日本小児血液学会雑誌
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13 巻 , 5 号
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  • 浜崎 雄平, 在津 正文
    1999 年 13 巻 5 号 p. 325-334
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    アラキドン酸代謝産物であるロイコトリエン (LT), プロスタグランディン (PG), トロンボキサン (TX) は, 細胞内部の核膜上で, 数種類の酵素の連続的な反応の結果合成される.最近10年間にこれらの合成酵素 (細胞質フォスフォリパーゼA2, プロスタグランディンH合成酵素タイプ1および2, 5一リポキシゲナーJビ, ロイコトリエンC4合成酵素, ロイコトリエンA4ヒドロラーゼなど) は大部分がクローニングされ, その生化学的な特徴や, 活性化の機構が明らかになってきた.これらの合成酵素の活性化の機構のひとつとして, 生体内外の活性化因子による遺伝子の転写や翻訳のレベルでの制御機構の存在が明らかとなってきている.これらの制御機構は炎症性疾患をはじめとする各種小児疾患の病態の発現に関与していることが推測される.この遺伝子レベルでの制御の機構は, 多核白血球においても存在する.本稿では, 最初にアラキドン酸代謝系の合成酵素について, 種々の細胞から得られた最近の一般的知見を総括し, そのあとで, 多核白血球における遺伝子レベルでの制御の機構について, みずからの知見を含めて述べる.
  • 鶴沢 正仁, 片野 直之, 小泉 晶一, 三間屋 純一, 谷田部 道夫, 松下 竹次, 渡辺 新, 浅見 恵子, 上玉利 彰, 畑江 芳郎, ...
    1999 年 13 巻 5 号 p. 335-341
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1981年から1998年の間に小児癌白血病研究グループの治療研究に登録された15歳未満の急性リンパ性白血病 (ALL) 1,442例の初発時臨床像 (性/白血球数/表面マーカー/染色体) を発症年齢別に8群に分けて比較検討した.白血球数の全体の中央値は9,900/μlで, 最大は6カ月未満群の100,500/μl, 最小は5~7歳群の8,400/μlで, 各年齢層間で統計的有意差 (p<0.0001) が認められた.男女比は全体では1.42と男児が多く, 1~5カ月と12~17カ月の2群のみ0.55と0.71で有意に女児の比率が高かった (p<0.05).11q23転座およびPh1陽性例の頻度は2.5% (14/541) と1.8% (10/541) で, 前者の半数は6カ月未満群であった.T-ALLの頻度は9.5% (70/735) で, 11歳以上の群で最大 (17%) であった.これらの染色体異常もしくはT細胞マーカーを有する症例の70%が白血球数5万/μl以上であった.上記転座症例を除くB前駆細胞型ALLの白血球数分布においても年齢層間で統計的有意差 (p<0.01) が認められた.このように小児ALLの年齢別臨床像の相違は, 特定の染色体異常や表面マーカーの頻度の差で, ある程度説明できるが, 同時に未知の生物学的要因が臨床像に影響を及ぼしている可能性も示唆された.
  • 傳 美和子, 滝 正志, 伊藤 浩信, 池田 香織, 山田 兼雄
    1999 年 13 巻 5 号 p. 342-345
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    当施設で治療した小児ITP88例について, 急性型と慢性型に分類し, 発症時の臨床所見, 検査成績を後方視的に比較した.さらに, 慢性型の予後についても検討した.発症年齢, 性別, 先行感染の有無, 発症時の症状, 初期治療の内容, 血小板数, PA-IgG値, 抗核抗体またはLEテストの有無については急性型, 慢性型の両群間に有意差は認められなかった.一方, lupus anticoagulant (LA) は慢性型に有意に多く認められ, 予後不良因子の一つと考えられた.慢性型の予後については, その自然寛解率は, 1, 2, 8年後の各時点でそれぞれ9, 40, 60%であった.発症後6年以上経過した患者のうち, 現時点においても寛解が得られていない症例は, 膠原病, 抗リン脂質抗体症候群などの免疫異常を有する疾患との合併例が多くみられた.
  • 村木 可枝
    1999 年 13 巻 5 号 p. 346-352
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリアDNA (mtDNA) の欠失を診断根拠とする4人のPearson症候群の患者を臨床的および分子遺伝学的に検討した.本症の主徴である鉄芽球性貧血や膵外分泌不全は必須ではなかった.しかし全例で, 新生児期に汎血球減少と骨髄前駆細胞の空胞化を認め, 貧血が血小板減少, 穎粒球減少に先行した.幼児期まで生存した2例では造血器障害は自然に改善し, それは末梢血および骨髄細胞での欠失mtDNAの比率の低下と関連があると考えられた.また1細胞内のmtDNAの絶対量の核DNA量に対する比率を計測したところ, 回復期の骨髄において, 欠失mtDNAは減少し, 正常mtDNAは増加していることを示した.その2例は, 後に筋力低下, 心伝導障害, 網膜色素変性を発症し, Kearns-Sayre症候群へ移行した.
  • 酒井 道生, 白幡 聡, 七野 浩之, 赤塚 順一, 藤沢 康司, 大川 洋二, 小西 省三郎, 別所 文雄, 宮崎 澄雄
    1999 年 13 巻 5 号 p. 353-359
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児ITP治療研究会に参加している施設に調査用紙を送付し, 小児再帰型ITP症例の臨床病態を解析した.1990年から1995年までの6年間にこれらの施設で経験された全ITP740例の中で再帰型ITPの頻度は, 3.0%であった.一方, 1980年から1995年までに各施設で経験された再帰型ITP症例40例のうち二次調査に対する回答が得られた30例についての解析で, 各症例の背景 (性別, 生年月日, 既往歴, 家族歴), 各発症エピソードの内容 (発症回数, 発症年月日, 先行感染, 合併症, 治療内容など) および検査データに関して, 再帰型と急性型の間に臨床病態上明らかな相違点は認められなかった.また, 再発1回のみの症例と頻回再発例の相違や発症回数ごとの病態の違いも明らかではなかった.以上より, 初回発症時の臨床像のみから再帰型ITPと急性ITPを区別することは困難と考えられた.
  • 川崎 浩三, 鮎川 浩志, 良沢 真奈美, 古川 漸
    1999 年 13 巻 5 号 p. 360-364
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血で骨髄検査の細胞数が汎血球減少の程度に一致しない場合, その診断は容易ではない.中等度再生不良性貧血3例にMRI撮影を施行した.2例は骨髄穿刺あるいは生検で細胞数減少が軽微であったが, MRI所見で腰椎椎体矢状断撮影Tl強調画像で高信号を示す病変部がみられた.全例に抗胸腺グロブリンとcyclosporinを含む免疫抑制療法を施行し, 2例は完全寛解しMRI所見も改善した.MRIは骨髄の細胞密度評価法の一助として有用である.
  • 中村 誠, 杉田 完爾, 飯島 純, 合井 久美子, 宮本 直彦, 柄木田 直子, 滝 正志, 中澤 眞平
    1999 年 13 巻 5 号 p. 365-370
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は, 急性巨核芽球性白血病と診断された1歳10カ月の男児.発症時にプロトロンビン時間 (prothrombin time, PT) と活性化部分トロンボプラスチン時間 (activated partial thromboplastin time, APTT) の延長, 抗doublestrandDNA抗体, biologically false positive serologic tests for syphilis (BFP-STS) を認め, ループス抗凝固因子 (lupus anticoagulant, LA) の存在が証明された.化学療法開始後1週間でPTとAPTTは改善傾向を示し, BFP-STSは陰性化した.さらに, 完全寛解を確認した化学療法開始後41日の時点で, PTとAPTTは正常化しLAは陰性となった.全経過を通じて血栓症は認められなかった.造血器悪性腫瘍では, 発症時に抗リン脂質抗体 (antiphospholipid antibody, APA) が出現し, LA陽性例の一部では血栓症の原因となることがある.しかし, 本症例や文献的には, 造血器悪性腫瘍に合併したAPAは残存腫瘍の減少に伴い速やかに消失するため, 腫瘍が化学療法に抵抗性でない限り, 血栓症の予防は必要がないと考えられる.
  • 手塚 徹, 杉田 完爾, 根本 篤, 山城 大, 宇野 佳奈子, 柄木田 直子, 犬飼 岳史, 上條 篤, 岡本 美孝, 小澤 大作, 大西 ...
    1999 年 13 巻 5 号 p. 371-375
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例はアスペルギルス性後鼻腔・副鼻腔炎を発症した急性リンパ性白血病の7歳の女児.寛解導入療法中に, 発熱が出現したために抗生剤の投与を行い軽快した.しかし, 発熱とCRP陽性が再燃し, 軟口蓋に潰瘍 (1×1cm) を認めた.CT所見および軟口蓋の生検所見から真菌性後鼻腔・副鼻腔炎と診断し, amphotericinB (AMPH-B) の静脈内投与を行ったが, 軟口蓋欠損と白色壊死組織が拡大したため後鼻腔と副鼻腔の郭清術と粘膜剥離術を行った.真菌培養でAspergillus favusが分離され, itraconazole内服とAMPH-Bの吸入で真菌症の再発なく順調に強化療法が施行された.侵襲性アスペルギルス性副鼻腔炎の完治のためには, 抗真菌剤の投与とともに積極的な外科治療が必要と考えられる.
  • 井上 彰子, 番 浩, 坂田 尚己, 安井 昌博, 岡村 隆行, 井上 雅美, 八木 啓子, 河 敬世
    1999 年 13 巻 5 号 p. 376-380
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    生後2カ月時にcongenital dyserythropoietic anemia亜型と診断された5歳女児に非血縁者間臍帯血幹細胞移植を施行した.TBI, cyclophosphamide, cyclosporinAの前処置後, 2locus mismatchの臍帯血を移植したが生着不全であった.自己造血回復を認めたため, dayl49に, ATG, cytarabine, cyclophosphamide, thiotepaを投与後, 別の2 locus mismatchの臍帯血を再移植したが今回も生着は得られなかった.このように強化した前処置を行ったにもかかわらず2回も生着不全をきたしたのは, 移植臍帯血の問題かホストの問題か明確ではないが, 生着不全は非悪性疾患におけるHLA不一致臍帯血移植の大きな問題であると考えられた.
  • 中畑 龍俊, 小島 勢二, 土田 昌宏, 林 泰秀, 生田 孝一郎, 岡村 純, 小池 健一, 小原 明, 石井 栄一, 駒田 美弘, 日比 ...
    1999 年 13 巻 5 号 p. 381-393
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
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