日本小児血液学会雑誌
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9 巻 , 2 号
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  • 高上 洋一, 河野 嘉文
    1995 年 9 巻 2 号 p. 67-77
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    難治癌治療成績改善のために自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) が開発され, 急速に普及した.PBSCTでは幹細胞採取に麻酔は必要なく, 骨髄採取に比して非侵襲的である.PBSCT後の白血球や血小板数の回復は極めて速くて重症合併症も少ないため, 無菌管理を用いずに超大量抗癌療法を安全に行うことができ, 第一線病院においても施行されることとなった.その治療効果についてはいまだ不明の点も多いが, 再発急性リンパ性白血病に対しては, 同種骨髄移植術にも比肩する良好な治療成績が得られている.採取幹細胞を純化して, (1) 間接的に癌細胞を除去し, (2) 体外で増殖させて移植術後の血球回復をさらに促進したり, あるいは (3) 健常人の末梢血から幹細胞を採取して同種移植術に用いる試みも実用化された.末梢血幹細胞の利用は移植療法のみにとどまらず, 純化CD34抗原陽性細胞を遺伝子治療の標的細胞として利用する研究も進んでいる.
  • 小西 道雄, 小泉 晶一, 市原 強, 和田 英男, 山上 正彦
    1995 年 9 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒト臍帯血 (CB) と骨髄 (BM) 中のCD34+細胞を純化, 濃縮し, 幹細胞因子 (SCF) とインターロイキン3 (IL-3) とインターロイキン6 (IL-6) とを加えて液体培養した.6日ごとに一部の細胞を採取し, 顆粒球/単球系前駆細胞 (CFU-GM) や赤芽球系前駆細胞 (BFU-EおよびCFU-E) からなる造血前駆細胞のコロニー形成を算定した.12日間の培養でCB中のCFU-GMは98倍に増幅され, BFU-EとCFU-Eは6日間培養でそれぞれ3倍, 5倍に増幅された.自己複製性CD34+細胞数は培養6日目がピークで約5倍に増幅された.しかしBMの造血幹細胞や前駆細胞は今回のわれわれの培養条件では増幅されなかった.IL-3+IL-6+SCF添加液体培養下で, 抗c-kit抗体, SR-1, はBFU-EおよびCFU-Eを培養前および12日間培養後でも有意に抑制したが, CFU-GMは, 培養前および培養6日目までのSR-1の影響は少なく, さらに培養12日目にはSR-1による抑制は全く認められなかった.この結果から, 顆粒球/単球系前駆細胞と赤芽球系前駆細胞の分化増殖において, c-kitの機能発現には相違があるものと思われた.
  • 生嶋 聡, 日比 成美, 秋山 祐一, 河 敬世, 小泉 晶一, 恒松 由記子, 堀部 敬三, 馬淵 理, 田坂 英子, 櫻井 實, 飯塚 ...
    1995 年 9 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    Ifomide (IFO) /cyclophosphamide (CPM) 化学療法施行症例 (135例) と, IFO/CPMが前処置に使用された骨髄移植症例 (73例) の, メスナ併用時の尿路毒性出現頻度とメスナの副作用について調査した.メスナ併用時のIFO化学療法症例 (延べ161コース) での (a) 全血尿 (肉眼的血尿), (b) 膀胱刺激症状の出現頻度は, 各々 (a) 8.7% (2.5%), (b) 5.0%.同様にCPM化学療法症例 (延べ165コース) では, 各々 (a) 4.2% (0%), (b) 0.6%であり, IFO投与例での頻度が高かった.骨髄移植症例では各々, (a) 29.2% (16.7%), (b) 18.1%と, 高頻度に血尿がみられ重症例が多かった.いずれもメスナの相対的投与量が比較的少ない場合 (80%以下), 出血性膀胱炎の頻度は高かった.メスナ投与に伴うアレルギー反応は1例も認めず安全に投与可能であった.メスナは出血性膀胱炎予防に対し従来より有用な薬剤とされているが, 骨髄移植ではメスナの投与量, 投与方法の再検討に加え, 支持療法の強化も必要と思われた.
  • 佐々木 秀樹, 生田 孝一郎, 船曳 哲典, 甲斐 純夫, 関口 晴之, 半沢 典生, 住田 裕子, 高橋 浩之, 松山 秀介
    1995 年 9 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞移植を行い, 2カ月以上観察し得た生着例44例中11例にVZV感染症の発症を認めた.年齢は3~14歳, 同種骨髄移植6例, 同系骨髄移植1例, 末梢血幹細胞移植4例で, 9例が帯状痘疹, 2例が水痘であった.発症時期は5例が移植後6カ月以内, 4例が7~12カ月であった.細胞免疫学的検査では検討した9例中3例でリンパ球CD4/CD8比の低下を, 10例中5例でレクチンに対する反応性の低下を認めたが, それらの結果と臨床経過の間には相関はみられなかった.全例にacyclovir単独または抗VZV高力価免疫グロブリンの併用が行われ, 重症化する例はなかったが, 年長児の2例でpostherpetic neuralgiaがその後5~11カ月にわたって持続した.また, VZV感染の0.5~6カ月後に3例に白血病の再発を認めた.重症化例は少ないとはいえ死亡例も報告されており, 特にGVHDなどのrisk factorを有する幹細胞移植後のVZV感染症に対しては, 慎重に対応する必要がある.
  • 豊田 恭徳, 後藤 裕明, 西平 浩一, 井口 晶裕, 田渕 健, 本多 康次郎, 気賀沢 寿人, 長尾 大
    1995 年 9 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    神奈川県立こども医療センターにおいて1984年1月より1993年6月の間に治療したNHLおよびLLS46例の治療成績を報告した.46例中非進行例11例, 3・4期の進行例27例, LLS8例であり, 表面マーカーの検索ではT NHL/LLSl4例, B NHL/LLS21例, Ki-l lymphoma 6例, 不明5例である.TNHL/LLS例は全例縦隔腫瘤を有していた.全症例の診断後10年の無病生存率および生存率はそれぞれ42.1%, 61.8%であり, 非進行例ではそれぞれ80%, 100%と良好であった.進行例においてT NHL/LLSとBNHL/LLSの成績を比較すると無病生存率は14.3%, 35.1%, 生存率はそれぞれ29.4%, 54.1%でありT NHL/LLSの成績が不良であった.造血幹細胞移植は18例で施行された.第1ないし第2寛解期に移植を施行した13例中10例で無病生存中である.今回の検討より進行例特に縦隔腫瘤を有するT NHL/LLSの予後が不良であり, 今後治療法の検討が必要と思われた.
  • 渋谷 温, 檀谷 尚宏, 篠沢 隆
    1995 年 9 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    5歳女児急性リンパ性白血病に対して4歳弟より骨髄移植を行った.生着は移植後20日目であったが, 1カ月目より下痢症状が出現し2カ月目まで持続した.下痢便の性状は脂肪成分を多く含んでいた.血中total cholesterolとtriglycerideは移植後2カ月から2カ月半ごろ最高値でそれぞれ401mg/dl, 1,292mg/dlと著明に上昇した. リポプロテイン分画でブロードβバンド像, アポプロテイン分画でEの異常上昇がみられたことから高脂血症のIII型であると考えられた.高脂血症の成因としてステロイド剤とcyclosporin投与による二次的なもの, さらに患児の食物嗜好 (チーズ, バター) が増強させたものと考えられる.この理由として経口摂取を中止し, 上記薬剤を減量または中止したことにより高脂血症は消失したことがあげられる.骨髄移植後は薬剤および経口食物の種類により二次的な高脂血症をきたすことがあるので留意すべきと考えられた.
  • 吉野谷 友香, 土田 昌宏, 小池 和俊
    1995 年 9 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    一過性骨髄増殖症候群transient abnormal myelopoiesis (以下TAMと略) はダウン症の生後6週以内に発症し白血球増多, 芽球の増多がみられ一過性に自然消退する予後良好な疾患と報告されていたが白血病への移行例も報告されてきている.今回我々は表現型正常のモザイクダウン症の乳児でTAMから自然回復後1歳4カ月時にMyelodysplastic syndrome (略してMDS) に移行した1例を経験した.新生児期には骨髄血および末梢血の異常染色体は21 trisomyのみだったが, TAMが軽快するに従って骨髄血では21トリソミーは消失していった.しかしMDSに移行していく過程で末梢血の染色体では54XY, 21テトラソミーが出現し骨髄血では新たな附加的異常を持つ53XY, +21, 7p-および12p-のクローンが出現した.化学療法施行後は骨髄は寛解し末梢血, 骨髄血ともども異常クローンは消失している.染色体所見の推移を中心に報告する.
  • 清水 行敏, 勝浦 理彦, 三井 哲夫, 横山 新吉, 早坂 清
    1995 年 9 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植療法の前処置によりacral erythemaを生じた症例を報告する.症例は14歳男児で汎血球減少を主訴に入院し, 血液検査, 骨髄検査所見によりMDS (RAEB-T) と診断した.G-CSF併用Ara-C少量療法で寛解を得た後, 姉より同種骨髄移植を行った.前処置終了直後より手掌に境界明瞭な紅斑が出現した.しびれ, 激痛を訴えたためモルヒネを使用した.紅斑は次第に暗赤色に変色し, 皮膚表面は硬化した.発症10日目には症状は軽快し膜様落屑を認め, 後遺症も残さず治癒した.本症の原因薬剤としてAra-Cが疑われた.大量化学療法時, 本皮疹の発症は稀ではなく, 特に骨髄移植時には急性GVHDとの鑑別が必要である.
  • 大槻 史子, 山本 益嗣, 平海 良美, 市村 典子, 中川 真紀子, 辻野 吉昭, 田中 愛一郎, 神谷 孝, 和田 博義
    1995 年 9 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は4歳女児.発熱, 鼻出血を初発症状とし, 汎血球減少の進行および骨髄穿刺で骨髄低形成を認めたため, 再生不良性貧血疑いにて入院となる.理学的には, 低身長, 小頭症, 皮膚色素沈着 (cafe-au-lait斑), Dubois徴候を認めた.血液学的検査で, HbFの増加, mitomycinC処理による末梢血リンパ球の染色体脆弱性を認めたため, Fanconi貧血と診断した.さらに骨髄では, pseudo-Pelger-Huet核異常, 2核の赤芽球, micromegakaryocyteなどの血球形態異常が著明であると同時に, 鉄代謝検査にて無効造血を認めたため, myelodysplastic syndrome (MDS) の中のrefractory anemia (RA) と診断した.本例は, Fanconi貧血にMDSを合併する稀な症例と考えられる.
  • 逸見 睦心, 八木 啓子, 北岡 照一郎, 朴 永東, 坂田 尚己, 井上 雅美, 河 敬世
    1995 年 9 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植後の溶血性尿毒症症候群 (HUS) の2例を報告した.症例1は急性白血病の14歳男児で, HLA一致の同胞より同種骨髄移植を施行.前処置は全身放射線照射+melphalan+thiotepaで, GVHD予防は短期methotrexate (MTX) +cyclosporin A (CyA) で行った.移植後7カ月めに浮腫出現.溶血性貧血, 高血圧, 蛋白尿, 血尿を認めHUSと診断.CyA内服中止後軽快した.症例2は重症再生不良性貧血の13歳女児で, HLA一致の非血縁者より同種骨髄移植を施行.前処置は胸腹部照射+busulfan+cyclophosphamideで, GVHD予防は短期MTx+cyAで行った.移植前よりCyAによる軽度腎機能低下を認めていた.移植後7カ月めに汎血球減少, 蛋白尿, 微小血尿が出現しHUSと診断.CyA内服中止, 抗凝固療法等にて症状は改善した.移植後HUSは多彩で全体像はまだ明らかでなく, 病因, 病態の解明と予防法, 治療法の確立が早急に望まれる.
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