日本小児血液学会雑誌
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19 巻, 4 号
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  • 神薗 淳司
    2005 年19 巻4 号 p. 187-199
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Receptor activator of NF-kapPaB 1igand (RANKL) /RANK/OPG (osteoprotegerin) systemの発見とbisphosphonates (BPs) 製剤の開発は, 「骨代謝学」に大きな進歩を与えた.成人領域ではBPsは担癌患者の骨関連合併症や骨転移の治療と予防などに広く使用されている-しかし, 小児血液・腫瘍領域では随伴する高カルシウム (Ca) 血症治療に限られているのが現状である.この総説では, 悪性腫瘍による高Ca血症と急性リンパ性白血病 (ALL) 治療に伴う骨代謝異常に対するBPs療法について触れ, RANKL/RANK/OPGsystemからみた骨転移や骨軟部腫瘍内の破骨細胞様巨細胞の発生機序を解説した.BPsはメバロン酸代謝経路の阻害を介したRas蛋白不活化による直接作用とγδT細胞増幅による間接作用により抗腫瘍効果を示すことも明らかとなった.各論として難治性骨病変をもつLangerhans cell histiocytosisへのBPs療法を紹介し, RANKL/RANK/OPG systemからみた骨病変発症の機序を解説した.さらに進行神経芽腫やPh-l陽性白血病への応用, 癌性疼痛治療, γδT細胞を利用した癌免疫療法などBPs療法の臨床応用の将来を概説した.
  • Elucidation of the Mechanisms of Cancer Initiation that Began at Hiroshima
    Rika TSUCHIDA, David MALKIN
    2005 年19 巻4 号 p. 200-208
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Although most pediatric oncologists are aware that Li-Fraumeni syndrome (LFS) is characterized by germline p53 mutations, few appreciate that the discovery of this syndrome in 1969 ultimately finds its origins in the detailed epidemiological investigations of cancer in the victims of the atomic bomb at Hiroshima. Both Dr. Robert W. Miller, a pediatrician who became Director of the U.S. National Cancer Institute, and many Japanese pediatricians and paramedical staff from the Atomic Bomb Casualty Commission (ABCC) Pediatrics Study expended enormous efforts to clarify this relationship. The importance of the study of cancer clusters to better understand cancer etiology is derived from their work. We now understand LFS to be a rare autosomal dominantly inherited familial cancer predisposition syndrome characterized by malignancies of both epithelial and mesenchymal origin including soft tissue sarcomas, breast cancer, osteosarcoma, leukemia, brain tumors and adrenocortical carcinoma. In 1990, constitutional mutations of the p53 tumor suppressor gene were shown to be responsible for LFS, a discovery that defined cancer as a genetic disease. Since then, LFS has been the subject of intense clinical and fundamental biological investigation. Recent studies suggest that the types of tumors that develop may in part be determined by the specific p53 mutation, and that murine models of p53 dysfunction accurately reflect the LFS phenotype, providing in vivo models with which to study p53-mediated mechanisms of carcinogenesis. Whereas approximately 70% of LFS is associated with p53 mutations, the cause of the remaining 30% are generally unknown. This unpredictability of genetic penetrance raises numerous ethical issues related to genetic testing and clinical surveillance. This year, 2005, is the 60th anniversary of the bombing of Hiroshima, an appropriate time to review what is known about LFS, the paradigm cancer predisposition syndrome.
  • 中辻 幸恵, 遠藤 幹也, 菅原 和華, 相馬 洋紀, 石井 まり, 高田 彰, 千田 勝一
    2005 年19 巻4 号 p. 209-213
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄血の保存方法が生細胞率およびフローサイトメトリー (FCM) による細胞表面抗原の測定に及ぼす影響を検討するために, 小児Bリンパ球系白血病8例の骨髄血を材料として, 新鮮な検体と, 培養液 (RPMI1640) 添加の有無, 温度 (4℃, 20℃), 検査までの時間 (12時間, 24時間, 48時間) を変えた保存後の検体で測定した.この結果, 生細胞率はいずれの保存条件でも新鮮な検体と有意差がなく, また, 89%以上あることを確認した.細胞表面抗原の測定でCD10, CD19, CD20, CD34, CD38, CD45および CD58は保存条件により変化しなかったが, 陽性であった2例のCD22がいずれの保存条件でも陰性に転じた.骨髄血保存後にFCMでCD22を測定し, CD22が陰性に転じた場合は細胞起源の診断に影響する可能性があると考えられた.
  • 岡 敏明, 鶴澤 正仁
    2005 年19 巻4 号 p. 214-219
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腰椎穿刺や骨髄穿刺などの検査時の疼痛緩和ケアや麻酔管理, 病児への説明について, 小児癌白血病研究グループ所属の22施設の小児血液担当医にアンケート調査を行った.腰椎穿刺の際, 3歳の幼児に対し15施設 (68.2%) の小児科医は全身麻酔下で検査を施行し, 無麻酔は2施設 (9.1%) であった.一方, 14歳児の腰椎穿刺では, 局所麻酔が22施設中9施設 (40.9%) あり, 無麻酔も7施設 (31.8%) あった.骨髄穿刺の際には, 16施設の医師が3歳児に対し全身麻酔下で検査を行っていたが, 14歳児に対しては15施設が局所麻酔下で行っていた.検査中, 検査後覚醒までの管理も施設によりさまざまで, 11施設では患児家族も覚醒までの患児の管理に参加していた.検査に関する事前説明は14歳児には全施設でなされていたが, 5歳の幼児に対しては8施設で本人へ説明されていなかった.今後, 検査時の疼痛緩和ケア・ガイドラインの検討が必要である.
  • 佐藤 智信, 中嶋 雅秀, 井口 晶裕, 中川 温子, 小林 良二
    2005 年19 巻4 号 p. 220-223
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    初発時の化学療法終了から11ヵ月後に左睾丸の無痛性腫大で再発した急性骨髄性白血病 (FAB;M5a) の3歳男児例を経験した.初発時に認められたmonoblastは, t (9 : 11) (P22 ; q23) の染色体異常を有していた.再発時に摘出した精巣の病理所見からは, 当初2次性非ポジキンリンパ腫 (NHL) の発生が疑われたが, reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) 法により精巣組織からMLL-AF9キメラmRNAが検出されたことから原疾患の再発と診断した.その後の検査で骨髄・中枢神経系への芽球の浸潤も認め, 化学療法を開始し, 寛解に至った.急性骨髄性白血病 (AML) の精巣再発はきわめてまれであり, かっ同一クローンでもあり, 再発時にphenotypeが異なっていたため本症例ではその診断に苦慮したが, RT-PCR法が確定診断に有用であった.
  • 神波 信次, 芳山 恵, 中山 京子, 吉益 哲, 吉川 徳茂
    2005 年19 巻4 号 p. 224-228
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    リポステロイドであるdexamethasone palmitate (DEX-P) が著効したマクロファージ活性化症候群 (macrophage activation syndrome, MAS) について報告する.症例は5歳女児.3歳8ヵ月時に全身型若年性特発性関節炎 (systemic-onset juvenile idiopathic arthritis, s-JIA) を発症し, 今回が2回目のMAS発症であった.発熱, 嘔吐, 下痢, 意識障害でMASを発症し, 播種性血管内凝固, 心不全, 腎機能障害を合併したがDEX-P (10 mg/m2/day, 分2) の開始後すぐに解熱し著効した.MASでは急激に致命的となる症例があり第一選択薬が重要であるが, 腎障害を合併しシクロスポリンを使用しにくい症例ではDEX-Pは第一選択薬になりうると考えられた.
  • 比嘉 猛, 牧本 敦, 松原 央, 吉野谷 友香, 大平 睦郎
    2005 年19 巻4 号 p. 229-231
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌と急性リンパ性白血病 (ALL) の重複癌を経験したので報告する.症例は6歳男児で, 白血病のため入院後, 腹部エコー, CTで腎腫瘍を発見され, 針生検で病理診断された.化学療法で白血病の完全寛解を確認後, 強化療法中に左腎摘出術を行った.病期II (pT2N0M0) で, 根治的切除が可能だった.強化療法を続行し, 手術から6ヵ月後に白血病の治療のため非血縁ドナーから骨髄移植を施行した.
  • 久保田 優, 神田 健志, 宇佐美 郁哉
    2005 年19 巻4 号 p. 232-235
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    自己免疫性好中球減少症と血小板減少性紫斑病を合併した報告例において, 特異抗原に対する自己抗体を証明しえた例はまれである.今回われわれは, 6カ月女児の両者合併例において, その急性期に好中球NAI抗原と血小板GPIIb/IIIa, GPIb/IX抗原に対する自己抗体を証明した.パルボウイルスB19, サイトメガロウイルス, Epstein-Barrウイルスなどのウイルス学的検索はすべて陰性であった.ガンマグロブリンlg/kgを投与し, 血小板は徐々に増加傾向を示し, 3カ月で正常化した.好中球はガンマグロブリン治療に不応性であったが, ST合剤の予防投薬で重篤な感染症に罹患することなく, 5カ月で好中球数は500/μlを超えた.本邦における自己免疫性血球減少症の検索から, 本症の発症は1歳前後と10歳以降の2っの年齢ピークが存在し, 後者は何らかの基礎疾患を有する傾向があることが判明した.
  • 川村 眞智子, 賀来 秀文, 竹谷 健, 滝 智彦, 林 泰秀
    2005 年19 巻4 号 p. 236-239
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    B前駆細胞型急性リンパ性白血病 (ALL) の3歳女児を報告する.診断時の染色体分析で46, XX, t (3;12) (q12;pl2), -18, +mar/47, idem, +8であったが, TEL遺伝子を用いたcDNA panhandle polymerase chain reaction法による相手遺伝子検索で, t (12;21) (pl3;q22) でみられるTEL-AML1融合遺伝子産物が確認された. TELの相手遺伝子は染色体分析から予想された3ql2上の遺伝子ではなく21q22のAML1遺伝子であった.本例は5年半無病生存中である.TEL-AML1融合遺伝子は小児ALLでもっとも高頻度にみられるが, t (12;21) (p13; q22) は染色体末端の微細領域の相互転座で, 通常の染色体分析レベルで同定は困難である.正常核型や12p12-13に切断点のある染色体異常の中にTEL-AML1融合遺伝子がある場合があり, 遺伝子解析が必要である.
  • 濱 麻人, 工藤 寿子, 日高 啓量, 田中 真己人, 山本 知子, 谷ヶ崎 博, 小島 勢二
    2005 年19 巻4 号 p. 240-245
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    われわれは, 両下肢麻痺で発症した非典型的バーキットリンパ腫の6歳男児例を報告する.骨髄にはFAB分類でL3様の芽球を多数認め, 表面マーカーは, CD10+, CD19+, HLA-DR+ でprecursor-B cellに一致し, 細胞質内免疫グロブリン, 表面免疫グロブリンおよびL鎖は欠如していた.表面マーカーの結果に基づき, B-precursorリンパ芽球型リンパ腫のプロトコールに従って化学療法を開始したが, その後バーキットリンパ腫に特徴的なt (8;14) 染色体異常が判明したためバーキットリンパ腫のプロトコールに変更した.初回寛解導入療法で寛解に入り, 化学療法を継続しながら6ヵ月間寛解を維持していたが, 化学療法終了1ヵ月後に骨髄再発した.再発時の芽球も初発時と同様の特徴を有していた.非血縁者間臍帯血移植により再び寛解が得られたが, 移植後42日目に末梢血に芽球が出現した.原疾患の進行により, 初発から1年後に死亡した.
  • 麦島 秀雄, 小島 勢二
    2005 年19 巻4 号 p. 246
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 浅野 由美, 前田 美穂
    2005 年19 巻4 号 p. 247-249
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児再生不良性貧血の治療成績は近年向上した.これには免疫抑制療法, 骨髄移植療法の治療の進歩によるところが大きい.これら治療法の進歩, 多様化により, それぞれの治療を受けた患者のQOLも多様化している.長期予後が得られるようになれば, QOLのよりよい治療法を選択する必要性があるが, これまで小児再生不良性貧血患者のQOL調査は行われていない.そこで今回, 日本小児血液学会ではQOL調査を行うこととした.対象は1992~1997年に免疫抑制療法治療を受けた症例ならびに同時期の移植症例の患児の家族とした.現在, 再生不良性貧血の患児の家族を対象とし, 無記名記入/郵送方式によるアンケートQOL調査を実施中である.これにより, 免疫抑制療法・造血幹細胞移植の治療成績のみならず, その後の患者のQOLも明らかになることと思われる.
  • 造血幹細胞移植の立場から
    菊地 陽
    2005 年19 巻4 号 p. 250-253
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1980年4月から2002年12月までに初回造血幹細胞移植を施行された再生不良性貧血関連疾患580例につき検討した.生存曲線は死亡のみを指標とした単純生存率 (OS) と拒絶 (生着不全, 再発を含む) とすべての死亡をイベントとした無病生存率 (EFS) で算出した.内訳は再生不良性貧血494例, Fanconi貧血53例, 赤芽球癆30例, その他3例であつた.性別は男児316例 : 女児264例であり, 移植時年齢5カ月~31歳2カ月 (中央値10歳4カ月) であつた.また, 観察期間は0ヵ月~250カ月 (中央値69カ月) であつた.全体のOSは77.4±4.0%, EFSは68.4±4.3%であつた.病型・ドナー別では再生不良性貧血HLA一致同胞間移植, 再生不良性貧血一致同胞以外からの移植, Fanconi貧血, 赤芽球癆のOS/EFSはそれぞれ85.0±4.4%/76.5±4.5%, 73.9±3.6%/68.9±3.8%, 48.0±15.9%/48.0±15.9%, 83.2±6.9%/73.2±8.1%であった.
  • 小島 勢二
    2005 年19 巻4 号 p. 254-256
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    抗胸腺細胞グロブリン (ATG) とシクロスポリンによる免疫抑制療法により60~70%の後天性再不貧小児において造血能の回復が得られる.反応がみられない30~40%の患児は, 免疫機序を介しない原因による造血障害と考えられる.免疫抑制療法への反応を治療前に予測する方法が開発されれば, 再不貧患児の診療においてたいへん有用である.
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