北海道6都市(函館,札幌,岩見沢,旭川,帯広,北見)において,カバノキ属空中花粉飛散量の観測を2011年までそれぞれ8〜16年間行い,年飛散量の推移について解析した.観測を行った6地点すべてで,年飛散量は2年周期のリズムで増減していた.このリズムは観測期間内の4年で中断され,そのうち3回は飛散量が多くなる年に少なくなり,1回のみ飛散量が少なくなる年に多くなった.なお,2年周期のリズムは,10年以上観測できた5地点については10年以上(10年〜14年)続いた後にリズムのシフト(phase shift)が起きた可能性がみられた.観測されたカバノキ属花粉飛散量の基本的なリズムは,6地点で同調している傾向が認められた.カバノキ属花粉年飛散量の5年移動平均は,10年以上の観測期間がある5都市については,増加傾向が見られた.今後,より詳細で長期にわたる観測によって,シラカバ花粉症の患者対策が充実することが望まれる.
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