日本小児血液学会雑誌
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6 巻 , 2 号
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  • 木下 清二
    1992 年 6 巻 2 号 p. 81-90
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    先天性血小板機能異常症の多くは血小板膜glycoproteinの先天的欠損/異常によることが知られており, 蛍先色素で標識したこれらglycoproteinに対するmonoclonal抗体を用い, 血小板機能異常症にHowcytometryを応用することは個々の血小板表面のこれらglycoproteinの存在を解析でき, その診断に有用である.特に血小板無力症, Bernard-Soulier症侯群では本方法を用いた血小板膜glycoproteinの定量はこれら疾患の診断に加え, 保因者診断, 胎児診断が可能である.さらに丘brinogen binding assayのような血小板機能解析, 活性化血小板の検出や血小板放出能の解析, また遺伝子組み換え技術により細胞上に表出された血小板由来蛋白の存在や機能の解析にも用いられている.先天性血小板機能異常症のflow cytometryを用いた解析はその簡便性, 短時間に可能であること, 小量の検体で多数の検体が検索可能な点, 一個一個の細胞について検索できる点, 多くの洗浄操作を必要とせずnativeな血小板を観察できる点に特徴を認め, 新たなmonoclona1抗体の開発と共にこれら疾患への有用性は今後ますます高まるものと考えられる.
  • 佐藤 純子, 二宮 恒夫, 高上 洋一, 岡本 康裕, 斎藤 慎一, 平尾 敦, 清水 隆史, 阿部 孝典, 渡辺 力, 河野 嘉文
    1992 年 6 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    全身放射線照射 (TBI) を用いない超大量化学療法を併用した自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) を施行し, 1年以上経過した小児癌患者6例で, 移植後の成長と内分泌機能を検討した.Insulin, LH-RHおよびTRH同時負荷試験を実施し, 同時に血中甲状腺ホルモン, somatomedin-C, testosterone, 尿中GHおよび骨年齢を測定した.移植前に中枢神経および睾丸再発をきたし, 頭蓋と両側睾丸に放射線照射を受けた1例では, GH分泌能は低下, LH, FSH分泌能は過剰反応を示し, testosteroneは低値であった.また身長発育は思春期のgrowth spurtが発来せず, testosterone投与後にcatch up growthがみられた.しかし他の5例では内分泌機能はほぼ正常で, 身長発育もPBSCT後6ヵ月から1年間の一時的な停滞をみた後は正常であった.TBIを用いないPBSCTは, 小児において明らかな内分泌機能異常や成長障害をきたさないと思われた.
  • 天野 芳郎, 中畑 龍俊, 落合 二葉, 小池 健一, 小宮山 淳
    1992 年 6 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    輪血歴のある小児血液・悪性腫瘍疾患患児130例についてOrtho社のHCV抗体ELISA systemを用いてHCV抗体価を測定し, 陽性例23例 (17.7%) について臨床的に検討した.11例 (8.5%) はHCV抗体が8から18ヵ月間持続的に陽性を示し, 肝障害は慢性に経過し, 初回の輸血後, 3-56カ月のうちに非A非Bに罹患していた.他の12例は経過観察中にHCV抗体が陰性化し, 肝障害も一過性であった.前者の11例はC型肝炎と診断したが, 後者の12例のHCV抗体は臨床経過から偽陽性の可能性も考えられた.HCV抗体持続陽性例の2例では化学療法により肝障害が軽快し, その内1例でHCV抗体の陽性化が肝炎発症後28ヵ月と著しく遅延した.これらの結果から輸血歴を有する血液・腫瘍疾患患児ではC型肝炎のリスクが高く, 治療による免疫抑制が肝機能の一時的な正常化やHCV抗体の出現の遅延などC型肝炎の自然経過を修飾する可能性が示唆された.
  • 森本 克, 細谷 亮太, 西村 昂三, 安井 正人, 岩間 直, 海老原 康博, 山川 玉蘭, 松藤 凡, 横山 穰太郎
    1992 年 6 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    約2年間にわたり, 小児癌患児を中心に埋め込み型中心静脈カテーテルを使用したので, この間の合併症について報告する.対象患児は急性白血病15例, 固形腫瘍5例, 脳腫瘍1例, 先天性ネフローゼ症候群1例の22例であり, 延べ24回留置した.留置中の合併症は感染46%, dislodging 38%, 閉鎖29%であった.合併症による抜去は24例中7例 (29%) であり, その多くは2歳以下の幼少児であった.抜去した原因はカテーテル敗血症や留置部皮膚の感染, 肥満による穿刺困難, カテーテル先端の迷入, および, 埋め込み部分の穿通であった.本カテーテルは小児癌などの長期間点滴を必要とする患児にとって非常に有用ではあるが, その使用には十分注意しなければならないと思われる.
  • 畑江 芳郎, 武田 武夫, 中舘 尚也, 藤田 晃三, 鈴木 豊, 工藤 亨, 石川 順一, 佐竹 良夫, 今井 敏夫, 桑島 滋, 高橋 ...
    1992 年 6 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    北海道小児悪性腫瘍感染症研究会では, 小児悪性腫瘍患児の好中球減少時に, 感染症が疑われた際にempiric therapyとしてAztreonam/Piperacillin (A群) およびTobramycin/Piperacillin (B群) の併用療法を行い, その有効性と副作用につき検討した.1990年1月から12月までの1年間に121例の発熱症例があり, このうち有効判定症例数は103例であった.有効率はA群で74.5% (41/55), B群で83.3% (40/48) であり, 両群間に有意差はみられなかった.副作用としてはA群で3例 (3.2%), B群で4例 (5.5%) みられたが, いずれも薬剤投与中止あるいは継続にもかかわらず症状は消失した.以上より, Aztreonam/Piperacillin併用療法は化学療法後の好中球減少時の感染症に対して高い有効率であり, またAztreonamは好中球減少時のグラム陰性菌感染症の治療においてTobramycinに代わりうる薬剤として有用であり, empiric therapyとして他の抗生物質と組み合わせて使用されてよい薬剤と考えられた.
  • 井嶋 裕子, 設楽 利二, 末武 教行, 由上 伸一郎, 外松 学, 大島 幸雄, 黒梅 恭芳
    1992 年 6 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Infantile genetic agranulocytosis (Kostmanntype) の一例を報告し, 穎粒球系造血抑制の機序について検討した.患者末梢血単核細胞は自己および健康対照者の骨髄granulocyte-macrophage (GM) コロニー形成を抑制した.また患者のGMコロニー形成は患者骨髄単核細胞からT細胞を除去することにより増加した.患者血清には自己および健康対照者のGMコロニー形成への抑制作用は見られなかった.これらの所見から, この患者のKostmann typeの好中球減少症の発現にT細胞が重要な役割を果たしていることが示唆された.
  • 長谷川 望, 伊従 秀章, 小林 尚明, 石戸谷 尚子, 星 順隆, 広津 卓夫, 赤塚 順一
    1992 年 6 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    われわれの経験した乳児期発症のLangerhans cell histiocytosis 3例から本症の自然歴の異質性について検討したので報告した.症例1は1歳6ヵ月発症の下顎骨原発の好酸球性肉芽腫症である.腫瘤掻爬術浸出液が持続したためやむなく放射線療法を施行したところ顔面の萎縮を残し二次的障害と考えられた.症例2, 3はともに1歳未満に発症したLetterer-Siwe病である.両者とも自然軽快の傾向を認める一方, 感染症に伴い増悪を認めた.症例2は現在5歳であるが, 無治療で治ほぼ癒状態である.症例3はvincristine, prednisoloneを中心とした化学療法を施行したが軽快, 増悪を繰り返し今後慎重に経過観察していく必要がある.LCHは症例によって症状, 予後など様々で, 統一した治療法の確立は困難である.
  • 清水 隆史, 高上 洋一, 斎藤 慎一, 佐藤 純子, 岡本 康裕, 渡辺 力, 阿部 孝典, 河野 嘉文, 正宗 克浩, 日野 昌雄, 嵩 ...
    1992 年 6 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) 施行を目的に, 強化療法施行中の小児癌患者37名 (1~18歳, 平均8.5歳) において, 延べ50回の中心静脈カテーテル (カテ) 留置を行い, それに伴う合併症について検討した.カテは高カロリー輸液, 抗癌剤や血液製剤の投与, および採血に用いた.1人当たりのカテ挿入回数は平均1.4回 (最大3回) で, 1回当たりのカテ留置期間は平均98日 (3~260日) であった.カテ留置中に38℃以上の発熱をきたし, CRPも陽性を呈したため感染症を疑われた回数は, 延べ124回であったが, 血液培養陽性でカテ敗血症と確診されたのは21回 (17%) であった.21回中5回は抗生剤療法無効のためカテを抜去した.カテの閉塞をきたした回数は延べ63回であったが, 58回はウロキナーゼ (1万単位/m1) 1mlの20~30分間留置によって再開通し, 抜去に至ったのは残りの5回であった.延べ50回カテ留置中30回 (60%) は治療完了までカテ留置を続けることが可能であった.カテ留置は, 重篤な病態を併発するリスクの特に高い強力化学療法施行中の患児においても, 有用な支持療法であった.
  • 渡辺 力, 河野 嘉文, 高上 洋一, 平尾 敦, 阿部 孝典, 斉藤 慎一, 佐藤 純子, 二宮 恒夫, 横林 文子
    1992 年 6 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児癌患者の自家末梢血幹細胞 (PBSC) 採取時の血液中および採取・分離した造血幹細胞分画中に含まれる単球を無刺激あるいはmacrophage-colonystimulatingfactor (M-CSF) 刺激下で培養して得られる培養上清中のgranulocyte/macrophage-colony stimulating activity (GM-CSA) を・メチルセルロース・コロニー形成法を用いて検討した.化学療法後骨髄回復期の患者血液中および採取・分離した分画中の単球の培養上清には, 無刺激でもM-CSF刺激時と同程度のGM-CSAが認められた.また, 単球のGM・CSA分泌能は, 細胞の凍結・融解処置の前後において変化を認めなかった.以上より, このような単球を移植片中に多く含む自家末梢血幹細胞移植術では術後の速やかな血球回復の一因として単球が関与している可能性が示唆された.
  • 渡辺 淳, 関 隆志, 右田 真, 福永 慶隆, 山本 正生
    1992 年 6 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    MMR (measles-mumps-rubella) ワクチン接種後に血小板減少性紫斑病を呈した1例を報告した.症例は2歳3ヵ月の男児.MMRワクチン接種3週後に点状出血斑が出現した.ワクチン接種26日目に, 血小板数は13,000/μlで, 骨髄では巨核球が増加し, 巨核斑には血小板の付着像を認めなかった。出血傾向は自然経過で改善し, ワクチン接種後65日には血小板数は200,000/μlとなった.ウイルス感染後に血小板減少性紫斑病を合併することは以前より知られている.また麻疹等のワクチン接種後に血小板減少性紫斑病を発症した報告もみられるが, MMRワクチン接種後に生じた報告は少ない.本症例では, 血小板減少性紫斑病とMMRワクチン接種と関連性が考えられた.
  • 今井 正, 橋本 政樹, 石井 禎郎, 近藤 昌敏, 伊藤 進, 磯部 健一, 大西 鐘壽, 佐野 正, 和田 義郎
    1992 年 6 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Pearson症候群は, 骨髄の前駆細胞に空胞を有し, 環状鉄芽球の増加を伴った強度の貧血, 膵外分泌機能障害を主徴とする症候群である.著者らは, 日齢6より著明な貧血を認め, 頻回の輸血を必要としたが, ウベニメクス投与開始後貧血の改善した本症候群の1例を経験した.成長発達は正常であったが, 1歳11ヵ月時にロタウイルスによる嘔吐下痢症に罹患後, 全身硬直し, 呼びかけに対する反応もなく寝たきりの状態になった.2歳4ヵ月時に, 突然の発熱, 低血糖, 代謝性アシドーシスを伴った緑膿菌の敗血症にて死亡した.脳, 筋肉, 膵をはじめ多臓器にわたってミトコンドリアDNAが欠失しており, その部位は, np8483-13459であった.本邦にてミトコンドリアDNAの欠失を証明し診断しえた本邦第1例と思われた.本症候群の貧血の原因は, 自験例での, 赤血球中のプロトポルフィリンおよび環状鉄芽球の増加を考えると, ミトコンドリア内でのヘムの生成に障害があると思われた.
  • 滝 正志, 伊藤 浩信, 桝井 志保, 鈴木 優佳, 目黒 嵩, 塩口 淳一郎, 佐賀 正彦, 山田 兼雄
    1992 年 6 巻 2 号 p. 144-147
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    重篤な卵巣出血を呈した先天性無フィブリノゲン血症例を報告した.患者は既に診断が確定された症例であるが, 急性腹症で緊急入院となった.血液検査, 腹部エコー, MRIにより速やかに卵巣出血と診断し, 濃厚赤血球輸血, フィブリノゲン製剤および新鮮凍結血漿の補充により後遺症を残すことなく治療できた.先天性無フィブリノゲン血症の患者が急性腹症を呈した場合, 卵巣出血の可能性を常に考慮し, 速やかに的確な対処をすべきである.
  • 黄 原, 桑島 信, 荒木 千晶, 竹内 東光, 松本 芳郎
    1992 年 6 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は15歳女児で, 初診時末梢血, 骨髄所見より急性リンパ性白血病と診断した.寛解導入療法後の好中球減少症に伴って発熱し, 抗生剤に加えて抗真菌剤fluconazoleを投与して解熱した.その後, 好中球数が回復したが血清CRP値は正常化せず, 腹部CTにて肝, 脾, 左腎に多発性の低吸収域を認めた.血液培養, 尿培養は陰性だったが, 検尿にて真菌を認め, 便培養でCandidaが検出された.Fluconazoleを増量してCRP値は正常化した.以後, 強化療法後に発熱はないがCRP値が上昇し, 好中球数回復に伴って正常化するepisodeを繰り返した.画像では, Candida膿瘍に特徴的とされているtarget signを超音波にてより早期に認め, 約1年後には石灰化を示唆する所見となった.化学療法とfluconazole投与を交互に行い, 現在まで初回寛解を維持している.
  • 森本 克, 細谷 亮太, 西村 昂三
    1992 年 6 巻 2 号 p. 152-157
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    我々は肝機能異常を伴わずに一過性高アンモニア血症を呈した急性リンパ性白血病2例を経験したので報告する.症例1は, 10歳の骨髄再発例で, 真菌性肺炎の治療中に意識障害を呈し, 高アンモニア血症, 低カリウム血症, 代謝性アルカローシスを認めた.高アンモニア血症に対する治療に反応して40時間後には回復した.症例2は13歳の初発例で, 化学療法直前, 大量補液とアルカリ化の後に無症候性高アンモニア血症を認めた.しかし, 化学療法開始後速やかに改善した.ともに重篤な肝機能異常は見られず, 明らかな高アンモニア血症の原因は認められなかった.
  • 衣川 直子, 沖本 由理, 太田 節雄, 堀江 弘
    1992 年 6 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    7歳男児, Tcelldiffuse type lymphoblastic lymphomaは多剤併用化学療法 (predonisolone 60mg/m2, vincristine 1.5mg/m2, l-asparaginase 6,000U/m2, pirarubicin 20mg/m2, cyclophosphamide 1,200mg/m2) 開始後16週に完全寛解を確認した.しかし, 第21週よりの強化療法中に高熱, 呼吸不全が進行し, サイトメガロウイルス肺炎を疑い, ガンシクロビル10mg/kg, メチルプレドニゾロン大量20mg/kg, サイトメガロウイルス高力価のガンマグロブリンを投与したが, 効果なく, さらに, アンホテリシンBとフルコナゾールの抗真菌療法を施行したが, 肺炎罹患後29日に死亡した.剖検よりサイトメガロウイルス問質性肺炎, アスペルギルス脳炎を含む全身のアスペルギルス感染症の所見が得られ, 肺組織からサイトメガロウイルスが分離された.この症例は悪性疾患治療に伴う免疫不全状態には, ウイルス感染や真菌感染などの日和見感染の早期診断, 予防療法が重要であることを示唆している.
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