,4)健康でいるためには,意味のある作業と心理的報酬(やりがい)のある作業の両方が必要であること,5)作業療法介入におけるメディア(媒体)として,意味のある・心理的報酬(やりがい)のある作業を使用するための手順,6)物理学の(アインシュタインの)場の方程式から借用した ツールを用いて,作業参加をより正確に調査するための作業科学の今後の方向性,7)この調査に基づく知識が,作業療法実践の改善にどのように利用できるか.
日本作業科学研究会第26回学術大会シンポジウム
  • 自分らしく生きるための道を築いてこられた当事者の方々と
    中野 里佳, 尾辻 かな子, 郭 辰雄, 岸田 美智子
    2024 年 18 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/22
    ジャーナル フリー
    障害,国籍,性等の背景によって自分らしく生きることを阻まれてきたことに声をあげ,大阪で後世に続く道を築いてこられてきたシンポジストの経験や想いの紹介,フロアからの質疑応答を通して,マイノリティとしての自分を受け入れることの難しさ,仲間との出会い,自身を語ること,互いを理解し尊重することの重要性など,誰もが自分らしく生きられる社会への足掛かりとなる言葉が得られた.できる限り語られた発言のまま報告する.
研究論文
  • フォーカス・グループ・インタビューを用いて
    南 庄一郎
    2024 年 18 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,当院で長期入院を送る統合失調症患者11名にフォーカス・グループ・インタビューを行い,テーマ分析の手法で彼らの退院と地域生活に対する思考や感情などを捉え,彼らが経験する作業的不公正と作業機能障害を明らかにした.本研究の結果,対象者が【安心の入院生活】を送る背景には【地域生活に対する強い不安】があったこと,対象者は<長期入院を続ける理由づけ>を対象者なりに見出していたことなどが明らかになった.本研究から,対象者の作業的不公正とは,必要な療養期間を経ても様々な理由で入院を余儀なくされること,長期入院によって意味のある作業に参加できないことであり,この軽減には精神保健医療福祉の改革ビジョンをさらに推進していく必要がある.また,対象者が経験する作業機能障害(作業疎外・作業周縁化・作業剥奪)の軽減には,対象者にとって個別的意味のある作業への参加に焦点を当てた支援を行うことなどが必要である.
  • 堀田 典, 髙島 理沙, 坂上 真理
    2024 年 18 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,地域在住超高齢者の well-being に関連する作業経験について,作業が行われる背景 とともに探究することである.北日本にある A 市内で地域生活を送る85歳以上の超高齢者 6 名に対して半構 造化面接を実施し,得られたデータについて Steps for Coding and Theorization(SCAT)を応用して分析を行っ た.その結果,研究参加者は,老いの進行によって作業の継続や作業的アイデンティティの存続が脅かされ る経験をする中,自分の心身状態を維持できている実感をもたらす作業経験,他者との継続した関係の実感 をもたらす作業経験,そして自己のアイデンティティの感覚をもたらす作業経験を通して well-being を認識 していることが理解された.加えて,参加者はこれらの作業に継続して参加できるように,作業をルーティ ン化しており,このルーティン化は地域施設が提供する作業参加の機会や関係性の深い他者の存在という環 境の特性によって促されていたことが示された.さらに,参加者は作業を継続するために無理のないように 作業への参加を選択しており,その時々のニーズに柔軟に応じながら,無理なく自然な流れで必要な作業が 続けられる作業パターンを作って well-being を経験していた可能性が考えられた.
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