近年の小児急性リンパ性白血病 (acute lymphoblastic leukemia, ALL) に対する化学療法の進歩にもかかわらず, Philadelphia染色体陽性ALLや
MLL遺伝子に再構成のあるALLは依然として難治性である.この二大難治性ALLを攻略するためには, 臨床的・分子遺伝学的アプローチに加えて白血病細胞の生物学的特性に関するアプローチによって難治性白血病細胞の『弁慶の泣き所』を探し出すことが重要となる.本総説では, まず二大難治性ALLの染色体転座・融合遺伝子・融合蛋白, 白血病化の機序, 臨床像, 抗原発現, 癌抑制遺伝子, DNAチップ解析に関して, 現在までにわかっていることを概説し, 次に二大難治性ALLの細胞株, 化学療法剤に対する感受性, サイトカイン受容体の発現と機能, 分子標的療法, 細胞障害分子に対する感受性について, われわれのデータを中心に紹介するとともに, 臨床応用へ向けた現状について触れる.
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