多彩な臨床経過をたどるランゲルハンス細胞組織球症 (Langerhans cell histiocytosis : LCH) の臨床経過と転帰を明らかにするため, 当センターが開設した1970年より2007年までのLCH症例に対する後方視的検討を行った.対象は50例, 診断時年齢の中央値は3.6歳, 平均追跡期間は8.0年であった.診断時の病型はSS型が29名, SM型は10名, MM型は11名であった.死亡例は4例 (8%) で, 全例は1988年以前に治療を受けた2歳未満で発症した多臓器多病変型であった.生存率は単一臓器病変群39例で100%, 多臓器病変群11例では63.6%であった (
p=0.00008).再燃率はSS型で21%, SM型で40%, MM型で71%であった.SM型, MM型の25%が診断から10年以上経過しても再燃がみられた.後遺症は生存例の26%にみられ, SS型, SM型, MM型では8%, 60%, 72%にみられた.尿崩症が4例, 整形学的異常が4例, 甲状腺機能低下が3例にみられた二次がんはみられなかった.
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