日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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5 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • F. Leonard JOHNSON
    1991 年 5 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    The most significant recent advances in bone marrow transplantation in children include the increasing number of diseases which can be treated successfully by this therapy, methods of increasing the number of available donors and the prevention of cytomegalovirus (CMV) infections. Matched allogeneic marrow transplantation is now established therapy for selected patients with leukemia, myelodysplastic syndromes, aplastic anemia, immunodeficiency syndromes and osteopetrosis. Recently, marrow transplantation has been successfully extended to the treatment of hemoglobinopathies, particularly thalassemia, and certain metabolic storage disorders such as Hurler's syndrome and metachromatic leukodystrophy. The development of effective marrow T-cell depletion techniques and unrelated donor registries offer the promise of increasing the number of patients who can benefit from this therapy by enabling mismatched transplantation. Obstacles that have to be overcome include the increased risk of graft failure and leukemic relapse associated with T-cell depletion, and graftversus-host disease characterizing mismatched transplantation. Finally a major advance in preventing CMV pneumonia, until recently the major cause of death following bone marrow transplantation, has been use of CMV-negative blood products when the patient and marrow donor are CMV negative.
  • Blanche P. ALTER
    1991 年 5 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    The inherited marrow failure syndromes are a heterogeneous group, with all types of genetic patterns, and the entire gamut of symptoms and physical findings. The only condition which can be diagnosed with certainty is FA, because of the chromosome breakage ; even this diagnosis requires thinking of it first. Many of the patients with these syndromes are not properly diagnosed initially; since treatment depends on diagnosis, it is important that these conditions be considered for every patient with single or pancytopenia. Hematopoietic cultures may be useful for defining the diagnosis or determining the prognosis. Many of these syndromes can be detected in utero in subsequent pregnancies, and thus there is an additional reason for early diagnosis of the propositus. Since at least heterozygotes for some of these conditions may be common (e.g. FA 1/200), it is reasonable to suggest that aplastic anemia genes may be sufficiently prevalent to explain even “acquired” aplastic anemia.
  • In vivoおよびin vitroにおける検討
    土岐 力, 横山 雄
    1991 年 5 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    赤血球造血刺激後の赤血球, 骨髄細胞, 脾細胞におけるhexokinase (Hx), pyruvate kinase (PK), glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD), malate dehydrogenase (MDH), δ-aminolcvulinate synthetase (δ-ALAs) 活性を測定した.In vivoにおける実験はWistar系雌ラットにacetylphenylhydrazine (APH) を腹腔内に60mg/kgで投与したものを用いて行った.末梢血と骨髄細胞は貧血開始より回復時まで24時間ごとに採取した.APH投与後4日目から6日目に赤血球中のHxとG6PD活性の上昇がみられた.骨髄細胞におけるこれらの酵素活性は3日目にいったん低下した後, 上昇するのがみられた.また,in vitroにおいて骨髄または脾細胞を1U/mlのerythropoietin (Epo) で刺激し, その後の酵素活性の変動も検索した.骨髄細胞中のPKおよびG6PD活性はEpo添加後2~4時間後に上昇するのがみられた.MDHとδ-ALA s活性は24時間後に上昇するのがみられた.これらのことより, 赤血球造血刺激後のラット骨髄および脾細胞における解糖系酵素活性の変動はMDHやδ-ALA sの変動に先だって起こることが示唆された.
  • 石川 昭, 井美 節子, 山田 耕一郎, 磯山 恵一, 新村 木実
    1991 年 5 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    未熟児貧血の存在は広く知られているが, これがエリスロポエチン (Epo) の産生欠如によるものか否かを検討する目的で未熟児のEpoの測定を行った.被検対象は在胎30週5日~40週1日, 出生体重1,600~1,900gの未熟児19例である.血清採取日齢は1~106日であり, 臨床的に異常の認められるものは対象から除外した.Epoの測定はラジオイムノアッセイによった.未熟児のEpoは生後第1日より検出されたが, 生後3週までは健康成人の下限値とほぼ同じ値を示した.生後3週を経過するとEpoは急激に増加し, その後は成人のEpo値の正常域内に分布した.なお, 生後34日で39mU/ml, 106日で 34mU/ mlと増加している症例が各1例認められた.未熟児の血色素量 (Hb) は生後急速に低下し, 生後8週前後で最低値に達した.一般にHbが149/dl以上ではEpo値は正常下限であったが, Hbの低下とともに増加の傾向がみられた.しかしながらその値は2例を除いて成人の正常範囲内にとどまった.ヘマトクリット値との問にもほぼ同様な傾向がみられた.被検対象をその経過中の最低Hb値により貧血群 (最低Hb<109/dl), 非貧血群 (最低Hb≧109/dl) に分類すると貧血群ではEpoはより高値を示した.以上の成績は未熟児においてもEpo産生能力が存在することを示している.しかしながらその産生能力は弱く, 貧血に対応したEpo産生も低いものであると思われた.
  • 藤波 彰
    1991 年 5 巻 2 号 p. 156-161
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児の血小板数, 平均血小板容積 (MPV), 血小板分布幅 (PDW) について検討した.正常児の血小板数は, 生後l週目から増加しはじめ2~3週で最高値となり, 生後6ヵ月まで高値をつづけた.その後年齢とともに減少した.成熟児, 未熟児, 生後1~6ヵ月, 6ヵ月~2歳, 2~6歳, 6~12歳, 12~16歳, 成人のMPVの平均値は, それぞれ8.03, 8.31, 8.08, 7.62, 7.82, 8.10, 8.53, 8.62μ3であり, 新生児, 生後1~6ヵ月ではMPVはやや大きく, 6ヵ月~2歳で小さくなり, それ以降では年齢とともに増加した.また年齢別でみると, 血小板数が少ないほどMPVは大きく, 血小板数が増加するにつれて小さくなる傾向にあった.PDwは, 血小板数が100~200×103/μlでは大きく, また新生児, 生後1~6ヵ月では, 他の年齢よりも有意に大きかった.生後6ヵ月以降で血小板数が200×103/μl以上では, PDWに差を認めず, PDWの平均値は16.17~16.31%であった.
  • 竹内 浩視, 藤井 裕治, 本郷 輝明, 増井 博行, 松井 由佳, 五十嵐 良雄
    1991 年 5 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は11歳の女児で, 右頬部の腫脹を主訴に他院を受診.右上顎洞腫瘍の生検にてバーキットリンパ腫と診断され, 精査治療目的で当院を紹介受診した.CTでは右上顎洞および篩骨洞に腫瘍が充満し, 頬骨の一部を破損していた.腫瘍細胞表面マーカーの検索では, Ia+, B1+, B2-, CALLA-, SlgはIgM70%陽性でBcelltypeと考えられた.腫瘍細胞の染色体分析では11q+, dup (12) が認められたが, バーキットリンパ腫に特異的といわれる (8;14) 転座, (2;8) 転座, (8;22) 転座は認められなかった.治療はhighd oseCPM, high doseMTXを含む化学療法にて寛解導入後, 維持療法で通常の化学療法のほかに, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法を実施した.放射線照射は実施しなかった.その後再発せず約3年の完全寛解期間を経て治療を終了し, 現在外来にて経過観察中である.特異的な染色体異常を持たないバーキットリンパ腫について, 今後も症例の検討が必要と考えられた.
  • 片山 啓太, 田丸 陽一, 橋本 浩之, 大野 一郎, 宮川 和彦, 市原 強, 五十嵐 登, 小泉 晶一, 谷口 昂
    1991 年 5 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    異型前骨髄球性白血病と考えられる一幼児例を報告した.症例は1歳4ヵ月の女児で, DICおよび15番と17番の染色体転座があり, 初診時の白血球数は180,000/μlで尿および髄液にも芽球の浸潤がみられた.芽球は分葉核と細かい “dust-like” 顆粒が特徴的でfaggotsはみられなかった.多剤併用の化学療法により血液学的に寛解したが, B型劇症肝炎により全経過10ヵ月で死亡した.これまでに報告された年少児の前骨髄球性白血病について文献的考察を加えた.
  • 松林 正, 市川 広美, 稲垣 晴代, 今枝 正行, 水谷 文彦, 安藤 光広, 鈴木 賀巳, 西村 豊
    1991 年 5 巻 2 号 p. 172-175
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病を合併した結節性硬化症の1例を報告した.症例は結節性硬化症の9歳の女児で, 発熱と全身倦怠のため近医受診, 血液検査・骨髄検査にて急性リンパ性白血病と診断され当科紹介入院となった.骨髄塗抹標本では芽球が96%を占めていた.芽球は細胞生化学的には, ペルオキシダーゼ染色陰性, PAS染色陽性で, 表面マーカー検索では, CD9, CD10, CDI9, CD20, HLA-DR陽性であった.化学療法を行い, 完全寛解を得た.神経線維腫症では白血病合併例は散見されているが, 同じ神経皮膚症候群である結節性硬化症での白血病合併は非常に稀である.
  • その特異性と類縁疾患についての文献的考察
    馬淵 理, 見須 英雄, 若林 良, 橋本 公夫
    1991 年 5 巻 2 号 p. 176-181
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    7歳女児が咳漱, 発熱, 胸痛, 顔面浮腫のため入院した.充満した胸水のため左肺は虚脱状態であったが, 胸腔ドレナージ施行により前縦隔腫瘤陰影が明瞭となった.胸水中には多数のリンパ芽球が認められ, CD1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 38, 57が陽性であった.縦隔T細胞性非ホジキンリンパ腫として寛解導入療法を施行したが, 化学療法に対する反応は不良で, 前縦隔腫瘍は有意な縮小をみることなく感染症で死亡した.これは同時期に治療したCD57陰性悪性Tリンパ球系腫瘍の5例が同様の寛解導入療法によく反応したことと対照的であった.Natural killer細胞系抗原陽性のT細胞性非ホジキンリンパ腫は化学療法に抵抗性で予後不良であることから通常のT細胞性非ホジキンリンパ腫とは区別されるべき疾患であり, その中でもとりわけCD57陽性症例は前縦隔腫瘍をもち, 若年女性によく発症することが特徴である.本邦では同様の報告例は文献上なかった.この腫瘍に対する治療には特別な工夫が必要である.
  • 池野 一秀, 中畑 龍俊, 山崎 崇志, 今井 寿郎, 菊池 俊実, 天野 芳郎, 小宮山 淳
    1991 年 5 巻 2 号 p. 182-188
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11歳の重症再生不良性貧血の男児に, HLA一致, MLC陰性, ABO不一致の3歳の妹より骨髄移植を行った.骨髄移植の翌日より, recombinant human granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (rhGM-CSF) が, 投与量250μg/m2/dayで, 25日間連続投与された.その結果, 顆粒球数は, Day+15より増加がみられ, Day+19に500/cmmを越えた.また, 血小板数は, Day+29に105/cmm以上となった.我々は, 同様のconditioningを行い, 骨髄移植後にrecombinant human granulocyte colony-stirnulatingfactor (rhG-CSF) を併用した重症再生不良性貧血患児二人と, 顆粒球数, 血小板数の回復を比較した.rhGM-CSFを投与したときの顆粒球数の回復は, rhG-CSFと類似していたが, rhGM-CSFは, rhG-CSFに比べ, より特異的に血小板数の回復を刺激するように思われた.患児は, rhGM-CSFの投与期間中, 抗生物質不応性の高熱をきたし, rhGM-CSF自身が発熱の原因である可能性も疑われた.その他の副作用はみられなかった.以上の結果より, rhGM-CSFは, 小児の骨髄移植後の造血能の回復に有用であると思われた.
  • 数田 紀久子, 村田 美由紀, 上嶋 泰生, 村松 陽子, 藤原 克彦, 曽我 啓一, 今宿 晋作
    1991 年 5 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    歯肉出血を主訴とし, 汎血球減少を認めた6ヵ月の男児に, プレドニゾロンとヒト遺伝子組換え型顆粒球コロニー形成刺激因子 (以下rhG-CSF) の併用投与を行った.好中球減少を含む汎血球減少をきたした機序の一つに何らかの免疫学的機序の関与が考えられた.大量ガンマグロブリン療法は無効で, プレドニゾロン単独投与により貧血と血小板減少は改善したが, 無顆粒球状態は持続し, プレドニゾロンの減量とともに再び汎血球減少となった.rhG-CSF25~100μg/m2/dayの点滴静注および皮下注投与とプレドニゾロン3ヵ月の併用投与では, 効果は一過性であったが, rhG-CSF 50~200μg/m2/dayの皮下注投与とプレドニゾロンの併用療法を6ヵ月続けたところ血液所見は完全に回復し, 両者を減量.中止した後も寛解を維持している.また, rhG-CSFの副作用は認めなかった.
  • 成宮 正朗, 太田 茂, 島田 司巳
    1991 年 5 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    眼球突出と髄膜炎様症状を初発症状とする8歳女児のALL症例 (FABLL3) を経験した.本症例は発症の形式が特異であり, 診断には繰り返し施行した髄液 (CSF) の細胞診が有効であった.また髄液細胞と骨髄 (BM) 細胞の形態に差異が見られたが, 表面マーカーよりB-cell ALLと診断しえた.CTスキャンで見られた副鼻腔の腫瘤陰影からBurkitt lymphomaの白血病化症例と推定された.
  • 梶ケ谷 保彦, 関口 晴之, 生田 孝一郎, 佐々木 秀樹, 松山 秀介
    1991 年 5 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    l-asparaginase/ vincristine/ prednisoloneおよび遺伝子組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) の同時期併用投与を中心とした多剤併用療法により小児難治性急性リンパ性白血病3例の治療を試みた.結果は1例が完全寛解, 2例が不完全寛解 (骨髄での芽球は5%以下であるが, 顆粒球系造血の回復のみであるため) であった.完全寛解例での維持期間は14日と短く, 平均不完全寛解維持期間は40日, 平均生存期間は137日であった。1例は肺真菌症により死亡し, 他の2例は白血病再発により死亡した.副作用としては感染症, 低アルブミン血症, 低フィブリノーゲン血症, 高血糖がみられた.l-asparaginase/ vincristine/ prednlsolone およびG-CSFの同時期併用投与による造血幹細胞の細胞回転修飾理論に基づいた治療法は小児難治性急性リンパ性白血病の再寛解導入療法としては良好と考えられたが, 寛解維持期間が短く寛解導入後の治療について新たなる考慮が必要と思われた.
  • 山谷 眞己, 洲崎 健, 窪田 博道
    1991 年 5 巻 2 号 p. 206-211
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    t (6;9) (p23;q34) の染色体異常を有し, 末期に著明な低リン血症を伴った急性骨髄性白血病の13歳男児例を報告した.発熱と右股関節痛を主訴として受診し, 初診時の末梢血白血球数は35,300/μlで芽球が92.5%認められた.骨髄有核細胞数は46,300/μlで芽球が88%認められ, 細胞組織化学的検索にてFAB分類のM1と診断した.骨髄細胞の染色体検査で分裂像の得られたすべての細胞にt (6;9) (p23; q34) を認めた.各種化学療法により寛解導入を試みたが治療抵抗性であり, 寛解導入できないまま全経過5ヵ月で死亡した.本例の経過中, 末梢血の好塩基球増多と, 末期に血清および尿中リンの著明な低下を認めた.文献報告例との対比により, 本例でみられた6;9転座型白血病の臨床的特徴と, 経過中にみられた低リン血症につき検討を行った.
  • 西機 哲夫, 木戸脇 卓郎, 高田 洋, 沖 守生, 今宿 晋作
    1991 年 5 巻 2 号 p. 212-215
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    顆粒球減少症を合併したStevens-Johnson症候群の6歳男児例を経験した.発症5日目より無顆粒球症が持続し感染も合併し全身状態は重篤となった.ステロイドは使用せず, 無顆粒球症に対し発症9日目より遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子 (rhG-CSF, 中外rG・CSF) 2μg/kg/日の連日皮下注射を開始したところ, 投与4日目には顆粒球数7,000/μ1に達した.顆粒球増加と同時に解熱し皮疹や全身状態も改善を認めた.血中顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 濃度は, 無顆粒球症が持続していた期間には最高8,445pg/mlと上昇していたが, 顆粒球数の増加後低下した. rhG-CSFは本例のような顆粒球減少症を合併したStevem-Johnson症候群の治療に試みる価値があると考えられた.
  • 外松 学, 由上 伸一郎, 末武 教行, 大島 幸雄, 設楽 利二, 黒梅 恭芳, 林 泰秀
    1991 年 5 巻 2 号 p. 216-220
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11q23に切断点のある染色体異常をもつ白血病は特有の病態を呈することが知られているが, われわれはt (6 ; 11) (P21 ; q23) の染色体異常を有する乳児急性白血病を経験したので報告する.症例は, 5ヵ月の男児で, 発熱と嘔吐を主訴に来院, 理学的所見では肝脾腫以外の異常を認めなかった.末梢白血球数は, 83,600/μlで, そのうち, 芽球が58%を占めていた.細胞形態と組織化学の結果より, 本症を AMMoL (FAB ; M4) と診断した.また, 染色体検査では, t (6;11) (P21 ; q23) の異常核型が認められた. ACMP療法で完全寛解を得たが, 寛解後6ヵ月で中枢神経系に再発した.本患児は, 現在も治療継続中であり, 二回目の完全寛解を維持している.11q23に切断点がある転座型染色体異常を有する急性白血病の報告は多いが, 11q23の転座相手は, 4, 9, 19番染色体が多く, 6番染色体との転座は過去3例の報告があるがいずれも長腕との転座であり, 短腕との転座は, 本例が第1例目と思われた.
  • 甲斐 純夫, 生田 孝一郎, 佐々木 秀樹, 船曳 哲典, 松山 秀介, 森 哲夫
    1991 年 5 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病様の症状にて発症した若年型慢性骨髄性白血病の1例を報告する.患児は1歳4ヵ月の男児で, 血小板減少と骨髄の巨核球増多を認めた, 赤血球系, 白血球系の異常はなくITPと診断しプレドニン投与により血小板数は増加した.7ヵ月後に末梢血の著明な血小板減少と白血球増多, 幼若細胞の出現を見たが, 骨髄では芽球の増加は見られなかった.さらに5ヵ月後の2歳5ヵ月時に肝脾腫, 単球増多, 胎児型ヘモグロビンFの増加により若年型慢性骨髄性白血病と診断した.本症例に見られた発病時のITP様症状は若年性慢性骨髄性白血病の前白血病状態と考えられた.
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