日本小児血液学会雑誌
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11 巻 , 2 号
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  • 岡村 純, 田坂 英子
    1997 年 11 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    小児非ホジキンリンパ腫 (NHL) における第1の話題は, 最近提唱されたRevised European-American Lymphoma (REAL) 分類である.これは, リンパ腫の分類法に遺伝子学的知見を初めて取り入れたものである.小児NHLでは基本的に3つの組織型-lymphoblastic, small non-cleaved (SNC), diffuse largecell-しかないため, REAL分類がどの程度有効なものかについては今後の経験が必要である.第2は遺伝子レベルでの新知見であり, 3つの組織型について様々な遺伝子学的異常が発見されている.第3は治療成績の劇的な向上で, methotrexate, cyclophosphamide大量療法と薬剤髄注の組み合わせにより, 病期III/IV SNCの無病生存率が70-80%と報告されている.最後に, 二次性急性骨髄性白血病 (AML) 発症の話題について触れた.その要因として, T-NHLに対するetoposide (VP-16) の週2回投与法が二次性AML発症リスクを高めると指摘されている.
  • 貝塚 理子, 井上 リカルド進常, 土岐 力, 伊藤 悦朗, 横山 〓
    1997 年 11 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植以外の最近の治療方法の進歩が再生不良性貧血 (再不貧) の予後の改善に貢献しているか否かについて検討した.1965年から1994年の30年間に弘前大学小児科に入院した33例の再不貧患者を3群 (I群 : 1965-1974, II群 : 1975-1984, III群 : 1985-1994) に分けて, 生存率, 寛解率, 予後に影響する因子を検討した.全体の生存率は69.7%, 寛解率は51.5%であった.重症再生不良性貧血の生存率はIII群がI群やII群に比較して明らかに改善しており, 支持療法を含めた治療の進歩による効果がみられた.しかし, 寛解率は軽症や中等症型ではむしろ低下傾向で, 近年の免疫抑制療法やサイトカイン療法が必ずしも有効でないという結果であった.3歳以下の発症時低年齢群で死亡率が高く, 重症度とともに, 予後に影響する因子として重要であった.
  • 貝塚 理子, 井上 リカルド進常, 土岐 力, 伊藤 悦朗, 横山 〓
    1997 年 11 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血 (再不貧) の病因, 病態を推測する目的で検討を行い, 以下のような結果を得た.1.骨髄赤芽球系幹細胞 (CFU-E) コロニーの培養では, 重症例でコロニー数の減少がみられた.また, 経時的に測定すると, 寛解例ではコロニー数の回復がみられ, 予後推定因子となりえた.2.血漿エリスロポエチン濃度は, 発症時の重症度よりも測定時の病態を反映することが多かった.3.末梢血インターロイキン2産生能は治療無効例で高値をとる傾向がみられた.4.末梢血インターフェロンγ値は再不貧で, 低値例が少なかった.
  • 岡田 仁, 今井 正, 合谷 智子, 石井 禎郎, 伊藤 進, 大西 鐘壽
    1997 年 11 巻 2 号 p. 88-91
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児の急性特発性血小板減少性紫斑病9例を対象として, 免疫グロブリン大量静注 (IVIg) 療法の際に, 従来の投与量の1/2量で急性期の止血管理が可能かを検討した.IVIg療法は1.0g/kgを1回投与した.治療前の血小板数は0.97±0.6×104/μl, IVIg投与後翌日の血小板数は4.6±2.6×104/μl, 投与後血小板数が5.0×104/μl以上になるまでの日数は9例中7例が2日以内で平均2.2日であった.その後, 3症例はそのまま治癒にいたり, 残り6症例の血小板数5.0×104/μl以上の維持期間は2-17日であった.副作用は全例見られなかった.従来の方法と比べて, 早期の血小板増加効果においてIVIg療法は, 1.0g/kgの1回投与でも効果があると思われた.今後は, 多数例での検討が必要と思われた.
  • 日本小児血液学会骨髄移植委員会
    1997 年 11 巻 2 号 p. 92-104
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    日本小児血液学会骨髄移植委員会は, 1983年より毎年, わが国の小児における骨髄移植の全国集計を行っている.1996年6月30日現在, 125施設において3,221例の造血幹細胞移植が行われており, 昨年度より535例増加した.今年度は, 同種骨髄移植における1990年6月30日以前の成績と以後の成績を主な疾患で検討した.急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病では, 第1寛解期と第2寛解期のHLA適合同胞からの統計学的無病生存率は両期間で有意差がなかった.第3寛解期の急性リンパ性白血病において, 1990年7月1日以後の成績が有意によかった (45.6±14.1%vs14.3±13.0%, p<0.01).成人型慢性骨髄性白血病でも第1慢性期の無病生存率は両期間で有意差がなかったが, 全身照射を加えた方が両期間とも成績がよい傾向があった.重症型再生不良性貧血では, 1990年7月1日以後の無病生存率は110例のHLA適合同胞89.2±6.2%, 19例の非血縁68.4±20.9%と良好であった.骨髄バンクドナーからの移植は214例に行われており, 無病生存率は49.2±8.6%であった.臍帯血移植は8例, 同種末梢血幹細胞移植は27例であった.
  • 永田 俊人, 麦島 秀雄, 七野 浩之, 高村 まゆみ, 島田 俊明, 鈴木 孝, 陳 基明, 原田 研介
    1997 年 11 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    肝炎後再生不良性貧血に対する同種骨髄移植後早期より発症した出血性膀胱炎に対し, PGE1が奏効した症例を経験したので, その臨床経過を報告する.症例は5歳男児で, 4歳時に非A非B非C型肝炎に罹患し入院加療を受けたが, その後汎血球減少がみられ, 肝炎発症後6カ月目に再生不良性貧血と診断された.HLA完全一致の兄より同種骨髄移植を行ったところ, 移植後翌日より肉眼的血尿が出現し, day3より10%マーロックス®による膀胱洗浄を連日行ったが無効であったため, day23よりPGE1 500μgの膀胱内注入療法を行ったところ, 開始後7日目には顕微鏡的血尿も消失した.PGE1の膀胱内注入療法は全身的な副作用がなく, 簡便に行うことが可能と考えられ, 今後は骨髄移植後の出血性膀胱炎に対して試みられるべき方法であると思われた.
  • 吉本 寿美, 八木 啓子, 井上 雅美, 茶山 公祐, 安井 昌博, 岡村 隆行, 田中 晴樹, 河 敬世
    1997 年 11 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Wiskott-Aldrich syndrome (WAS) はX連鎖劣性遺伝形式を示す免疫不全症候群の一つで, サイズの減少を伴う血小板減少, 易感染性, 湿疹を三主徴とする.その病因遺伝子は1994年に同定された.確立された唯一の根本的治療方法は造血幹細胞移植であり, HLA一致のドナーが存在する場合は早期に骨髄移植が行われている.今回われわれは, WAS症例としては高年齢の19歳の男子に非血縁者間骨髄移植 (UD-BMT) を行い, 移植中に種々の合併症を併発したものの, その後良好な経過をたどっている症例を経験した.本例は本邦における最高年齢でのUD-BMTの成功例であり, 本症に対するUD-BMTの有用性を強く示唆するものである.
  • 徳丸 治, 子川 和宏, 土橋 浩, 益田 倫夫, 関根 勇夫
    1997 年 11 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    再寛解導入中にα溶連菌による成人呼吸窮迫症候群 (ARDS) を呈した小児ALLの8歳男児例を報告した.患児は第3完全寛解にて1991年11月に同種骨髄移植を行ったが1992年4月に骨髄再発した.4回目の再寛解導入療法中に突然呼吸困難, 血圧低下を認めた.静脈血培養にてStreptococcus mitisが検出され, 胸部単純写真にてARDSと診断した.適切な抗生物質投与と, ARDSに対してPEEPをかけた呼吸管理とステロイドパルス療法を行ったところ, 敗血症, ARDSは改善した.しかし, その後患児は全身性真菌症を伴った多臓器不全のため死亡した.近年α溶連菌による敗血症の報告が小児悪性疾患で増加しているが, 本例のように小児悪性疾患に対する強力な化学療法を行う際は, α溶連菌による敗血症およびARDSに注意する必要がある.
  • 折居 建治, 真部 淳, 平田 倫生, 海老原 康博, 渡部 玉蘭, 西村 昂三, 細谷 亮太
    1997 年 11 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    67Gaシンチグラフィーにおいて骨集積の著明な増加を認め, 肝集積の低下を認めた急性リンパ性白血病の1女児を報告する.一般に67Gaシンチグラフィーは血液疾患では悪性リンパ腫などに有用とされているが, 急性白血病においては重要視されてはいない.今回急性リンパ性白血病の発症初期に67Gaシンチグラフィーを施行された患児において骨への異常集積を認めた.その機序としては白血病細胞に67Ga-citrateが取り込まれ, そのために骨髄への集積をきたしたものと考えられた.本例では治療にともなう画像所見の正常化が認められ, 67Gaシンチグラフィーが発症初期の白血病細胞量の変化を推察する上で有用な補助検査法になり得ることを示唆していると考えられた.
  • 大沼 圭, 豊田 恭徳, 西平 浩一, 石井 雅巳, 加藤 啓輔, 石田 裕二, 康 勝好, 本多 康次郎, 氣賀澤 寿人, 井口 晶裕, ...
    1997 年 11 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1997/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    進行性神経芽腫の患者に臍帯血幹細胞移植 (CBSCT) を施行した.患者は1歳6カ月の女児で, NewA1プロトコールによる化学療法にて部分寛解を得た.しかし, 腹部原発巣およびリンパ節廓清手術後, 3週間経過したところで全身性再発をきたした.Carboplatin, etoposide, melphalanおよび腹部放射線照射を前処置として, HLA一致同胞間CBSCTを施行した.輸注細胞数は有核細胞数として2.0×107/kg, granulocyte-macrophage colony-forming unitとして3.8×104/kg.急性移植片対宿主病 (GVHD) 予防としてday3と6にmethotrexateを投与した.好中球数500/μl以上はday24, 血小板数5万/μl以上はday67で, 濃厚血小板最終輸注はday 60であった.Grade Iの急性GVHDが見られたがprednisoloneにて軽快, day46に中止, 以降GVHD症状は見られなかった.Day43, 左脛骨・右膝蓋骨の局所再発を認め, 放射線照射を行った.しかし, day 120に全身再発をきたし, day 170, 腫瘍死した.骨髄造血細胞はドナータイプを保っていた.本症例の他, 本邦のこれまでのCBSCTの経験から, われわれ神奈川県下の臍帯血バンク (神奈川臍帯血バンク) において非血縁者間CBSCT施行の準備中である.
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