日本小児血液学会雑誌
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8 巻, 1 号
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  • 大平 睦郎
    1994 年 8 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    厚生省-自家骨髄移植研究班での集計をもとに小児がんに対する自家骨髄移植 (ABMT) と末梢血幹細胞移植 (PBSCT) の現状につき述べた.1980年から1992年10月までの問に, 全国29施設において327例にABMTが, 136例にPBSCTが行われ, 疾患別には神経芽腫が119例と最も多く, 急性リンパ性白血病の115例, 急性骨髄性白血病の74例がそれに次いでいた.急性白血病の5年event-free survivalは4HC purgedABMTが最も優れており第一あるいは第二寛解期移植でリンパ性が94%, 骨髄性が80%であった.また, 神経芽腫のABMTにおいてもmagnetic immuno-beads法が60%と好成績を示していた.
  • 北澤 淳一, 横山 〓
    1994 年 8 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    末梢血単核球を用いて2段階液体培養を行い造血機構の研究を行った.末梢血単核球を, FBS, PHA-LCMとともに7日間培養し (phase1), その前後で, 造血前駆細胞由来コロニーをin vitro colony assayにより計測した.また, phase1にIL-3, IL-2, IFN-γ, Epo, SCFを添加し, その影響について検討した.Phasel培養終了後の非付着細胞をEpo, FBS, BSAとともに培養し, 7日目の培養細胞に含まれるヘモグロビン量を測定した.末梢血単核球にはCFU-E, BFU-E, CFU-GM, CFU-mixが存在した.Phasel培養によりCFU-Eは増加傾向, BFU-E, CFU-GM, およびCFU-mixは減少傾向を示した.Epo, IL-3の存在下で, CFU-E, CFU-GMは増加, BFU-Eは減少した.IL-2, IFN-γの存在下ではいずれのコロニー形成も抑制された.EpoとSCFとの共培養により, ヘモグロビン合成が著明に増加した.末梢血単核球を用いての2段階液体培養により造血能の評価が可能であり, 造血調節機構の研究に適した方法であると考えられた.
  • 西平 浩一, 豊田 恭徳, 気賀沢 寿人
    1994 年 8 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Stem cell factor (SCF), interleukin-3 (IL-3), G-CSF, Epoを添加したヒト骨髄細胞培養で, 赤血芽球バースト (BFU-E) コロニーに類似した顆粒球バースト (BFU-G) コロニーが形成された.BFU-Gコロニーは複数のサブコロニーで構成された大きなコロニーで, BFU-Eコロニーと同様な形態を示していた.しかし, その色調は赤色でなく白色や灰色であり, 好中球より構成されていた.BFU-Gコロニーはcolony-fbrming unit-granulocyte (CFU-G) よりも未分化な増殖能の高い幹細胞に由来していると思われた.SCFおよびIL-3は未分化幹細胞の増殖を刺激し, BFU-Gコロニー形成を促進することが示唆された.
  • 豊田 恭徳, 後藤 裕明, 西平 浩一, 田渕 健, 小川 晶子, 本多 康次郎, 気賀沢 寿人, 長尾 大
    1994 年 8 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児同種骨髄移植症例を対象に, rhG-CSFの臨床効果について検討した.移植後好中球数500/μ1以上となる日数は, G-CSF投与群11例では中央値21日に対し, コントロール12例では27日であり, G-CSF投与により有意に短縮した.血小板, 赤血球の回復には両群間で差を認めなかった.しかし移植後11日, 15日での平均好中球数, および好中球減少状態にある患者の割合は, 両群間で差が認められず, 移植後のきわめて早期の好中球回復に対するG-CSFの効果については疑問がもたれた.今後小児同種骨髄移植後のG-CSFの適切な開始時期について, さらに検討が必要と思われる.
  • 川井 進, 〓 志敏, 清水 宏之, 藤本 孟男, 前田 秀典, 武田 武夫, 岡 敏明, 渡辺 新, 菊田 敦, 松下 竹次, 麦島 秀雄 ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病80例および急性骨髄性白血病75例について, 白血病細胞の造血幹細胞関連抗原CD34発現の頻度と臨床意義について検討した.ALLでは71.3%, AMLでは53.3%がCD34抗原が陽性であった.CD34陰性ALL23例とCD34陽性ALL57例について, 他の抗原発現について比較すると, CD34陽性AUでは穎粒球関連抗原であるCDl3とCD33を同時に発現している傾向があった.CD34陰性ALLとCD34陽性ALLの間では臨床特徴について有意な違いは見られなかった.AMLにおけるCD34発現はFAB分類の病型と強い関連性があった.M1, M2の80%がCD34陽性であったのに対し, M3, M4およびM5は25.9%のみCD34陽性であった.CD34陽性の骨髄芽球はリンパ球関連抗原であるCD2, CD10やCD19も同時に発現する傾向があった.この研究では, ALLとAMLにおけるCD34発現の予後因子としての意義を認めなかった.
  • 日本小児血液学会骨髄移植委員会
    1994 年 8 巻 1 号 p. 32-42
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    日本小児血液学会骨髄移植委員会は, 1983年より毎年, 我が国小児における骨髄移植の全国集計を行っている.1993年6月30日現在, 81施設において1,735例の造血幹細胞移植が行われていた.その内, 自家骨髄移植と末梢血幹細胞移植は, 主として血液・固形悪性腫瘍に行われており, 前者は468例 (248例生存), 後者は243例 (153例生存) であった.同系・同種骨髄移植ならびに胎児肝細胞移植は1,002例に行われていた.その内, 急性リンパ性白血病は290例 (146例生存), 急性骨髄性白血病は259例 (163例生存), 成人型慢性骨髄性白血病は66例 (42例生存), 若年型慢性骨髄性白血病は6例 (2例生存), 非Hodgkinリンパ腫は41例 (30例生存), 固形悪性腫瘍は28例 (13例生存), 重症再生不良性貧血は179例 (158例生存), 重症複合免疫不全症は38例 (19例生存), その他が87例 (60例生存) であった.
  • 大杉 夕子, 倉橋 浩樹, 坂田 尚己, 井上 雅美, 原 純一, 八木 啓子, 河 敬世, 多和 昭雄
    1994 年 8 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    生後7カ月時初発の乳児慢性骨髄単球性白血病 (CMMoL) の男児例に対し, HLAが適合した兄をドナーとした骨髄移植 (BMT) を施行した.BMTの前処置はbusulfan, cyclophosphamide, etoposide, cytosinearabinosideで行った.BMT後53日にHPRT遺伝子のRFLPを検索したところ, 移植骨髄の拒絶が確認された.移植後11カ月頃より, 脾腫の増大と進行性の貧血と血小板減少を認めたため, BMT13カ月後に摘脾を施行した.摘脾後, 貧血と血小板減少は改善し全身状態もよくなったが, BMT19カ月後, 突然, 発熱と出血症状を呈し死亡した.詳細は不明であるが原疾患の増悪に伴う感染による敗血症が死因と考えられた.本例の経験よりCMMoLでな, 脾機能の充進が移植片の拒絶にかかわっている可能性が考えられ, 移植前に摘脾, 脾照射などの処置を行った後にTBIを含めた前処置によるBMTが望ましいと思われた.
  • 浅沼 秀臣, 鈴木 信寛, 工藤 亨, 要藤 裕孝, 小田 孝憲, 加藤 静恵, 千葉 峻三
    1994 年 8 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は急性リンパ性白血病の15歳女児.Dana-FarberCancer Institute 85-001プロトコールにより, 完全寛解に至った後, L-Aspを中心とした多剤併用による維持療法を同プロトコールに準じ開始した.第3回目の維持療法の際, L-Aspを35, 0001U投与後2日目に, 悪心, 嘔吐, 腹痛が出現.膵逸脱酵素の上昇を認め, 腹部CT, 腹部エコーにて膵に壊死性, 出血性病変を認め, 第21病日には巨大な仮性膵嚢胞を形成した.保存的治療により逸脱酵素は正常化し, 嚢胞も徐々に縮小した.膵逸脱酵素のうちトリプシン, エラスターゼ1の値が正常化するのに長期間を要したが, その正常化を待って, L-Aspをメソトレキセートに変更して維持療法を再開した.現在患児は順調に経過しており, 治療再開の時期は, 膵嚢胞の縮小化と, トリプシン, エラスターゼ1の正常化が指標になるのではないかと考えられた.
  • 小田 孝憲, 鈴木 信寛, 要藤 裕孝, 加藤 静恵, 工藤 亨, 千葉 峻三
    1994 年 8 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    HLA一抗原不適合の姉より骨髄移植を施行した重症再生不良性貧血の1例を報告する.症例は12歳の男児で, 免疫抑制剤やサイトカインなど, 種々の治療にても効果がみられず頻回の輸血を必要とした.前処置はcyclophosphamide 50mg/kg×4, TBI 3Gy, GVHD予防にはcyclosporin A+short term MTXを行った.生着は速やかで, day 25に顆粒球500/μl, day 27に網状赤血球1%, day 28に血小板2×104/μlを越えた.急性GVHDはgrade IIであったが, メチルプレドニゾロンパルス療法にて軽快した.小児重症再生不良性貧血では, 種々の治療が効を奏しない場合は, HLA一抗原不適合の血縁ドナーが得られれば, 早期に骨髄移植を実施すべきと思われた.
  • PAIgGについての検討
    山本 隆, 宮田 曠
    1994 年 8 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    約1年半の問, 特発性血小板減少性紫斑病と診断されていたEDTA依存性偽性血小板減少症 (EDTA-PTCP) の11歳の女児例を経験したので報告した.患児の血小板数はEDTAやsodium citrateの添加採血後に経時的な減少を示し, EDTA添加採血の塗抹標本の顕微鏡的観察では血小板の明らかな凝集を認めた.さらに, EDTAの存在下に健康正常人から得た血小板は, 患児の血清の添加によって凝集を認めた.ELISAによるPAIgG値は, EDTA加血では高値を示したが, ヘパリン加血では正常域値であった.EDTA-PTCPは真の血小板減少と誤診されることが多く, 十分な注意が必要である.
  • 久保田 千鳥, 篠原 治, 日野原 知之, 服部 欽哉, 矢部 普正, 矢部 みはる, 加藤 俊一, 島村 和男, 小賀坂 良一
    1994 年 8 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    6歳時発症の再生不良性貧血の男児に12歳時, 前処置としての放射線照射の際に眼, 肺, 睾丸を遮蔽し同種骨髄移植を施行した.移植後の経過は, 慢性GVH病は出現したが, 移植後4年目には軽快した.移植後1年, 13歳時のLH-RH負荷テスト, 睾丸生検では, 性腺機能低下が示唆されたが, 移植後7年, 19歳時のLH-RH負荷テスト, 精液検査は正常となり, 父親となった.両親と児のHLA検査により親子関係が確認された.
  • 1994 年 8 巻 1 号 p. 68
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
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