日本小児血液学会雑誌
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7 巻 , 5 号
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  • 宮崎 澄雄
    1993 年 7 巻 5 号 p. 413-419
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    多くの小児血液専攻医は溶血性貧血には関心がない.本稿では主として厚生省造血障害研究班で発表された興味ある研究を紹介する.遺伝性球状赤血球症や楕円赤血球症はスペクトリンやアンキリンのような膜骨格蛋白の欠損や変異によるものである.先天性dyserythropoieticanemia (CDA) のII型 (HEMPAS) はもっともよく知られている.このHEMPAS赤血球のband3糖蛋白は変型したハイブリッド型構造を有している.この事実はHEMPASの酵素欠損がGnTIIかα-MIIであることを示唆している.溶血性尿毒症症候群 (HUS) の頻度は増加傾向にある.Vero毒素産生大腸菌がHUSを高率に発症する胃腸管系病原体として認識されてきている.発作性夜間血色素尿症 (PNH) では補体調節蛋白であるGPIアンカー型蛋白が欠損している.欠損酵素のcDNAクローニングが進められている.新生児免疫性溶血性貧血に対する大量経静脈ガンマグロブリン療法は有用である.
  • 生嶋 聡, 片岡 佳子, 吉原 隆夫, 東道 伸二郎, 森岡 義仁, 日比 成美, 今宿 晋作
    1993 年 7 巻 5 号 p. 420-424
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1984-1991年の8年間に11例の11q23転座型小児白血病を経験しその臨床的特徴を検討した.内訳はALL (2例), ANLL (8例), JCMLの急性転化例 (1例) であった.ALLの2例は乳児期発症 (1m, 8m) で著明な肝脾腫および白血球著増 (252×103/mm3, 397×103/mm3) を示し, 芽球のphenotypeはCDlO-のB前駆細胞形質であった.2例とも早期に死亡した.ANLL7例は, 1.2-12.5歳 (中央値4歳) と比較的高年齢にみられ, FAB分類ではM4 (3例), M5 (4例), M7 (1例) であった.白血球増加 (≧100×103/mm3) が4例にみられた.これらANLL症例は, 正常核型およびllq23以外の異常核型を有する症例に比べ予後不良 (p<0.01, p<0.05) であり, 骨髄移植を含めた強力な化学療法と十分な支持療法が必要と考えられた.JCMLの1例は急性転化時にt (11;19) の核型異常が出現し, 最近注目されているetoposideによる2次性白血病の可能性が示唆された.
  • 仁保 幸次, 右田 真, 山本 正生
    1993 年 7 巻 5 号 p. 425-431
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児 (者) には, しばしば貧血が合併する.今回我々は重障者のより高いqualityoflifeを志向し, これら貧血の特徴を鉄代謝面を中心に小児鉄欠乏性貧血患者と比較検討した.対象は重障者120名で, うち52名 (43.3%) に貧血を認め, そのうち正球性正色素性貧血が最も多く, 鉄欠乏性貧血の診断基準を満たしたものは貧血者の38.5%であった.貧血群と非貧血群で比較すると, 血清葉酸値, ビタミンB12値・銅値は, いずれも統計的に有意差はなかったが, 経管栄養群は経口栄養群と比し, Hb値, 血清鉄, 血清銅が有意に低値を示した.重障者鉄欠乏性貧血群 (20名) のTIBCの平均は, 340±46.4μg/dlとほとんどが異常高値を示さなかった.鉄剤に対する反応は, 小児鉄欠乏性貧血群に比べ軽微であり, 特に低TIBC群 (350μg未満) でこの傾向が強かった.今回の検討結果は, 今後の重障者の長期療養にともなう栄養学的面に示唆を与えるものと思われる.
  • 北島 晴夫, 安西 加奈子, 和田 靖之, 久保 政勝, 赤塚 順一
    1993 年 7 巻 5 号 p. 432-436
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小球性貧血は一般臨床の場でしばしば遭遇し, その多くは鉄欠乏性貧血 (IDA) や症候性貧血 (ACD) などのヘム合成障害によるものである.われわれは小球性貧血を呈した小児56名を対象として, その臨床経過, 一般検査所見, 場合により骨髄可染鉄所見より, ACD20例, 鉄欠乏を合併したACDll例, IDA25例の3群に分類し, 各種鉄欠乏診断パラメータの診断効率を評価した.MCV, MCH, MCHC, 血清鉄, 不飽和鉄結合能, トランスフェリン飽和度, 血清フェリチン (Fr), 赤血球亜鉛プロトポルフィリン/ヘム比 (ZPP) について, 小球性貧血をいかに正確に鉄欠乏と非鉄欠乏とに判別するか検討したところ, Fr単独では89.3%, ZPP単独では92.9児, FrとZPPの組合せでは, 94.4%の正確さでそれぞれ判別できることがわかった.測定法の信頼度および簡便さよりみて, ZPPは小球性貧血の鑑別に有用なパラメータであると考えられた.
  • 陳 基明, 麦島 秀雄
    1993 年 7 巻 5 号 p. 437-443
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    進行性神経芽腫に対するmagnetic immunobeads処理自家骨髄移植19症例について, より速やかに血液学的回復が得られる骨髄採取時期を決定するために, 骨髄採取時の末梢血液所見, 輸注骨髄造血幹細胞数と血液学的回復との関連性について後方視的に検討した.骨髄採取時の末梢血中の白血球数, 好中球数, 血小板数の平均値はそれぞれ, 4,452±1,963/μl, 2,154±1,460/μl, 24.5±7.4×104/μlであった.移植前の化学療法期間が6カ月以上の群では, 骨髄単核細胞あたりのcolony-fbrming unit in granulocyte macrophage (以下CFU-GM) 数が6カ月以内の群より減少する傾向がみられた.また, 化学療法期間が6カ月以内の輸注骨髄単核細胞数と輸注骨髄CFU-GM数は, 強い相関が認められたが6カ月以上では相関がみられなかった.輸注骨髄CFU-GM数が5.0×104/kg以上の群では, それ以下の群よりも白血球数, 好中球数の回復日数が早く, 有熱期間も短い傾向がみられた.しかし, 血小板数の回復とは相関がみられなかった.本症に対する自家骨髄移植では, 初期化学療法により完全寛解後に, 出来るだけ早期に採取した骨髄を使用することが, 移植後の血液学的回復を速やかにすることが示唆された.
  • 小川 晶子, 気賀沢 寿人, 佐藤 雄也, 縄田 淳, 本多 康次郎, 豊田 恭徳, 西平 浩一, 長尾 大
    1993 年 7 巻 5 号 p. 444-451
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植後1年以上生存している19例について, 全身照射 (以下, TBI) の線量の違いによる影響を身長・内分泌機能・心機能・肺機能について検討した.その結果, TBIの影響として, 線量に依存して障害されるものは, 甲状腺機能・性腺機能であり, 性腺機能と身長に関しては性差を認め, より女子に障害が強かった.また, 線量に依存せず低線量でも認められるものは, プロラクチン分泌異常であった.さらに, 造血器悪性腫瘍に対する化学療法単独群11例と身長・内分泌機能・心機能について比較検討した.その結果, 骨髄移植群は, 化学療法単独群よりも, 身長・性腺機能の障害が強かった.心機能は, 拡張型心筋症を化学療法群にのみ1例に認めた.以上より, 小児科領域における骨髄移植は, 晩期障害が少なくQOLの高い前処置の考案と同時に, 化学療法の結果と比較した適応の再検討が必要であると考えられた.
  • 太田 茂, 鈴木 淳史, 杉浦 康夫, 多賀 崇, 松川 誠司, 島田 司巳
    1993 年 7 巻 5 号 p. 452-456
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    滋賀医科大学小児科血液外来において経過観察中の慢性特発性血小板減少性紫斑病患児のうち, γ-グロブリンあるいはステロイド剤投与が無効ないし一過性の効果しか得られず, 常時血小板数40,000/μ1以下を示している10症例に保護者の同意を得てビタミンC大量経口投与800-3,000mg/日を投与した.ビタミンC大量投与にて血小板数の増加が得られなかった7例中5症例に対してツヅラフジ科植物アルカロイドのセファランチン30-50mg/日を経口投与した.ビタミンC投与にて3例 (30%) に50,000/μl以上の血小板増多が得られた.セファランチン投与にては5例中3例に3万以上の血小板増加傾向を認めた.いずれの薬剤にも重篤な副作用はみられず, 血小板増加の得られない慢性特発性血小板減少性紫斑病症例に対して, 投与を試みる価値のある治療法の一つと考えられた.
  • 豊田 恭徳, 佐藤 雄也, 西平 浩一, 小川 晶子, 縄田 淳, 本多 康次郎, 気賀沢 寿人, 長尾 大
    1993 年 7 巻 5 号 p. 457-461
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性白血病患児8例に対し, Cy-TBIないしはBuCyにAra-CおよびVP-16の大量を加えた前処置により, 同種骨髄移植を行った.移植時の状態は初回完全寛解3例, 第2寛解期2例, 第3寛解期, 早期再発, 初回移植後の再発期各1例である.早期再発期に移植を受けた症例は, 初回移植3カ月後に同一ドナーより第2回目の移植を施行した.主なregimen-related toxicityは口内炎, および消化器症状であった.2度以上の急性GVHDは2例に見られ, 内1例が4度の急性GVHDにcytomegalovirusによる肺炎を合併し死亡した.第3寛解期および再発時に移植を施行したALL2例で再発し, ともに原病のため死亡した.他の5例は移植後83+から110+週無病生存中である.Ara-CおよびVP-16の大量療法を含む同種骨髄移植の前処置は, 安全に施行可能であり, かつ小児の急性白血病に対し有効性が高いと思われた.
  • 日比 成美, 森本 哲, 岩見 均, 吉原 隆夫, 生嶋 聡, 北条 誠, 橋田 哲夫, 森岡 義仁, 数田 紀久子, 木戸脇 卓郎, 東道 ...
    1993 年 7 巻 5 号 p. 462-466
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児白血病・悪性リンパ腫の患者におけるサイトメガロウイルス (CMV) 感染を検討する目的で, 122例 (ALL92例, AML12例, NHL/HD16例, CML/JCML2例) を対象にCMV抗体価 (EIA-IgG, -IgM, CF) を測定した.その結果, 46例 (38%) がCF抗体価4倍未満で, 59例 (48%) がlowtiter群 (4≦CF≦32), 17例 (14%) がhigh titer群 (CF≧64) であった.抗体価と原疾患, あるいは化学療法中か完了後かとの間には相関は見られなかったが, high titer群は治療開始後15カ月から60カ月の間に多く見られた.化学療法開始時と今回検索時の二点で抗体価を測定しえた52例 (ALL41例, AML6例, NHL3例, CML/JCML2例) では, 治療開始時CMV (EIA-IgG) 抗体陰性であった症例の43%がその後陽性となり, 既感染であった症例の54%に4倍以上の抗体価の上昇が見られた.IgM抗体の検索では, low titer群全例が陰性であったのに対しhigh titer群の17例中4例は陽性で (p<0.01), うち6例にのべ7回の症候性CMV感染症の既往が認められた.high titer群10例, low titer群8例について末梢血単核球におけるCMV genomeをPCR法により検索したところhigh titer群の4例に検出された.以上から, CMV-CF抗体価64倍以上の症例にっいては, CMVの活性化が起こっている可能性が高く, 定期的な免疫能や眼科的精査をする必要があり, 未感染の症例には, CMV抗体陰性の血液製剤の使用に努める必要がある.
  • 広田 保蔵, 今井 満, 磯山 恵一, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1993 年 7 巻 5 号 p. 467-470
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Colony-stimulating factor (CSF) であるgranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) とmacro-phage colony-stimulating factor (M-CSF) を併用使用してCFU-GMコロニー数の増加作用と白血病化学療法後の好中球増加作用について検討した.CFU-GM colony assayにおいてG-CSFとM-CSFの併用はCFU-GMコロニー数をそれぞれのCSFを単独で使用した時より有意に増加させ, 併用使用した場合のコロニー数はそれぞれのCSFを単独で使用した時のコロニー数の合計より多い傾向がみられた.ln vivoにおいてG-CSFとM-CSFの併用投与はG-CSF単独使用の場合よりより早期に好中球数の回復がみられた.以上からG-CSFとM-CSFの併用投与は早期に好中球数を回復させる必要のある場合には試みる方法であると思われた.
  • 斎藤 慎一, 高上 洋一, 渡辺 力, 岡本 康裕, 牧本 敦, 川人 雅美, 清水 隆史, 鈴江 毅, 阿部 孝典, 佐藤 純子, 平尾 ...
    1993 年 7 巻 5 号 p. 471-477
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    我々は小児急性白血病・悪性リンパ腫 (NHL) 患者に対する自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) 施行時の前処置療法として, 全身放射線照射を含まずmethyl 6-[3-(2-chloroethyl)-3-nitrosoureido]-6-deoxy-α-D-glucopyranoside (MCNU) を主体とした多剤併用超大量化学療法 (MCVAC療法) を開発した.今回39名の小児患者に本法とPBSCTを施行し, 移植後28日 (肺障害は100日) までに出現したregimen-related toxicity (RRT) を検討した.粘膜障害を主とした軽度かつ一過性のRRTがほぼ全例に出現したが, いずれも重症に至らず軽快し, 肝veno-occlusive diseaseの発生はなく, 死亡例もなかった.MCVAC療法は, 小児急性白血病・NHLに対するPBSCTの前処置療法として比較的安全に施行可能であった.その長期毒性と有効性に関しては, 今後さらに臨床検討を行う必要がある.
  • 川人 雅美, 高上 洋一, 後口 ユリ, 岡本 康裕, 牧本 敦, 清水 隆史, 斎藤 慎一, 鈴江 毅, 阿部 孝典, 佐藤 純子, 河野 ...
    1993 年 7 巻 5 号 p. 478-483
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    著明な縦隔腫瘤を有する小児急性リンパ性白血病 (ALL) または非Hodgkin悪性リンパ腫 (NHL) 患者に対して, 自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) を施行した.内訳はALL4名とNHL3名であり, 年齢の中央値は10歳 (3~17歳) であった.全例T細胞性であった.初回寛解導入不能例1名を含む5名は第一完全寛解期に, また2名は第二完全寛解期にPBSCTを施行した.移植前処置としては, MCNU+VP46+Ara-C+cyclophosphamideの大量併用投与 (MCVAC療法) を6名た, またMCNUとbusulfan大量療法を1名に行った.うち1名にのみは, PBSCT前に縦隔部放射線照射を施行した.移植後の白血球と血小板数の回復は速やかで, 7名中5名がPBSCT後11~58カ月の問, 無治療で完全寛解を維持している.第一寛解期に移植を行い再発した1名は2度目のPBSCTを施行し, その後18カ月の間無治療で完全寛解を維持している.PBSCTは, 縦隔腫瘤を有する小児T細胞性ALL・NHLに対する有用な治療法と考えられた.
  • 気賀沢 寿人, 小川 晶子, 縄田 淳, 本多 康次郎, 豊田 恭徳, 西平 浩一, 長尾 大
    1993 年 7 巻 5 号 p. 484-488
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ACMP二段療法では26例中21例が完全寛解に入った.この成績は今までに報告された最良の寛解導入率に匹敵する.我々は無病生存率を改善するために2種類の強化療法方式を異なった時期に実施した.Cytosine arabinoside, adriamycin, neocarzinostatinで治療したプロトコール78の成績は再発率が71.4%, 10年の無病生存率は28.6%±335%と悪かったが, プロトコール80は再発率30.8%, 6年での無病生存率50.8%±28.3%と改善した.Anthracyclin系薬剤による心筋障害が2例のDown症候群を含む3例に起こり, 2例は徐々に心機能は正常範囲に改善したが, Down症候群の1例が心不全で寛解中に死亡した.このことからより効果的でかつ毒性の少ない治療法の考案が必要である.
  • 石川 順一, 有岡 秀樹, 小林 良二, 内藤 広行, 鹿野 高明, 石川 信義
    1993 年 7 巻 5 号 p. 489-494
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    BHAC-AMPと中等量から大量のcytarabin併用療法を中心とした治療により小児急性非リンパ性白血病 (ANLL) 21例を治療し6年event free survival (EFS) 54%の成績が得られた.de noyo ANLL14例に限ると6年EFS71%であった.一方, 骨髄異型性症候群・Down症候群・急性リンパ性白血病の治療後に発症したいわゆる二次性ANLLの予後は不良で3年EFS21%であった.この中でも骨髄異型性症候群から移行したANLLの予後は特に不良で同種骨髄移植が必要であると考えられた.
  • 梅本 正和, 武 弘道, 南嶋 郁子, 平岩 久幸, 八幡 義人
    1993 年 7 巻 5 号 p. 495-500
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    8歳のアポB-100, B-48とも完全欠損した, 無βリポ蛋白血症の一例を経験した.血漿脂質の著明な低下と, 末梢血では有棘赤血球が50%みられた.赤血球膜の脂質分析では, phosphatidylcholineの減少がみられたが, 血漿脂質が著減していることを考慮すると, 膜脂質はよく保たれていた.赤血球膜輸送能はNa, K輸送能は正常であったが, Caは赤血球内への著しい流入がみられた.8年間, ビタミンA, E, Kの補充療法を行い, 血中濃度の改善をみている.
  • 箕輪 秀樹, 新家 興, 吉岡 章, 福井 弘
    1993 年 7 巻 5 号 p. 501-505
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は4歳, 男児で, 1989年1月血小板減少および血液型判定困難を主訴に当院へ入院した.乳児期より頻回の血便を繰り返していた.経過中の末梢血および骨髄検査によりRAEBと診断した.また赤血球形態は小球性低色素性であり, HbFが39.4%含まれていた.血液型はA3型と亜型を示し, 赤血球A抗原量の低下を示した.また大腸全体に著明なリンパ濾泡の過形成を認めた.小児のMDSにおいて赤血球A抗原の低下が見られた症例報告は, 本症例が本邦第1例目と思われる.
  • 星野 恭子, 小原 明, 有本 潔, 月本 一郎
    1993 年 7 巻 5 号 p. 506-510
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Cytosine arabinoside (Ara-C) 大量投与約1カ月後に, 歩行障害をはじめとする中枢神経症状を呈した, 急性単球性白血病2歳女児例を経験した.入院時, 多彩な神経症状を認め, 症状発現後2カ月の経過で軽快した.入院時の頭部CT, MRIにて異常はなかったが, 脳SPECTにて取り込み低下が認められた.経過より中枢神経白血病, 急性白質脳症は否定され, Ara-Cの中枢神経毒性が強く疑われた.
  • 山倉 慎二, 吉田 晃, 田中 里江子, 百井 亨
    1993 年 7 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病の8歳女児が強化療法中にカンジダ性肝膿瘍を来した.Fluconazoleの静脈内投与と併せてAmphotericinB (AMPH) の静脈内投与を行ったが効果がなかった.また, AMPHの大量経口投与も試みたが, 解熱をみたもののCRPの陰性化には至らなかった.そこで, 開腹して中結腸静脈より門脈内にカテーテルを留置しAMPHの持続注入を行ったところ, 約2週でCRPは陰性化し, 2カ月後のCTで肝膿瘍病変はきれいに消失した.その後抗真菌剤はすべて中止したが再燃はなく, 強化療法を終了し, 9歳9カ月時骨髄移植を施行, 移植後1年3カ月の現在, 再発なく元気に登校している.小児での報告例は調べ得た限りでは見出せなかったが開腹という侵襲を考慮しても積極的に試みるべき治療法と考えられた.
  • 高橋 浩之, 松田 基, 藤岡 憲一郎, 住田 裕子, 甲斐 純夫, 生田 孝一郎, 佐々木 秀樹, 松山 秀介
    1993 年 7 巻 5 号 p. 515-518
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は11歳の男児, 顔色不良を主訴に入院した.血液検査にて汎血球減少があり, 骨髄穿刺では著明な低形成を認めたため, 重症再生不良性貧血 (再不貧) と診断した.ステロイドパルス療法を施行したが効果が得られなかったため, recombinant granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF), recombinant erythropoietin (Epo) およびoxymetholoneによる治療を施行した.好中球数はすみやかに3,000/μ1に増加し, 3カ月後には網状赤血球数が15万/μlに増加して輸血が不要となった.さらに5カ月後には血小板数が5万/μ1に増加した.現在oxymetholoneは中止し, G-CSF, Epoをそれぞれ週1回に減量しているが, 末梢血・骨髄所見はおおむね正常範囲を維持している.本患者はG-CSF, Epoおよびoxymetholoneの併用により, 赤血球, 白血球のみならず血小板の増加が得られた.本治療法は骨髄移植ドナーを持たない患者に対して, 試みる価値があると考えられる.
  • 子川 和宏, 関根 勇夫, 益田 倫夫, 土橋 浩, 若松 太, 藤沢 知雄
    1993 年 7 巻 5 号 p. 519-523
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は急性リンパ性白血病第3寛解期の8歳男児.HLA一致MLC陰性の同胞をドナーとして骨髄移植を計画したが, AraC大量療法による前処置中に著明な肝機i能異常と黄疸を認めたため移植を断念した.移植中止後の肝生検の結果およびPCR法でHcv-RNAが陽性であったことから慢性C型肝炎と診断し, IFN-αによる治療を開始したところ肝機能は正常化し, HCV-RNAも陰性化した.そこでCY+TBIを前処置として再度の移植を試みたが, 前処置中特に肝機能異常は認められず, VODの発症も認められなかった.HCVによる肝機能異常のため骨髄移植が躊躇される症例においては, 移植前のIFN療法は試みる価値のある治療法と思われる.
  • 右田 真, 金子 清志, 前田 美穂, 藤野 修, 福永 慶隆, 山本 正生
    1993 年 7 巻 5 号 p. 524-529
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    中枢神経白血病の再発を繰り返し, 視床下部症候群と血液脳関門の破綻をきたしたと思われる症例を経験した.症例は, 12歳の男児.3歳の時にALLを発症し, 通常の化学療法と中枢神経予防療法をうけたが, 1年8カ月後に, 中枢神経白血病をおこした.以後, 照射療法 (頭蓋, 脊髄) および頻回の三者髄注療法にもかかわらず, 中枢神経白血病再発を繰り返しALL発症9年目に視床下部症候群を合併し, さらに髄液蛋白組成より血液脳関門の破綻も確認された稀な症例である.
  • 高村 まゆみ, 麦島 秀雄, 島田 俊明, 陳 基明, 藤沢 孝人, 大国 真彦, 新保 敏和
    1993 年 7 巻 5 号 p. 530-535
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Philadelphia染色体 (Ph1) 陽性急性リンパ性白血病 (ALL) 患児の第2寛解期に同種骨髄移植を施行した1例を報告した.症例は1歳9カ月女児.初発時の白血球数は8,200/μl (芽球細胞21%), 骨髄検査では, POX (-), PAS (-) の芽球細胞を95.6%に認め, FAB分類ではL1, 細胞表面マーカーではCD19とHLA-DRが陽性であった.染色体検査ではt (12;22) (pl3;qll) で非定型Ph1転座を認めた.Prednisolone, vincristine, THP-adriamycin, L-asparaginaseによる寛解後, 56日目に再発がみられ, prednisolone, vincristine, methotrexate, L-asparaginaseにより第2寛解を確認した後, HLA一致の姉をdonorとして同種骨髄移植を施行した.現在移植後20カ月を経過しているが, 完全寛解を維持している.一般に小児Ph1陽性ALLは予後不良である.非定型Ph1陽性ALLは定型例に比べ予後は良好といわれているが, 自験例のように再発した場合は寛解期に積極的に骨髄移植を計画し, 実行すべきと思われる.
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