作業科学研究
Online ISSN : 2434-4176
Print ISSN : 1882-4234
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日本作業科学研究会第28回学術大会佐藤剛記念講演
  • 今井 忠則
    2026 年20 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/17
    ジャーナル フリー
    本稿は,作業科学における実証研究の意義を整理し,概念の定量化に基づくエビデンス構築の道筋を提示する.理論編では,社会心理学の枠組みを参照し,抽象概念を観察可能な変数へと橋渡しする操作的定義の役割を明確化した.実践編 1 では,作業参加の尺度開発を例に計量心理学的手続きを概説した.実践編2 では,開発した尺度を用いた疫学研究として,地域高齢者を14年間追跡したコホート研究の成果を報告した.実践編 3 では,社会学的アプローチを取り入れ,作業的不公正を測定する質問紙による統計的把握を試みた.最後に,作業科学研究の今後の方向性についていくつかの論点を提示した.作業科学の学問的発展と社会的インパクトの双方には,定性的研究と定量的研究の両輪が不可欠である.
日本作業科学研究会第28回学術大会基調講演
  • 健康とウェルビーングを促す 作業バランスの東洋的見方
    リュウ イージュン
    2026 年20 巻1 号 p. 10-29
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/17
    ジャーナル フリー
    作業バランスは作業科学の主要な概念である.健康とウェルビーングに必須であるが,現代社会の人々においてその実現は容易ではない.本概念は,文献の中で様々に議論されているが,西洋のパラダイムを越えて作業バランスを検証している研究は少ない.本論文は,作業バランスの東洋的見方である作業調和モデル Model of Occupational Harmony (MOHar)を紹介することを目的とする.日常の作業の健康的な調整を促進するために文化を考慮した研究と作業療法実践を伝えることを約束する.本基調講演は,何故作業バランスを作業調和の見方で再構築するのかを中心に,作業調和モデル提案の背景を紹介することから始めたい.次に,作業調和モデルの全体の枠組みと本モデルの鍵概念と原則を述べる.さらに,いくつかの例を示し,研究と実践における作業調和モデル測定ツールと介入戦略の使い方を紹介する.最後に,作業調和モデルと他の作業科学/作業療法モデルを比較し,東洋社会における作業調和モデル利用の可能性について考察する.
日本作業科学研究会第28回学術大会特別講演
  • ―概念・実証・実装の変遷と展望―
    山田 優樹
    2026 年20 巻1 号 p. 30-38
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/17
    ジャーナル フリー
    本講演録は,「“作業バランス”はどこから来たのか 何者か どこへ行くのか」という問いを軸に,作業バランス概念の起源,発展,そして今後の展望を整理したものである.作業バランスは Adolf Meyer の思想に端を発し,作業科学の潮流の中で概念的探究と深化が進められてきた.近年では尺度開発とともに実証研究が蓄積され,新たな知見が生まれている.筆者も勤労者を対象とした一連の研究を通して,健常者の健康と作業バランスの関係性を検証し,これまで広く受け入れられている勤労者の健康障害プロセスモデルに作業バランスが貢献しうる可能性を提示した.また近年では,介入研究のアウトカムとして設定されるようになり,主観的健康や QOL とは位置付けが異なる作業療法独自の健康指標としての役割を担うことを期待したい.
文献研究
  • 健康に対する作業的視点の発展
    ボンジェ ペイター, 安齋 哲也, 丸山 祥, 鈴木 洋介, 佐藤 亮太, Azharul ISLAM, Buwana CAHYA, 清田 ...
    2026 年20 巻1 号 p. 39-52
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/17
    ジャーナル フリー
    背景と目的:ボンジェは「作業の力(Powers of Occupation)」を展開し, 9 つの力を提案した.しかし,提案されたこれら 9 つの力が実在するかどうかが疑問となる. 本研究の目的は,作業の 9 つの力を支持または反証することである.本研究の結果により,この概念に関 する研究課題の前進が期待される. 方法:作業と健康・ウェルビーイングとの関連を報告する研究を統合する「研究統合型文献研究デザイン」を用いて,定量的および質的な実証研究を調査した.対象集団として,脳卒中経験者,がん患者,スクエアダンス/ソーシャルダンスに参加する高齢者の 3 つのアドホックな集団が便宜的に設定された.分析は,継続的な比較分析だった. 結果:17件の研究が分析対象となった.各研究において, 1 つから 6 つの作業の「力」に関係する記述が報告され,合計で52の記述が確認された.各「力」に関する記述数の平均は5.8件であった. 考察:本研究の結果は,作業の 9 つの力の存在を支持するものであった.しかしながら,一部の研究では作業の力が必ずしも肯定的なものではなく,量・タイミング・特性により健康・ウェルビーイングに対して否定的な影響を及ぼす可能性があることが示された. 結論:作業の力におけるそれぞれの力の重なりは,人間生活の複雑さを反映している可能性があるが,同時に分析しにくい要素ともなっている.作業の 9 つの力を深く理解し発展させるには,二層構造の枠組みによる包括的な研究が必要である.
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