日本小児血液学会雑誌
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19 巻 , 1 号
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  • 工藤 寿子, 小島 勢二
    2005 年 19 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    若年型慢性骨髄性白血病 (JMML) 細胞はin vitroでGM/CSFに対する高感受性を示し, 病因としてRas遺伝子経路のシグナル伝達における異常が示唆される.現在までに3種類の遺伝子異常 (protein-tyrosine phosphatase, non-receptor type 11 [PTPN11], RAS, neurofibromatosis type 1 [NF1]) が関与することが明らかになってきたが, いずれもGM-CSF/RASシグナル伝達系に位置しており, JMML症例の75%に関与すると考えられる.JMMLの20~30%の症例にN-RASの変異が報告され, 12~15%にNF-1の不活化がみられる.2001年, Noonan症候群の約50%の症例にPZPN11遺伝子変異が認められると報告された.興味深いことに, Noonan症候群の症状をもたないJMML症例の30~40%にPTPN11の突然変異が認められた.これらの遺伝子異常は同時に検出されることはほとんどなく, 互いに相いれないことから, 単独でJMMLの病因となりうることが示唆される.今回, PZPN11遺伝子を中心にJMMLの病因に関する最近の知見を概説する.
  • 吉見 礼美, Christian KRATZ, Charlotte M. NIEMEYER
    2005 年 19 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    若年性骨髄単球性白血病 (JMML) は主に乳幼児に発症するクローナルな骨髄増殖性疾患である.これまでにAML治療に準拠した強化化学療法, 6-メルカプトプリン (6-mercaptopurine) やシタラビン (cy-tosine arabinoside) を用いた低用量化学療法, インターフェロンアルファ (interferon-alpha), 13-シスレチノイン酸 (isoretinoin) などのさまざまな造血幹細胞移植以外の治療が試みられてきた.さらに最近の病態解明の進歩に基づき, farnesyltransferase阻害剤, 顆粒球単球コロニー刺激因子 (GM-CSF) アナログなどの生物学的メカニズムを標的とした治療薬が開発されているが, 現在までに長期生存に寄与すると証明された薬剤はない.造血幹細胞移植はもっとも治癒率の高い治療法であり, およそ50%の無病生存率が得られている.しかし再発率は約1/3と高く, 移植後の最大の問題である.移植後に混合キメリズムを検出されたり再発と診断された患者では, 移植片対白血病 (GVL) 効果を誘導するために, まず速やかに免疫抑制剤が中止されるべきである.これに反応を示さない患者にはドナーリンパ球輸注や2回目移植が次の治療手段として考慮される.現在のところ2回目移植の成績はドナーリンパ球輸注よりも良好であるが, 移植後の再発患者の治療法については今後さらに検討が必要である.
  • 奥田 久美子, 山崎 桜子, 甲斐 純夫, 藤井 久紀, 黒木 文子, 後藤 裕明, 生田 孝一郎, 高橋 浩之
    2005 年 19 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児AML42例に対し, PCRを用いてFLT3遺伝子の異常 (ITDおよびD835) の有無を検討した.ITD陽性は8例 (19.0%), D835陽性は3例 (7.1%) であった.ITDの有無による完全寛解率は, 陽性例, 陰性例でそれぞれ100%, 81% (p=0.32) と差はなかったが, 陽性例の再発率は87.5%±11.7%と陰性例 (40.1%±10.5%) と比較して有意に高く (p=0.0435), 予後不良因子と考えられた.また, t (8;21) 陽性AMLの7例中3例がITD陽性であり, 3例全例が再発した.陰性例の再発は1例のみであったことより, 予後良好とされるt (8;21) から予後不良群を抽出できる可能性があると考えられた.D835の異常にっいては, 症例数が少ないため臨床的意義は明らかにできなかった.さらに寛解期検体に対してITD特異的プライマーを用いてPCRを行い, MRDの有無を解析したところ, 融合遺伝子を指標とした結果とよく一致していた.ITD陽性AMLではMRDマーカーのない場合も多く, このような予後不良の症例では有力な指標となり得ると考えられた.
  • 石井 るみ子, 森本 哲, 日比 成美, 杉本 徹, 今宿 晋作
    2005 年 19 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    初発時15歳の男児, 右頸部および腋窩リンパ節, 脾臓への浸潤とB症状を認め, Hodgkin disease (HD) stage IIIBと診断された.A-COPP (ドキソルビシン, シクロフォスファミド, ビンクリスチン, プロカルバジン, プレドニゾン) とABVD (ドキソルビシン, ブレオマイシン, ビンブラスチン, ダカルバジン) の交代療法を計3クール行った.治療に対する反応は良好で寛解を得たが, 治療終了8カ月後, 縦隔リンパ節と肺野・脾臓に多発性の病変を認め, 再発と診断した.ICE療法 (イホスファミド, カルボプラチン, エトポシド) を3クール行い, 部分寛解を得たのち, MEAM療法 (ラニムスチン, エトポシド, シタラビン, メルファラン) による前処置でauto-PBSCTを施行した.移植後, 肺野病変は消失し, 移植後1年10ヵ月の現在, 完全寛解を維持している.
  • 林 寛子, 青柳 憲幸, 芳山 恵, 中山 京子, 神波 信次, 吉川 徳茂
    2005 年 19 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児の後天性血液凝固障害の発症は非常にまれとされている.今回, マイコプラズマ感染の関与が示唆されたので報告する.症例は5歳女児, 下肢の出血斑と右膝関節痛で発症した.血液検査にて血小板数正常, PT, APTTは, いずれも著明に延長していた.第II因子活性 (以下FII : C) 5.1%, FVIII : C5.6%, FIX : C7.8%と低値で, FVIIIインヒビターが2.0 Bethesda U/mlと検出された.1 : 1の正常血漿の添加によるmixing testではAPTTは改善せず, 血液凝固インヒビターによる血液凝固障害と診断した.無治療経過観察にて軽快し, 発症約4週後にPT・APTTは正常化した.以後再燃は認めていない.本例ではマイコプラズマ抗体が1,280倍と上昇していた.また一過性に低補体血症や免疫複合体の上昇があり, カルジオリピン抗体が出現したことより, マイコプラズマに対する異常な免疫応答が一過性血液凝固障害を引き起こしたと考えられた.
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