日本小児血液学会雑誌
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11 巻 , 6 号
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  • 佐藤 武幸, 布施 晃
    1997 年 11 巻 6 号 p. 397-404
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    TPOはシグナルに関する多数の分子のチロシンをリン酸化し, その受容体であるMplを介するRas/MAPK系およびJAK/STAT系のシグナル伝達を活性化させる.しかしTPOに特異的な伝達機構については, いまだ不明である.血清TPO濃度は, 骨髄巨核球および血小板表面に発現するMplに結合することにより調節されているようである.しかし血小板減少時のTPOのmRNA発現は, 肝臓では一定であるが, 骨髄では増加しており, その他の調節機構の存在も示されている.ポリエチレングリコール付加TPO (PEG-rHuMGDF) と, 糖鎖のある完全型TPOが臨床に用いられた.癌患者において著明な合併症もなく血小板数の増加または化学療法後の血小板回復期間の短縮が投与量依存性に得られた.血小板機能は正常であった.これらにより, TPOは臨床応用において有益である可能性が示された.
  • 松山 孝治, 小島 勢二, 加藤 剛二
    1997 年 11 巻 6 号 p. 406-413
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病 (ALL) 骨髄移植 (BMT) の治療経験について報告する.症例は96例で年齢は1-18歳である.同種BMT65例 (うち非血縁8例), 自家BMT31例で, 病期は第一完全寛解期 (CRl) 30例, CR241例, その他25例であった.前処置はcyclophosphamide (CY) ±全身放射線照射 (TBI) ±その他22例, melphalan (L-PAM) +TBI±その他60例, L-PAM+busul飴nl4例であった.移植片対宿主病 (GVHD) 予防はmethotrexate単独2カ月 (40例), 短期methotrexate+cyclosporine (23例), cyclosporine単独 (2例) で行われた.造血能回復において同種BMTは自家BMTに比し好中球回復は差がみられなかったが, 血小板, 赤血球の回復は有意に早かった.GVHDは急性II°以上13%, 慢性29%にみられた.死亡は38例 (40%) で, うち16例が再発によるものであった.全体の5年無病生存率 (DFS) は59.6%, CRl83.3%, CR261%, その他24.6%であった.自家BMTと同種BMTを病期別に比較した場合, DFSに有意差はみられなかった.L-PAMとCYの比較ではCR2でDFSは前者71.4%, 後者40%とL-PAMでややよい傾向がみられた.
  • 姜 奇, 東 英一, 永井 正高, 平山 雅浩, 梅本 正和, 平竹 晋也, 熊本 忠史, 小林 道弘, 駒田 美弘, 櫻井 實
    1997 年 11 巻 6 号 p. 414-419
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    In vitroでアロ抗原に対する細胞傷害性T細胞 (CTL) が成人血と同程度に臍帯血から誘導されることをわれわれはすでに報告した.今回, in vitroでアロ抗原刺激に対する臍帯血のIL-2産生能とその動態および免疫抑制剤による抑制効果について検討した.臍帯血単核球を反応細胞, 放射線照射した健康正常成人末梢血単核球を刺激細胞にしてリンパ球混合培養を行い, 経時的に培養上清のIL-2濃度を測定した.また免疫抑制剤 (Cyclosporin A, FK506) の影響についても検討した.アロ抗原で刺激した場合, 臍帯血のIL-2産生能とその動態は成人血と差はなかった.免疫抑制剤はIL-2の産生を強力に抑制した.以上の結果は, 以前のわれわれの報告と合わせると, 臍帯血幹細胞移植においてIL-2依存性CTLによる移植片対宿主病を発症する可能性があること, 移植片対白血病 (GVL) 効果も期待できること, を示している.
  • 大杉 夕子, 原 純一, 高井 建司, 中西 康詞, 松田 佳子, 太田 秀明, 多和 昭雄, 岡田 伸太郎
    1997 年 11 巻 6 号 p. 420-424
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    治療抵抗性急性骨髄性白血病 (AML) に対し, mitoxantrone 12mg/m2/day (day1-3), etoposide 200mg/m2/day (day8-10), cytarabine 500mg/m2/day (day1-3, 8-10, 持続静注) (EMA療法) を試みた.対象は1-14歳のAML6例で2例の再発例を含む5例が寛解導入不能 (IF) 例で, monosomy7を持つ1例は地固め療法として行った.IFの5例中4例で寛解導入が可能で, 地固め療法例は治療後63カ月間寛解を維持している.EMA療法により寛解となった4例中1例は無治療で, 1例は自家, 2例は同種骨髄移植を行い, 20-60カ月間寛解を維持している.1例は非寛解のままHLA不適合ドナーからの末梢血CD34陽性細胞の移植を行ったが再発した.好中球500/μl未満の期間は28-58日 (平均35.4±10.7日) で, EMA療法の重篤な合併症としては, 肺炎を1例, 敗血症を2例に認めた.EMA療法により治療抵抗性AMLで80%の寛解率が得られ, 本治療は治療抵抗性AMLに対するサルベージ療法として有用と思われる.
  • 日本小児血液学会再生不良性貧血委員会
    1997 年 11 巻 6 号 p. 425-435
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児血液学会再生不良性貧血委員会は, 1993年から会員を対象に小児期発症の再生不良性貧血症例の疫学調査を行っている.本報告では1988年4月から1995年3月までの7年間に診断され, 登録された特発性, 肝炎後, Fanconi貧血, Diamond-Blackfan貧血など558例について, 1996年6月時点の調査結果を述べた.特発性再不貧は総計425例で, 年平均60例が診断され, 約半数が重症例である.重症218例中86例が好中球200未満の最重症例であった.特発性再不貧全体の生存率はKM法で77±4.0%, 非移植例294例の生存率は74.8±5.1% (±SE) (最重症例42.9±13.5%, 重症78.4±5.4%, 中等症86.5±6.1%, 軽症84.2±13.1%) とそれぞれ予測された.死亡症例は55例あり, 6カ月未満の死亡は23例で主に重症感染症と出血が死因であった.肝炎後再不貧は特発性の約8分の1の50症例が登録され, KM法による生存率は71.2±7.1%と予測された.肝炎後再不貧から4例のMDS白血病移行例が報告されている.Fanconi貧血は35例登録され, 調査時点で白血病に移行した症例は1例, 生存率は53.3±11.9%と予測された.Diamond-Blackfan貧血は32例登録され, 診断5年以上経過観察された7症例中5症例がいまだ治療中であった.総計22例のMDS白血病移行例 (特発性18例, 肝炎後4例) が報告されている.調査対象期間外の4例を含めた26例の検討では, 20例が重症症例, 移行の診断時期は診断後7カ月から7年2カ月 (中央値3年2カ月) に分布し, 多くの症例で免疫抑制剤とG-CSFが投与されていた.染色体異常としてはmonosomy7が大部分であった.
  • 小澤 美和, 真部 淳, 海老原 康博, 細谷 亮太, 西村 昂三
    1997 年 11 巻 6 号 p. 436-440
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    G-CSFを投与中, 脳梗塞をきたしたT-ALLの14歳女児を報告する.寛解導入療法中, 白血球数が300/μlと減少し, 第5週よりG-CSFの投与を開始後, 15日目に白血球数が39,300/μlと急激に上昇した時点で投与を中止した.同日, Jacksonian typeの間代性けいれんを認めた.4日目の頭部CT, 8日目のMRI所見で梗塞が疑われ, 12日目の脳血流シンチグラムでも一過性の血流低下を示した.約5週後のhigh dose AraC (3g/m2) 終了後, 再度G-CSFの投与を3日間行い白血球数が300/μlから2,800/μlとなったところで頭部CTと血流シンチグラムを行ったところ, 臨床症状は伴わなかったが, 再び虚血性変化を認めた.脳梗塞の原因として, G-CSFにより正常顆粒球が急激に増加したことが血液の粘稠度を上昇させたものと考えられた.化学療法中のG-CSFの投与にあたり, 細心の注意が必要と思われた.
  • 坂田 宏, 諏合 輝子, 松田 道生
    1997 年 11 巻 6 号 p. 441-444
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病 (FAB分類Ll) の3歳男児において, トロンビン法で低フィブリノーゲン血症を認めた.ネフェロメトリーによる抗原量測定では正常範囲内であった.患者の母親, 母方の祖父も同様であった.患者のフィブリノーゲンを検査し, Arg-275がCys-275に置換したγ鎖をもつ異常フィブリノーゲンであることが判明した.この異常フィブリノーゲンを “fibrinogen Asahikawa II” と称することとした.患者は出血傾向を示すこともなく, 白血病の寛解導入療法開始4週間後に完全寛解となり, 平成9年7月現在, 維持療法を継続中であるが初回完全寛解を維持している.
  • 海老原 康博, 田中 竜平, 村岡 健司, 梅本 有美, 辻浩 一郎, 中畑 龍俊
    1997 年 11 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    All-trans retinoic acid (ATRA) による寛解導入療法中に頭蓋内圧亢進症状を呈した急性前骨髄球性白血病 (APL) の1男児例を報告する.症例は12歳男児.貧血, 血小板減少を主訴に入院.入院時骨髄検査で異常前骨髄球の増加およびPML-RARαキメラmRNAの存在によりAPLと診断され, ATRA45mg/m2/dayの投与を開始した.DICの合併が認められた.入院2日目に激しい頭痛・頻回の嘔吐が出現したため, 頭蓋内出血を疑ったが, 頭部CTでは所見は認められなかった.以後もATRA投与後に同様の症状が出現したが, 濃厚血小板輸注時にアレルギー予防の目的でハイドロコーチゾンを使用したときに頭蓋内圧亢進症状が著明に改善されることが判明したため, 今回のエピソードはATRAの副作用のpseudotumor cerebriであると考え, 以後, 予防的にプレドニンの投与を行い, 症状は消失した.ATRAのdose limiting factorであるpseudotumor cerebriのコントロールにステロイド剤の併用は有用であり, APLのATRAによる寛解導入療法にとって, ステロイド剤を併用することは有効な治療戦略になるのではないかと考えられた.
  • 前田 尚子, 鬼頭 秀行, 今宿 晋作
    1997 年 11 巻 6 号 p. 450-454
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    EB-VAHSに, 中枢神経合併症として非痙攣重積状態と一過性器質精神病状態 (錯乱) を呈した5歳女児例を経験した.本症例は, 急性期に著明なDICを呈しており, 中枢神経症状は, 脳波および画像診断などから, DICにより脳内の循環不全, 微小血栓をきたし, 出血性梗塞を発生したことに起因すると考えられた.原疾患に対してHLH-94プロトコールに従い化学療法を行い, 発症後1年を経過し, 寛解を維持している.精神病状態は一過性で, 発症約2カ月半後に自然軽快したが, 後遺症として, 左後頭葉を焦点とするてんかんおよび視覚認知障害を認めた.
  • 廣田 保蔵, 池田 裕一, 三森 謙一, 石川 清明, 磯山 恵一, 山田 耕一郎
    1997 年 11 巻 6 号 p. 455-459
    発行日: 1997/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は月齢3カ月女児, 中枢神経浸潤, 肝脾腫, 発疹のため入院.急性非リンパ性白血病 (FAB分類M0) と診断後, 化学療法を施行した.入院3カ月頃から腹部膨満, 嘔吐, 下血, イレウスの症状がみられた.2回の試験開腹を行い切除小腸からサイトメガロウイルスが検出された.抗ウイルス療法に反応せず低栄養状態で死亡した.患児は周産期にサイトメガロウイルス感染を受けたと思われた.乳児期の白血病ではサイトメガロウイルス初感染に十分注意する必要があるものと思われる.
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