日本小児血液学会雑誌
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5 巻 , 5 号
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  • 久保田 優
    1991 年 5 巻 5 号 p. 451-458
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Enzyme target chemotherapy とは, 細胞の癌化に伴う生化学的変化を主として酵素レベルで検討し, それを標的として癌細胞に対する特異性の高い治療を行おうとするものである.まず, 癌細胞は増殖の速度が速いことより増殖に伴い活性の上昇する酵素が第一の標的として挙げられる.この中には, ribonucleotide reductase, dihydrofolate reductase や thymidylate synthase等が含まれ, それぞれhydroxyurea, methotrexate や 5-fluorodeoxyuridineがその阻害剤として既に臨床の場で広く用いられている.本稿では, 新しい標的としてIMP dehydrogenase (阻害剤 : tiazofurin), topoisomerase I (阻害剤 : camptothecin) の二つの酵素を紹介した.次に, 癌細胞に特異的に欠損している酵素が候補となる.その例として, MTA phosphorylaseと, asparagine synthetaseを挙げ, これらを欠く癌細胞を選択的に殺すstrategyに触れた.Enzyme target chemotherapyが, 科学的癌治療を志向する一つの方法論となることを期待する.
  • 関上 勇, 横山 雄
    1991 年 5 巻 5 号 p. 459-466
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    赤血球造血に対する心不全 (CHF) の及ぼす影響を臨床的ならびに実験的に検討した.臨床的はmild moderate, severeの3群に分けて検討したが, 重症例ほど大球性高色素性貧血の傾向を示した.Erythropoietin (Epo) を測定したsevere CHFの2例ではPO2の低値に反応したHbおよびEpoの増加を認めなかった.CEFの実験モデルは腹部大動脈絞縮ラット (AC-rat) とモノクロタリン投与による肺性心ラット (M-rat) を用いそれぞれ左心不全, 右心不全のモデルとして取り扱った.AC-ra七の検討では, 低週齢の群でHbはコントロールに比して有意に低値であり, Epoは有意差はなかったものの低値の傾向を示した.CHFによる影響は低週齢ほど受けやすく, Epoの不十分な分泌に由来する貧血傾向を生じる可能性が示唆された.M-ratの検討でも, Hbの低値に対してEpoの分泌が不十分な例が明らかに存在した.
  • 磯山 恵一, 今井 満, 広田 保蔵, 井上 浩一, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1991 年 5 巻 5 号 p. 467-472
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性白血病においては, 悪性細胞の増殖によって正常造血が抑制されると考えられてきた.我々は, 5例の急性B細胞系リンパ性白血病5例 (3例の初発例, 2例の通常の化学療法後に再発した症例) で, 白血病細胞で占められている末梢血単核細胞中に多くのCFU-Cが残存していたことを報告した.白血病細胞を含む単核細胞は2段階培養法で行った.第一段階は液体培養で行った.単核細胞を40ng/mlのIL-3を添加または非添加で14日間培養した.第二段階の20ng/mlのG-CSF添加のメチルセルロース培養でCFU-C由来コロニーが検出された.EPO2U/mlの添加では, 赤芽球系コロニーは検出されなかった.CFU-C数はIL-3非添加に比較しIL-3添加で多く検出された.染色体異常を持った2例については, CFU-Cに染色体異常は検出されなかった.この研究によると, 液体培養はB細胞系急性リンパ性白血病患者の残存した正常造血幹細胞を検出するための新しい方法かもしれない.
  • 武井 理子, 磯山 恵一, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1991 年 5 巻 5 号 p. 473-476
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    化学療法が発達するにつれ, 小児悪性腫瘍患児を治療していくうえで, 敗血症は重要な合併症の一つとして注目されている.今回我々は, 1985年から1989年の問に, 昭和大学藤が丘病院小児科に入院となった小児悪性腫瘍患児48例を対象とし, 敗血症の起因菌について検討した.血液培養の陽性率は14%であり, 敗血症は特に再寛解導入療法中の患児で高率にみられた (25.6%).検出された菌は, グラム陽性球菌63%, グラム陽性桿菌5%, グラム陰性桿菌32%であった.このうちS.viridansが最も多く58.3%を占めた.さらに今回の結果を当院における前回の調査結果 (1981~1984) と比較した.前回はグラム陰性桿菌が最も多く検出され, 検出菌に変遷がみられた.
  • 川上 清, 嶽崎 俊郎, 中園 伸一, 北原 琢磨, 伊地知 修, 碇元 直昭, 宮田 晃一郎
    1991 年 5 巻 5 号 p. 477-482
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    我々は悪性腫瘍患児の生活環境の改善を図る目的で, 患児の病名の取扱いに関する調査を行った.当科で管理している75例を対象とした.我々は両親のみに病名を告げているが, 親が直接本人に病名を告知した例は学童患児の9.3%と少なかった.しかし親が本人以外の家族に病名を話している例は多く, 特に祖父母への告知が多かった.また親の職場へわが子の病名を告げている頻度も高かった.親以外から本人に病名が漏れたものが10例あり, 患児の通学している学校側の不注意によるものが目だった.患児に病名を告げることに先だって, 我々は学童患児においては学校生活における心理面での環境整備も必要であることがわかった.
  • 豊田 恭徳, 堀越 泰雄, 殿内 力, 三問屋 純一, 浜崎 豊, 谷口 清州
    1991 年 5 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は初診時9歳の男児, 頸部リンパ節腫脹と白血球増多を主訴に入院した.縦隔腫瘤を伴ったT細胞型急性リンパ性白血病と診断し, 化学療法により速やかに寛解状態となった.完全寛解12ヵ月後に皮膚に限局したLangerhans'cell histiocytosisを発症, 6ヵ月後には肺, 骨にも病変が進展した.VP-16の投与にもかかわらず病変は徐々に進行した.患児はALL発症21ヵ月後に間質性肺炎に罹患, 呼吸不全により死亡した.われわれの検索しえた範囲では, 本症例はALLとLCHを合併した, 本邦第2例目の報告例である.
  • 広田 保蔵, 森田 佐加枝, 詫摩 哲郎, 山田 耕一郎, 石川 昭, 松永 泰子
    1991 年 5 巻 5 号 p. 487-491
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒトparvovirus B19に感染し, 高度の貧血によって発見された遺伝性球状赤血球症の9歳女児の症例を経験した。患児の父親にも遺伝性球状赤血球症が認められ, また同胞にも伝染性紅斑がみられた.
  • 浦島 充佳, 伊従 秀章, 小林 尚明, 藤沢 康司, 北島 晴夫, 赤塚 順一
    1991 年 5 巻 5 号 p. 492-495
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    我々は神経性食思不振症の治療中に巨赤芽球性貧血を合併した14歳女児例を経験した.体重減少と拒食に対し栄養素は十分投与していたが, 発熱とともに巨赤芽球性貧血が発症した.貧血は解熱とともに速やかに改善した.神経性食思不振症に合併する貧血の原因として, 消化管出血, 点滴からの自己潟血, 骨髄低形成などがある。しかし栄養不良が根底にある本疾患においては巨赤芽球性貧血も稀ながら考慮するべきであると考えた.
  • 広田 保蔵, 藤多 いつわ, 森田 佐加枝, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1991 年 5 巻 5 号 p. 496-500
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    大量のステロイド療法を再生不良性貧血の2例の患児に施行して著明な改善がみられたので報告した.中等症の1例は完全完解し, 重症の1例も軽度の血小板減少を除いて著明な改善を示した.この大量ステロイド療法施行中, 高血糖, 感情の易動揺性, 尿路結石, 皮下膿瘍および大腿骨頭壊死がみられたが, 密接な管理下で対処できるものと思われた.
  • 橋本 和子, 高橋 幸博, 吉岡 章, 米田 三平, 小林 秀明, 古西 満, 成田 亘啓, 福井 弘
    1991 年 5 巻 5 号 p. 501-504
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腹痛を主訴とする4歳男児にマクロアミラーゼ血症を認めた.腹痛消失後も血清アミラーゼ (AMY) は800~2, 0001U/Zと高値を持続し, アミラービ・クレアチニン・クリアランスは0。09%ときわめて低値であった.アセテート膜電気泳動法でP (膵型), S (唾液腺型) 成分のほかにS分画陽極側に幅広い異常活性帯を認めた.Sephadex G-200カラムクロマトグラフィーでは, 血清AMY活性はIgMとIgA・G分画の中間, すなわち, 正常AMYよりも高分子側に溶出された.免疫混合法で血清AMYはIgAとλに吸着分離された.抗IgA結合CNBr4Bビーズに吸着させた患児IgAを酸性条件下で分離して得た精製IgAは標準S-AMYと複合体を形成し, 患児血清と同様の電気泳動パターンを呈した.患児の精製AMY活性は600C, 1時間の条件下で変動しなかった.なお, 父親の血清AMYは患児と同様の特徴を有したが, その他家系内には異常は認めなかった.
  • 藤波 彰, 阪田 まり子, 迫 正廣, 田窪 良行, 中川 喜美子, 小西 省三郎
    1991 年 5 巻 5 号 p. 505-508
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    初発時に骨髄壊死をきたした4歳女児の急性リンパ性白血病の1例について報告した.発症時, 発熱, 下肢痛があり, 検査所見ではLDHの高値, 腸骨骨髄の大部分の細胞は, 壊死に陥っていた.治療1カ月後では, 胸骨骨髄は完全寛解となった.しかし腸骨骨髄は, 壊死細胞はみられなかったが, なお低形成であった.寛解9ヵ月後の腸骨骨髄検査では, 正常に回復していた.
  • 森本 哲, 木崎 善郎, 橋田 哲夫, 小西 清三郎, 早野 尚志, 今宿 晋作
    1991 年 5 巻 5 号 p. 509-513
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    悪性組織球症をAdriamycin (ADR) を含む多剤併用療法にて治療中, 治療開始後6カ月, ADR総投与量280mg/m2で心不全を発症した幼児例を報告した.心不全はいったん軽快するも, 3ヵ月後に亜急性に増悪し, CPKと肝由来酵素の著明な上昇を認めた.サイトカインを測定したところ, 3ヵ月にわたり発熱が持続した悪性組織球症の活動期にはIFN-γとIL-6の上昇がみられたが, 心不全発症時, 増悪期には上昇なく, この時期には原疾患は寛解と考えられた.ADR総投与量が300mg/m2以下の低用量で発症するADR心筋症の危険因子の一つとして, サイトカインが演じる役割を今後症例を積み重ねて検討する必要がある.
  • 花田 良二, 柳沼 章弘, 林 泰秀, 稲葉 俊哉, 山本 圭子
    1991 年 5 巻 5 号 p. 514-518
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は4歳の男児で発熱とリンパ節の腫脹を主訴として入院した.白血球数は28,100/μl (芽球76%) であり, ALL (FAB分類;L1) と診断された.TCLSG11次案の高危険群の治療が行われ寛解導入された.中枢神経系白血病の予防治療として, 頭蓋照射と髄注が開始された直後に髄膜白血病と診断された.髄注が継続され, 発症から5ヵ月後に重篤な神経症状を伴う白質脳症と診断された.初診時の染色体分析でt (1;19) (q23;p13) の異常が認められた.本症例のほかに3例のt (1;19) を有する寛解早期の白質脳症の報告がみられ, t (1;19) は白質脳症の高危険因子である可能性が示唆された.
  • 須藤 善雅, 佐藤 宣貴, 北澤 淳一, 荒井 宏治, 伊藤 悦朗, 河内 暁一, 横山 雄
    1991 年 5 巻 5 号 p. 519-524
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    初診時両側末梢性顔面神経麻痺を呈し, 特異な染色体異常をもつ急性骨髄性白血病の1例を報告した.症例は2歳男児.右顔面神経麻痺が出現し約1週間で軽快後, 左顔面神経麻痺が出現したため近医を受診し当科に紹介された.末梢血白血球数13,800/μl, 白血病細胞24%, 骨髄では白血病細胞78.5%, FAB分類M2, 染色体は45, X, -Y, 3p-, 8q-, 10p+, 17q+ と46, XY, 3p-, 8q-, 10p+, 17q+が半々に認められた.細胞表面マーカーは二重染色で同一細胞にCDl3とCD19, CD33とCD19が陽性であった.髄膜白血病を認め, CT, MRIでは側頭筋, 後頭蓋窩内chloromaと両側乳様蜂巣への浸潤像を認めた.化学療法, 頭蓋照射が奏効し, 麻痺の回復, MRI上乳様蜂巣内異常信号部の消失がみられ, 10ヵ月間寛解を維持している.MRIは, 白血病浸潤による乳様突起炎の診断と治療効果の評価に有用と考えられた.
  • 多賀 崇, 相坂 明, 杉浦 康夫, 松川 誠司, 太田 茂, 島田 司巳
    1991 年 5 巻 5 号 p. 525-529
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    麻疹ウイルス感染に続発したVAHS (virus associated hemophagocytic syndrolne) の10ヵ月女児例を経験した.患児はファロー四徴症術後で, 発熱, 発疹, 無酸素症発作を主訴に当院に入院した.麻疹と診断され経過観察されたが, 汎血球減少, 肝機能障害, 意識障害が進行した.骨髄穿刺等の結果から, VAHSと診断した.経過中, 重篤な細菌性肺炎を来したが, 遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子 (rhG-CSF) 投与にて顆粒球が増加し救命しえた.rhG-CSFはVAHSによる好中球減少, およびそれに続発する二次性細菌性感染に対し有用な治療法であると考えられた.
  • 小菅 眞由美, 太田 茂, 松川 誠司, 多賀 崇, 島田 司巳, 川井 進
    1991 年 5 巻 5 号 p. 530-534
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能低下症を合併したTAMの一例を経験し, DNAヒストグラムの検討をおこなったので報告する.症例は生後0日の女児.ダウン様顔貌および著明な肝脾腫を主訴に当科に入院した.入院時, 白血球343,000/μlと異常高値を示し, 病的細胞が86%を占めた.骨髄でも病的細胞を69.8%認めた.病的細胞は電顕PPO (Platelet peroxidase) 検索にて陽性であり, 表面抗原の検索では, KOR-P77.CDw41が陽性であった.これらにより, 病的細胞は巨核球系細胞の性質を有していると考えた.DNAヒストグラムの検討において, 正常のパターンがえられた.臨床所見および経過からTAMと診断し, 対症療法のみで経過観察した.後に判明した染色体分析で全細胞が47XX, +21の核型を示したことによりTAMの診断を確定した.生後3ヵ月で病的細胞は自然消失し, また入院時に認めた貧血は甲状腺ホルモン投与により改善した.
  • 廣田 貴久, 関根 勇夫, 山岡 功児, 大川 貴司, 中村 幸嗣, 高田 佳宜, 中谷 圭吾, 子川 和宏, 吉岡 重威, 瀬野尾 章
    1991 年 5 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は9歳女児, 鼻出血を主訴に来院した.理学的には低身長 (<-3・OSD) とカフェオレ様色素斑を認めた.末梢血は汎血球減少を示し, 骨髄血ではmicromegakaryocyte, 過分葉の赤芽球を認め, また1トリソミーを含む染色体異常があることよりMDS (RA) と診断した.G-CSF, mPSLパルス療法を行ったが無効のため, busulfan, cyclophosphamideの前処置でHLA一致のドナーより骨髄移植を行った.Day28の染色体検査で生着を確認したが, 出血性膀胱炎, 消化管出血, 意識障害, 痙攣, 心停止等の合併症を認めた.また中毒性表皮壊死様皮疹, 下痢, 肝障害とgradeIVのGVHDを合併しday76に死亡した.移植後リンパ球のMMC処理による検査で染色体脆弱性が判明した.Fanconi貧血にMDS合併例の骨髄移植は, 前処置およびGVHDに対する検討が必要と思われた.
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