日本小児血液学会雑誌
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15 巻 , 3 号
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  • 本郷 輝明
    2001 年 15 巻 3 号 p. 139-149
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    児白血病における薬剤耐性は, 抗癌剤治療が不成功になる原因の一つである.この論文では, 3- (4, 5 dimethylthiazol-2-yl) -2, 5-diphenyl-tetrazolium bromide (MTT) 法に焦点を絞り, 薬剤感受性試験より得られた急性リンパ性白血病 (ALL) と急性骨髄性白血病 (AML) に対する今までの研究の成果について解説した.白血病細胞の生物学的特徴と臨床反応はin vitroの感受性とよく相関していた.ALLではprednisolone, L-asparaginase, vincristineに対する感受性が予後と有意に相関していたが, AMLではさらに多数例における検討が必要である.MTT法の臨床応用としては, 層別治療のリスクファクターの一つとして, あるいは個々の症例における薬剤選択として, さらに乳児ALLやPh1染色体陽性ALLなどの難治性白血病に対する抗癌剤治療の合理的改善のためのデーター提供があげられる.薬剤感受性試験から得られた知見は治療プロトコールの発展に寄与すると思われる.
  • 三間屋 純一
    2001 年 15 巻 3 号 p. 150-160
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    現在わが国の医療現場で行われているインフォームドコンセント (IC) は成人患者や小児患者の親を対象としたもので, 小児患者自身に対しては十分には行われているとはいいがたい状況である.医療者, とくに, 医師は子どもの権利を尊重し, 親の理解と協力を得ながら, 患者である子どもに同意能力があると判断した場合には, 積極的にICを試みるべきである.また, たとえ, 同意能力を欠く子どもに対しても, 年齢に応じたわかりやすい言葉や絵などを用いて, 子どもの病気の説明と告知が必要である.とくに治療の選択肢の幅が広く, 晩期後遺症を起こしやすい白血病や血友病などの難治性血液腫瘍性疾患者に対するICは必須となる.
  • 小林 良二, 堀部 敬三, 矢崎 信, 見須 英雄, 井上 雅美, 赤在 あゆみ, 藤田 直人, 上田 一博
    2001 年 15 巻 3 号 p. 161-168
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1991~1997年にJACLS参加施設にて診断した小児非ポジキンリンパ腫177例の臨床的および生物学的特性について後方視的に解析した.その結果, 男児に多く (男 : 女=2.6 : 1), 平均年齢は9.14±3.78歳であった.頸部・胸部・腹部に発症が多く, 病期は進行病期が73.4%を占めた.さらに, 免疫学的マーカーではB細胞系統が55.4%を占め, 組織型ではBurkitt's lymphomaが25.4%, lymphoblastic lymphomaが24.9%, diffuselarge-cell typeが20.9%を占めた.全体の5年生存率は77.1%, 5年event-free survivalは68.1%であった.予後不良因子としては男性, T細胞マーカー, stage III, lymphoblastic lymphoma, 初回寛解導入不能例があげられた.
  • 陳 基明, 麦島 秀雄, 山田 亜古, 七野 浩之, 島田 俊明, 鈴木 孝, 原田 研介
    2001 年 15 巻 3 号 p. 169-173
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    13歳, 女児.1997年6月, 急性リンパ性白血病と診断され, 1998年10月, HLA一致の兄よりMajorABO不適合骨髄移植を受けた (患児;O Rh D (+), 提供者 : ARhD (+)).移植片対宿主病 (GVHD) 予防は, 短期メソトレキセート+シクロスポリンを用いた.血液学的回復は, 好中球と血小板の回復は良好であったが, 赤芽球系の回復は遅延した.貧血が改善しないため, prednisolone l5 mg/dayを使用したが効果なく, day 87にヘモグロビン血色素量 (Hb) 5.3g/dl, 網状赤血球数 (Ret) 3‰, 骨髄所見でME比21.5と赤芽球系の著減を認め, 赤芽球〓 (PRCA) と診断した.Day 95よりmethyl-prednisolone 20mg/kgを開始したが, 翌日, 肝機能が増悪したため中止した.Day l24にRet 94‰, day 138にHb 11.8g/dl, Ret 30‰と正常化した.抗A凝集素価はday 87に128倍であったが, dayl 38には1倍と低下していたため, PRCAの発症に抗A凝集素の関与が考えられた.患児 : ORhD (+), 提供者 : ARhD (+) の移植の際には, 移植後のPRCA発症を念頭におき, PRCAの治療開始時期, 治療法について検討する必要があると考えた.
  • 望月 一弘, 佐野 秀樹, 根本 健二, 伊藤 正樹, 菅野 弘之, 菊田 敦, 大戸 斉, 鈴木 仁
    2001 年 15 巻 3 号 p. 174-177
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は乳房と子宮に経時的に髄外再発した8;21転座を有する急性骨髄性白血病 (FAB : M2) の13歳女児例.初回寛解時にHLA一致の姉より同種骨髄移植 (allo-BMT) を施行.その23カ月後に乳房に髄外再発したため, 再寛解導入療法とドナーリンパ球輸注療法 (DLI) を施行し, 寛解を維持していた.しかしallo-BMTから37カ月後に再び子宮に腫瘤形成して髄外再発した.再移植を予定して化学療法を開始したが, 敗血症を併発し入院68日目に永眠した.自験例では初回髄外再発時の治療として再寛解導入療法とDLIによる治療を行ったが, 長期的寛解は得られず, これらの治療では不十分であったと考えられた.このような症例には再移植を含めた強力な治療が必要であると思われた.
  • 和田 恵美子, 後藤 佳子, 田村 まり子, 加藤 文代, 鶴田 敏久, 村田 光範
    2001 年 15 巻 3 号 p. 178-186
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    蛋白同化ステロイド (AS) により誘発された肝腫瘍の2例を報告した.症例1は20歳男性.13歳のとき重症再生不良性貧血の診断をうけ, オキシメトロン (OXY) の投与をうけた.約6年後, 肝内に多発性腫瘤を認めた.OXYの総量は125gであった.薬剤中止により, 腫瘤は消失または一部退縮したが, 敗血症のため死亡した.部検により肝腺が確認された.症例2は22歳男性.6歳時再生不良性貧血と診断され, OXYの投与をうけた.約14年後の腹部超音波検査にて, 肝左葉のモザイク様変化と右葉に2個の腫瘤を認めた.OXYの総量は226gであった.肝生検にて肝腺腫が疑われた.薬剤の中止により退縮傾向にある.同胞ドナーから骨髄移植を行い, 血液所見も回復した.ASによる肝腫瘍発生例のおもな死亡原因は, 敗血症と出血および腫瘍破裂であった.画像検査にて経過観察するとともに, 薬剤中止後の原疾患のコントロールが重要である.
  • 松原 央, 比嘉 猛, 牧本 敦, 高山 順, 横山 良平, 別府 保男, 大平 睦郎
    2001 年 15 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    放射線照射に関連した骨軟骨腫は小児がん患者の長期生存例でしばしば観察され, 腫瘍床への高線量局所照射が関係していると報告されている.われわれは1982年9月~2000年9月までの18年間に骨髄移植後に骨軟骨腫を発症した4例を経験した.4例はいずれも移植前処置に全身放射線照射 (TBI) を用いた8歳以下の男児で, 移植後から発症まで3年以上経過していた.また骨軟骨腫は全身に多発して発生していた.これは当科で移植前処置にTBIを用い, 3年以上生存していた58例中の4例であった.TBIを用いなかった例には発症を認めなかった.骨軟骨腫の発症にはTBIの関与が示唆される.
  • 小川 美奈, 小池 健一, 石田 修一, 中沢 洋三, 黒川 由美, 坂下 一夫, 上條 岳彦, 長沼 邦明, 小宮山 淳
    2001 年 15 巻 3 号 p. 192-196
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    31歳の女性.7歳時 (1976年10月) に中等症再生不良性貧血 (再不貧) と診断され, 種々の治療が試みられたが血液学的改善は認められなかった.1991年9月から輸血依存性となったが.造血幹細胞移植の適合ドナーはみつからなかった.1999年秋頃から易疲労感と下肢に浮腫が出現するようになったため.精査目的で入院した.甲状腺ホルモン値の著明な低下とTSHの上昇を認めた.エコー上, 甲状腺は萎縮し, MRIはT1, T2強調画像ともに低信号を示した.高度の汎血球減少, 血清鉄とフェリチン値の高値, 頻回輸血および肝, 膵, 脾のCT所見とMRI所見から, ヘモクロマトーシスによる一次性甲状腺機能低下症と診断した.甲状腺ホルモンの投与後, 甲状腺機能は改善した.中等症再不貧患者のなかには経過中に重症化する例や, 輸血依存となる例があることから, 予後因子の詳細な解析が重要と思われる.
  • 根本 健二, 菊田 敦, 伊藤 正樹, 佐野 秀樹, 大戸 斉, 鈴木 仁
    2001 年 15 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は急性骨髄性白血病 (AML) (FAB分類 : M2) の11歳男児である.初回寛解導入不能であり, サルベージ療法後の好中球減少時に緑膿菌による頸部蜂窩織炎を合併し, 抗生剤に不応であったため顆粒球輸血 (GTX) を施行した.十分な説明と同意のうえ, 血液型一致の父親へ顆粒細胞コロニー刺激因子 (G-CSF, 300μg/day, 3日間) を投与し, 2日目と3日目にそれぞれ1.2×1010と2.2×1010個の顆粒球を採取した.15Gyの放射線照射後すみやかに輸血した.これにより患児は重症感染による危機的状況から脱し, 症状の改善をみた。また, GTXによる副作用と同時にドナーに対するG-CSF投与およびアフェレーシス後の副作用も認められなかった.GTXは, 化学療法後の難治性感染症に対する治療法として非常に有用であると考えられた.
  • 金澤 崇, 溝口 史剛, 外松 学, 小川 千登世, 金子 浩章, 友政 剛, 森川 昭廣
    2001 年 15 巻 3 号 p. 202-205
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植後に頑固な腹痛と全身痙攣にて発症した水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) 再活性化の13歳男子例を経験した.患者は12歳時に急性リンパ性白血病を発症.第1寛解期にHLA一致同胞間骨髄移植が施行された.慢性移植片対宿主病のため, cyclosporin, prednisoloneにて治療されていた.移植後6カ月時に強い上腹部痛が出現, H2-blockerやpentazocineは無効であった.腹痛出現後第3病日に全身痙攣出現.頭部MRIT2強調画像にて大脳鎌付近に不定形の高信号域が認められた.上部消化管内視鏡ではびらん性食道炎, 胃炎が認められた.第4病日に全身に水疱が出現し, VZV再活性化と診断し, acyclovirを開始した.その後, 症状は速やかに消失した.検査上, VZV抗体価が上昇し, 消化管粘膜組織のVZVDNA (PCR法) が陽性であった.全身性VZV再活性化は発症時には発疹を認めないことがある.致命率も高く, 注意すべき合併症と考えられた.
  • 金澤 崇, 外松 学, 塚田 昌大, 小川 千登世, 森川 昭廣
    2001 年 15 巻 3 号 p. 206-209
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    若年性骨髄単球性白血病 (JMML) の1歳男児に非血縁の女性ドナーから骨髄移植を実施した.前処置としてはbusulfan, cyclophosphamide, cytamabine (Ara-C) を使用し, 移植片対宿主病 (GVHD) 予防としては短期間methotrexateとcyclosporine A (CsA) を使用した.Day 22に生着を確認し脾腫も縮小傾向を示した。FISH法により男性核型がday28, 43, 69に, それぞれ12/1,000, 12/1,000, 34/1,000認められ, 移植後いったん縮小していた脾臓も徐々に腫大, JMMLの再発と診断した.GVL効果を誘導するためにCsAを中止したところ, 強い〓痒感を伴う皮疹と大量の下痢が出現した.GVHD (gradeIII) と診断し, pmednisoioneを開始, CsAを再開した.治療に対する反応は良好で, 皮疹・下痢などのGVHD症状は改善した.GVHD発症後には男性核型が0/1,000となり, 脾腫も縮小した.JMMLにおいてもGVL効果は認められ, 移植後再発例に対する免疫抑制剤中止によるGVL誘導療法は有効であると考えられる.
  • 斎藤 潤, 宇佐美 郁哉, 久保田 優, 筒井 孟
    2001 年 15 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    3回の造血幹細胞移植を施行した乳児急性リンパ性白血病 (ALL) の男児例を報告する.症例は生後7カ月時, t (9;11) (p22;q23) およびMLL再構成を伴うALLと診断された.初診時, 髄外病変として皮膚浸潤と高度の肝脾腫を認めた.1回目, 2回目の移植はいずれもHLA一致の同胞間骨髄移植で, 前処置はそれぞれ, BU+CY+VP-16, CY+TBI (12Gy) であった.初回移植6カ月後, 2回目移植4カ月後にそれぞれ睾丸再発をきたした.3回目の移植はHLA一致非血縁者間膀帯血移植で, 前処置はBU+CY+thiotepaを用いた.3回の移植はすべて骨髄完全寛解時に行われた.3回目の移植時に, GVHDgradeIを認めたが, いずれの移植でも重篤な治療関連毒性は認めなかった.移植後8カ月現在, 完全寛解を維持している.難治性の乳児ALLに対して造血幹細胞移植を繰り返すことは治療法の一つとして考慮しうると思われたが, 病初期に髄外病変を認める男児例では, 睾丸への予防照射を含めた前処置法が必要かもしれない.
  • 山下 信子, 西内 律雄, 小田 慈, 大橋 博美, 山本 明子, 清野 佳紀
    2001 年 15 巻 3 号 p. 215-219
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    慢性移植片対宿主病 (GVHD) に伴う広頸筋筋膜炎の4歳男児例を報告する.患児は骨髄異形性症候群のためHLA1座不一致の母親より骨髄移植を施行された.GVHD予防は短期間methotrexateとcyclosporine Aで行った.Day72に生じた急性GVHD (Grade II) に伴う血小板減少症と肝機能障害はprednisoloneとtacrolimsで軽快していた.Day 139に断薬した後, day 182から頸部顔面の腫脹・全身皮膚紅斑・乾燥性結膜炎が出現した.血液検査では好酸球増多症・肝胆道系障害・血清アルドラーゼ値の上昇が認められた.T2強調MRIで両側広頸筋筋膜と周囲軟部組織がhyperintensityであった.大腿四頭筋生検では慢性GVHDと初期の筋膜炎の所見を得た.Prednisoloneとtacrolimusにより速やかに皮膚紅斑・好酸球増多症・肝胆道系障害は軽快した.広頸筋筋膜炎は4カ月後に治癒した.慢性GVHDによる筋膜炎はきわめてまれであり, また広頸筋に生じた例は過去に報告がない.
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