ヒト臍帯血 (CB) と骨髄 (BM) 中のCD34
+細胞を純化, 濃縮し, 幹細胞因子 (SCF) とインターロイキン3 (IL-3) とインターロイキン6 (IL-6) とを加えて液体培養した.6日ごとに一部の細胞を採取し, 顆粒球/単球系前駆細胞 (CFU-GM) や赤芽球系前駆細胞 (BFU-EおよびCFU-E) からなる造血前駆細胞のコロニー形成を算定した.12日間の培養でCB中のCFU-GMは98倍に増幅され, BFU-EとCFU-Eは6日間培養でそれぞれ3倍, 5倍に増幅された.自己複製性CD34
+細胞数は培養6日目がピークで約5倍に増幅された.しかしBMの造血幹細胞や前駆細胞は今回のわれわれの培養条件では増幅されなかった.IL-3+IL-6+SCF添加液体培養下で, 抗
c-kit抗体, SR-1, はBFU-EおよびCFU-Eを培養前および12日間培養後でも有意に抑制したが, CFU-GMは, 培養前および培養6日目までのSR-1の影響は少なく, さらに培養12日目にはSR-1による抑制は全く認められなかった.この結果から, 顆粒球/単球系前駆細胞と赤芽球系前駆細胞の分化増殖において, c-kitの機能発現には相違があるものと思われた.
抄録全体を表示