比較体育・スポーツ研究は,体育学の一研究分野である。2つの分野の性格についての確定した定義はまだないが,それは二つ以上の国や文化圏の体育・スポーツの特性や展開を同時的に比較分析して,その間の類似性や差異をその背景的要因との関連において明らかにしようとするものである.本稿では,この分野の研究の目的・方法および国際学会の発展の経過を概説し,著者の5回にわたる日本訪問と30年にわたる米国での研究,教育経験をもとに,学校体育・スポーツの発達における二つの指導的国である米国と日本について,記述的に比較した。比較点は,学校体育の目的,活動内容,施設,教師,評価,行政,障害者体育,校内競技およびスポーツの機会の性差などである。(本稿は,昭和61年11月26日一28日に筑波大学で開催された日本体育学会第37回大会におし、て体育原理の分野のキーノート・レクチュアとして発表されたものである. A.W.フラス博士は,本学会とアメリカ保健体育レクリエーション及びダンス学会の間の協力協約にもとろく, アメリカ側の代表者である。
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