症例は8歳男児.帽状腱膜下血腫を認め, 血小板数, 凝固スクリーニング検査が正常であったため, 凝固第XIII因子 (以下, FXIII) 活性を測定したところ, 13%に減少していた.その後FXIII活性値は6%まで低下したが, FXIII製剤を繰り返し投与したところ, 帽状腱膜下血腫は徐々に改善した.FXIII活性は4カ月間にわたり70%以下であったが, その後は正常化し, 出血症状も認めていない.本症例は自然経過とともにFXIII活性が正常化したため, 先天性FXIII欠乏症は否定された.著明なFXIII活性低下の原因としては, 多量の出血による消費, 0過性のサブユニット抗体出現の可能性などが考えられた.凝固スクリーニング検査が正常であっても, 出血が遷延する場合には, FXIII低下症を疑い, FXIII活性を測定する必要がある.
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