日本小児血液学会雑誌
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20 巻 , 6 号
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  • 谷ヶ崎 博, 小島 勢二
    2006 年 20 巻 6 号 p. 561-571
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞移植後の代表的な合併症に, 移植片対宿主病 (GVHD) とウイルス感染がある.強力な免疫抑制剤や抗ウイルス剤の使用にもかかわらず, 合併症による死亡は依然高率である.近年, GVHDや細胞性免疫の分子機構が明らかにされ, 新しい細胞分離・培養技術が開発されたことから, 生着の促進, GVHDおよびウイルス感染の予防・治療, 再発の治療に対して細胞療法が試みられている.すでに, ウイルス特異的細胞障害性T細胞や間葉系幹細胞, 体外増幅臍帯血を用いた臨床研究が行われ, 安全性と治療効果が報告されている.また, 制御性T細胞によるGVHD予防の前臨床試験の結果は有望である.しかし, これらの報告はまだ少数で, 標準的治療法の確立には, 第2, 第3相試験が必須である.また臨床応用する細胞製剤は, current good manufacturing practicesに基づく製造が要求されている.本稿では, 細胞療法の最近の進歩と問題点について概説する.
  • 木村 宏
    2006 年 20 巻 6 号 p. 572-580
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barr virus (EBV) は普遍的なウイルスであり, 初感染は無症候性のことが多いが, 時に伝染性単核球症となる.これらEBVの初感染は, ウイルス特異的免疫の出現により, 通常, 自然消退する.しかし, 一見免疫が正常と思われる個体にEBVの慢性感染が起こることがある.慢性活動性EBV感染症 (CAEBV) は発熱, リンパ節腫脹, 肝脾腫などの伝染性単核球症様症状が持続あるいは反復する疾患である.患者は末梢血中にEBV量の著明な増加を認め, EBV関連抗体価の異常を伴うことが多い.本疾患はまれではあるが, 非常に重篤かっ予後の悪い疾患である.近年, EBVに感染したTもしくはnatural killer (NK) 細胞の単クローン的な増殖がCAEBVの発症病理に大きく関わっていることが明らかとなっている.本稿ではCAEBVの臨床像についてまとめ, 本疾患の発症病理に関しても議論する.
  • 荻野 芽子, 森 健, 矢内 友子, 早川 晶, 竹島 泰弘, 松尾 雅文
    2006 年 20 巻 6 号 p. 581-585
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    同種造血幹細胞移植後の肺合併症として特発性器質化肺炎 (BOOP) や, 閉塞性細気管支炎 (BO) などがあり, その症状として喘鳴を伴う呼吸障害を呈することがある.今回われわれは臍帯血移植後に, 気管支喘息様症状を呈した生後8ヵ月発症の乳児急性リンパ性白血病 (ALL) の1例に対し, 気道過敏性と相関し好酸球の活動性を反映する血清eosinophil cationic protein (ECP) 値を測定, ECPの著増を認めたので報告する.症例は1歳時に非血縁者間臍帯血移植を施行, 移植約2ヵ月後に右下肺野に肺雑音が出現, 当初は移植片対宿主病 (GVHD) の肺症状としてステロイドパルス療法を施行し, 症状はやや改善した.しかし移植後約5カ月頃より著明な呼気性喘鳴を認め呼吸状態はさらに悪化, その診断に難渋したが, 血清ECP値の著増を認め, 気管支喘息様症状を呈したBOOPとしてステロイド吸入療法を行い有効であった.本症例で血清ECPは病勢を反映し, ステロイド治療に対する反応性を示す指標としても有用であった.
  • 木下 明俊, 近藤 健介, 島田 温次, 矢部 みはる, 矢部 普正
    2006 年 20 巻 6 号 p. 586-590
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    6歳時に, 骨髄像および染色体正常核型より再生不良性貧血と診断された男児.AA-97に登録しATG, cyclospolin (CyA), G-CSFによる免疫抑制療法を行った.臨床効果判定はpartial responseで, 血液所見はその後正常化した.1年6ヵ月後の骨髄検査で, t (3;3) (q21;q26) を3/30細胞に認め, さらに3カ月後, t (3;3) (q21;q26) およびmonosomy 7の核型異常を20/30細胞に認めた.骨髄像では小型巨核球を含む巨核球が3.5%と増加, 骨髄芽球も6.5%に認め, MDSと診断した.以後, 好中球減少, 貧血, 血小板増加が進行し, AML (M6) に移行した.非寛解のまま非血縁ドナーから骨髄移植を行い, 現在まで1年以上血液学的寛解を維持している.3q21q26染色体異常は2次性白血病で多く報告されているが, 再生不良性貧血の治療後の発症は本例が初報告例と思われる.
  • 篠田 邦大, 鷹尾 明
    2006 年 20 巻 6 号 p. 591-595
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は2歳男児.CNS陽性AML (M2) にてJACLS AML99を施行し終了5カ月後に再発. CR2にてHLA一座不一致の母からBMTを施行.著明な血便 (MAX : 5,000ml/m2/日) を認め, 大腸生検所見, 破砕赤血球出現, t-PAI-1複合体高値等よりTMAと診断FK506をm-PSLに変更, AT等の補充, MAPおよびPCの持続輸血にて徐々に改善し, 約2カ月後血便なく, MAP輸血不要となった.この間, GVHDは皮膚のみI度で, MRSEによる敗血症を繰り返し, TEIC等を長期投与していた.その後解熱し血液培養陰性にてTEICを終了したが, 1週間後に敗血症からARDSとなり急速な経過にて死亡した.本例は重症消化管TMAを合併したにもかかわらず, TMAの早期診断とFK506の中止, 支持療法の工夫により, TMAの著明な改善をみた.重症消化管TMA症例の救命の可能性を示唆する症例であると考え報告する.
  • 西倉 紀子, 野田 恭代, 多賀 崇, 馬場 典子, 加藤 博文, 太田 茂, 竹内 義博
    2006 年 20 巻 6 号 p. 596-599
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    2度の造血幹細胞移植後に内臓播種性水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) 感染症をきたした15歳男児例を報告した.症例は12歳時にPhl陽性急性骨髄性白血病 (AML) を発症し, 2度の同種造血幹細胞移植 (初回非血縁臍帯血, 2回目非血縁骨髄移植) を受けた.再移植後511日目に突然右上腹部痛が出現し入院となった.鎮痛剤を投与しながら精査を進めたが, 確定診断に至らなかった.腹痛出現後5日目より体幹に水疱が広がりVZV感染と考えて, acyclovir (ACV) の投与を開始した.しかし, その翌日に多臓器不全のため死亡した.剖検にて, 肝臓組織よりPCR法でVZVが検出され, 内臓播種性VZV感染症と診断した.造血幹細胞移植後に突然の激しい腹痛を認めた場合はVZV感染も念頭におき'ただちにACVの投与を開始するとともに, 血液および組織生検のPCR法を積極的に行い, 早期診断に努めることが推奨される
  • 溝口 洋子, 中村 和洋, 西村 真一郎, 小林 正夫
    2006 年 20 巻 6 号 p. 600-603
    発行日: 2006/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Castleman病はIL-6の過剰産生が関与するB細胞性リンパ増殖性疾患である.われわれは重度の低色素性小球性貧血を呈した後腹膜原発Castleman病の6歳女児例を経験した.血液検査でHb (6.0g/dl), MCV, MCHCの低値およびCRP, IL-6高値が認められた.腹部エコーおよびCTにて後腹膜に充実性腫瘤が認められ, 病理診断はCastleman病であった.腫瘍完全摘出によって全身状態の改善とともに, 重度貧血の改善, CRP, IL-6値の正常化を認めた.高度の小球性貧血と発熱を認めた場合, Castleman病を鑑別する必要がある.
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