日本小児血液学会雑誌
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10 巻 , 6 号
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  • 小林 正夫
    1996 年 10 巻 6 号 p. 409-419
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    巨核球, 血小板に作用するトロンボポイエチン (TPO, c-mplレセプターリガンド) は種々の研究者から異なった方法で同定, 精製された.TPOは巨核球とその前駆細胞の増殖, 分化を促進し, 血小板の産生をもたらす.元来, TPOは赤血球系に働くエリスロポイエチン, 好中球系に働くG-CSF同様に巨核球, 血小板産生に特異的に働く後期の血球増殖因子と考えられていたが, 他の血球系にも作用することが明らかとなっている.TPOはエリスロポイエチンとともに赤血球系細胞の増殖を支持し, さらにはsteel factor, ligandfor flk2/flt3, あるいはIL-3とともに未熟造血幹細胞の増殖をもたらす.c-mplの欠損マウスでは巨核球, 血小板系の減少のみならず, 多能性あるいは血球系にコミットした造血幹細胞の減少も認められる.TPOの投与は巨核球, 血小板の増加を, 抗癌薬投与後には血小板減少, 白血球減少, 赤血球減少の期間の短縮をもたらす.以上より, TPOには従来考えられていたよりも造血細胞に対して幅広い作用があり, 他の造血因子とともに造血細胞の研究に有用なサイトカインと思われる.
  • 渡辺 新, 片野 直之, 藤本 孟男
    1996 年 10 巻 6 号 p. 420-425
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児癌・白血病治療研究グループ (CCLSG) では小児急性リンパ性白血病 (ALL) を初診時の年齢と末梢血白血球数により同じ枠組みで層別した治療研究が進められておりstandard-risk群の治療成績は着実に向上している.Standard-risk群を対象としたプロトコール811Aの無病生存率は65.4% (観察期間14年) で維持療法におけるMTXと6MPの中等量・間歇投与法の有効性が示され, 以後の維持療法の骨格をなしている.プロトコール841では寛解導入におけるL-asparaginaseの有用性を明らかにし, 874プロトコールで中枢神経系再発に対する予防法として頭蓋照射療法の有用性が認められないことを明らかにした.CCLSGではプロトコール変更によって得られると予測される新知見を全体に提示し, 理論的背景を伴った説得力のある結論を目標としている.現行プロトコールでは6MPの投与量増量および投与法変更に伴う個人差と, L-asparaginase継続間歇的投与およびMTXの24時間点滴静注法 (CF救助なし) の有効性につき検討中である.
  • 姜 奇, 東 英一, 永井 正高, 平山 雅浩, 梅本 正和, 平竹 晋也, 熊本 忠史, 駒田 美弘, 櫻井 實
    1996 年 10 巻 6 号 p. 426-431
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    同種骨髄移植で移植片対宿主病を発症した症例では, 移植片対白血病 (GVL) 効果により白血病の再発率が少ないことが報告されており, これは主としてドナーT細胞がGVL効果を示すためである.臍帯血幹細胞移植ではGVL効果については不明である.われわれはin vitroで臍帯血から細胞傷害性T細胞 (CTL) が誘導できるかどうかについて検討した.臍帯血単核球を反応細胞に, 放射線照射した健康成人末梢血単核球を刺激細胞にしてリンパ球混合培養 (MLC) を行い, 7日後にCTL活性を測定した.臍帯血20検体中17検体でCTL活性が認められた.同時に行ったFACS分析ではMLC後にCD8+CD45RO+細胞が著増していた.今回のin vitroの結果は臍帯血幹細胞移植においてin vivoでGVL効果が期待できることを示唆している.
  • 陳 基明, 麦島 秀雄, 永田 俊人, 七野 浩之, 高村 まゆみ, 島田 俊明, 鈴木 孝, 藤澤 孝人, 原田 研介
    1996 年 10 巻 6 号 p. 432-437
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    進行神経芽腫の自家骨髄移植の前処置に用いた全身放射線照射 (TBI) が, 移植後の短期経過に, すなわち移植後の血液学的回復および早期合併症にどめような影響を与えるか, TBI併用群と非併用群を対象に後方視的に検討した.TBI併用の有無にかかわらず輸注した骨髄細胞は全例に生着を認めた.TBI併用群で, 白血球数, 好中球数, 血小板数が1,000/μl, 500/μl, 5.0×104/μlを超えた日は, それぞれ15.0日, 16.0日, 59.7日であった.TBI非併用群では, それぞれ12.2日, 12.9日, 43.2日でTBI群と比較して統計学的に有意差を認めなかった.合併症に関しては, TBI群で腎臓を遮蔽しなかった4例にHUSが発症したが, 遮蔽後は認めていない.TBI併用群でも, 移植後の生着日数および早期合併症に関しては, 非併用群と比べ大差なく, 安全に施行できると考えられた.
  • 近藤 達郎, 楠山 美佐子, 中山 雅彦, 上玉利 彰, 松本 和博, 松本 正, 辻 芳郎, 松山 孝治
    1996 年 10 巻 6 号 p. 438-441
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    重症再生不良性貧血で諸治療に不応性で頻回の輸血に頼らざるを得なかった患者で骨髄移植を試みた.移植前の総輸血量は34,600mlであった.前処置としてはCY, TH, TBIを施行した.移植後, 骨髄細胞が3系統とも回復するのに約10カ月要した.骨髄細胞が生着しているか, キメラになっていないかを確認するため家族の末梢血および患者の毛根細胞より抽出したDNAを用いて多型検索を行った.結果はすべてドナータイプに移行していた.骨髄移植後の骨髄細胞回復の遷延の原因として (1) BMT自体は成功していたが, 長期間の治療による微小環境の荒廃の改善に時間がかかった, (2) BMT後ドナータイプとレシピエントのキメラ状態が続き, それがドナータイプへ移行するのに時間がかかった, (3) その両方, の可能性が考えられる.
  • 高木 正稔, 藤田 宏夫, 畔野 篤, 保坂 篤人, 大日方 薫, 田和 俊也, 石本 浩市
    1996 年 10 巻 6 号 p. 442-447
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は5歳男児, 1994年7月発熱, 出血斑を主訴に受診.白血球2,300/μl, ヘモグロビン6.4g/dl, 血小板6.3×104/μlと汎血球減少を呈し, 末梢血中に芽球を125%認めた.LDH3,552IU/l, フェリチン9,046ng/mlと著明な高値を示した.汎血球減少は急速に進行したが対症療法のみで軽快し, それに伴いLDH, フェリチンも低下し, 高サイトカイン血症の病態が関与している可能性が考えられた.骨髄生検を行い, 骨髄線維症を伴った骨髄異形成症候群 (MDS) と診断した.またモノソミー7の染色体異常を認めた.小児において骨髄線維症を伴うMDSの報告は少なく, 病態に関しての考察を加え報告する.
  • 武田 千賀子, 麦島 秀雄, 高村 まゆみ, 島田 俊明, 陳 基明, 藤沢 孝人, 原田 研介
    1996 年 10 巻 6 号 p. 448-451
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    同種骨髄移植後5カ月目に溶血性尿毒症症候群 (HUS) を合併した非定型philadelphia染色体陽性ALLの患児を経験したので報告する.症例は2歳9カ月の女児, 1歳9カ月時に診断され第2完全寛解期にHLA一致, MLC陰性の5歳の同胞女児より同種骨髄移植を施行した.移植後142日目に食欲不振, 発熱, 白色水様便, 眼瞼浮腫, 血尿を認め血液検査では赤血球数346万/μl, Hb9.59/dl, 網状赤血球18%, 赤血球の形態異常も認めた.またLDH 513 IU/l, BUN 28.1mg/dlと軽度上昇しhaptoglobinは10mg/dl以下であった.尿所見では蛋白 (+), 潜血 (2+), でHUSと診断した.便中のロタウイルス抗原は陽性で便培養では病原性大腸菌は検出されなかったが血清のVT抗体が陽性であったことなどから自験例のHUSの誘因としてはロタウイルス感染とVT産生大腸菌との混合感染が最も疑われた.
  • 徳田 桐子, 竹内 元浩, 渡邊 千英子, 小林 道弘, 高山 順, 大平 睦郎
    1996 年 10 巻 6 号 p. 452-456
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は16歳の男児.8歳時に髄芽腫を発症し, 初発から6年後に全身骨転移を, また8年後に骨髄転移および脳内播種をきたした.VCR, CPA, THP, VP-16を中心とした化学療法を行ったが一時的な効果しか得られなかった.そのため末梢血幹細胞移植を併用したCBDCA, VP-16, LPAMによる大量化学療法を実施した.幹細胞は単核球として1.25×108/kg (0.99×105 CFU-GM/kg) を輸注し, day 1よりG-CSFを併用した.造血能の回復は好中球数≧500/μlがday 10, 血小板数≧5万/μlがday 16, 網状赤血球数≧1%がday14と順調だった.移植後25日目の骨シンチ, 脳MRIにて寛解と診断した.しかし大量化学療法から7カ月後, 全身の骨痛が再度出現し, 骨転移, 脳内播種の再発を認めた.難治性転移性髄芽腫に対して末梢血幹細胞移植を併用した強力な化学療法は有用であったが, 移植時期, 併用薬剤の選択など検討が必要と考えられた.
  • 森本 克, 矢部 普正, 矢部 みはる, 服部 欽哉, 中村 嘉彦, 猪口 貞樹, 加藤 俊一
    1996 年 10 巻 6 号 p. 457-462
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    生後早期発症の急性リンパ性白血病の1歳女児に対し, HLA2座不一致の父の骨髄よりCD34陽性細胞を分離し幹細胞移植を行った.CD34陽性細胞の分離はISOLEX 50 MAGNETIC CELL SEPARATIONSYSTEMTMを用い, 分離前のCD34陽性細胞の59.4%を回収し, 分離後単核球のうちCD34陽性細胞は98%を占め, 7.25×106/kgのCD34陽性細胞を移植した.CD5陽性細胞は99.98%が除去され, 輸注されたCD5陽性細胞は157×104/kgであった.移植前処置は全身放射線照射12Gy, ブスルファン, シクロフォスファミド, 抗胸腺細胞グロブリンで行い1移植片対宿主病 (GVHD) 予防はシクロスポリン3mg/kgとプレドニゾロン1mg/kgの併用とした.Day+17には白血球は1,000/μlを超え, 急性GVHDの合併を認めなかった.Day+14の骨髄染色体検査ではすべてがドナータイプであったが, day+28の同検査で混合キメラと診断された.1×106-107/kgのドナーリンパ球輸注を試みたが, GVHDが重症化し, 骨髄移植5カ月後に死亡した.CD34陽性細胞の選択的骨髄移植はドナーを得られない患児には試みるべき治療法と思われるが, 混合キメラや再発が今後の課題と思われる.
  • 村尾 正治, 大林 浩二, 葛原 誠人, 喜多村 哲朗, 山田 恵介, 高橋 龍太郎, 三宅 進, 小田 慈, 清野 佳紀
    1996 年 10 巻 6 号 p. 463-468
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は生後31日の女児.主訴は発熱と白血球増多.末梢血白血球数63,400/μl, 骨髄はリンパ芽球91.2%でFAB分類L1, 染色体分析は46, XX, t (4;ll) (q21;q23), 免疫学的細胞膜形質はHLA-DR陽性, CD10陰性, CD19陽性, CD20陰性であった.Early pre-Bcell ALLで中枢神経系浸潤を伴う先天性白血病と診断, 寛解導入療法はALLの治療に用いる化学療法, 中枢神経系白血病治療は放射線療法を併用, 強化療法はANLLの治療に用いる化学療法に準じた治療を実施した.完全寛解持続し3歳に断薬.現在は9歳1カ月で精神運動障害を認めず, quality of lifeは良好である. (4;11) 転座先天性白血病の報告22例で, 自験例は最も長期生存例であった.
  • 徳永 洋子, 大前 禎毅, 渡部 玉蘭, 松尾 敏, 日比 成美, 今宿 晋作
    1996 年 10 巻 6 号 p. 469-473
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腹部原発で骨髄・中枢神経系浸潤を認めたstage IV, early pre-B非Hodgkinリンパ腫 (NHL) の寛解導入療法中に芽球の浸潤による前房蓄膿を呈した1歳の男児を経験した.この眼内浸潤に対し大量meth-otrexate (MTX) を含む化学療法の投与が著効を示した.その後骨髄・中枢神経系に再発したが, 再寛解導入に成功し発症より12カ月, 眼内病変から10カ月の現在, 寛解を維持している.薬理学的聖域の一つと考えられる眼内のNHL病変に対し大量MTX療法は有効な治療法と思われた.
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