日本小児血液学会雑誌
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3 巻 , 4 号
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  • 加藤 俊一
    1989 年 3 巻 4 号 p. 297-307
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植は白血病, 再生不良性貧血, 先天性免疫不全症, 一部の先天性代謝異常などの難治性疾患において, その有用性が認められ, 現在では日常診療の中に定着するようになっている.本稿では, 同種あるいは自家骨髄移植の適応についての最近の考え方, 骨髄移植の進歩, 今後に残された問題点などについて総説した.現在直面する最大の問題はHLA一致の同胞を持たない患者での解決策である.HLAが一致する善意の非血縁者からの骨髄移植, 処理あるいは無処理の自己骨髄, 末稍血中の造血幹細胞, in vitroで大量に増殖させた幹細胞などを用いた自家骨髄移植, さらには遺伝子治療などが今後の方向として考えられるであろう.
  • 村上 真子, 迫 正廣, 田窪 良行, 中川 喜美子, 小西 省三郎, 藤波 彰, 辻野 儀一
    1989 年 3 巻 4 号 p. 308-314
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    中枢神経予防として, 頭蓋照射を受けた1~13歳の急性リンパ性白血病, 非ホジキンリンパ腫18例における視床下部-下垂体機能を検討した.照射前後および3年間の維持療法後の治療中止前に, insulin, TRH, LHRHによる下垂体前葉刺激試験を施行し, その分泌能を評価した.Insulinによる低血糖刺激後のGH分泌反応は, 照射前11例中3例, 照射後18例中4例が, 低下していた.刺激によるGH分泌は, 頭蓋照射の影響はほとんど受けなかった.TRHによるTSH分泌は, 照射前11例中6例, 後18例中14例, 治療終了時7例中2例が低下していた.TRHによるPRL分泌は, おのおの7例中4例, 18例中13例, 7例中2例が過剰反応であった.TSH, PRL分泌異常は, 照射前に過半数例にみられ, 照射後の異常は, 頭蓋照射のみならず, corticosteroidによるTSH分泌抑制や, ストレス性PRL過剰分泌等の他因子も考えられた.LH, FSH分泌は, 2例を除いては, 照射後もほとんど正常であった.
  • 久保 聖子, 桜井 実, 川瀬 昌宏
    1989 年 3 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    健常小児の血液中ポリアミンの構成と分布を明らかにした.103例の健常児より赤血球と血漿中の遊離型と抱合型ポリアミン値を測定した.参考値として成人9例からも同様に測定した.結果は小児では (1) 循環血液中の遊離型総ポリアミンとくに遊離型スペルミジンの赤血球内への偏在が著明であった. (2) 全血中総ポリアミン, 赤血球および血漿遊離型プトレシン, 赤血球遊離型および抱合型スペルミジンが成人より高値であった.今回の循環血液中のポリアミンの分布より, 循環血液中のポリアミン値の変動には赤血球中遊難型ポリアミン値が主に関与することが示唆された.また, 小児では, オルニチンからde novoで生成される経路と, 分解過程を経てN1-アセチルスペルミジンから再合成される経路から多量のプトレシンが生成され, この遊離型プトレシンに始まるポリアミンの生合成が亢進していることが示唆された.
  • 上田 義治, 石井 栄一, 藤岡 勝慶, 中里 幸江, 赤沢 宏平, 植田 浩司
    1989 年 3 巻 4 号 p. 321-324
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    151人の健常新生児に対し生後5日, 14日, 1ヵ月にNormotest (Hepaplastintest, Eisai Co., Japan) を行った.初回哺乳時にビタミンK2 2mgを与えた群 (A群) と, 初回哺乳時と5生日にビタミンK2 2mgずつを与えた群 (B群) のNormotestの値を比較検討した.ビタミンKの投与でNormotestの値は有意に上昇した.母乳栄養児と混合栄養児では5生日と1ヵ月のNormotestの値に有意差はなかった.母乳栄養児では14生日のNormotestの値は低値であった.とくにA群はB群に比し有意に低かった. Normotestの値が40%以下の症例は5生日で11名, 14生日で4名であった.B群では母乳栄養児でも14生日にNormo-testの値が40%以下の症例はなかった.以上の結果より, 初回哺乳時と5生日での経口ビタミンK剤の投与は, とくに母乳栄養児のNormotestの値を上昇させ, 乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防に有効であると思われる.
  • 綛谷 啓之, 土岐 力, 横山 〓
    1989 年 3 巻 4 号 p. 325-332
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    赤血球造血に対する種々ホルモンの影響を臨床的ならびに実験的に検討した.臨床的に内分泌疾患患者46例を血液学的評価の対象とした.軽度から中等度の種々の程度の貧血が甲状腺機能亢進症で25%, 甲状腺機能低下症で55.5%, 小人症で25%, 尿崩症で60%の症例に認められた.実験的にはacetylphenylhydrazine注射で惹起したラットの溶血性貧血モデルの貧血回復に及ぼすdexamethasone (DXM), methenolone-acetate (MA), triiodothyronine (T3), およびestriol (Estr) の効果を検討した.また, それらのホルモンのラット骨髄細胞の赤血球造血に対するin vitroの効果をCFU-E, 3H-thymidineuptake, 59Feuptake, cyclic AMP量を測定することにより評価した.DXMはin vivoで何らの効果も示さなかったが, DXM 2×10-8MとEpo 1U/mlを含んだ液体培養中では, ある程度のcyclic AMP合成増加がみられた.それは造血のprimingの段階に対する刺激効果を示す.MAとT3は溶血性貧血モデルにおける貧血の回復を促進した.MAは3H-thymidine, 59Fe両者のuptakeを促進し, それは造血における分化と成熟の亢進を示唆している.T3もまた59Fe uptakeを促進し, それは成熟活性の増強を示唆している.Estrはin vitroでも阻害効果を示した.
  • 沖野 栄蔵, 山田 燦, 四家 正一郎
    1989 年 3 巻 4 号 p. 333-337
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    フェリチンの臨床的意義をさらに理解するため, 種々の人由来細胞の細胞内フェリチン量を測定し検討した.そして, いくつかの継代細胞ではラジオアイソトープを用い, 細胞内の合成フェリチンの変動を検討した.結果は以下のごとくである.1) ALL患者の骨髄細胞内フェリチンは正常末稍血リンパ球内と同様に低値を示した.2) 赤白血病細胞 (K-562) と単球性白血病細胞 (THP-1) では細胞内フェリチンは高く, 培養液中にもみられた.他方, 細胞内フェリチンが低値の細胞では, 培養液中にフェリチンはみられなかった.3) 細胞内合成フェリチン値は, すべての細胞で次第に増加していた.4) 合成フェリチンの培養液への放出は, 細胞内フェリチンの高値グループにのみみられた。
  • 伊藤 正寛, 神谷 齊, 櫻井 實, 秋山 祐一, 三河 春樹, 河 敬世, 辻野 儀一, 上田 一博, 宮崎 澄雄
    1989 年 3 巻 4 号 p. 338-344
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    西日本小児癌治療研究会では昭和59年12月から63年3月までにVP-16の小児悪性腫瘍に対する治療法の検討を行った.116例が評価可能で内訳は急性非リンパ性白血病71例, 急性リンパ性白血病20例, Histiocytosis 13例, 神経芽細胞腫7例, 悪性リンパ腫5例であった.完全寛解および部分寛解を有効として有効率を求めた.VP-16単独療法による初発例に対する有効率はANLLでは8715%, Histiocytosisでは100%, 再発例に対してはANLLでは28.6%, ALLでは40%であった.併用療法による初発例に対する有効率はANLLでは92.6%, Histiocytosisでは66.7%, 再発例に対してはANLLでは45.5%, ALLでは66.7%, Histiocytosisでは100%でANLLとHistiocytosisに対して良好な有効率を示した.副作用として消化器症状, 脱毛および骨髄抑制が認められたがとくに問題はなかった.以上のことよりVP-16を含んだ治療法はとくに急性非リンパ性白血病に対して有効であると考えられた.
  • 土岐 力, 綛谷 裕之, 荒井 宏治, 横山 〓
    1989 年 3 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ウィスター系雌ラットにアセチルフェニールヒドラジン (APH) を腹腔内投与し, 脾と骨髄におけるcAMPとcGMP量を測定した.その結果脾のcAMP量はAPH投与後徐々に増加し6日目に最高値をとった.骨髄のcAMP量はAPH投与後3日目に最大であった.脾におけるcGMP量は著しく増加し, APH投与後5日目に最大であった.次に, 骨髄細胞浮遊液にerythropoietinを添加し, その後のcAMP量を測定した.その結果, フォスフォジエステラーゼの阻害剤であるthecphyllineを10-6Mで培地に加えたときのみcAMP量の増加がみられた.その際, cAMPの上昇はerythropoietin添加後すみやかにみられた.本報告においては, 以上のような実験結果に基づき, 赤.血球造血初期における細胞内cAMP量の増加について検索した.
  • 福田 稔, 松山 孝治, 堀部 敬三, 小崎 武, 高嶋 芳樹, 久野 邦義
    1989 年 3 巻 4 号 p. 351-355
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    名古屋小児血液腫瘍研究グループのプロトコール7804および8104における再発急性リンパ性白血病46例について, その予後を検討した.全再発例の5年生存率, 無病生存率はそれぞれ24%, 19%であった.骨髄再発の34例は予後因子にかかわらず, きわめて予後不良であった.髄膜再発の9例については, 初回寛解期間が1年以上のものは1年未満のものに比べて予後良好であった.予後不良な骨髄再発に対しては骨髄移植を含めた, さらに強力な治療が必要と考えられた.
  • 吉原 隆夫, 生嶋 聡, 藤原 史博, 東道 伸二郎, 森岡 義仁, 今宿 晋作
    1989 年 3 巻 4 号 p. 356-360
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病 (ALL) の治療終了7年後 (1987年10月) に, 左前側頭部にastrocytomaを発症した16歳女性例を報告する.患者は5歳時 (1976年) にALLを発症し, 化学療法と頭蓋照射 (1,920cGy), methotrexate髄注 (0.4mg/kg×5回) から成る中枢神経白血病予防療法が施行された.Astrocytoma発症時, 骨髄, 髄液検査にてALLの再発は認めなかった.腫瘍の亜全摘術後化学療法を施行しいったん寛解したが, その後再発し1988年10月死亡した.文献的にALL治療後のgliomaを発症した30例を検討したところ, 二次癌としての脳腫瘍の予後はきわめて不良であった.
  • 杉田 完爾, 中澤 眞平, 権田 隆明, 楠本 裕, 綾 美咲, 小佐野 満, 東條 雅宏, 清水 節, 岡崎 敏子, 黒沢 祥浩, 稲葉 ...
    1989 年 3 巻 4 号 p. 361-366
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄単核球に染色体異常を認めた原発性後天性鉄芽球性貧血 (PASA) で発症し, 6ヵ月後に白血病化した15歳女児を報告する.初診時, 軽度の白血球減少, 中等度の貧血, 血小板減少があり, 骨髄では芽球の増加はなく環状鉄芽球を67%認め, 骨髄赤芽球のδ-アミノレブリン酸合成酵素 (ALA-S) 活性の低下を認めた.また, 骨髄単核球に-5, -17, -18, -19, +i (17q), +der (19) t (18; 19) (q11;p13) の異常核型を認めた.以上の所見より染色体異常を有するPASAと診断した.末稍血単核球よりT-cell line, B-cell lineを樹立したが正常核型であった.Ara-C少量療法で一時的に汎血球減少は軽快したが, PASA発症6カ月後に急性骨髄単球性白血病を発症した.芽球はペルオキシダーゼ, 非特異的エステラーゼ, クロロアセテートエステラーゼ染色陽性で, CD13, CD14, CD33に反応を認めた.染色体分析ではPASAの時期にみられた異常核型の4倍体が増加していた.
  • 小西 央郎, 柏 弘, 小林 正夫, 河口 美典, 田中 義人, 上田 一博
    1989 年 3 巻 4 号 p. 367-371
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    一過性骨髄増殖症候群 (Transient abnormal myelopoiesis : TAM) はおもにDown症候群に認められる疾患である.われわれは肝脾腫, 皮疹, 末梢血への白1血病様芽球出現を認めた, 表現型正常の一例を報告する.染色体分析では, PHA非添加で培養した末梢血のすべての血液細胞に47XY, +21が認められた.しかしPHA添加の72時間培養では分裂細胞はすべて46XYを示した.皮疹生検では白血病様芽球細胞の皮膚浸潤を認めた.皮膚病変および臓器腫大は抗白血病薬による治療を行わずに徐々に改善し, 末梢血中の白血病様芽球も消退した.また芽球消失後, 末梢血の染色体検査は正常核型を示した.本症例では21トリソミーを有する異常なクローンがTAMにおける芽球様細胞の増殖に関係したものと考えられた.
  • 中山 承代, 別所 文雄, 小島 美由紀, 土生 裕司, 山中 龍宏, 鴨下 重彦
    1989 年 3 巻 4 号 p. 372-375
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    鉄欠乏性貧血を主訴としたCastlemanリンパ腫の15歳男児例を報告した.患児は血清鉄, 血清フェリチンの低下をみとめ, 鉄欠乏性貧血を示した.さらにCRPは10mg/dl以上の高値で, 血沈値の亢進, IgGの軽度増加も伴い, 経口鉄剤への反応は不良であった.腹部エコー, 腹部CTスキャンにより左腎前方, 膵尾下部にみられた充実性腫瘤は, 血管造影で血流豊富であったが, 67Gaシンチでの取り込みはなかった.左腎静脈直上の4.0×3.5×3.0cmの腫瘤を全摘した.腫瘤は腫大したリンパ節で, リンパ濾胞の著明な発達と壁肥厚を伴った血管増生, 硝子化, 濾胞間の線維化をみとめ, 一部に形質細胞の集簇をみとめた.この組織像は, Castlemanリンパ腫のhyaline-vasculartypeとPlasma-cell typeの中間型と考えられるものであった.腫瘤全摘後, 貧血は改善し, 他の検査値も速やかに正常化し, 1989年3月現在もまったく正常である.
  • 嶋田 優美, 麦島 秀雄, 原 光彦, 三沢 正弘, 高橋 英夫, 鈴木 孝, 市川 正孝, 川田 孝吉, 藤沢 孝人, 大国 真彦, 〓田 ...
    1989 年 3 巻 4 号 p. 376-382
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    われわれは, pure red cell anemiaと診断され, 副腎皮質ステロイド剤, cyclophosphamide, AHLGなどを使用したが, 貧血の改善を認めなかった1歳男児に対し, 同種骨髄移植を行った.移植前の血液所見は, WBC 6,900/mm3, RBC 236×104/mm3, Hb 8.39/dl, Plat.62×104/mm3, Reticulo.0‰, 血液型はO型Rh (D) +であった.移植前処置として, day-8よりcyclophosphamide 50mg/kgを4日間, day-7よりbusulfan 3mg/kgを4日間, さらに60C0にて肺野を遮蔽し3.5 Gyの全身照射を行い, 1987年1月26日, HLA適合, MLC陰性, A型 Rh (D) +の4歳の兄をdonorとして骨髄有核細胞2.8×108/kgを移植した.移植後重篤な合併症もなく, 白血球数が1,000/mm3以上に達するまでに19日, 好中球数が500/mm3以上, 血小板数が5×104/mm3以上に達するまでにそれぞれ28日, 26日であった.移植後58日目の骨髄像では明らかに赤芽球系細胞の出現を認め, 120日目には生着を確認している.本症例は, 本邦第1例目であり, 現在も良好な経過を得ている.
  • 1989 年 3 巻 4 号 p. 383
    発行日: 1989/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
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