今回筆者らは, 化学療法により完全寛解に導入した後, 骨髄再発をきたした急性前骨髄球性白血病 (M3, 以下APL) の1例にall-trans retinoic acid (ATRA) を投与し, 再寛解に導入し得たので報告する.症例は16歳男性.BH-ACAMP療法, 東京小児白血病グループ13次案のプロトコールに準じた寛解導入療法により初回寛解に導入した.発病1年2カ月後再発したため, BH-ACAMP療法を施行したが, 寛解に導入できず, ATRA (45mg/m
2) の投与を開始.第2次完全寛解に導入した.しかし, 約3カ月後骨髄再発を確認した.再度ATRAを開始したが, 完全寛解に導入することができず永眠した.今後, 寛解導入後早期の骨髄移植を含めた寛解後療法を確立し, 小児科領域でもATRA投与を試みていくべきと思われた.なお, 本症例は, G-CSF投与により, 芽球の著明な増加, DICの悪化を示し, G-CSF増殖試験も陽性を示したので併せて報告する.
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