日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
9 巻 , 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 恒松 由記子
    1995 年 9 巻 6 号 p. 395-403
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児がんは稀な疾患であるが小児がんの臨床遺伝学的研究は, 成人のがんも含めがんの臨床および基礎研究の進歩に貢献し続けてきた.NCIのMillerらがはじめた小児がんに伴う先天異常の研究はヒトの良性腫瘍も含めてcarcinogenesis, およびmutagenesisとteratogenesisを包括してとらえることを示唆した.そして腫瘍を伴った各種の奇形症候群患者の正常リンパ球にみとめられる染色体の欠失や転座の存在は腫瘍レベルでも解析され各腫瘍の遺伝子座発見の糸口となった.優性遺伝する遺伝性の網膜芽細胞腫の臨床的観察からKnudsonは発がん2段階説いわゆるtwo hit theoryを提唱し, これはがん抑制遺伝子の発見に導いた.CaveneeはRFLPマーカーを用いて網膜芽細胞腫の腫瘍細胞レベルでのヘテロ接合性の消失を示しがん抑制遺伝子の仮説が実証された.その後遺伝性のがんは通常特定の抑制遺伝子のgermline mutationによって生ずると考えられるようになった.1990年, 様々のがんが若年で発症しやすい体質が優性遺伝で伝えられるLi-Fraumeniがん家系症候群と呼ばれる家系にp53遺伝子のgermline point mutationが発見された.われわれも日本のがん体質家系から2つの新しいp53 germline mutationを発見した.本稿では「がんの易罹病性」の本体を明らかにする上での疫学者と分子生物学者の効率的な連携プレイを紹介する.また, LFSの遺伝子診断を例に挙げて, がんの易罹病性を発病前に遺伝子診断することの問題等についても言及する.
  • 清水 隆史, 江口 春彦, 長田 陽一, 高橋 耕一, 稲田 浩子, 安藤 昭和, 末延 聡一
    1995 年 9 巻 6 号 p. 404-408
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    我々は, 進行横紋筋肉腫で集学的治療が十分に行えない3症例と再発例の1症例に, 多回PBSCTを施行したので報告する.強化療法はpulse VAC, new Al療法を交互に6-7クール施行し, その後にPBSCTを設定した.移植後の造血能の回復はいずれも速やかであり, regimen related toxicityも軽微であった.転帰は2例が再発したが, 手術・放射線療法が行えなかった心臓原発症例と再発症例は, 現在無病気寛解生存中である.多回PBSCTは厳重な無菌管理を必要とせず施行可能な治療法であり, 集学的治療の一環として行うことより, 進行横紋筋肉腫に対し有効な手法と考える.
  • 鹿野 高明, 大川 正人, 小林 良二, 石川 順一, 中館 尚也, 畑江 芳郎, 武田 武夫
    1995 年 9 巻 6 号 p. 409-415
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    真の悪性組織球症は稀であり, その細胞起源など不明の点も多い疾患である.染色体所見を中心に検討したので報告する.症例1は11カ月男児.経時的に観察した骨髄像で血球を貪食した成熟した組織球が主体のときも未熟な組織芽球が主体のときも常にほぼ100%同一の染色体異常 [46, XY, -6, +mar] をみとめ, その表面免疫マーカーではT細胞・B細胞マーカーがすべて陰性であったことより悪性組織球症と診断した.症例2は13歳男児.胸水に血球を貪食した未熟な芽球が存在し, その表面免疫マーカーではT細胞・B細胞マーカーがすべて陰性で, 12p13異常, hypotetraploidyの染色体異常を示したことより悪性組織球症と診断した.既報告例の染色体異常を調査しt (2;5) (Ki-1リンパ腫の可能性がある), 17p13異常, ploidy異常が散見されるものの様々であり, 悪性組織球症は細胞遺伝学的にheterogenousな疾患であることを示していた.
  • 姜 桂英, 蔡 霊芝, 〓 恭
    1995 年 9 巻 6 号 p. 416-419
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    急性型特発性血小板減少性紫斑病 (急性型ITP) 31例においてステロイド治療前後で血清中の可溶性インターロイキン-2レセプター (sIL-2R) を測定した.急性型ITPの治療前の血清slL-2R値は対照と比較すると有意に上昇していた.治療開始後3カ月の血清sIL+2R値は治療前に比して減少するが対照より有意に高かった.治療開始後6カ月の血清sIL-2R値はさらに減少し対照との間には有意差を認めなかった.ステロイド治療開始後3カ月, 6カ月の血清sIL-2R値と血小板数との間には負の相関を認めた.臨床症状が重く, 治療前の血清sIL-2Rが高値の症例はステロイド治療への反応性も悪く, 血清sIL-2Rは減少するも高値が持続した.今回の研究から, 急性型ITPにおいて血清sIL-2Rの測定が病勢の評価や予後の推測に有用であると考えられた.
  • 平竹 晋也, 東 英一, 永井 正高, 梅本 正和, 駒田 美弘, 櫻井 實
    1995 年 9 巻 6 号 p. 420-425
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    白血病細胞上にはいくつかのectoenzymeが存在していることが知られているがその機能はまだ不明の点が多い.今回, neutral endopeptidase (NEP : CDIO) とaminopeptidase N (APN : CD 13) 双方の酵素基質であるenkephalin (Enk) の細胞増殖に対する影響を検討した.両酵素活性を有するbiphenotypic ieukemia細胞株では3H-thymidineの取り込みやMTT色素還元法からEnk存在下では細胞増加が認められたが, 急性リンパ性および非リンパ性白血病細胞株では認めなかった。またAPNの活性の阻害は細胞増加抑制をもたらした.カルシウムイオンの細胞内流入は認めなかった。以上よりEnkはある種の白血病細胞の増殖因子のひとつであり, その際APNにより分解されることが必要で, カルシウムイオンの細胞内流入に依存しないことが示唆された.
  • 和田 靖之, 北島 晴夫, 久保 政勝
    1995 年 9 巻 6 号 p. 426-431
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    症例は既往歴に異常を持たない5歳の男児で, 脾腫, 汎血球減少 (赤血球数 : 入院日451×104/μl, 2日前が500×104/μl, 白血球数 : 入院日3,000/μl (st 43%, sg 28%, ly l8%, mo 8%, eo 2%), 2日前が10,000/μl, 血小板数 : 入院日6.8×104/μl, 2日前が14.8×104/μl) を主訴として入院となった.入院時の骨髄穿刺標本ではPelger様変形, 巨核球の分葉異常などのdyshematopoiesisの所見や, parvovirus B19感染症に特徴的といわれている巨大赤芽球の存在を認めた.また患児の血清ならびに骨髄より, parvovirus B19のDNAの出現がみられた.本症例は, parvovirus B19感染症により一過性のdyshematopoiesisを生じたと推測された.
  • 佐藤 雄也, 斉藤 えみ, 黒崎 元之, 黒澤 秀光, 杉田 憲一, 江口 光興, 古川 利温
    1995 年 9 巻 6 号 p. 432-435
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は2カ月の男児.咳嗽, 貧血, 好中球減少, 肝機能障害を認め, 当院に紹介された.入院後, 血小板減少, 膵外分泌機能不全も存在していたことより, Shwachman症候群と診断した.骨髄検査では有核細胞数の減少を認めた.患児は, 敗血症に罹患したが, recombinant human granulocyte colony-stimulating factor (rhG-CSF) の投与により, 好中球は増加し, 症状は改善した.その後, 好中球数維持と貧血の改善を目的に, rhG-CSFの投与とoxymetholoneの投与を開始し, 現在に至っている.重症細菌感染罹患はなく, 貧血も徐々に改善している.
  • 小西 恵理, 石河 由佳, 梅原 俊介, 福永 真紀, 川上 哲夫, 西川 健一
    1995 年 9 巻 6 号 p. 436-439
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    好中球, 網状赤血球の2血球系統にわたって周期的変動が認められた3カ月女児を報告した.好中球は26-27日, 網状赤血球は10-16日の周期で増減をくり返し, 貧血が認められた.多血球系統の変動を伴う周期性好中球減少症と診, recombinant human granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) による治療を開始した.好中球は良好な反応を示したが, 咽頭炎と左股関節炎を併発し, G-CSF連日投与を必要とした.投与開始8カ月後からは好中球数は1,000/μl以上に安定し, 重篤な感染も見られなくなった.G-CSFによる治療開始後も網状赤血球の変動は続いており, 貧血の改善は見られない.
  • 佐藤 理香, 毛利 陽子, 石井 榮一, 宮崎 澄雄
    1995 年 9 巻 6 号 p. 440-445
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    HLA不一致の骨髄移植後の回復期に難治性下痢を発症し, 頭蓋内出血で死亡したB細胞陽性重症複合免疫不全症の1例を経験した.男児は生後123日目にHLA2座不一致の母親からT細胞除去なしで骨髄移植を施行した.移植後1度の急性GVHDを認めたがsteroid療法にて軽快し, 細胞性免疫の再構築が認められた.しかし移植後3カ月目に難治性下痢を併発, GVHDの所見に乏しいためウイルス性腸炎と考えγ-globulin, 抗ウイルス剤を投与したが下痢は遷延した.GVHDに対するsteroid療法も併用したが改善なく, vitamin K欠乏によると思われる頭蓋内出血を来し死亡した.免疫不全症に対するHLA不一致の骨髄移植ではT細胞除去を含めた前処置の選択が重要と思われる.また本例のように移植後に認められる難治性下痢ではGVHDとウイルス感染の鑑別が困難であり, 腸生検を含めた早期の検査が必要と考えられた.
  • 星田 宏, 吉野 谷友香, 土田 昌宏, 小池 和俊, 泉 維昌, 田村 和喜
    1995 年 9 巻 6 号 p. 446-451
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    腰痛で発症し, 脊椎の圧迫骨折を合併した急性リンパ性白血病の1学童例を報告する11歳の男児.3カ月前より腰痛を訴え, 徐々に歩行不能となる.発熱と汎血球減少を認め, 骨髄穿刺で急性リンパ性白血病と診断した.単純X線で多発性の脊椎 (Th7-L2) 圧迫骨折を認め, MRIでは椎体への白血病細胞の浸潤が考えられた.治療 (TCCSG L92-13PH) に反応よく, 寛解と同時に腰痛は消失し, 歩行も可能になった.単純X線とCTでは椎体の改善所見を認めなかったが, MRIでは改善を認め, 脊椎病変の治療効果判定にはMRIが有効であった.報告例を集計すると, 脊椎圧迫骨折を伴ったALLは, (1) 年長児に多い, (2) 初発症状から診断までに時間がかかる, (3) 白血球数増多がない, (4) 末梢血に芽球の出現が少ない, (5) 染色体ではhyperdiproidを示す, (6) 予後が良好, などの特徴ある1群を形成する傾向がみられた.
  • 安西 加奈子, 北島 晴夫, 星 順隆, 久保 政勝
    1995 年 9 巻 6 号 p. 452-455
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    症例はALLの7歳女児で, prednisolone, vincristine, L-asparaginase, THP-adriamycinを含む寛解導入療法により治療を行ったところ, 治療途中より著明な高脂血症と肝機能障害が出現した.L-asparaginaseを含む再強化療法施行したところ再度高脂血症と脂肪肝による肝機能障害が出現, TG, GOT, GPTがそれぞれ727mg/dl, 123IU, 172IUと上昇した.検査結果よりL-asparaginase投与によりFriedrickson IV型高脂血症と脂肪肝が誘発されたことが強く示唆された.L-asparaginase投与中止と対症療法により患児は軽快した.
feedback
Top