日本小児血液学会雑誌
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7 巻 , 2 号
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  • 別所 文雄
    1993 年 7 巻 2 号 p. 105-116
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    Fanconi貧血の表現形質は多様で, 全く外表奇形を持たない症例も少なからず存在する.この多様性は同一家系内でもみられる.逆に, 表現形質上はFanconi貧血から区別不可能であるが, 染色体異常が検出されない例が存在する.当面このような例はFanconi貧血の分析からは除外することが適当と考えられる.白血病, 偏平上皮癌, 肝腫瘍などの発生が報告されているが, 肝腫瘍については蛋白同化ホルモンの関与も考えられる.白血病の型では急性骨髄単球性白血病, 赤白血病が多く, また骨髄異形成症候群も多くみられる.白血病に対する化学療法や骨髄移植のための前処置に対する感受性が高く, 注意が必要である.遺伝学的には単純な常染色体劣性遺伝をするとされるが, 少なくとも四つのcomplementation群の存在が知られており, C群の遺伝子FACCが単離されている.他の群の遺伝子も単離され, それらの性質が明確にされることにより, Fanconi貧血を巡る様々な問題が解決されるものと期待される.
  • 鞠子 眞済, 三浦 修治, 徳田 晴厚, 橋本 和子, 高橋 幸博, 吉岡 章, 福井 弘
    1993 年 7 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Heparin添加二次元交叉免疫電気泳動 (CIE) により小児DIC2症例のATIII抗原分画の検索を行った.正常血漿中のheparin添加CIEでは主峰である陽極側のIATIII1と, より陰極側のIATIII2およびIATIII3 (cathodal components) が認められるが, DIC症例ではATIII量にかかわらず, 同年齢の正常小児に比べてcathodal componentsの増高を認めた.この増高は, thrombin/antithrombin III複合体 (TAT) の増加と相関していた.TATの動態に加え, heparin存在下のATIIIのCIEは, DICの診断および病態の解析と病勢の判定に有用と思われた.
  • 花田 良二, 森脇 浩一, 中村 こずえ, 車田 宏之, 林 泰秀, 山本 圭子, 柿沼 智亜硫, 谷村 青志路, 細谷 和良
    1993 年 7 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児例7例で移植前処置として投与された, busulfan (BUS : マブリン散TM) のpharmacokineticsを検討した.BUSの投与方法は1mg/kg×16回であった.BUSの初回投与後のAUC (area under the curve) は体表面積換算したBUSの投与量と正の相関がみられた.小児例特に年少児においては, BUSは体重換算ではなく, 体表面積換算で投与量を考按する必要がある.またBUSしは髄液中に高い移行性がある.
  • 脇口 宏, 倉繁 隆信, 大平 睦郎, 神谷 斉, 桜井 實, 河 敬世, 石原 重彦, 西林 洋平
    1993 年 7 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    3~14歳の小児慢性活動性EBウイルス感染症30例と成人例2例, および両親27例 (父12例, 母15例) についてEBウイルス抗体, EBウイルス特異的細胞傷害性T細胞 (EBVCTL) 活性, NK活性, LAK活性, およびNK細胞とCTLサブセットを検討した.両親は27例全例がVCA-IgG抗体陽性であったが, 9例でEBNA抗体陰性で, 2例ではEA抗体陽性であった.EBVCTL活性, NK活性は, 患児, 両親共に対照健常例に比して有意に低値を示した.LAK活性は, 患児では有意に低値であったが, 両親では対照と差がみられなかった.患児と両親のCTLサブセットおよびNK細胞サブセットの比率は対照と差がみられなかったが, 患児の2例にLGL増多がみられた.以上のことから, 慢性活動性EBウイルス感染症では, 家族内発生はみられていないものの, 基礎に家族性の因子があるか否か, 今後検討する必要があると考えられた.
  • 清水 隆史, 高上 洋一, 鈴江 毅, 斎藤 慎一, 阿部 孝典, 佐藤 純子, 平尾 敦, 渡辺 力, 河野 嘉文, 黒田 泰弘
    1993 年 7 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    徳島大学小児科において, 37例のハイリスク急性リンパ性白血病 (ALL : 32名) または悪性リンパ腫 (NHL : 5名) 患児に, 計42回の自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) を施行した.患者は, 第1寛解期施行群18例, 第2寛解期群13例, 第3寛解期以後群5例および再発時施行群6例である.本研究では, PBSCT後に再発をきたした24例の患者の予後を検討した.再度化学療法にて, 再寛解を得たのは9例であったが, 現在も寛解を続けているのは3例に過ぎない.PBSCT後に再発をきたした場合には, 長期生存を得ることは困難であった.
  • 伊従 秀章, 石戸谷 尚子, 長谷川 望, 廣津 卓夫, 赤塚 順一
    1993 年 7 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    亜急性壊死性リンパ節炎2例の骨髄所見について検討した.症例1では, 入院後高熱, LDH, フェリチン値の上昇が著明で, 入院3日目には骨髄中のhistiocyte-monocyte系細胞が5.8%で, Manoharanらの分類 (Manoharan A, Catovsky D : Haematol Blood Trans血sion 27 : 205-210, 1981) によれば, stageHII86%, stageIV, VI4%で, さらに, 入院19日目ではhistiocyte-monocyte系細胞は10.5%まで増加し, stageI-III46%, stageIV, V54%で血球貧食像も散見された.症例2では同様に骨髄中のhistiocyte-monocyte系細胞の増加を認め, 入院3日目, 24日目共にstageI-III90%, stageIV, VlO%であった.これらの所見および過去の報告例から, 亜急性壊死性リンパ節炎の病状が進行するとhistiocyte-monocyte系細胞の占有率が上昇し, 成熟型のhistiocyte-monocyte系細胞が増加する可能性が示唆された.
  • 森本 哲, 岩見 均, 木崎 善郎, 小西 清三郎, 粕淵 康郎, 東道 伸二郎, 澤田 淳, 日比 成美, 今宿 晋作
    1993 年 7 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は12歳の男児.慢性骨髄性白血病 (CML) の初回慢性期に, interferon alphaによる治療を6週間行った後, HLAの一致した妹より同種骨髄移植 (BMT) を施行した.3カ月後に急性転化で再発し, 多剤併用化学療法をするも治療抵抗性となった.強力な化学療法後に, 骨髄donorより得たbuffy coat cellsを輸注したところ, Ph1染色体の消失をみ, 完全寛解を得た.4カ月間寛解を確認し, 同じdonorより再度BMTを施行した.本例が再完全寛解に至った理由として, (1) 骨髄donorリンパ球によるgraft-versus-leukemia効果, (2) 強力な化学療法後の骨髄donor末梢血幹細胞による血液学的改善, が考えられた.このような併用療法は, 同種BMT後のCML再発例に試みるべき方法と思われる.
  • 鹿野 高明, 有岡 秀樹, 小林 良二, 内藤 広行, 石川 順一
    1993 年 7 巻 2 号 p. 149-153
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    11歳男児, 不明熱と頸部リンパ節腫大を主訴に入院する.リンパ節生検による組織所見とKi-1抗原 (CD30), CD25, CD4が陽性であることよりKi-1リンパ腫と診断された.ModifiedLSA2-L2治療を行ったが, 発症から約4カ月で死亡した.末期の骨髄検査にて悪性細胞の浸潤を認め, その染色体検索で2;5転座以外の異常を認めた.go例の小児 (15歳以下) Ki-1リンパ腫において文献的に予後因子を検討した.18例 (20%) 死亡している.以下の事項において, 予後に差がある傾向を認めた. (1) 年齢5歳以下, 10歳以上とそれ以外 (死亡例%, 31%vsO%). (2) 骨所見の有無 (42%vs17%). (3) 染色体所見, 2;5転座以外の異常と2;5転座 (100%vsl6%).予後不良因子を持つKi-1リンパ腫は, さらに強力な治療がなされるべきと思われる.
  • 毛利 嘉元, 原 寿郎, 宮崎 澄雄
    1993 年 7 巻 2 号 p. 154-157
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は24歳の女性.6歳時に再生不良性貧血の診断で治療を受け, 9歳で治療中止, 以後血小板減少のみ持続していた.先天奇形の合併, HbFの増加, mitomycinC (MMC) 添加時の染色体脆弱性よりFanconi貧血と診断した.さらに3系統の血球形態異常を示し, 骨髄のblastが20%以下, 骨髄染色体異常 [46, XX, +der (1q21q), -21], 末梢血のblastが5%未満でかつ, 末梢血において1,000/μl以上の単球増加の持続によりmyelodysplastic syndrome (MDS) のchronic myelomonocytic leukemia (CMMoL) と診断した.Fanconi貧血患者でCMMoLを発症したのは, 世界で2例目でかつ単球増多は10年以上持続しており, 極めて稀な病態と考えられる.
  • 清水 隆史, 高上 洋一, 阿部 孝典, 黒田 泰弘, 岩井 艶子, 中館 尚也, 畑江 芳郎, 武田 武夫
    1993 年 7 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    白血病発症後に自然寛解を示し, 50日後に再燃した急性リンパ性白血病男児例において, 寛解導入から7カ月後に超大量化学療法を行い, 末梢血幹細胞移植術を施行した.現在患児は移植後36カ月で, 治療を行うことなく無病生存中である.
  • 外松 学, 由上 伸一郎, 大島 幸雄, 設楽 利二, 黒梅 恭芳
    1993 年 7 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は14歳の女児で, 1986年10月, 関節痛を主訴に当科入院となった.入院時, 芽球が末血に5%, 骨髄に76.4%認められ, その形態はFAB分類L2であった.細胞表面マーカー検査では, CD2, CD3, CD8が陽性, E-ロゼットも陽性であり本例をT-ALLと診断した.ALLプロトコールに従って治療開始し5週後に完全寛解を得たが, 1989年7月, 左乳房に再発した.免疫組織染色で芽球はTcell系のマーカーを有していた.治療により腫瘤は消腿したが, 1991年5月, 乳房と骨髄に再々発した.この時の芽球は, CDIlb, CD33, HLA-DRが陽性で, Plateletperoxidaseが陽性であり, acutemegakaryoblasticleukemiaとした.ANLLプロトコールに従って治療したが, 肺炎を併発して死亡した.本例は, Tcell系とmegakaryocyte系の両方の特質を有しており, 血球分化の過程でT cell系とmegakaryocyte系の両方へ分化することのできる多能性前駆細胞が存在することを示しており, 貴重な症例と思われた.
  • 石田 也寸志, 井上 哲志, 横田 佳子, 田内 久道, 松田 博
    1993 年 7 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は14歳男児で, 2週間以上続く約39~40℃の発熱を主訴に当科に入院した.入院時に顔面, 胸部および四肢に小紅斑が散在し, 頸部リンパ節腫大および肝脾腫を認めた.末梢血はWBCl4,300/μl (好中球88%), Hbl2.79/dl, PLT11.9万/μlであった.またGOT1421U/l, GPT931U/l, LDH l, 1491U/l (正常49~1231U/l) で, 血清フェリチン値は33,660ng/mlと著明に上昇していた.骨髄検査では赤芽球系の低形成が著明であり, 成熟型組織球が増加し血球を多数貧食している像が認められた.頸部リンパ節生検では, 多数の核崩壊産物を伴う広範な壊死像を呈し, 組織球の血球貧食像が散見された.反応性血球貧食症候群 (VAHS) と壊死性リンパ節炎 (NL) の合併と診断し, etoposideとprednisolone (PDN) で治療を行った.PDNの減量に伴い再燃を繰り返し, 再燃時には全身の関節痛と咽頭痛, 定型的リウマトイド疹を示すようになり, 最終的に成人型スチル病の経過中にVAHSとNLを合併したものと考えた.
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