日本小児血液学会雑誌
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13 巻 , 6 号
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  • 嶋 緑倫
    1999 年 13 巻 6 号 p. 399-409
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    第VIII因子あるいは第IX因子インヒビターの発生は現在の血友病医療上重大な問題である.インヒビターの発生率はprospectiveな調査研究によると20~30%である.第VIII因子抗原の検出されない患者の第VIII因子遺伝子異常である, 大欠失, イントロン22の逆位, ナンセンス点変異はインヒビターの主要な発生要因である.しかしながら, インヒビターの発生機序については不明な点が多い.インヒビターの治療は止血治療と抗体消失をはかる免疫学的治療に分けられる.前者としては, 一部の症例 (一過性やlow responderのインヒビター) では補充療法が続行できるが, 本邦ではバイパス療法が中心である.しかしながら, anamnesticresponse, 血栓形成および医療経済的問題により長期使用は困難である.新しいバイパス製剤として活性型第VII因子製剤がすでに欧米で市販されている.免疫学的方法では免疫寛容療法 (ITT) が最も注目されている.有効率は60~80%でわが国も低用量法を中心に行われつつある.わが国におけるITTのプロトコールの確立が急がれる.
  • 西野 正人
    1999 年 13 巻 6 号 p. 410-420
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    von Willebrand病患者数は10万人あたり英国9.3人, イタリア3.6人, カナダ3.1人, 本邦は0.56人で各国に隔たりがある.これは各国のvWD診断基準, とくにType 1病型についての差異があることが患者数の差異の一因と考えられる.そこで, 国際血栓止血学会/SSCでは1996年に本症診断のガイドラインを作成した.これは臨床的止血異常, 検査異常所見, および家系内遺伝の判断基準を明示したもので, 奈良医大の診断基準とともに紹介する.また, 血友病Ai類似の臨床・検査所見を認めるType 2N病型の特性を追加した.さらに最近の諸外国での治療状況を踏まえた本症の止血管理について病型別に止血治療薬の適応および具体的な補充療法について解説した.
  • 栗山 貴久子, 日比 成美, 澤田 淳, 橋田 哲夫, 生田 治康, 松尾 敏, 綱本 健太郎, 吉原 隆夫, 納谷 真由美, 北条 誠, ...
    1999 年 13 巻 6 号 p. 421-427
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児期発症のT細胞性白血病/悪性リンパ腫 (T-ALLl3例/NHL3例) においてフローサイトメトリー法によりCD3の発現とT細胞受容体 (TCR) の発現を調べ, TCR再構成はSouthern法で検討した結果を臨床症状および予後との関連において検討した.CD3陽性群は7例 (ALL5例/NHL2例), 陰性群は9例 (ALL8例/NHL1例) であった.初診時の白血球数 (中央値) は陽性群6,400/μl, 陰性群152,100/μ1と陰性群で有意に高値を示した (p=0.016) 。CD3陽性群ではTCRは7例中6例 (αβ型が4例, γδ型が2例) で発現していたが, 陰性群では検索した3例でTCRの発現は認められなかった (6/7vs.0/3, p=0.01).CD3陽性群のTCRの遺伝子解析では, αβ型はTCRγ鎖とβ鎖, γδ型はTCRγ鎖のみ再構成を認め, 表現型と遺伝子型は一致していた.CD3陰性群では表現型陰性であった3例を含む9例中の7例で, β鎖, γ鎖両遺伝子の再構成がみられた.臨床経過との相関ではCD3陽性群7例中1例が再発し, 陰性群では9例中5例が再発した (1/7vs.5/9, p=0.09).今回の解析データは小児のT細胞系腫瘍においても芽球の分化段階が予後に影響する可能性を示している.この観察を裏付けるにはさらに多数例での検討が必要である.
  • 天野 功二, 梅田 雄嗣, 高嶋 能文, 岡田 周一, 堀越 泰雄, 三間屋 純一
    1999 年 13 巻 6 号 p. 428-434
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    末梢血幹細胞 (PBSC) 採取の際, アフェレーシス回数はもとより処理血液量もなるべく減らすことが望まれる.われわれは末梢血CD34+細胞数 (pbCD34+) をモニタリングし, PBSC採取方法の最適化を試みた.対象は13例で計21コースの動員を行い, 原則としてpbCD34+が10/μl以上となった日からアフェレーシスを開始した.処理血液量はpbCD34+によって100~300ml/kgの間で設定した.pbCD34+が十分に動員されずにアフェレーシスを中止した2コースを除いた他の19コースを直前のpbCD34+によって3群に分けて (A群 : pbCD34+>60/μl, B群 : 10~60, C群 : <10) 検討した.各群の平均採取CD34+細胞数 (処理血液量) は, A : 7.61×106/kg (148ml/kg), B : 3.52 (340), C : 2.61 (517) で, 19コース中16コースで2.0×106/kg以上のCD34+細胞が採取できた.今回の方法は小児におけるPBSC採取方法として有用であった.
  • 本郷 輝明, 山田 さゆり, 矢島 周平, 渡辺 千英子, 藤井 裕治, 石井 睦夫, 堀越 泰雄, 矢崎 信
    1999 年 13 巻 6 号 p. 435-441
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    乳児急性リンパ性白血病 (ALL) の薬剤耐性を調べる目的で, 乳児ALL9例において, 初発時および再発時の白血病細胞の薬剤感受性をMTT法で検討した.症例は0~10カ月 (中央値8カ月) で, 細胞表面マーカー検索ではCD10陰性例は6例であった.6カ月未満の4例はすべてCD10陰性であり, 予後も6カ月以上群に比して短かった (p=0.011).白血病細胞のprednisolone (Pred), L-asparaginase (ASP), vincristine (VCR) の3剤に対する感受性から患者を2群に分けると (PAV分類), SS群 (感受性群) は4例で, RR群 (耐性群) は5例であった.6カ月未満の乳児4例はすべてRR群であった.SS群の50%event-freesurvivalは8.4カ月で, RR群 (25カ月) より有意に長かった (p=0.0045).年齢区分による薬剤感受性を調べると, 6カ月未満群の白血病細胞は6カ月以上群および非乳乳群に比してPred, Dexに対して高度耐性であったが, 4-hydroperoxy-cyclophosphamide, cytarabine, etoposideには逆に高い感受性の傾向を示していた.4例で初発時および再発時の薬剤感受性を検討したが, 再発時のより耐性化の傾向は見いだせなかった.乳乳ALLはPAVとcytarabineの感受性から3群に分類される可能性があった.
  • 石河 由佳, 石田 裕二, 康 勝好, 本多 康次郎, 気賀沢 寿人, 石川 久美子, 大沼 圭, 豊田 恭徳, 西平 浩一
    1999 年 13 巻 6 号 p. 442-447
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    神奈川県立こども医療センターで造血幹細胞移植を施行し, 1年以上無病生存中の29症例を対象として, 身長, 内分泌機能について検討した.その結果, 年少時に全身照射 (以下TBI) を受けたものほど, 移植後の身長の伸びが悪かった.造血幹細胞移植後の甲状腺機能低下に関しては, 移植前に頭蓋照射を受けている群で発症頻度が高かった.性腺機能低下は男女ともに, 前処置にかかわらず高頻度に認められており, 特に女児で高かった.造血幹細胞移植後の成長障害, 内分泌学的機能低下といった晩期障害に対する治療の適応を考慮すべく, 今後も慎重な経過観察が必要である.
  • 豊田 恭徳, 石川 久美子, 大沼 圭, 西平 浩一, 石河 由佳, 石田 裕二, 康 勝好, 本多 康次郎, 気賀沢 寿人
    1999 年 13 巻 6 号 p. 448-453
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Cyclophosphamideおよびifbsfamideを含む化学療法中に再発したleukemia/lymphomasyndrome (LLS), およびnon-Hodgkin'slymphoma (NHL) の2症例に対し, 第2再発期にL-phenylalanine mustardを80mg/m2単独投与し2例ともに寛解が得られた.副作用としてはIV度の骨髄抑制以外重篤なものは認められなかった.LLS症例はL-PAM投与4カ月後第3回の骨髄再発をきたしたが, 再発のままL-PAMを含む前処置により非血縁者間骨髄移植を行い, 移植後3年寛解生存中である.この結果よりL-PAMは小児のリンパ性悪性腫瘍に対し強い抗腫瘍効果をもつことが示唆された.
  • 大嶋 政明, 小池 和俊, 福島 敬, 奈良 千春, 泉 維昌, 土田 昌宏
    1999 年 13 巻 6 号 p. 454-459
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    AlloBMT後200日を経過した後にIPSを発症した4歳男児例を報告する.2歳6カ月発症の重症再生不良性貧血, 3歳6カ月時にMDS (monosomy7) へ進展したため, HLAB座不一致の弟をドナーとしてalloBMTを施行.前処置にはCY+VP-16+TBI, GVHD予防はCSA+shorttermMTXを用いた.GradeIIIの急性GVHDが出現したがmPSL, ATG, tacrolimusなどを使用しdayl20には軽快しdayl70に退院した.Day200を経過後咳漱・喘鳴が出現しday207に再入院となった.胸部X線にて両側びまん性間質性陰影を認めた.症状が急速に進行し, 入院2病日より人工呼吸管理としmPSLパルス療法 (20mg/kg/day) を開始したが効果が持続せず超大量のmPSL (100mg/kg/day) を長期間投与した.重大な合併症なく救命でき, ステロイドから離脱できた.骨髄移植後に合併するIPSで急速に進行する呼吸不全を呈した症例はきわめて致命的であるが, このような症例ではmPSL超大量療法も試みるべき治療と考えられた.
  • 金澤 崇, 小川 千登世, 霜田 雅史, 外松 学, 森川 昭廣
    1999 年 13 巻 6 号 p. 460-465
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病 (ALL) 治療後に7番染色体異常が出現したNoonan症候群 (NS) の2歳男児例を経験したので報告する.本患児は発熱, 歯肉出血を主訴に入院.骨髄穿刺を施行し, 異常なリンパ芽球様細胞の増殖を認め, 表面マーカー解析ではCD10, CD19, HLA-DRが陽性, 染色体分析では末梢血, 骨髄ともに46, XYであった.また, 児は先天性心疾患 (心房中隔欠損, 閉塞性肥大型心筋症, 末梢性肺動脈狭窄), 眼間解離胸郭変形, 右精巣無形成を合併しており, 軽度の精神発達遅滞も疑われ, 典型的なNoonan症候群の表現型を示していた.ALL (L1) と診断され, 化学療法が施行され完全寛解を得た.現在も患児は第1寛解を維持しているが, 治療開始後22カ月の骨髄検査で46, XY, add (7) (q11) の染色体異常が出現した.顆粒球系細胞の形態異常も認められ, 骨髄異形成症候群 (MDS) への移行が疑われた.本患児における染色体異常が治療関連によるものか, あるいはNoonan症候群に関連するものかは明らかではないが, 近年, Noonan症候群におけるMDSの発症が報告されてきており, Noonan症候群における血液学的異常の遺伝子学的背景について, さらなる検討が望まれる.
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