本報告に先立ち,地域在住がん経験者 3 名に対して活動日記の振り返りから作業に焦点を当てた目標を設定するという内容の対話教室が 1 週間に 1 回の頻度で全 6 回実施された.本報告の目的は,その対話教室に参加した 3 名のうち,自分のことを後回しにする性格のために生活の質(QOL)が低下すると予測されたことから,フォローアップの必要性が高いと考えられた乳がん経験者 1 名に実施した個別フォローアップの効果を作業経験に関する考察とともに報告することである.個別フォローアップでは,がん経験者が対話教室中に記録した 5 週間分の活動日記から満足度に影響する重要な作業経験を特定した後に, 1 回あたり2時間程度の介入を 1 週間に 1 回の頻度で合計 3 回(作業遂行の計画立案,作業遂行の実施,重要な作業を収録した活動集「活動レシピ」の配布)実施した.この結果,重要な作業経験を特定したことで,がん経験者はがん治療後初めてバスを使って一人で買い物に行けるようになった.加えて,個別フォローアップ前よりも終了 2 か月後の方が QOL は最小重要差以上に改善した.これは,がん経験者がつらいと感じたときに使用
できる「活動レシピ」を作成することで達成されたと考えられた.本報告により,対話教室と個別フォロー
アップを統合した新規プログラムの考案につながり得る.
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