日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
11 巻 , 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 土田 昌宏
    1997 年 11 巻 3 号 p. 139-154
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    前方視的無作為割り付け比較試験による研究成果は, 世界における小児急性リンパ性白血病 (ALL) 治療の進歩に欠くことのできない役割を果たし続けている.St.Jude小児研究病院のTotal Therapyシリーズにはじまり, 北米CCG, POG, Dana-Farberがん研究所, ドイツBFMグループがこの分野をリードしてきた.とりわけ1980年代にはBFM型プロトコールの, 多剤併用の強力な寛解導入, 再導入治療の有効性が世界に広く認められ, ヨーロッパをはじめ発展途上国でも採用されている.今後はBFMのアイデアを基本としてその応用や比較アームによる研究が進められる可能性がみえる.比較研究から信頼のおける結論を導くためには多数の質の高い登録症例を必要とすることから, 日本における共同研究グループは, これらのグループの戦略や経験から学ぶことが多い.
  • 平野 浩次, 井上 リカルド シンジョウ, 高橋 良博, 伊藤 悦朗, 横山 碓
    1997 年 11 巻 3 号 p. 155-161
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血漿エリスロポエチン (Epo) と赤血球造血能との関連を溶血性貧血 (HA) 11例, 再生不良性貧血 (AA) 12例, 鉄欠乏性貧血 (IDA) 30例, Dubowitz症候群 (DS) を含む他疾患5例について検討した.それらの例について血漿Epo, 種々血液学的パラメーターおよび末梢血赤血球糸造血幹細胞 (CFU-E, BFU-E) を測定し, それらの相関を検討した.以前から報告にもみられるように, すべての貧血状態においてHbと血漿Epoの間には有意の逆相関が得られたが, Hb低下の程度に相当したEpoの上昇度はAAにおいて著しく高かった.血漿Epoと末梢血幹細胞の間の相関はAAにおいてのみみられ, CFU-EとEpoの間に有意の逆相関が得られた.興味があることは, 貧血の著明でない (Hb≧11g/dl) 例においても血漿Epo上昇がみられたことであった.貧血の著明でないHA4例中3例, AA7例中3例, IDA5例中1例でEpo≧50mU/mlの上昇がみられ, それらの例では末梢血BFU-Eの有意の増加があり, 造血能の促進が示唆された.DS例ではHbが12.5g/dlであり, Hb異常がないにもかかわらず, 血漿Epo206mU/mlを呈し, これらの例では組織の低酸素以外のEpo分泌刺激の存在が示唆された.このメカニズムを解明するために行った動物実験では, ヘミンの腹腔内注入がラットのEpo分泌や網赤血球増加を刺激した.これらのヘモグロビン分解産物が, 貧血の著明でない例のEpo分泌刺激に関係しているかもしれない.
  • 中河 いよう, 高橋 幸博, 野並 京子, 塚田 周平, 吉岡 章
    1997 年 11 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    トロンボモジュリン (以下TM) は血管内皮細胞上の重要な凝固制御因子として機能する.また, 血中や尿中には血管内皮細胞から遊離した可溶性TM (以下sTM) が存在する.特に血中のsTMは血管内皮細胞の障害, 破壊過程で各種プロテアーゼにより分解されて生じるため, 血管内皮細胞の損傷マーカーとしても注目されている.われわれはこれまでに正常児における血中および尿中のsTM値の年齢別推移を示し, さらに正常児においては血中と尿中のsTM値はよく相関することを報告した.今回われわれは, TMが肺に多く存在することから, 呼吸窮迫症候群 (RDS) および新生児慢性肺疾患 (CLD) のsTM値を測定した.その結果, RDSでは出生時検体 (臍帯血) でnonRDSと有意差はなく, CLDでは正常児に比べ有意に高値をとることがわかった (血中sTM p<0.001, 尿中sTM p<0.05).
  • 石井 榮一, 日比 成美, 水谷 修紀, 絹川 直子, 江口 春彦, 右田 昌宏, 川上 清, 具志堅 俊樹, 松本 和博, 稲光 毅, 生 ...
    1997 年 11 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    乳児白血病が, 胎生期にMLL遺伝子が変異を受けておこる可能性が示唆されている.今回われわれは, 九州地区における1990~1994年の乳児白血病の実態と母親の妊娠中の危険因子を検討した.また比較のため, 京都地区と北海道でも調査を行った.九州地区における小児白血病に対する乳児白血病の割合は7.5%で, ALLでは5.0%, AMLでは13.1%であった.またその頻度は乳児10万人につき3.96人であった.日本における他の地区では, 乳児白血病の割合は北海道では6.9%と, 九州地区と差がなかったが, 京都地区では全体で12.8%, ALL9.4%, AML22.7%と高かった.また乳児白血病の頻度も乳児10万人につき5.60人で, 他の地区より高頻度であった.九州地区の乳児白血病38例の解析では, 11q23/MLL異常を認めた症例は1例を除き, 全例10カ月以下の乳児であった.11q23/MLL異常を認めたALLは予後が不良であった.妊娠中の危険因子の解析では母親の職業および父親の職業歴のオッズ比が有意であった.一方, 乳児白血病の頻度が高かった京都地区では, 母親の感染歴や漢方使用, 喫煙歴のある症例が多かった.以上より, 乳児白血病は妊娠中の複数の危険因子による被曝, 特に有機溶媒, 抗生剤や漢方, 放射線などの被曝により発症する可能性が示唆された.
  • 杉田 憲一, 小池 健一, 森 泰二郎, 星 順隆, 前田 美穂, 生田 孝一郎, 大川 洋二, 和田 恵美子, 小原 明, 恒松 由記子, ...
    1997 年 11 巻 3 号 p. 174-179
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    東京小児がん研究グループのプロトコールで治療した急性リンパ性白血病 (ALL) および非ホジキンリンパ腫 (NHL) からの二次性の急性白血病, 骨髄異形成症候群 (MDS) の発症を報告する.a) ALL : 1,209例のALLから4例の急性骨髄性白血病 (AML) と3例のMDSが発症した (7年時の発症率1.5%).治療開始から発症までの期間の平均は42カ月であった.b) NHL : T細胞型 (T) -NHLの治療プロトコール (T-8801) で治療した38例中8例にAMLが発症した (70カ月時の発症率27.6%).その発症までの期間の平均は29カ月 (13カ月から66カ月) であった.B細胞型 (B) -NHLのプロトコールで治療した101例, およびT-8801以外のT-NHLのプロトコールで治療をした50例からはAML, MDSの発症はみられていない.二次性AML, MDsは化学療法に抵抗し予後は悪かった.また, 15症例中5例に11q23の異常を認めた.
  • 高橋 祐子
    1997 年 11 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児先天性慢性型の赤芽球癆 (Diamond-Blackfan anemia = DBA) 患児赤血球のpeanut lectin (PNA, Arachis hypogaea) に対する凝集反応性を追求するため赤血球膜上の糖鎖構造を分析した.DBA患児は生後1カ月以内に診断を受け, 副腎皮質ホルモンのみで輸血なしで経過している.この患児の赤血球はPNAに持続的に反応するが, papain処理でこの反応は消失するので蛋白上の糖鎖が異常であることがいえた.PNAにて凝集するものは, 臍帯血赤血球やViblio cholerae (VC) で処理した健常人赤血球でも観察されたが, 他の小児貧血患児ではなかった.これらのPNAに反応する赤血球膜からO-glycan糖鎖をO-glycanase処理にて得, HPLCで分析すると約14分後に出現する糖鎖波形はこれら3群ですべて一致した.これらのO-glycan糖鎖をPNA columnで吸着後溶出させた糖鎖波形も同様のものが出現した.しかし, このような波形は健常人や他の小児貧血患児ではみられなかった.FITC label PNAでのflow cytometryでは, VC処理赤血球ではほとんどがPNA反応赤血球であったが, DBAでは10%程度であった.このことからDBA患児赤血球膜の糖鎖は, 臍帯血と同様の未熟性や, VC処理され末端糖のシアル酸が欠失した赤血球と同様の不完全なものが存在していると考えられ, これが貧血の一因として推定された.
  • 八木 啓子, 井上 雅美, 岡村 隆行, 安井 昌博, 吉本 寿美, 茶山 公祐, 澤田 明久, 下野 卓爾, 太田 秀明, 松田 佳子, ...
    1997 年 11 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    35人の小児難治性白血病に対して, 全身照射, メルファラン, チオテパを前処置に用いて同種骨髄移植を施行した.原疾患はリンパ性白血病が21例, 非リンパ性白血病6例, および未分化型白血病, 混合型白血病, 骨髄異形成症候群, 若年型慢性骨髄性白血病がそれぞれ2例であった.完全寛解期 (CR) の移植が16例, 非寛解期 (non CR) の移植が19例であった.ドナーはHLA一致同胞が18例, 非血縁者15例, HLA不一致同胞が2例であった.移植片対宿主病 (GVHD) 予防は同胞間移植ではシクロスポリン±メソトレキセートで, 非血縁者間移植ではタクロリムス±プレドニゾロンで主に行った.移植関連死亡は12例であり, 急性GVHDが5例, 感染4例 (真菌感染が3, サイトメガロ肺炎が1), 頭蓋内出血が1例と慢性GVHDが2例であった.再発は6例にみられた (移植後69日, 168日, 175日, 222日, 275日, 609日).2年の無病生存率はCR, nonCRで各々38.1%, 36.9%であった.
  • 田畑 恭裕, 大澤 美奈子, 木原 明生, 日比 成美, 東道 伸二郎, 澤田 淳, 中林 佳信, 納谷 真由美, 北條 誠, 今宿 晋作
    1997 年 11 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血球貧食症候群を伴うEpstein-Barrウイルス関連末梢T細胞性悪性リンパ腫 (EBV/PTCL) を発症した4歳女児について報告した.骨髄に成熟T細胞表面マーカーを持つ異型なimmunoblastが増加し, 同時にCβ1 probeおよびEBV terminal probeによる骨髄細胞のサザン解析によりEBV/PTCLと診断した.当初HLH-94プロトコールに良好な反応が得られ寛解を得たが, 第50病日に再燃した.その後種々の多剤併用療法を行うも効果は一時的で, 徐々に治療抵抗性となった.Cyclosporin A併用により一時全身状態は改善するも, その後も再燃を繰り返すため, 発症後7カ月でHLA一致の弟をドナーとして同種骨髄移植を行った.移植後6カ月を経過した現在も再燃を認めず, 同種骨髄移植は治療抵抗性EBV/PTCLに有効な治療法であると思われた.
  • 丸山 博子, 三沢 あき子, 岩見 均, 綱本 健太郎, 粕淵 康郎, 納谷 真由美, 北条 誠, 日比 成美, 東道 伸二郎, 澤田 淳, ...
    1997 年 11 巻 3 号 p. 198-201
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児難治性白血病の4例に対しtotal body irradiation (TBI), busulfan (Bu), melphalan (L-PAM) による前処置にてHLA-full match血縁ドナー (3人), 一座不一致非血縁ドナー (1人) から同種骨髄移植al-logeneic bone marrow transplantation (alloBMT) を行った. Graft-versus-host disease (GVHD) 予防としてmethotrexateとcyclosporin Aの投与を行ったが, 4例中3例にIII度以上のGVHDを認め, うち2例はFK-506の投与を要した.評価可能な2例で慢性GVHDは認めなかった.また, 主にL/PAMの副作用と思われるが, 全例に重度の消化管粘膜障害を認めたが, 致死的なregimen-related-toxicityはみられなかった.骨髄移植後4例中2例が各々24カ月, 14カ月と長期寛解を維持している.他の2例のうち1例はday+120にrhab-domyolysisによる急性腎不全で死亡, もう1例はday+56にサイトメガロ肺炎で死亡した.これらの結果からTBI, Bu, L-PAMからなるregimenは小児難治性白血病のBMTに有効であると考えられた.
  • 石河 由佳, 小西 恵理, 福永 真紀, 梅原 俊介, 川上 哲夫, 西川 健一
    1997 年 11 巻 3 号 p. 202-204
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    4歳で発症した骨肉腫の男児例を経験した.病初期に手術療法とRosen-T12プロトコールに従い治療開始したが, 一年後肺転移をきたし通常量の化学治療では無効と判断した.そこで骨髄移植を併用した超大量化学療法を開始したところ腫瘍縮小傾向を認めた.その後も肺転移・脳転移をきたしたため, 計2回の開胸手術, 4回の開頭手術, および30Gyの放射線照射とともに, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法を計8回施行し, 寛解状態に導くことができ, 一年半の無病期間を得ることができた.残念ながら顎骨再発をきたし, 不幸の転帰をとったが, 今後このような難治性腫瘍に自家幹細胞移植をうまく導入することにより, 寛解導入率の向上が期待できると考えられた.
  • 鹿野 高明
    1997 年 11 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    末梢血中の赤芽球増加, 網状赤血球減少を示した自己免疫性溶血性貧血の稀なる症例を報告する.生後9カ月の男児が顔面蒼白, 不機嫌で入院した.末梢血の検査では, 赤血球数168×104/μl, 血色素値4.79/dl, 網状赤血球数15‰ (25,100/μl), 有核赤血球数3/200WBC, 白血球数20,400/μl, 総ビリルビン値2.0mg/dlであった.クームス試験は直接法・間接法ともに陽性で, 抗e抗体を認めた.自己免疫性溶血性貧血と診断し, プレドニゾロン (2mg/kg/日), γ-グロブリン (400mg/kg/日, 5日間) で治療した.しかし末梢血中の赤芽球増加, 網状赤血球減少をともなった溶血が進行した.以上より, 成熟赤血球のみならず網状赤血球まで破壊されていることが考えられた.メチルプレドニゾロン・パルス療法で劇的に溶血の改善をみ, 末梢血中の赤芽球は減少し, 網状赤血球は増加した.発症より2年現在, 再発を認めていない.
feedback
Top