日本小児血液学会雑誌
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2 巻 , 4 号
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  • 西平 浩一
    1988 年 2 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    分子生物学の進歩によりrecombinant造血因子およびinterleukin (IL) が大量に生産されるようになった.すなわち, GM-CSF, G-CSF, M-CSF, erythropoietin, IL-3, IL-4, I-5, IL-6 である.これらの因子は造血調節の研究に有用であり, 臨床的にもきわめて有望な成績が得られていることについて概説した.すなわち, GM-CSF, G-CSFは骨髄移植後の骨髄無形成の期間を短縮し, erythropoietin を腎性貧血患者に投与すると, ヘマトクリット値が上昇し, 輸血を必要としなくなっている.IL-3, IL-4, IL-5, IL-6 もin vitro では幹細胞コロニー形成作用であるが, in vivoでの作用は明らかでない.今後interleukinのin vivo における造血調節の役割についての検討が必要である.
  • 小瀧 力, 伊東 亮助, 綛谷 啓之, 河内 暁一, 館岡 昇, 横山 〓
    1988 年 2 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    著者らは, 以前よりラットにアセチルフェニールヒドラジン (APH) を腹腔内投与することによって作製したhemolytlc anemia modelを用いて, 赤血球造血の種々パラメータのsequenceを検討してきた.そのなかで赤血球GOT (E-GOT) は造血後期に著明に上昇することを知り, その活性はmaturationと関連していることを考えた.本報告では種々貧血のE-GOTを測定し, その変動と病態の関連について考察した.成績は, (1) 溶血性貧血では, crlsisや代償されている例においては高値を, 代償されていない例においては低値を, 寛解例においては正常値をとった. (2) 再性不良性貧血では重症度が増すにつれて低値をとった. (3) 腎性貧血の一部 (MPGN症例) ではきわめて低値のものがみられた. (4) 急性リンパ性白血病では, onsetで低値を, 寛解導入中では造血能の回復に伴って正常値を示した.以上の成績からE-GOTと病態の関連を考察すると, 網赤血球, E-GOTともに増加している例においては造血能の亢進が, 網赤血球の増加を伴わないE-GOTの上昇は成熟障害が, 網赤血球, E-GOTともに低下している場合は造血能の著減が推定された.またE-GOTは網赤血球やFEPとは異なった造血の指標であり, 病態の評価の上に有用であると思われた.
  • 伊東 亮助, 斎藤 俊光, 須藤 善雅, 小野寺 典夫, 宮野 孝一, 立花 直樹, 河内 暁一, 佐藤 雄一, 横山 〓
    1988 年 2 巻 4 号 p. 331-336
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病の初発例25例に対してビンクリスチン (VCR : day1, 8, 15, 22), プレドニソロン (PDN : day1-28, 以後漸減), L-アスパラギナーゼ (L-Asp : day22-31) を用いて寛解導入中に種種の凝血学的検査を経時的に行った.その結果, L-Asp投与によりプロトロンビン時間, 活性部分トロソポプラスチン時間は延長し, fibrinogen, antithrombin-III, Plasminogenの減少がみられ, 血小板数, FDPには変化がなかった.これらの凝血学的異常はL-Asp終了後2週間目には正常化していた.また, fibrinogenはVCR, PDN投与のみでL-Asp投与前に著明に低下した.寛解導入開始初期では白血病細胞崩壊によるfibrinogen消費亢進が丘brinogen低下に関与しているものと思われたが, VCRがfibrinogen産生を抑制している可能性も考えられた.
  • 福田 稔, 堀部 敬三, 小島 勢二, 松山 孝治
    1988 年 2 巻 4 号 p. 337-343
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児major ABO不適合骨髄移植8例に対して, 血液成分分離装置HM 30 (HV50) とヒドロキシエチルデンプンによる比重沈降法を併用して採取骨髄液からの赤血球除去処理を行った.1例において軽度ヘモグロビン尿を認めた以外, 骨髄液輸注による副作用はおこらなかった.赤血球系の回復期においても臨床的に問題となる溶血はおこらなかった.全例に生着がみられたが, 移植前の抗A抗B凝集素価が高かった1例で赤血球系の回復が著明に遅延した.小児minor ABO不適合骨髄移植3例に対して, 遠心分離法により採取骨髄液からの血漿除去処理を行った.安全に骨髄液輸注を行うことができ, 以後も溶血はおこらなかった.
  • 藤井 裕治, 竹内 浩視, 松井 由佳, 千葉 貴子, 奥田 裕朗, 堀越 泰雄, 矢島 周平, 本郷 輝明, 五十嵐 良雄
    1988 年 2 巻 4 号 p. 344-354
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    進行小児悪性固形腫瘍7例 (悪性リンパ腫3例, 肝細胞癌1例, 肝芽腫1例, 骨外性ユーイング肉腫1例, 尾仙骨部悪性奇形腫1例) と急性白血病3例に対して, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法を行った.conditioningで使用した制癌剤はin vitro MTT dye還元法による感受性試験の結果をもとに決定した.急性白血病では移植骨髄に対して4-hydroperoxycyclophosphamideにてpurgingを行った.固形腫瘍7例中, CR3例, PR2例, 再発1例, 不変1例であった.急性白血病は1例のみがCR中である.従来の治療では治療抵抗性を示す予後不良の悪性腫瘍患児においても, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法により治癒への道が開かれてくる可能性があると思われた。
  • 磯山 恵一, 井手 郁, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1988 年 2 巻 4 号 p. 355-357
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    8ヵ月女児の成熟奇形腫内に認められた長管骨骨髄の造血幹細胞の検討を行った.その結果, 正常小児骨髄の場合とほぼ同程度の赤芽球系および顆粒球-マクロファージ由来コロニー数が認められた.
  • 矢部 普正, 矢部 みはる, 加藤 俊一, 早津 洋, 山村 雅一
    1988 年 2 巻 4 号 p. 358-362
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    M-CSF (P-100) の好中球機能への影響を, 同種骨髄移植を施行した13例の患者において検討した.M-CSFは20万単位/kg/dayで移植後1-14日にわたって投与し, 好中球機能はCandida albicansを刺激物質として, サーモアクティブセルアナライザーで微量熱産生を測定して評価した.M-CSF投与群において移植後25日以内の熱産生はCandidaの刺激なしに尢進しており, これはM-CSFの好中球増殖促進の結果と思われた.さらにCandida添加による熱産生の増加量においても, 移植後35日までM-CSF投与群が非投与群を上まわっていた.結果としてM-CSFは骨髄移植後の好中球の増殖を促進するだけでなく, 一部の症例では明らかに殺菌能を亢進させ, 少なくとも好中球機能に悪影響はないと考えられた.
  • 田窪 良行
    1988 年 2 巻 4 号 p. 363-370
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    われわれは51Cr赤血球と鉄代謝によって遺伝性球状赤血球症 (HS) の患者7人とピルビン酸キナーゼ (PK) 異常症の患者3人で, 摘脾前後における溶血の機序を深く研究した.HSの患者では, 摘脾前網赤血球の増加があり赤血球寿命は短縮し, 脾に51Cr赤血球の集積を示した.摘脾後には赤血球寿命はほぼ正常で, Hbレベル, 網赤血球は正常化した.しかしPK異常症の患者では, 摘脾前網赤血球の増加があり, 赤血球寿命は短縮かsubnormalで異常網赤血球は脾および肝で捕捉, 破壊されていた.摘脾後には赤血球寿命は短縮し, 二相性 (長命, 短命赤血球群) を示した.網赤血球は逆に増加し, Hbレベルは1-2g/dl増加した.短命赤血球群には二つの赤血球群があると考えられた.一つは網赤血球は成熟赤血球になるとミトコンドリアを失ってATP産生ができず, 肝, 骨髄で順序正しく捕捉, 破壊されるもの.他の一つは網赤血球の段階で, 肝, 骨髄でrandom destructionを受けるものである。
  • 杉山 節郎, 江口 光興, 黒沢 秀光, 小沢 武史, 水島 和一郎, 榊原 均, 杉田 憲一, 古川 利温
    1988 年 2 巻 4 号 p. 371-377
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Down症候群を併わない先天性白血病3例を経験し, 電顕細胞化学的に検討したので報告する.電顕微細構造の観察では, 症例1はALL, 症例2は2種類のALL様芽球を有し, 症例3で好塩基芽球性白血病の所見を呈していた.電顕細胞化学では, 3例ともmyeloperoxidase反応陰性であり, 観察できた症例1, 3では, ともにplatelet peroxidase反応陰性であった.症例3では, acid phosphatase 強陽性で, 酸性ムコ多糖類および硫酸基を有する酸性糖化合物の弱陽性反応が観察され, 幼若な好塩基球の特徴に一致した.先天性白血病は, 非典型的な細胞学的特徴をもつものが多く, 種々の電顕細胞化学的な方法による観察が必要であると考えられた.
  • 日本小児血液学会骨髄移植委員会
    1988 年 2 巻 4 号 p. 378-384
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植委員会は, 小児期骨髄移植の全国集計を1983年より毎年行ってきた.1988年 6月 30日現在, 47施設において410例の移植が行われていた.その内訳は, ALL114例 (内45例生存中), ANLL83例 (54例生存中), CML16例 (13例生存中), 若年型CML4例 (4例生存中), NHL29例 (17例生存中), 悪性固形腫瘍72例 (28例生存中), 再生不良性貧血57例 (52例生存中), 重症複合型免疫不全症22例 (8例生存中), その他13例 (11例生存中) である.その詳細について報告する.
  • 渡辺 力, 田口 義行, 小山 哲哉, Mahbubul A. H. M. Huq, 河野 嘉文, 高上 洋一, 二宮 恒夫, 黒田 泰弘, ...
    1988 年 2 巻 4 号 p. 385-389
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    われわれは寛解導入療法直後にサイトメガロウイルス (CMV) 肺炎を併発した急性リンパ性白血病 (ALL) の3歳女児例を経験した.CMV肺炎の診断は典型的な胸部X線像とenzyme immuno assay (EIA) 法によるCMV Ig G抗体およびIgM抗体値の変動を参考にした.多呼吸および発熱は一般免疫グロブリン製剤には不応であったが, 高力価抗CMV抗体免疫グロブリン製剤 (CMV Ig G抗体はenzyme-linkedimmunosorbent assay (ELISA) 法にて, 6,400倍, 中和抗体値は256倍) の投与 (150mg/kg/日, 3日間) により著明に改善し, 胸部X線上の異常陰影も消失した.骨髄移植時のCMV肺炎に対する本剤の予防効果はよく知られている.しかし, CMV肺炎の治療に本剤を用いその有効性を認めた症例は少なく本症例は報告に値するものと思われた.
  • 船曳 哲典, 関口 晴之, 半沢 典生, 梶ケ谷 保彦, 甲斐 純夫, 奥山 利也, 小磯 良孝, 深沢 啓治, 生田 孝一郎, 佐々木 秀 ...
    1988 年 2 巻 4 号 p. 390-394
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    近年, 芽球のE-ロゼット形成や表面免疫グロブリン, common-ALL抗原 (CALLA) 等の表面マーカーが, 小児急性リンパ性白血病の予後因子となりうることが示されてきた.今回報告する4症例は, いずれもALLの再発例で, 再発時の芽球は形態的, 細胞化学的にALLと見なされるにもかかわらず, 骨髄系抗原MY7 (CD13) またはMY9 (CD33) が認められた症例である.4症例はいずれも男児で発症年齢の中央値は11歳3ヵ月, 発症時の末稍血白血球数の中央値は19,500/μl, 初回寛解期間の中央値は23.5ヵ月であった.当科において, 1986年6月より1987年12月までの間に再発ないし再々発をきたした小児ALL8例のうち, 4例に骨髄系抗原が検出されたことより, ALLの芽球における骨髄系抗原の発現が予後不良を予測する因子のひとつになりうるか否か, 検討する必要があると思われる.
  • 松柳 ひろ子, 蓮井 正樹, 三浦 正義, 加藤 英治, 小泉 晶一, 谷口 昂
    1988 年 2 巻 4 号 p. 395-399
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は14歳の血友病Bの患者で, 生後6ヵ月より第XI因子製剤の輸注を頻回に受けていた.8歳時より第IX因子インヒビターの存在を認めており, 入院時には185 Bethesda単位/mlに達した.今回, 頭蓋内出血をきたし, 通常の第IX因子補充療法が無効であったためインヒビター・バイパス療法として使用されているAutoplex®, Proplex® STを試み本症例の止血管理が可能であった.従来報告された希少例に本例を加え, 臨床経過や治療法を考察した.
  • 佐藤 宣貴, 須藤 善雅, 館岡 昇, 綛谷 啓之, 宮野 孝一, 河内 暁一, 佐藤 雄一, 横山 〓
    1988 年 2 巻 4 号 p. 400-405
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    明らかな先行感染を認めず, 梅毒反応も陰性の, 2歳2ヵ月の男児に発症した発作性寒冷血色素尿症の1例を経験した.症例は屋外での寒冷暴露後に発熱し, 褐色尿を繰り返して近医にて血色素尿と貧血を指摘されたため当科紹介となり, 精査のため入院となった.当初, 貧血とLDHの高値があり直接Coombs test陰性, CAT低値, Sugar water test陰性であったが, Donath-Landsteiner (DL) test陽性, Ehrlich finger test陽性, DL抗体陽性であったためPCHと診断した.患者赤血球の冷却による脆弱化もCoilPlanet Centrifugeにより確かめられた.入院後保温にて溶血発作は消失した.第48病日には退院し, 第137病日にはDL抗体も陰性化した.
  • 別所 文雄, 絹巻 宏, 荻野 公嗣
    1988 年 2 巻 4 号 p. 406-410
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    診断から13ヵ月後, vincristineとprednisoloneによる強化療法中に, 単独眼再発をきたした6歳の急性リンパ球性白血病の一例を報告した.眼再発時の唯一の症状は左眼球結膜の充血であった.細胞浮遊遠心法によって前房水中の細胞が白血病細胞であることを確認した後, 左眼球に2,000cGyの放射線照射を行うとともに全身的な導入療法を行い, 引き続き維持療法を行った.さらに10ヵ月後, 定期的な眼科的診察により左前房水中の細胞の再出現とともに右前房水中にも細胞を認めたため, 再度の眼再発と診断した.経過中骨髄, 脳脊髄液中には白血病細胞は検出していない.この例は, 眼が中枢神経系から独立した白血病の聖域であることを示すとともに, 眼再発の治療の困難性を示すものと考えられる.
  • 小田 慈, 永瀬 恵, 楢原 幸二, 吉川 清志, 池田 政憲, 国富 泰二, 木本 浩
    1988 年 2 巻 4 号 p. 411-417
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腫瘤形成傾向の強い小児急性リンパ性白血病 (ALL) に対しlymphoma syndrome leukemia (LSL) なる名称が提唱され, T-ALLと並ぶT-lymphoid malignancyの代表疾患であるlymphoblastic lymphomaとの異同が論ぜられている.LSL3症例の臨床症状および経過を報告した.いずれの症例も巨大な縦隔腫瘤などの腫瘤形成に基づく症状で発症したが貧血, 血小板減少は認められなかった.初回完全寛解にもかかわらず早期に (14ヵ月以内) 再発しその後の治療に抵抗し, 著明な髄外浸潤のため発症3年以内に死亡した.これら3症例の芽球はT-cell lineageで形態的にFAB分類L2に属するが, 核, 核クロマチン構造, 細胞質の染色性が典型的なALLの芽球とはニュアンスを異にしていた.以上より, LSLは臨床的にALLのなかで予後が絶対不良の独立した一疾患単位として捕らえられることが可能であり, 初発時治療にvery intensivechemotherapyあるいは骨髄移植を導入すべきであると考えられる.
  • 磯山 恵一, 多田 浩子, 小林 瑛児, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1988 年 2 巻 4 号 p. 418-422
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児壊死性リンパ節炎の2症例について報告した.症例は16歳女児 (症例1), 15歳男児 (症例2) である.2例とも発熱, リンパ節腫脹精査のため入院, リンパ節生検の結果本症に特徴的な病理学的所見を得た.また骨髄穿刺上症例1で, 細網細胞による血球貪食像が認められた.経過中白血球減少が認められ, 骨髄CFU-C由来コロニーの減少 (症例1) が認められた.われわれは本症の文献的検討を行い, 他の骨髄貪食像を呈する疾患との関連について考察を行った.
  • 黒崎 元之, 須田 純子, 杉田 憲一, 古川 利温, 野沢 百合子, 梶田 昭彦, 大庭 雄三, 宮地 隆興
    1988 年 2 巻 4 号 p. 423-426
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    上気道感染を契機に高度の貧血を呈したHb Köln症の1例を報告する.患児は7歳の女児で, それまで貧血に気づかれていなかったが, 昭和61年5月末より発熱・全身倦怠感を呈し, 当院を紹介された.入院時, 軽度の肝脾腫・高度の貧血 (RBC 216 ×104/mm3, Hb 5.29/dl, Ht 19.1%, reticulocyte 1‰) が認められた.骨髄像では, 赤芽球系の過形成が認められた.Hbの検索において, セルロースアセテート膜電気泳動 (pH 8.6) では, HbAとHbA2の間に異常バンドが認められ, さらに逆相高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により分離精製したβ鎖のアミノ酸分析では, 98番目のValがMetに置換されていることが同定され, Hb Kölnと診断された.なお, 家族の調査では, 異常Hbを有する者は他には認められなかった.
  • 馬淵 理, 松本 陽一, 橋本 公夫, 見須 英雄, 津川 力, 伊東 宏, 長谷川 正和, 村田 洋
    1988 年 2 巻 4 号 p. 427-433
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11例の小児腹部悪性リンパ腫を臨床的・病理学的に検討した.男9例, 女2例で, 年齢は4~11歳であった.腸管原発の4例の初発症状は腸重積で, 腫瘤を含めた重積腸管を摘出し, 3例が生存している.腸管外原発は7例で, 1例に腫瘤の部分切除, 4例に生検が施行され, 残りの2例は開腹せずに診断され, 7例中2例が生存している.非腸管リンパ腫の腫瘤は腸管リンパ腫の腫瘤より大きく, 腹腔内の転移・播種も腸管リンパ腫より進展した状態であった.腹腔外転移は非腸管リンパ腫の4例に認められ, 縦隔リンパ節転移と胸水がこの4例に共通して認められ, 鼠蹊リンパ節転移と頸部リンパ節転移がおのおの1例ずつに認められた.病理学的には全例がdiffuse typeで, undifferentiatedが7例 (Burkitt's : 4, non-Burkitt's : 3), large-cellが3例, lymphoblasticが1例であった.腫瘍細胞の免疫学的起源はBcell : 7, Tcell : 1, TまたはBcellのどちらか不明 : 2例であった.強力な化学療法が施行されれぽ腹部への照射療法は省略してもよいと考えられた.
  • 青沼 架佐賜, 荒井 克幸, 諸橋 文雄, 川合 博, 中畑 龍俊, 小宮 山淳, 赤羽 太郎
    1988 年 2 巻 4 号 p. 434-438
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    エステラーゼ染色で顆粒球系と単球系の性格を示した急性非リンパ性白血病 (ANLL) の3歳男児を報告する.初診時, 軽度の貧血, 出血傾向, 肝腫大, リンパ節腫大がみられた.白血球i数は17,300/μlで, 34%が白血病細胞であった.骨髄では, 前骨髄球様の形態を示す白血病細胞が96%に認められた.白血病細胞はペルオキシダーゼ強陽性であった.Naphthol-AS-D-chloroacetetateとα-naphthylbutyrateエステラーゼの両者が陽性で, 後者はNaFで阻害された.染色体分析では, 45 X, -Y, t (1P-; 14q+), 9q+, 12q-の異常核型を示した.本例の白血病は, まれな性状を有するANLL M3と思われる.
  • 小柳 英樹, 岸田 邦雄, 中村 英一, 出口 智弘, 堤 明純, 下村 国寿, 黒川 美知子, 藤本 秀士
    1988 年 2 巻 4 号 p. 439-444
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    生来健康な4歳児が第IX因子インヒビターとlupus anticoagulant様循環抗凝血素を生じた.ウイルス感染症の後に出血症状が生じた.斑状出血と鼻出血がこの症例ではおもな臨床症状であった.凝固異常は, 治療を行わないうちに消失した.第Pt因子インヒビターが約1.2 Bethesda Unit/ml存在した.低プロトロンビン血症とAPTT回復の遅延よりlupus anticoagulant様循環抗凝血素の存在が考えられた.lupus anticoagulantは, トロンボプラスチンの希釈により明らかになり (Tissue thromboplastin inhibition test), ウサギ脳リン脂質により中和され (rabbit brain neutralization), 希釈に鋭敏であった.これらの結果より, まれなことであるが, lupus anticoagulant様循環抗凝血素の第IX因子インヒビターが一緒に存在していたことが示唆された。
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