日本小児血液学会雑誌
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4 巻 , 4 号
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  • 白幡 聡, 有吉 宣明, 萱嶌 成美
    1990 年 4 巻 4 号 p. 313-322
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ビタミンK欠乏症は新生児と幼若乳児に好発するが, その理由はこれまで明らかにされていなかった.その最大の理由は, 生体試料中のビタミンKを測定する適当な方法が開発されていなかったことによる.そこでわれわれは, ビタミンKを同族体ごとに, 高い感度で測定する方法を開発し, ビタミンKの生体内動態を検討した.その結果, ビタミンKは胎盤の通過性が悪く, 出生時の備蓄がきわめて少ないことが明らかになった.成人と異なり腸内細菌からの供給も期待できず, しかもビタミンKの吸収が悪いため授乳量が少ないと容易にビタミンKの欠乏をきたすと考えられた.一方, 幼若乳児も, 新生児ほどではないが生理的にビタミンK欠乏状態にある.また, 成人に比べてビタミンKの再利用能が低いために, ビタミンKの摂取量の低下や, 軽度の肝障害に.よる吸収あるいは利用能の低下がしばしばビタミンK欠乏の原因になると考えられた.
  • 西村 真一郎, 小林 正夫, 田中 義人, 上田 一博, 大崎 秀
    1990 年 4 巻 4 号 p. 323-328
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11番染色体q23に切断点を有する小児白血病4例で免疫グロブリン遺伝子, T細胞受容体遺伝子を用いその遺伝子型を検討した.組織学的および表面マーカーによる検索では, t (4;11) (q21;q23) の3例がB cell lineage ALL, t (9;11) (P22;q23) の1例がAMoLと考えられた.Southern blot法による解析では, t (4;11) の3例中2例で免疫グロブリン遺伝子H鎖Joining領域 (JH) のみの再構成を, 他の1例でJHとT細胞受容遺伝子γ鎖 (TCRγ) の再構成を認めたが, t (9;11) の1例はすべて胎児型を示した.今回検討した11q23に異常を伴う白血病4例では遺伝子型は表現型および染色体核型に一致しており, このことは11q23に切断点を持つ白血病細胞の性格決定には染色体核型が重要な役割を担っていることを示唆する所見と考えられた.
  • 梶ケ谷 保彦, 佐々木 秀樹, 生田 孝一郎, 関口 晴之, 高橋 浩之, 松山 秀介
    1990 年 4 巻 4 号 p. 329-334
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    mitoxantrone (MIT) および遺伝子組換え型ヒトG-CSF (rhG-CSF) のマウス骨髄単球性白血病細胞株WEHI-3B (D+) に対する分化誘導作用機序にこついて検討した.液体培養系で, WEHI-3B (D+) の細胞濃度にかかわらず, MITによりWEHI-3B (D+) 細胞の成熟顆粒球様細胞への分化傾向が認められ.nitroblue tetrazolium 還元能の誘導およびASD chroloacetate esterase の染色性の増強傾向がみられた.直接作用ではなく二次的な分化自己誘導により分化誘導活性を示すことがこれまでに判明しているrhG-CSF では, 低細胞濃度の場合にごは分化誘導作用が認められなかった.WEHI-3B (D+) 細胞の細胞濃度が1×105/ml未満の場合にもMITによる分化誘導が観察されたことより, G-CSFによる分化誘導とは異なり, MITの直接作用であることが示唆された.
  • 別所 文雄, 絹巻 宏
    1990 年 4 巻 4 号 p. 335-341
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児の急性非リンパ球性白血病60例中急性前骨髄球性白血病は5例存在した.これらには臨床的, 形態学的heterogeneityが認められた.播種性血管内凝固症候群は3症例のみに認められた.2例はM3-variantであった.2例では, 光学顕微鏡的に核のくびれと細胞質を満たす多数の顆粒を認めるものの, Auer小体が認められなかった.その内の1例では超微形態的に小型のAuer小体が確認され, 特異な粗面小胞体の集簇像も認められたが, 他の1例ではこれらの特異な像はまったくみられなかった.典型的な急性前骨髄球性白血病の像がみられたのは1例のみであった.POX反応は全例で強陽性であったが, 反応産物の分布から, 同じ前骨髄球のレベルでも症例問で成熟段階に差があることが示された.
  • 須藤 善雅, 越前屋 竹寅, 綛谷 啓之, 荒井 宏治, 土岐 力, 河内 暁一, 佐藤 雄一, 横山 〓
    1990 年 4 巻 4 号 p. 342-347
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    エリスロポエチン (EPO) は赤血球造血のみならず巨核球血小板造血をも刺激することが明らかになってきたが, 鉄欠乏性貧血例における血小板増加が, 貧血に伴うEPOの上昇によるものかは不明である.われわれは過去3年間の中学生貧血スクリーニング成績から鉄欠乏性貧血における血小板の増加, 鉄剤投与による貧血改善に伴う血小板数および血小板粒度分布の変動について検討した.一年度当り, 935~1,253名の中学生に占める血小板数40万/μl以上の増加例の割合は1.5~2.6%, 15万/μl以下の減少例は1.0~1.4%みられ, 鉄欠乏性貧血例では血小板増加例が3~16%と高率であった.鉄欠乏性貧血では貧血が判明した時点で血小板増加がみられ, 血小板数と血清EPO値の間には正の相関がみられた.鉄剤投与により血小板数は投与前と比べ2週後から低下し, MPV, PDW, P-LCRは投与開始8~10週後から低下した.本研究から鉄欠乏性貧血における血小板数の変動にはEPOの関与が示唆された.
  • 横山 〓, 河内 暁一, 河 敬世, 渋谷 温, 高橋 弘剛
    1990 年 4 巻 4 号 p. 348-354
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    好中球減少症の6例 (男子1, 女子5, 年齢2~12歳) にrecombinant human granulocyte colonystimulating factor (rhG-CSF, KRN 8601) を投与した.彼らのうち5例は臨床経過より周期性好中球減少症と診断されたが, 1例は診断不明であった.周期性好中球減少症の例はすべて反復するアフタ性口内炎, 咽頭炎, リンパ節炎, 発熱および多くの感染症を好中球減少の時期に呈した.rhG-CSF投与前, 投与中の血液所見, 臨床症状所見を検討した.rhG-CSFは50μg/m2を皮下に5~28日間投与した.1例は投与後の経過が不詳なので副作用調査のみの対象とした.好中球減少症の症例ではrhG-CSFの投与中nadirおよびmaximumの好中球数の増加が得られ, 発熱や重症の口内咽頭感染もみられなかったが, 5日間のみ投与の1例では効果がなかった.有効例では21日から14日へと周期の短縮がみられた.副作用はなんら認められず, 抗rhG-CSF抗体は検出されなかった.rhG-CSFは好中球減少症の治療として有効であると結論される.
  • 庵原 俊昭, 安田 尚樹, 神谷 齊, 藤原 卓, 伊藤 正寛, 櫻井 實
    1990 年 4 巻 4 号 p. 355-360
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    初発の急性リンパ性白血病 (ALL) 患児のうちサイトメガロウイルス (CMV) 病とウイルス学的に診断しえた12例を対象に, その臨床像につき検討した.全例入院時の血清抗体価は陰性であり, 新鮮白血球を含む輸血を受けていた.輸血後57.2±29.4日目に発熱を主症状として発症した.発熱期間は16.1±6.8日間であった.肝炎の合併は10例, 貧血の亢進は4例, 肺炎の合併は2例であった.貧血が亢進した4例中2例は寒冷凝集素症であり, 他の2例はaplastic crisisの像を示した.赤沈は中等度亢進するのみであり, CRPは12例中6例が陰性であった.死亡例は1例もなかった.以上の結果より, ALL患児においては, 輸血後, 数十日後に, 原因不明の発熱を認めた場合には, CMV病を疑い各種検査を行う必要があると思われた.
  • 庵原 俊昭, 安田 尚樹, 神谷 齊, 藤原 卓, 伊藤 正寛, 櫻井 實
    1990 年 4 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病 (ALL) 患児におけるサイトメガロウイルス (CMV) 病発症の危険因子につき検討したところ, 新鮮血輸血や顆粒球輸血をうけたCMV抗体陰性者に有意にCMV病発症者の頻度が高かった.CMV抗体陽性者からは, 1例もCMV病の発症はなかった.以上の結果により, CMV抗体陰性者に新鮮白血球を含む輸血を行うことは, CMV病発症の危険因子となると推測した.次に, この危険因子を有する5症例に対し, 静注用CMV高単位ガンマグロブリン (CMV-IG) 200mg/kgを2週間ごとに投与したところ, 2例がCMVの感染をうけたにもかかわらず, 1例もCMV病は発症しなかった.この結果より, CMV-IGの定期投与は, ALL患児におけるCMV病発症予防に有効な方法であると思われた.
  • 榊原 均, 杉田 憲一, 長田 睦子, 池田 久剛, 江口 光興, 古川 利温
    1990 年 4 巻 4 号 p. 366-370
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    T-cell型急性リンパ性白血病に合併したITPの1例を報告した.患児は9歳の女児で, 易疲労, 食欲不振, 四肢点状出血, 血尿にて当院に紹介された.入院時, 四肢および口腔粘膜の点状出血, 肝腫大, 胸腺腫, 貧血, 血小板減少を認め, 白血球数は7,100/μlで42%が芽球であった.骨髄では, 有核細胞数5q.6x104/μlで88.2%が芽球で, 巨核球は認めなかった.表面マーカーの検索ではIa (-), CALLA (-), Leu 190%, E-rosette (-) であった.以上より, 胸腺腫を伴ったT-cell型急性リンパ性白血病と診断し, TCLSGの第11次案Extremely High Risk Group のプロトコールに従い治療をした.完全寛解を得, 2年9ヵ月後にtherapy offとした.しかし, 治療終了後6ヵ月経過しても血小板は5万/μl前後の低値が持続し時折点状出血斑を認めた.骨髄検査では異型細胞はなぐ巨核球数90/μlであった.巨核球は形態学的にはやや小型で, 多くが巨核球分類の0型, 1型で血小板付着の減少を認めた.また, PAIgGが64.6~77.1 ng /107 cellsと高値を示した.この結果よりITPと診断した.
  • 横林 文子, 太田 きよみ, 水田 俊, 涌波 淳子, 竹迫 憲次, 佐藤 ふさこ, 八木 信一, 三浦 洋, 藤野 光喜, 小林 嘉一郎, ...
    1990 年 4 巻 4 号 p. 371-379
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    従来からの副腎皮質ステロイド療法ならびに大量methylprednisolone (以下M-PSLと略) パルス療法に抵抗していた小児慢性ITP3例に対して, 約1ヵ月に1回の頻度でγ-Glb 1g/kg/dayの大量反復投与 (以下19大量γ-Glb療法と略す) を試み, 全例で出血症状の軽減を, 2例で血小板数の増加を認め, 治療中止・寛解状態へと導入できた.19大量γ-Glb療法は400mg/kg連続5日投与 (以下400mg大量γ-Glb療法と略す) とくらべ, 経費節約的治療であり, また反復投与により400mg大量γ-Glb療法よりも効果の持続が長く, 治療中止へと導入できる可能性が高い点においてすぐれた治療方法であると思われた.3症例の臨床経過とともにPAIgG, T-cell subsetの経時的変化に関して若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 勇村 啓子, 藤波 彰, 小西 省三郎, 石原 重彦, 原 純一, 多和 昭雄, 河 敬世
    1990 年 4 巻 4 号 p. 380-385
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    4例の小児皮膚原発non-Hodgkin's lymphomaの症例を経験し, うち3例でimmunophenotype とgenotypeを検索した. 4例の年齢は2~7歳で, 原発部位は全例頭頸部であり, 診断時stageIVが2例, 他の1例は診断後4年目に再発をきたした. Immunophenotypeでは, 3例とも初回検索時CD19, HLA/DRが陽性でそのうちの1例はCD10も陽性であった.Genotypeは免疫グロブリン遺伝子H鎖の再構成が検索しえた3例でみられ, すべてB-lineageoriginであった.本邦の文献例と自験例の検討から, 小児の皮膚原発NHLはNHLの中でも特異な亜群を形成しており, その特徴は以下のごとく要約される.1) 乳幼児に多い, 2) 頭頸部の原発が多い, 3) B-1ineageが多い, 4) 早期に進展し予後不良の例がかなりある.
  • 石井 美栄, 岡村 純, 生野 茅子, 石井 栄一, 勇村 啓子, 河 敬世, 高瀬 浩造, 田坂 英子
    1990 年 4 巻 4 号 p. 386-390
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11歳女児が1973年にALLと診断され, 5年間の治療を終了した.しかし1988年1月に骨髄および中枢神経系への白血病浸潤が発見された.今回も芽球はperoxidase (Pox) 陰性でBリンパ球系マーカー陽性であったが, 寛解導入中に骨髄単球系マーカー陽性のPox陽性芽球が優位となり, bllineal lukemiaを二次性に発症したと考えられた.本症例は化学療法により再度完全寛解に達したものの, 再発を繰り返して発症後1年6ヵ月, 初診後16年3ヵ月後に死亡した.
  • 内山 浩志, 星 順隆, 広津 卓夫, 赤塚 順一, 前川 喜平, 山崎 洋次, 二階堂 孝
    1990 年 4 巻 4 号 p. 391-398
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    当科では, 1685年4月より現在までに経験したstage III以上の進行した神経芽細胞腫8例のうち, 同種骨髄移植を1例に, 自家骨髄移植を2例に行った.症例1は, 兄をdonorとして同種骨髄移植を施行.前処置はmelphalan+TBI. GVHD予防には短期methotrexate+cyclosporin Aを使用, 尿細管障害のため移植後26日で死亡, 剖検では腫瘍細胞の残存は認めなかった.症例2は自家骨髄移植 (無処理骨髄) を施行.前処置はmelphalan+VP-16.現在移植後2年半を経過し再発の微候もなく経過良好である.症例3は2年間保存した自家骨髄で移植 (無処理骨髄) を施行.前処置はmelphalan+TBI.生着したが, 立ち上がりは遅延し, 移植後2ヵ月に頭部に再発を認め, 移植後5ヵ月で死亡した.以上の移植例と移植を行わなかった症例とを比較検討した結果, 神経芽細胞腫に対する骨髄移植は有効と思われたが, 導入時期と前処置の方法に問題を残すと思われた.
  • 桃井 伸緒, 鈴木 重雄, 片寄 雅彦, 渡部 雅勝, 菊田 敦, 鈴木 仁
    1990 年 4 巻 4 号 p. 399-403
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    メチルプレドニゾロン・パルス療法が著効を示した間質性肺炎の一例を報告した.患者は急性単球性白血病 (AMoL) の11歳男児であり, Etoposide (VP-16), cytarabine (Ara-C), prednisolone (PDN) による寛解導入療法2クール終了後の免疫不全状態時に原因不明の間質性肺炎に罹患した.呼吸困難は次第に増悪し, 持続的気道陽圧法 (CPAP) を要するようになったが, 治療として, メチルプレドニゾロンによるパルス療法を施行したところ呼吸困難は劇的に改善した.
  • 堀田 成紀, 橋本 浩之, 田丸 陽一, 上野 康尚, 久保 実, 大木 徹郎
    1990 年 4 巻 4 号 p. 404-408
    発行日: 1990/09/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    右背部胸膜浸潤を伴った膵原発の非ホジキンリンパ腫の7歳男児例を報告する.4日前からの心窩部仙痛および食後の腹痛増強にて入院.上部消化管透視にて急性胃炎と診断されシメチヂン投与を受けた.その後, 症状は徐々に改善したが, 治療4日目に3cm×4cmの軽度有痛性腫瘤を心窩部に触知するようになった.腹部エコー, CT, NMR-CTでは膵全体のびまん性腫大, 総胆管および肝内胆管の中等度拡張, 右背部胸膜の部分的肥厚を認めたが, 後腹膜リンパ節腫大は見られなかった.67Gaシンチスキャンで腫大した膵全体へのびまん性集積と右肺への部分的集積を認めた.血液生化学検査ではアミラーゼ・リパーゼ・GOT・GPT・LDHの上昇が見られた.診断確定のためには膵のopen biopsyが必要であった.組織診断は非ホジキンリンパ腫, びまん性中細胞型 (LSG分類) であった.表面マーカーでは腫瘍細胞はCD20, CD19, HLA-DR陽性 (B細胞) であった.
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