日本小児血液学会雑誌
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22 巻 , 4 号
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  • 柴田 優
    2008 年 22 巻 4 号 p. 205-214
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血友病Aのデータベース上には, さまざまな遺伝子異常が登録されている.重症型の約40%はイントロン22における逆位であり, 近年PCR法を用いて簡便に検出できるようになった.点変異は第VIII因子遺伝子全般にわたっており, 従来SSCP法, CSGE法などを用いてスクリーニングが行われていたが, 全エクソンシークエンシングが検出率, 簡便性のうえでも優れており, 今後主流となるであろう.現在の遺伝子治療の大きな課題は宿主の免疫応答を回避することである.ウイルス由来の粒子や第VIII因子の過剰な発現に伴うストレスが免疫機構を賦活化し, 第VIII因子あるいは第VIII因子発現細胞を排除すると考えられる.第VIII因子遺伝子発現・産生・分泌のメカニズムを細部まで明らかにし, できるだけ生理的な形で第VIII因子を持続的に発現させる方法の確立が重要であると考えられる.
  • 長江 千愛, 瀧 正志
    2008 年 22 巻 4 号 p. 215-225
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血栓症は生体の防御反応の1つである止血機構が過度に働き, 病的な血栓が形成され, 血流遮断により臓器障害を生じる病態である.小児の血栓症の頻度は成人と比較すると少ないが, 先天性や後天性の血栓性疾患に中心静脈カテーテル留置などの血栓症の危険因子が重複した場合には血栓症が発症する.最近, 成人領域ではエビデンスに基づいた血栓症の治療や予防に関するガイドラインが策定されているが, 小児領域では血栓症における大規模な臨床試験が極めて少なく, 成人での経験に基づいた血栓症の治療や予防が行われているのが現状である.今後, 小児の止血機構の特徴および成長発達を考慮した小児独自のガイドラインの策定が望まれる.
  • 小沼 正栄, 久間木 悟, 吉成 みやこ, 佐藤 篤, 照井 君典, 神尾 卓哉, 平山 雅士, 簡野 美弥子, 川上 貴子, 望月 一弘, ...
    2008 年 22 巻 4 号 p. 226-232
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血液疾患または悪性腫瘍に対する化学療法, および造血幹細胞移植により好中球減少状態となった患児に対し, 真菌感染予防あるいはエンピリック治療の目的でミカファンギン (MCFG) を投与し, その臨床効果と安全性について多施設共同研究を実施した.予防投与を行った17例では, MCFG平均3.1mg /kg (2.5~ 45mg/kg) 投与で全例予防効果が確認できた.また, エンピリック治療20例に対しては, MCFG平均3.8mg/kg (2.6~ 6.0mg/kg) 投与で治療成功率は70% (14/20例) であった.下痢や腹痛などの副作用が8件 (19.0%) に発現したが, 投与中止となったものはなく, MCFGは小児における, 血液疾患治療後の真菌感染予防薬やエンピリック治療薬として有効かつ安全であることが確認された.
  • 多賀 崇, 伊藤 剛, 浅見 恵子, 井上 雅美, 吉益 哲, 菊地 陽, 杉田 憲一, 鈴木 信寛, 真部 淳, 岩崎 史記, 小阪 嘉之 ...
    2008 年 22 巻 4 号 p. 233-238
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Congenital Dyserythropoietic Anemia (CDA) は, 赤血球の無効造血と特徴的な骨髄所見を特徴とする疾患群である.今回われわれは, わが国の小児のCDAをアンケート調査したので報告する.12例の該当症例が得られた.男女比は6 : 6で, 診断時年齢は, 新生児期~4歳であった.3例に家族歴がみられた.CDAのタイプは, type Iが4例, type IIが3例, type IIIが2例, variant typeが3例であった.8例は新生児期に異常を認め, うち7例が治療を要する黄疸であった.1例を除く全例に赤血球輸血がなされたが, 4例が現在は輸血不要となっている.調査時点で, 7例が生存, 5例が死亡していた.死亡年齢は8ヵ月~15歳であった.
  • 東川 正宗, 川崎 裕香子, 淀谷 典子, 大森 雄介, 梨田 裕志, 雨宮 喜雄
    2008 年 22 巻 4 号 p. 239-242
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    抗HPA-5b抗体による新生児同種免疫性血小板減少症 (NAIT) の一女児例を報告する.患児は低出生体重のため出生当日に当院NICUに入院した.入院時の身体所見では出血傾向はなかったが, 末梢血血小板数が5.8×104/μlに低下していた.混合受身血球凝集法により母親血清中に患児と父親の血小板に反応する抗体の存在が証明された.患児および母親血清中に抗HLA抗体は認められなかったが, 母親血清中に抗HPA-5b特異抗体が検出された.PCR法とLuminexTM法を組み合わせたHPA遺伝子型検索で母親はHPA-5aのホモ接合体, 患児および父親はHPA-5aとHPA-5bのヘテロ接合体であることが判明した.以上より抗HPA-5b抗体によるNAITと診断した.無治療で血小板数は生後15日目に15.0×104/μlを超えた.NAITの本邦における特徴と出生前と出生後の管理について考察を加えた.
  • 倭 和美, 池宮 美佐子, 山口 悦子
    2008 年 22 巻 4 号 p. 243-246
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    長期経過をたどった6歳発症のPh1陽性急性リンパ性白血病 (ALL) の1例を報告する.通常の化学療法後早期再発, 治療抵抗性となったため, 非寛解で2座不一致の父より骨髄移植を行った.しかし4年半後に睾丸に再発をきたしたため, BFMの再発プロトコールにて再寛解療法を行い, 寛解に達した.その後維持療法中10カ月で大腿骨, 脛骨に再発をきたした.Imatinib, 局所放射線療法, ドナー活性化CD4リンパ球輸注を施行し, minor BCR - ABLは消失した.しかし, その後もさまざまな骨病変を繰り返し, imatinibも骨髄抑制のため使用不可能になり, 以降の治療は局所放射線療法のみを行った.全経過は約12年であった.本症例では, GVL効果+imatinibの治療は, 髄外再発に対しては効果が期待できないと考えられた.
  • 寺西 英人, 川崎 浩三, 若林 時生, 寺田 喜平
    2008 年 22 巻 4 号 p. 247-250
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血友病Aインヒビター陽性11歳男児の口蓋裂閉鎖術時に, 遺伝子組み換え型活性型第VII因子製剤 (rFVIIa) を用いて止血を管理した.rFVIIa 90μg/kgを手術開始から48時間は2時間おきに間欠投与した.その後, 15μg/kg/hrで持続投与し漸減した.摂食開始後に手術創にわずかな出血と小皮下血腫がみられたが, 補充投与と持続投与量の一時的な増量で容易に止血した.間欠投与後に持続輸注を行うことで, 標準的な間欠投与単独投与法と止血効果は同等で総投与量を減少させることが可能だった.
  • 奥野 啓介, 上山 潤一, 呉 彰, 辻 靖博, 西川 健一, 神崎 晋, 服部 幸夫
    2008 年 22 巻 4 号 p. 251-254
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    本邦ではまれな Hb Durham-N. C./ Bresciaによるβ-サラセミアの2歳男児例を報告する.患児の母, 祖母, 曾祖母も貧血に罹患している.患児は鉄欠乏性貧血として治療されていたが, 末梢血塗抹標本で標的赤血球を認め当科紹介となった.初診時血液検査では鉄欠乏を伴わない小球性低色素性貧血があり, 末梢血塗抹標本では赤血球の大小不同, 標的赤血球, 奇形赤血球がみられた.骨髄検査では赤血球以外の異常は認めなかった.胎児ヘモグロビン (HbF) やヘモグロビン A2 (HbA2) は上昇していた.遺伝子検査において, β-グロビン遺伝子のコドン114の CTG (ロイシン) が CCG (プロリン) に置換された Hb Durham-N. C. /Bresciaのヘテロ接合であることが判明し, dominant type β-サラセミアと診断した.患児は貧血が軽度であるため, 無投薬で経過観察中である.
  • 土田 昌宏
    2008 年 22 巻 4 号 p. 255
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 堀部 敬三
    2008 年 22 巻 4 号 p. 256-258
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 新
    2008 年 22 巻 4 号 p. 259-266
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病 (ALL) の8割以上はB前駆細胞型 (BCP-ALL) であり, 本邦では4グループによる多施設共同研究により治癒率は向上したが, 約20%の児に, 寛解導入不能, 再発, 2次がんが生じていることと, 晩期合併症が問題となっている.2003年に結成された日本小児白血病リンパ腫研究グループ (JPLSG) によりB-ALL, 乳児ALL, Ph+ALLの全国共通臨床試験が始まり, 2009年にはT-ALLの統一治療研究が開始される.BCP-ALL治療において, よりよい治療による, よりよい治癒を目指すために重要なことは, 予防的頭蓋照射の全廃を見据えた中枢神経系白血病の予防法導入と, 従来の年齢・白血球数による層別化に加えて, 白血病細胞の染色体・遺伝子異常と治療反応性に基づいた新たな層別化と, 新規開発薬剤を導入した至適治療法選択が重要となる.
  • 大嶋 宏一
    2008 年 22 巻 4 号 p. 267-275
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児T細胞型急性リンパ性白血病 (T-ALL) の予後は歴史的に, B前駆細胞型ALLより不良とされてきたが, ステロイド反応性等による有効な層別化と化学療法の強化により, 治療成績は著明に改善してきた.これまでのドイツBFM治療研究, イタリアAIEOP治療研究, 米国CCG研究, POG研究, COG研究, およびDFCI ALL Consortium研究等の結果から, T-ALLの治療での重要な点として, 1) ステロイド反応性を含めた初期治療反応性は重要な予後因子であること, 2) 寛解導入療法でのL-アスパラギナーゼの集中投与およびアントラサイクリン系抗がん剤の有効性, 3) 強化療法での大量L-アスパラギナーゼ投与およびアントラサイクリン系抗がん剤の有効性, 4) 大量メソトレキセート療法の有効性, 5) 再寛解導入療法/後期強化療法の有効性, 等が挙げられている.
  • 小川 千登世
    2008 年 22 巻 4 号 p. 275-285
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    予後の改善した小児急性リンパ性白血病においても約20%が再発する.髄外単独再発や晩期再発群の第2寛解導入率は良好であり, 化学療法のみで治癒可能な症例もあるが, 一方で早期骨髄再発の予後は不良であり, 長期予後のみならず, 第2寛解導入不能例も少なくない.この群への第2寛解導入や維持のために, 欧米では積極的な新薬導入や白血病細胞の特徴に応じたさまざまな治療の工夫がなされ, 再寛解後早期に残存白血病細胞量の少ない状態での造血細胞移植を行うことを目指している.国内でも次々と開発される新薬の臨床への早期導入や, テーラーメイド治療を含む新規治療法の開発が急務である.症例数の少ない群においては国際共同研究も視野に入れた研究が必要であろう.
  • 堀 壽成, 山田 朋美, 山路 和孝, 北川 好郎, 鶴澤 正仁, 横田 昇平
    2008 年 22 巻 4 号 p. 286-292
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病 (ALL) では, 腫瘍細胞の免疫グロブリン (Ig) とT細胞受容体 (TCR) 遺伝子がモノクローナルに再構成していることを利用し, その症例特異的な塩基配列をPCR増幅することでMRD定量が行われている.この手法はヨーロッパを中心に開発と標準化が進み, 大規模な臨床研究には不可欠な存在となっている.数多くの研究成果から, 小児ALLのさまざまな症例で治療早期のMRDレベルが予後と強い相関を示すことが明らかとなり, 症例の層別化の新たな因子として治療への介入が試みられてきた.わが国でも小児がん白血病研究グループ (CCLSG) においてTCRγ, TCRδ, Igκ, IgH遺伝子再構成をターゲットにnested PCRによる定量が行われ, 治療層別化に応用されてきたが, その再構成の検出や定量法については, RQ-PCRなどのヨーロッパの標準的な手法と比較して, まだ満足なものとはいえない.現在われわれは, 海外と同一基準のMRD定量の精度管理を目指し, 新たな取り組みを行っている.
  • 出口 隆生
    2008 年 22 巻 4 号 p. 293-299
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    微少残存病変 (MRD) は, もっとも強力な予後因子の1つであり, 治療反応性を評価するために利用されている.多くのMRD測定法の中で, フローサイトメトリーを用いた免疫学的MRDは, 非常に簡便で, 小児急性リンパ性白血病 (ALL) 患者では広くモニタリングに使用されている.この方法は, 白血病細胞表面上にのみ存在する免疫学的表現型を同定することで, 0.01%の感度をもち, 90%以上の小児ALL患者に適用可能である.MRDの値と臨床予後の間には, 強力な関係が存在することがすでに報告されており, 欧米における多くの小児ALL治療プロトコールでは治療強度の決定に, この免疫学的MRDを実際に用いている.しかしながら, わが国におけるMRDの臨床応用はいまだ限定的で, 適切な治療強度の選択・治療の個別化のためには, わが国でも速やかにMRDの測定によるリスク分類が開始される必要があると考えられる.
  • 林 泰秀
    2008 年 22 巻 4 号 p. 300-305
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    T細胞型急性リンパ性白血病 (T-ALL) は約半数で染色体異常がみられ, 染色体とキメラ遺伝子所見により1) T細胞受容体 (TCR) との転座, 2) MLLとの転座, 3) CALM-AF10の転座, 4) それ以外の融合遺伝子, 5) 染色体欠失 (9p-, 6q-など) に分類される.近年ABL1遺伝子との融合遺伝子がみいだされ, この転座は予後不良と推定されている.また, マイクロアレイの発現解析では (1) LYL1高発現のpro-T群, (2) HOX11の発現高値のearly cortical thymocyte群, (3) TAL1高発現のlate cortical thymocyte群の3つに分かれるとされ, HOX11高発現の (2) 群は予後良好と報告されている.近年, NOTCH1遺伝子の変異が約50%にみいだされ, この変異を有するT-ALLは予後良好と思われる.さらにFBW7 (CDC4) 遺伝子の変異が約15%にみいだされた.これらのことにより, T-ALLは分子遺伝学的に分類が可能となり, これらの病態解析を通じて新しい分子標的治療もみいだされると思われる.
  • 真部 淳
    2008 年 22 巻 4 号 p. 306-311
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph+ALL) は小児ALL全体の3-5%を占めるに過ぎないが, 予後不良で重要な疾患である.90年代までPh+ALLは同種造血幹細胞移植 (SCT) の絶対適応であった.2000年以後, 慢性骨髄性白血病 (CML) に対する分子標的チロシンキナーゼ阻害剤であるimatinibが開発され, Ph+ALLに対する効果が検討された.再発例においてimatinib単独投与は一定の効果はあるが, ABL遺伝子に変異が起こり, 短期間にその効果が消失する.新規症例に対するimatinibと化学療法との併用は, 安全かつ有効で, 長期寛解例が多くみられるが, いまだに同種SCTは適応である.新世代のチロシンキナーゼ阻害剤はimatinibに比べて殺細胞効果は大きいが, 多くはT 315I変異例に対して無効である.今後はチロシンキナーゼ阻害剤同士の併用も試されるべきであろう.
  • 杉田 完爾
    2008 年 22 巻 4 号 p. 312-316
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    BCR-ABLのキナーゼ阻害剤imatinibは, 慢性骨髄性白血病 (CML) だけでなく, フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph+ALL) の治療に有効であるが, 耐性例が問題になってきており, 新たな耐性克服薬の開発が進んでいる.Ph+ALL細胞は細胞傷害分子TRAILに感受性があり, 同種造血幹細胞移植後の高い移植片対白血病効果と関連がある.Ph+ALL細胞はimatinib投与下でも, ある種のサイトカインに反応して増殖する.Ph+ALLやCMLのIymphoid crisisでは, 転写因子Ikarosの遺伝子欠損が高率に認められ, 病態に関与している.PMLはCMLの白血病幹細胞の維持に重要な機能を果たしている.
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