薬学教育
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2 巻
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総説
  • ―合理的配慮と方略・評価の多様化,薬剤師としての資質の水準を考える―
    菊池 千草, 安原 智久
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-011
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
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    薬学部の学生が医療従事者として世に認められるためには,学内の様々な評価基準,共用試験,22週間の実務実習を越え,ディプロマ・ポリシーに到達しなければならない.大学にとっては,実務実習に出すこと,卒業を認め国家試験受験資格を与えることは,社会に対して実習生・卒業生の質を保証する社会的責任である.一方,近年,高等教育においても発達障害等を抱える学生の支援として合理的配慮が求められている.合理的配慮と方略・評価の多様化はどこまで許されるのか,薬剤師としての資質の水準をどう保つのか.我々のシンポジウムではこの問題について議論するため,大学教員の立場から講義,実務実習及び就職支援の取り組みについて,薬剤師そして障害者の家族の立場からの合理的配慮について,カウンセリングやキャリア支援に関わる教員の立場から学生相談について講演をいただき,会場全体で討論を行った.本総説ではその内容と議論について報告する.

  • 伴 信太郎
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-022
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    医学教育の基本的構造―必要性と要求からニーズを同定し,さらに現実的制約を勘案してニーズを目標に落とし込み,その目標達成の為の方略・評価を立案するということ―は変わらないが,周囲の社会的環境は大きく変化している.生涯を通じて自己研鑽を求められる医療専門職は,高齢化や医療の専門細分化に直面して医療の社会的側面や社会的責任をより重視した教育を行うことを求められている.その教育を一言で表現すると ‘transprofessional medical education’ と表現できる.これは地域の住民も参加した多職種連携教育である.今日の日本の医学教育は全教育時間の3分の2をモデル・コア・カリキュラムの内容,残りの3分の1を各大学独自のカリキュラムで教育することになっている.しかし,教育は多様であってしかるべきで,薬学教育も医学教育を参考にしつつも,薬学ならではの教育体制を構築されることを祈念している.

誌上シンポジウム:事前学習・実務実習のアウトカムを測る
  • 鈴木 匡, 安原 智久
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-005
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
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  • ~卒業時における臨床能力の質保証のために~
    小森 浩二, 安原 智久, 曾根 知道, 河野 武幸
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-003
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
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    改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムでは医療人としての一般的なパフォーマンスを,事前学習により模擬的な体験で,実務実習により多くの実症例を実体験することで修得することが求められている.そして大学は,学生が修得する「実践的な臨床対応能力」を総合的に評価することが求められている.これまで摂南大学は,①自ら問題点を発見する,②問題点を多角的に捉える,③解決策を考え実行する,④チームで協働する,⑤患者の視点を考慮できる倫理観などの能力に基づくアウトカムを設定し,アウトカムへの到達を評価するアドバンストOSCEを構築している.今回,事前学習後及び実務実習後に実施した結果を報告する.

    2016年度に実務実習を終了した学生171名のパフォーマンスを,ルーブリックを用いて評価した.事前学習後に比べ有意に向上し,臨床対応能力の醸成が確認できた.特に「医療従事者にふさわしい倫理観と使命感」の向上が際立った.

  • 安原 智久, 隠岐 英之, 串畑 太郎, 曾根 知道
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-001
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
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    学習成果基盤型教育に基づいた改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの下で行われる実務実習では,学習者のパフォーマンスを評価する必要がある.しかし学習者のパフォーマンスの測定は,薬学教育全体が経験不足である.本研究では,服薬指導におけるパフォーマンス評価を試行するため,滋賀県薬剤師会と連携し,Rubricを用いて実務実習の場で評価を行った.服薬指導のパフォーマンスの測定を,実習4週目,8週目,11週目に行ったところ,6つの観点の全てにおいて実習が経過するに従い測定値の上昇が見られた.また,評価を行った薬剤師にRubricに関するアンケートを実施したところ,「印象」「適切性」「わかりやすさ」「能力の評価」「客観性」などの項目で従来用いてきた評定尺度よりもRubricに肯定的な意見が多く見られた.「評価者の負担」はRubricと評定尺度がほぼ変わらない結果が得られた.

  • 鈴木 小夜, 中村 智徳
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-002
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
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    慶應義塾大学では,2019年度から開始される改訂版・薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習に向けた取り組みの一環としてパフォーマンス評価のためのルーブリックを作成し,慶應義塾大学病院にて評価トライアルを実施している.2016年度の2回のトライアルから「負担が大きい」,「ルーブリックの内容が漠然としている」などの問題点が挙がった.わかりやすいルーブリックに工夫・改善し,評価回数を減らし,薬剤部全職員対象に説明会を実施した上で2017年度に3回目のトライアルを行った結果,評価者の負担感はSBOs評価とルーブリック評価で変わりなく,ルーブリックの方が適切に,客観的に課題遂行能力を評価できるとの評価者の意見であった.ルーブリックによる実務実習パフォーマンス評価は可能と考えられるが,わかりやすいルーブリックの作成,スタッフへの周知徹底と意識統一が重要である.

誌上シンポジウム:6年制薬学教育のアウトカムと質保証
  • 山田 勉
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-006
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/22
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    薬学教育評価は,「臨床に強い」「チーム医療を担える」薬剤師養成を目指す薬学教育のプログラム評価である.しかし評価結果では,国家試験合格のみを目指した教育に過度に偏重しているとの指摘が後を絶たない.そこで本稿では,「三つのポリシー」の観点から第2サイクルの課題を考察した.まず「薬剤師として求められる基本的な資質」は人格の深部に及ぶ資質・能力を教育目標としているが,薬学教育モデル・コアカリキュラムは「学習すべき内容」のみを記載しており,現実のカリキュラムと方略は大学が決める必要がある.また例えば知識には「知っている・できる」「わかる」「使える」という深さがあり,真正の評価が重要である.要するに,大学は基本的な資質をディプロマ・ポリシーに,パフォーマンス評価をカリキュラム・ポリシーに組み込み,薬学教育評価機構は国家試験対策の『総合演習』による卒業判定を,両ポリシー違反と認定することが課題である.

  • 平田 收正
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-025
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/22
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    平成18年度から開始された6年制薬学教育は,平成29年度に12年目を迎えた.この6年制教育の開始に先んじて平成16年に出された中央教育審議会による提言では,「第三者評価の体制整備」が,最重要事項として取り上げられた.これは,「社会からの要請に応える医療の担い手としての薬剤師の養成教育について,十分な検証と適正な評価を行うことが求められる」と判断されたことによるものである.すなわち,第三者評価の意義は,薬学教育プログラムが薬学教育評価機構が定める基準へ“適合”することの“認定”によって,6年制薬学教育が“社会が求める薬剤師養成教育の質”を満たしていることを客観的に保証することにある.本稿では,薬学教育評価機構における「第三者評価」について概説し,続いて平成28年度までの受審大学の主な評価基準における評価結果を実際に評価を担った評価委員会の視点から取り上げることによって,大学が自らの責任で教育研究の質を維持・向上させる内部質保証システムの重要性についての認識を高めるための情報の共有化を図りたい.

  • 長谷川 洋一, 小澤 光一郎, 中村 明弘
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-017
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/22
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    2013年に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムは,学習成果(アウトカム)を重視する「学習成果基盤型教育」の考え方が取り入れられた.また,2013年からスタートした薬学教育第三者評価は,2020年度から第2サイクルが始まる.そこで,高大接続システム改革会議「最終報告」並びに「卒業認定・学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針及び入学者受入れの方針の策定及び運用に関するガイドライン」など高等教育の質保証に関する議論を踏まえ,第2サイクルに向けた評価基準の改定作業を行った.改定では,三つの方針の策定・運用,教育課程と学修成果,PDCAサイクル等による内部質保証を重視した.また,第1サイクルの評価結果に基づいて基準のスリム化と明確化を図り,8項目,19基準,53観点に整理したので,その概要について解説する.

誌上シンポジウム:FD活動からアウトカムをはかる
  • 尾﨑 惠一
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-004
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/27
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    平成19年度の大学設置基準改正におけるFD(Faculty Development)義務化にともない,大阪薬科大学でもFD委員会が設置され,歴代のFD委員長を中心に教育活動の改善や学習環境の整備にむけた取り組みが続けられてきた.この様な活動をさらに発展すべく,私は平成29年度より本学FD委員長を拝命した.FDは教員の授業内容・方法の改善を促す取り組みとされているが,広くは研究も含めて教員の資質の改善・開発を目指すべきものであり,教員の研究能力と教育能力がともに開発されてこそ「大学の教育力向上」が実現されるものである.また一方で,教育現場での主役である学生にも我々との協力体制でFD活動に参画してもらいたいと考えた.そのような考えに基づき,これまでのFD活動の中で踏襲すべきものは踏襲しつつ,現状をさらに改革し発展させるために企画した私の新しいプランとその活動の進捗状況を述べたい.

  • ―今までの経験から見えてきたもの―
    小佐野 博史
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-021
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/27
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    医療教育において,FD(Faculty Development)の重要性が再認識されている.社会が変わり,教員が果たす役割が大きく転換してゆく中,6年制になって10年余を迎えた薬学部の教育を行う上に,FDが不可欠であると認識している大学がほとんどであるにもかかわらず,いざ実施しようとすると,数多くの困難に直面する.本稿では,本学薬学部が今まで実施してきたFD活動を振返り,平成27年度から実施している改訂コアカリキュラムの実施を視野に入れ,FDとは何かという定義,FDの成果(アウトカム)は何か,そしてどのように評価し次回に繋げるかなど,多くの問題を提案し共有したい.

    本稿は,平成29年9月,名古屋で開催された第2回日本薬学教育学会の「シンポジウム5」で紹介した内容をまとめたものである.

  • 井上 誠, 脇屋 義文, 古野 忠秀, 茂木 眞希雄
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-020
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/27
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    愛知学院大学薬学部では「教育の質向上」及び「教員の資質向上」を目的に,教員が直面している身近な問題を題材にしてFDワークショップ(WS)を開催してきた.WSには専任教員だけでなく実務実習担当薬剤師も参加して活発な意見交換が行われ,教員間での意思の疎通が十分に図られた.そして,1)教員の教育改善に対する意識の向上,2)教員間での問題意識の共有,3)教育改善を進めるための具体的な対策の共有,など数々の成果が得られた.一方,1)教育改善の有効性を適切に評価する方法や基準の策定,2)PDCAサイクルを継続的に回す駆動力となる仕組み作りの必要性,などいくつかの課題も見つかった.WSで培われた教員間の連携意識は,実際に薬学部が抱える諸問題に対する対策を講じやすくするとともに,今後の「教育の質向上」及び「教員の資質向上」に向けた取り組みをさらに推進するために大いに役立つと考えられた.

  • ―「四国4薬学部連携事業」による海外薬学教育調査―
    松岡 一郎
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-032
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/27
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    薬剤師養成を主たる目的とする薬学教育が6年制に移行して,10年余が経過した.従来,日本の薬学部は基礎科学における発信力をもとに発展してきた.しかし,「患者本位の視点」,「臨床現場との連携重視」,「臨床現場における問題解決能力の養成」などの6年制教育の基本理念は,薬学教員に発想の転換を迫るものであり,人材養成の目標を重視したカリキュラム設計やこれに基づいた教員相互のFD活動が求められている.2012~2016年度に採択された文部科学省大学間連携共同教育推進事業「四国4薬学部連携事業」では,高度な実践能力を有する臨床薬剤師や臨床薬学分野の研究者を養成する枠組の構築を目指して様々な取り組みを実施してきた.本稿では,同連携事業の取り組みから「海外薬学教育調査」について紹介すると共に,この調査で得られたヒントをもとに日本の6年制薬学教育へのフィードバックについて論じたい.

誌上シンポジウム:薬学教育における屋根瓦方式教育の実践例,教育効果,課題
  • 矢野 玲子
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-008
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
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    金城学院大学薬学部では,1年次に「薬学PBL」,3年次に「薬学TBL」,4年次に「薬学CBL」を開講し,段階的・重層的に問題解決能力を養成するカリキュラムとなっている.特に,1年次の「薬学PBL」では,屋根瓦方式の問題解決型学習チュートリアル(以後:PBLチュートリアル)を導入しており,教員以外に2年生がチュータ役を担当する.本報告では,その概要とアンケート結果を紹介した.PBLチュートリアルの実施によって,能動的に学ぶ態度や,レジュメ作成能力,学習意欲が高まるといった意見の他,上級生,同級生とのコミュニケーション能力が向上したといった意見が見られた.本方法は1年生だけでなく,2年生の成長を促す観点からも効果的な手法であると考える.

  • ―1年次の学習支援ならびに5年次の技能・態度教育への導入例―
    杉浦 宗敏
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-013
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
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    6年制薬学教育では医療人の育成が重視され,知識に偏重することなく,知識・技能・態度をバランスよく教育する必要がある.医学教育では従来より医療人として相応しい技能・態度を身に着ける教育方法として「屋根瓦方式教育」が取り入れられてきた.今回,本学において1年次生と5年次生における「合同演習」を実施した.平成29年度に受講した1年次生および5年次生のアンケート調査結果から1年次生の約80%,5年次生の約60%以上の学生から本合同演習は評価されていた.今後,教えられる側の学生のニーズに応じた教育の遂行,教える側の学生に対する目的と意義の周知や薬学教育におけるスパイラルな医療人教育への応用が課題と考えられた.

  • 橋田 亨
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-029
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
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    当院では薬剤師レジデントプログラムを構築し60名を超える修了生を輩出してきた.研修カリキュラムは講義と実務研修,セミナーから構成される.実務研修は調剤,医薬品情報などの中央業務に加えて,早期から病棟,薬剤師外来において臨床薬剤業務に関する教育を集中的に行っている.初期の段階の病棟研修ではプリセプター薬剤師の指導の下,シャドーイングを行う.その後,レジデントとプリセプターは立場を交代し,レジデントのラウンドをプリセプターがサポートしつつ,ラウンド後に指導する.この段階を踏んでおけば,入職数ヶ月後にはレジデントが独り立ちして患者対応できるようになる.レジデント自らが運営するセミナーは短時間で集中的に議論するスキルを身につけさせ,多職種からなる診療カンファランスで薬学的専門性を発揮する際に役立つ.今後,さらに制度を充実させ高い臨床能力を発揮できる薬剤師を養成し続けたい.

誌上シンポジウム:学習成果を測る!インスティチューショナル・リサーチ(教学IR)の取り組み
  • 中井 俊樹
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-010
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
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    近年の高等教育政策では,学生の学習成果を可視化して,大学教育の内部質保証を確立することが求められている.そして,学習成果が身についているのかどうかを適切に評価し,組織的に改善することがインスティチューショナル・リサーチ(IR)に期待されている.本稿では,大学におけるIRの実践の効果を高めるための課題を,IRの有効性と限界,大学教育の質保証の特徴,学習成果を捉えるモデル,IRの実践的方法といった論点にそってまとめる.

  • ―機関レベルと専門分野レベルのIR機能と関連性―
    岡田 聡志
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-012
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
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    本稿では医学教育を1つの事例としながら,専門分野レベルのInstitutional Research(IR)の役割と機能について考察し,機関レベルのIRとの関連性を含め,今後の方向性について検討する.

    具体的には,まず現在なぜ専門分野レベルのIRが注目されているかの背景について,内部質保証の強調,教育プログラムの第一義的重要性,分野別評価の導入と進展,機関別認証評価の軽量化の観点から整理する.次いで,事例としての医学教育におけるIRの展開について概観した上で,IRの形態の多様性について確認する.その上で,IRの具体的な機能に関連して,日本のIRに関する制約とその現状を指摘した上で,学修成果の測定や可視化に関する議論を確認しつつ,実践の在り方について論じる.最後に,専門分野レベルのIR機能の重要性を指摘するとともに,具体的な課題とともにその方向性を考察する.

  • ―福山大学薬学部での取り組み―
    小嶋 英二朗, 石津 隆, 上敷領 淳, 松田 幸久
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-009
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
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    福山大学薬学部IR(Institutional Research)委員会が,入学時に実施しているプレイスメントテストと1年生の成績の解析内容を中心に,卒業もしくは国家試験合格に資するデータ探索の一環として実施した事例を紹介する.データの取り扱いには慎重を要するため,かなりデフォルメしているとともに,データ個々について踏み込んだことは言及できないが,参考になればと思う.我々のこれまでの解析結果は,ベテランの先生の経験則を裏打ちまたは補強するものが多かったが,単なる思い込みが共通認識になっていたものも一部あった.これらの作業を通して,改めてIRの重要性を実感したが,学部の方策立案にクリティカルな情報を得るには更なる研鑽が必要なことも同様に実感した.

    なお,本演題の内容は,福山大学薬学部IR委員会のこれまでの活動内容を一部抜粋して構成した(委員会メンバー:小嶋英二朗,石津隆,上敷領淳,松田幸久).

  • ―名城大学薬学部での取り組み―
    大津 史子
    原稿種別: 総説
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-026
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/03
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    ディプロマポリシーなどで求める能力が,教育課程の成果として身についているかどうかを評価し,実質的な教育改善をすることが求められている.名城大学薬学部では,FD委員会で,教学IR(Institutional Research)に取り組んでいる.まずは,授業評価アンケートや学習活動調査,学習スタイル調査などのIRの基盤となる情報を一元的に蓄積し,他の学習成果の情報等も取り込み,多面的な分析が可能とする環境の構築(IR基盤データベース)を行った.また,ディプロマポリシー及び10の資質に対する長期的ルーブリックを作成し,後期終了時に,学生に1年間の学修成果を振り返らせる取り組みを導入した.本シンポジウムでは,現在取り組んでいる教学IRの事例として,学習成果とアクティブラーニング及び,学習スタイル調査との関連,さらに,ディプロマポリシー及び10の資質に対する自己評価について,検討結果の一端を紹介する.

原著
  • 清水 典史, 井上 寛, 松延 千春, 高露 恵理子, 椿 友梨, 白谷 智宣
    原稿種別: 原著
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-023
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
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    個々の学生の知識修得度の推移が特定の指標により測定可能であれば,その測定結果を利用することにより,より効果的な教育施策の策定やその実施した教育施策の有効性の評価が可能になると考えられる.そこで,本研究では,サポートベクターマシン(SVM)を用いた試験合否予測が知識修得度の指標となり得るか否か検討した.今回,合否予測モデルを平成27年度6年生在籍者の9月実施模擬試験の成績データと第101回薬剤師国家試験結果から構築した.構築したモデルの有用性を確認するため,平成28年度6年生在籍者の9月実施模擬試験の成績データから本モデルにより第102回薬剤師国家試験の合否を予測させ,モデルの導き出した予測と実際の合否と比較した.本研究の結果から,本モデルは比較的高い精度で合否を予測することが可能であり,知識修得度の推移の指標として有用である可能性が示唆された.

  • 齋藤 百枝美, 村上 勲, 中村 英里, 安藤 崇仁, 土屋 雅勇, 楯 直子, 栗原 順一
    原稿種別: 原著
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-019
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/15
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    日本の年間自殺者数は3万人を下回り減少傾向にあるが先進諸国の中では依然高い水準である.自殺の原因としては健康問題が最も多く,患者と身近で関わる薬剤師に自殺予防ゲートキーパー(GK)としての役割が求められている.このため,薬学部4年生を対象として,GK養成講座としてメンタルヘルスファーストエイド(MHFA)を導入しその評価を行った.精神疾患について2コマの講義を実施後にMHFAを実施し,事前・事後にアンケート調査を実施した.回答者数は251名で回収率100%であった.GKについては89.6%の学生が知らないと回答した.薬剤師が自殺予防に関わることへの自信度は事前3.0(3.0, 3.0)から事後4.0(3.0, 4.0)へ有意に上昇した.GK養成講座が役に立つかは93.6%が「役に立つ」「やや役に立つ」と回答した.MHFAはエビデンスに基づいており,対応についての悪い例,良い例をDVDで視聴し,精神的危機に陥っている人に対する対応をロールプレイにより実践的に学ぶことができるため,学習効果が大きく有用であると考えられる.

  • 松野 純男, 八軒 浩子
    原稿種別: 原著
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-018
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    薬学統計学の講義にて「内容理解」と「PC演習」の2項目についてルーブリックを作成し,learning management system(Moodle)上で,各講義終了後の学生自己評価に使用した.また,学内授業評価アンケートと同じ内容についてもMoodleのフィードバックにて回収した.自己評価ルーブリックの単純集計では,ソフトウェア使用の初回で「内容理解」「PC演習」の両者とも,他の回よりも低い傾向が認められた.これに主成分分析とクラスター分析を行ったところ,全ての自己評価は同方向のベクトルを示し,学生は評価の順に3グループに分類された.授業評価アンケートでは,「講義への集中度」「教員の講義能力」の2因子が抽出された.さらに,定期試験との関係を調べたところ,自己評価ルーブリックと試験成績の間に良好な相関が認められた.自己評価ルーブリックは,学習進捗を簡便に測定するのに有用と考えられた.

  • ―動機づけ予測に関連した感情の観点からの考察―
    児玉 典子, 細川 美香, 藤波 綾, 小山 淳子, 竹内 敦子
    原稿種別: 原著
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-016
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/21
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    学習者が語学学習の過程で生じる正感情は,学習の動機づけ(学習意欲)にプラス効果を及ぼすことから,正感情とその影響要因は学習意欲の向上に繋げるための教授方略・方策を探る鍵と考える.そこで,薬学英語学習における感情を学習感情(正感情,負感情,重要性の認識)と学習到達度感(テキスト内容の理解,分野横断的内容の関連づけ・統合,専門内容の思考・問題提起,医薬系内容の理解)に分け,学習前後における各感情の変化と正感情に対する影響要因を調べることを研究目的とした.その結果,重要性の認識は学習前後で変わらないが,正感情及び学習到達度感の全項目と,強い負感情の「反抗・腹立たしさ」は高くなり,弱い負感情の「なさけなさ」は低くなることがわかった.また,学習後の正感情に対する影響要因を学習前と比較すると,学習感情では負感情の関与が高まり,学習到達度感では分野横断的内容の関連づけ・統合の関与が明らかとなった.

短報
  • 渡邉 雅行, 大野 修司, 山内 理恵, 久保 元, 浅井 和範
    原稿種別: 短報
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-014
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
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    6年制の薬学教育が導入された後,薬剤師国家試験はより高度な薬学的知識を要求する試験へと変化している.近年の星薬科大学では,製薬企業への就職内定者の国家試験不合格比率が他の職種内定者と比較して高い傾向にあるため,進路希望が異なる学生群間で国家試験直前期における学習成績についての比較検証を試みた.国家試験受験に向けた仕上げ時期では,病院,保険薬局希望者は,星薬科大学の学生に全国平均を上回る経時的な成績向上が認められたが,MR職やCRO,製薬メーカーの研究職,学術職や大学院進学者等については,この時期に有意な成績向上は認められなかった.また,国家試験の自己採点結果では,病院,保険薬局等の内定者に対しMR職内定者の平均成績が有意に低かった.以上より,薬剤師免許を必要とする職種を選択するか否かで国家試験に向けた学習効果に一部差が表れ,この一部の学生に対して学習意欲を引き出す対策の必要性が考えられた.

  • 大鳥 徹, 井上 知美, 細見 光一, 石渡 俊二, 藤本 麻依, 北小路 学, 小竹 武
    原稿種別: 短報
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-017
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
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    これまで医療行為と解釈されてきた薬剤師による聴診や血圧測定等が,適法と解釈され,臨床現場での実施が可能となった.これにより,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにフィジカルアセスメント(PA)が盛り込まれ,客観的臨床能力試験(OSCE)にPA課題の導入が検討されているものの,PA課題に対応した模擬患者(SP)の養成等に関する検討は行われていない.そこで,薬学生が行うPAと在宅医療に関するSPの意識調査を行った.SPは「在宅医療」やPAについて,少なからず知識や関心を持っていた.これらの結果は,一般の患者より高くなっていた.さらに,SPは,聴診に対して,その他の項目ほど受けたいと思っていないことが明らかとなった.そして,この傾向は,女性で高くなることが明らかとなった.したがって,PA課題を円滑に実施するためには,薬剤師教育(医療人)を十分理解したSPを養成する必要があるとともに,SPの立場に立った細かな配慮を行う必要があることが明らかとなった.

実践報告
  • 村上 勲, 齋藤 百枝美, 渡辺 茂和, 土屋 雅勇
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-020
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/30
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    帝京大学薬学部では学生の薬物乱用防止に関する意識調査を継続して実施している.今回5年間(2012~16年度)の1年生を対象とした調査結果を解析した.調査の結果,危険ドラッグ販売店舗数がゼロにもかかわらず危険ドラッグが「簡単に手に入る」と考える学生が12.3%であった.また危険ドラッグの認識では「どのような理由であれ,絶対に使うべきではないし,許されることではない」と回答した学生は2014~15年度で91.0~94.2%だったが2016年度には89.4%と低下した.この傾向は大麻の認識に関する設問でも同様であった.乱用薬物に関する主要な情報源は各年度共に「小中高の授業」(80.9~89.1%)で,次いで「テレビ」(44.2~56.1%)であった.本調査時期中に池袋脱法ハーブ暴走事故が発生しており,大学教育前の薬学部1年生,特に2014年度に調査を行った学生はメディアからの大きな影響を受けている可能性が示唆された.

  • ~血圧・脈拍測定における運動負荷の導入
    服部 尚樹, 角本 幹夫
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-007
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/30
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    我が国における医療制度は,病院中心の医療から在宅医療へと変わりつつある.「かかりつけ薬剤師」制度もはじまり,在宅や健康相談窓口で薬剤師がフィジカルアセスメントをとる機会も増えることが予想される.

    立命館大学薬学部では,医療薬学実習2の中で,フィジカルアセスメントを学生に教えている.今回,フィジカルアセスメントの中の血圧・脈拍測定を学生に教える方法と教育上の工夫について紹介する.運動負荷(600 m走)を取り入れ,運動前後の脈拍・血圧を学生同士で測定させた.運動負荷により,血圧・脈拍測定に対する抵抗感がとれて手技を自然に修得できるとともに,自分達の測定結果を基に,血圧が生じる機構の効果的な学習ができた.教育において,「楽しさ」を取り入れることは,その学習効率をあげるための重要なファクターであると考えられる.

  • 細畑 圭子, 金 美恵子, 恩田 光子, 岩永 一範
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-022
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/24
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    薬学教育において「教員主体」から「学習者主体」の教育に重点を置くアクティブ・ラーニングが浸透し,認識が高まっている.その一例として,Small Group Discussion(SGD)が多くの大学で取り入れられている.SGD後のプレゼンテーション評価は自己評価,相互評価(ピア評価),教員評価による3通りの評価方法があるが,アンケート用紙を用いた場合,学生数が多い場合には即時フィードバックが困難という欠点があった.近年,アンケート用紙の代わりにInformation and Communication Technology(ICT)を活用する試みがなされている.そこで,薬学部4年次学生に対して行われる「病院・薬局実務実習」の準備学習におけるSGD後のプレゼンテーションにICTを用いてピア評価を行った.ピア評価によってグループ討議や宿題への意欲に影響を与えると回答した学生が約7割にのぼった.ピア評価のほかに,グループ討議への意欲に影響を与えたものとして,ホワイトボードにまとめた討議内容を教員が撮影したことと回答した学生は8割を超えた.ICTを利用した評価方法は約8割の学生にとって取り組みやすさを可能にすると同時に,教員にとって即時フィードバックを可能にした.SGD後のプレゼンテーションにおけるピア評価に対してICT利用は学習への高い意欲に繋げることができると考えられた.

  • 清水 忠, 上田 昌宏, 大森 志保
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-021
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/24
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    近年,Evidence-based Medicine(EBM)の実践が薬学教育においても取り入れられるようになっている.今回我々は,薬学部3年次学生に対して実施した,講義および演習を組み合わせた授業方略について,学習効果の確認と改善点の抽出を行った.授業は,臨床疑問の定式化,医学論文の吟味,患者への適用,文献検索の順に行った.学習効果の評価は,8週目授業開始前のプレテスト,医学論文の吟味と適用まで終了した12週目の授業後に実施したポストテスト(19点満点)の結果を比較した.さらに,授業内容に対する受講生からの評価も行った.その結果,ポストテストの得点は有意に向上した(pre: 1.72 ± 1.89, post: 11.38 ± 4.16).本授業形態により受講生が受講後にEBMの概念や論文の吟味ポイントについての基本的知識を得ることはできたと考えられるが,受講生がエビデンスを活用して実践する能力を身につけたかについては,適切に評価できておらず,学習方略および評価方法を改善する必要がある.

  • 清水 忠, 西村 奏咲, 安田 恵, 村上 雅裕, 橋本 佳奈, 大野 雅子, 桂木 聡子, 上田 昌宏, 天野 学
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-014
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/24
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    薬学実務実習終了生を対象としたアンケート調査によれば,大半の学生は実習中に基礎薬学の知識を活用する機会は少なかったと感じていることが報告されている.その要因として,教員が基礎薬学は臨床現場でどのように役に立つかを具体的に説明できていないことが指摘されている.しかし,臨床現場での問題は基礎薬学が問題解決に有用となることもある.そのため,基礎系教員と臨床系教員が連携し基礎薬学の臨床現場での有用性を理解させ,それが可能であることを示すことが必要であると考えた.そこで,実務実習事前学習において有機化学を専門とする基礎系教員と実務家教員が連携した医薬品の配合変化に関する実習を実施し,終了後にアンケートを行った.この結果,受講生の90%以上が基礎薬学の内容が臨床の問題を解決するのに有用であることを意識できた.すなわち,基礎薬学が臨床現場でどのように役に立つかを意識させる実習を提供できたと考えられる.

  • 武井 佐和子, 勝山 壮, 波多江 崇, 増田 多加子, 西村 和江, 石田 千穂, 杉本 絵梨子, 田上 正, 杉浦 宗敏
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-015
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/21
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    チーム医療によるWHO方式がん疼痛治療法を実践できる薬剤師の育成の最初の段階として,緩和ケアに従事する薬剤師が学ぶべきことを理解することを目的とした多職種協働による授業を薬学部5年生に実施し,その有用性を評価するために,受講学生にアンケートを実施した.その結果,薬物治療,コミュニケーションについては,授業でその必要性を再認識していた.痛みの理解については,緩和医療で,基本でかつ重要な「全人的苦痛緩和」への理解を促すことができていた.「全人的苦痛緩和」への理解は2015年度より実施されている新薬学教育モデル・コアカリキュラムの「がん性疼痛の病態」の理解に不可欠であり,新薬学教育モデル・コアカリキュラムにおいても多職種協働による授業は有用と考えられた.受講学生の実務実習経験,緩和医療への興味が影響することが明らかになった.今後,これらの影響を受けないカリキュラムの検討が必要と考えられた.

  • 栗尾 和佐子, 河本 純平, 一色 夏衣, 村上 大希, 門脇 弘季, 西川 智絵, 串畑 太郎, 安原 智久, 曽根 知道
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2017-018
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/11
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    従来,1年次基盤実習では,少数の教員による講義方式で実習指導を行ってきた.2013年度より5年生が2年生を指導し,2年生が1年生を支援・指導する,屋根瓦式教育を取り入れたピアサポート方式を導入した.本方式の確立を目指し,2013年度から2016年度まで改善を重ねてきた.本論文では,改善してきた実践結果とその効果について報告する.本方式の効果を検証するために,ピアサポート後にアンケート調査およびルーブリックの自己評価を行った.

    2013年度の2年生は,支援・指導する上で事前の実習講義だけでは不十分と感じた.

    2014年度より,事前学習にプレ実習,指導マニュアル,SGD,事後に5年生によるフィードバックを導入するなどの改善を重ねた.改善されたピアサポートは,2年生に実習支援する上での知識,指導方法の共有化,指導意欲,1年生に基盤実習の知識や技能,実習の面白さをもたらした.本方式は,効果的な実習方法であることが示唆された.

  • ―女子学生が考えるキャリアとは―
    前田 徹, 平松 佑彩, 佐伯 憲一, 水谷 秀樹, 吉川 昌江, 青柳 裕, 矢野 玲子, 高橋 誠弥, 原﨑 周平, 日野 知証
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 2 巻 論文ID: 2018-028
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    薬学部卒業生の進路は多岐にわたるため,キャリア形成を促し,ライフプランを構築するためのキャリア教育は大学教育の重要な柱の一つである.本学は女子大学であるため,結婚・出産など女性特有のライフイベントを踏まえた上でキャリア形成を図る必要がある.在校生964名を対象とし,キャリア意識や将来のキャリアプランについてアンケート調査を行った.回収率は56.2%であり,回答者の87.6%が「キャリアプランを考えることは必要」と回答したが,実際に考えたことのある学生は57.2%であった.調査結果から,回答者の71.1%が結婚・出産を踏まえた上で「生涯働き続けたい」と就業継続の意識が非常に高く,また学年により必要な情報や問題点が異なることがわかった.今後,学生のニーズや薬剤師を取り巻く社会的背景の変化も踏まえた上で,結婚・出産など女性特有のライフイベントを考慮したキャリア教育に取り組む必要がある.

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