日本小児血液学会雑誌
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14 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 塩原 信太郎
    2000 年 14 巻 3 号 p. 101-109
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    同種骨髄移植後の再発例に対するドナーリンパ球輸注療法のわが国の現状を, 欧米の成績と比較して示した.同種免疫反応である抗白血病効果とGVHDがマイナー組織適合抗原の差異として把握できるようになり, GVHDを回避しながらGVL効果を得る新しい細胞療法ノ可能性も考えられる.固形癌に対しても適応の拡大が期待される.
  • 堀 浩樹, 駒田 美弘
    2000 年 14 巻 3 号 p. 110-116
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児白血病・がん患児の生活の質 (qualityoflife, QOL) を, 治療中あるいは全経過を通して高めるためのトータルケアの重要性について, われわれの施設での取り組みを例示し概説した.トータルケアの実践にあたっては患児との信頼関係を構築することが最も大切であり, そのためにわれわれはこどもの心を知り, 病気についての真実を患児と共有し, 病気に対してともに向かい合い, 患児の命とQOLに対する哲学をもつことが求められる.また, 院内学級, 家族宿泊施設の設置, ターミナルケアシステムの整備も患児およびその家族の生活をサポートしていくために必要である.ターミナルケアにおいてはホームドクターとの連携による在宅医療の推進, ホスピスの設置が今後の課題である.
  • 岩井 勝, 丸尾 良浩, 馬場 典子, 藤野 英俊, 多賀 崇, 佐藤 浩, 太田 茂
    2000 年 14 巻 3 号 p. 117-120
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に対する化学療法の際に, 時折肝障害を伴わない, 非抱合型高ビリルビン血症を経験する.化学療法により高ビリルビン血症を認めた白血病患児の3症例に, UDP-グルクロン酸転移酵素遺伝子 (UGT1A1) の解析を行った.3症例すべてに, エクソン1のヘテロ接合体のミスセンス変異 (G71R) がみられた.かくして, UGT1A1の変異が, 化学療法時にみられる非抱合型高ビリルビン血症の遺伝的背景として考えられた.
  • 稲垣 二郎, 朴 永東, 中野 智巳, 岸本 朋子, 吉岡 章
    2000 年 14 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    遺伝性球状赤血球症 (HS) の患者が, ヒトパルボウイルスB19 (HPVB19) の感染を契機にaplasticcrisisをきたす原因として, 血球貧食症候群様の機序の関与を示唆する報告が散見されている.今回, われわれはHPVB19感染によるaplastic crisisを契機に, HSと診断された父子例を経験した.発症時の骨髄中に血球貧食像を認め, 血中サイトカインレベルを測定したところ, sIL-2R, IL-6およびTNF-aが異常高値を呈していた.Aplasticcrisisが引き起こされる機序として, 高サイトカイン血症を主病態とする血球貧食症候群様の機序が関与していると推定した.
  • 北澤 克彦, 本多 昭仁, 大塚 里子, 高柳 正樹, 今宿 晋作
    2000 年 14 巻 3 号 p. 125-129
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    リジン尿性蛋白不耐症 (LPI) は先天性二塩基アミノ酸転送異常症であるが, 最近, LPI関連hemophagocytic lymphohistiocytosis (HLH) 症例が報告された.われわれは, 13歳時にHLHを発症し, 19歳時にLPIと診断した症例を報告する.HLHはself-limitedであり, その後再発徴候を認めないが, 脾腫, 高LDH血症, 高フェリチン血症, CD4/CD8リンパ球比の低下が持続していた.代謝学的検査で蛋白摂取後の高アンモニア血症および二塩基アミノ酸の尿中への選択的排泄増加と血漿レベルの低下を確認しLPIと診断した.本症例では, HLH軽快5年後の血清sIL-2RとIL-1βの上昇が認められ, LPIに伴う免疫学的異常がHLH発症に関与したと考えられた.LPIの高アンモニア血症はシトルリン補充で治療可能なこと, LPI関連HLHは予後良好な可能性があることからHLHの基礎疾患としてLPIを認識すべきである.
  • 大嶋 政明, 牧田 美香, 田中 宗史, 小原 明, 月本 一郎
    2000 年 14 巻 3 号 p. 130-134
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は15歳男子.顔色不良, 全身倦怠感を主訴に近医受診し, 汎血球減少を指摘されて当科入院.末梢血は汎血球減少を示し, 骨髄は正形成骨髄で, 三系統に異形成変化がみられ, type I blastを4.9%認めた.骨髄染色体検査は46, XYで7番染色体FISHは陰性であった.以上より不応性貧血 (FAB分類RA) と診断した.週1回の赤血球輸血・血小板輸血を必要とした.ステロイド投与後, 網状赤血球の増加を認めたため, 免疫抑制療法の効果を期待し抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン (ATG) を5日間投与した.1カ月後には輸血より離脱ができ, その後無治療で安定した血液状態を呈している.4-5カ月毎に施行している骨髄検査では, いずれも細胞の異型性および染色体異常は認めていない.芽球の増加や染色体異常などの白血病化のリスク要因のない不応性貧血に対して, ATG療法は試みてもよい治療と思われた.
  • 長谷川 大一郎, 佐野 公彦, 小阪 嘉之, 早川 晶, 川越 里佳, 川崎 圭一郎, 中村 肇
    2000 年 14 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    化学療法に抵抗性となつた急性骨髄性白血病の15歳男児に対してHLA完全一致の姉をドナーとして同種骨髄移植を行ったところ, 移植後6カ月を経過してBOOPを合併した.移植細胞数は5.8×108/kgで, 移植後17日目に生着を確認した.GVHD予防はcyclosporine Aと短期MTXで行った.急性GVHDは1度と軽度であった.非寛解期の移植であったため, 残存腫瘍細胞を減少させる目的でDLTを2度施行した.移植後6カ月を経過して咳嗽が出現し呼吸機能検査, 画像診断, 気管支鏡下肺生検の結果からBOOPと診断した.慢性GVHD症状はみられなかった.Prednisolone 1mg/kg/dayの投与を開始したところ臨床症状, 画像所見ともに約2週間で劇的に改善を認めた.
  • 今井 剛, 瀧本 哲也, 秋山 祐一, 岡田 雅行, 濱畑 啓悟, 渡邊 健一郎, 林 英蔚, 宇佐美 郁哉, 足立 壮一, 久保田 優, ...
    2000 年 14 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    寛解導入不能の縦隔原発T細胞性非ポジキンリンパ腫の3例を報告した.全例が病理組織学的にlymphoblastic typeであり, 病期はMurphy分類のstage IIIであった.症例1は14歳男児.寛解を得られないまま同種骨髄移植を施行したが, 移植後43日に原発巣の増大と胸腔への転移を認めた.症例2は10歳女児.強化療法を反復したが腫瘍は消失せず, 診断後10カ月に原発巣の増大と胸腔および腹腔への転移をきたした.症例1, 2ともに再燃後は化学療法および局所放射線照射に抵抗性を示し, 診断後約1年で死亡した.症例3は7歳男児.治療開始後2カ月に残存した巨大な腫瘍の切除術を行った.術後, 自家末梢血幹細胞移植を施行し, 現在, 診断後30カ月になるが, 完全寛解を維持している.積極的な残存腫瘍切除術は, 初期反応不良の縦隔原発T細胞性非ポジキンリンパ腫に対して, 有効な治療法の一つになりうると考えられた.
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