薬学教育
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3 巻
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誌上シンポジウム:多職種連携教育
  • ―薬学部生の取組みと影響―
    大久保 正人
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-013
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/24
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    千葉大学では薬学部,医学部,看護学部の医療系3学部で,2007年度からInterprofessional Education(IPE)を実施してきた.各学部で必修科目とし1~4年次まで毎年履修する臨床前教育であった.しかし,医療現場での専門職連携に繋げるため,臨床で実践可能なプログラムを必要としていた.そこで,薬学部と医学部の5年生,看護学部の4年生の臨床実習の一部にIPEを導入した.

    同じ時期に同じ診療科・病棟で実習を行っている各学部の学生がチームを形成して同じ患者を担当する.彼らだけで患者と面談したり,アセスメントをし,多職種の助言を受けながら診療・ケアを計画する.学生は通常の臨床実習では,それぞれの専門職からのみ指導を受けるが,クリニカルIPEでは学部・職種の枠を超えて指導が行われる.薬剤師の医療現場での関わりを実際に経験した薬学部生は,チームへの貢献力を増し,専門職連携の意義や課題について現実味をもって捉えられるようになった.

  • 木内 祐二
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-010
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/24
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    医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部からなる医系総合大学の昭和大学では,チーム医療に積極的に貢献できる医療人の養成を目的に,全学部,全学年にわたる体系的,段階的な学部連携教育を導入している.低学年ではチーム医療の基盤作りとして,大学内外での体験実習(早期体験実習など)や問題解決型学習(PBLチュートリアル),高学年では実践力の習得を目標に,大学内外の病院や地域社会での参加型のチーム医療学習を,原則的に4学部合同カリキュラムとして実施している.さらに,平成26年以降は,在宅医療や地域のチーム医療に関する学内外での体系的,段階的な教育の拡充を進めている.全学を挙げたこうした取り組みにより,将来,さまざまな医療現場で患者中心のチーム医療を積極的に推進する医療人が育つことを期待している.

  • 野田 幸裕, 内田 美月, 半谷 眞七子
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-008
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/24
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    チーム医療を実践するためには,学生のうちからケースカンファレンスなどを通じて他の医療系学生と接し,共に学ぶ機会を増やすことが重要である.多職種連携教育(Interprofessional Education: IPE)では自分の職種と他職種の役割や専門性,責任を学び,各医療従事者がチーム医療の中でそれらを最大限に発揮し,かつお互い対等に連携して患者中心の医療を実現する.医学や看護学教育において多職種連携教育が実施されているが,薬学教育においては卒前から多職種連携教育を実践している例は少ない.また,現在実施されている国内の多職種連携教育は医療施設を有する大学での取り組みがほとんどであり,薬系大学における他大学他学部との連携と模擬患者参加による実践的な多職種連携教育のプログラムは少ない.本稿では,他の医療系学部を有さない薬学部における多職種連携教育について,他の医療系学部との連携の実践例を紹介する.

  • ―在宅医療・福祉コンソーシアム長崎の取組―
    中嶋 幹郎
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-012
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/24
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    長崎大学薬学部は,薬剤師と看護師の養成課程を持つ県内の他大学やステークホルダー(行政・職能団体)の協力を得て,2009年に文部科学省の事業として在宅医療分野の人材育成に取り組むコンソーシアムを立ち上げ,地域医療教育に特化した大学間合同による多職種連携教育(Interprofessional Education: IPE)を開始した.そして2012年には,既に確立した薬学と看護学の統合教育体制に,新たに本学の医学や歯学等の教育者と地域の医療や介護の専門家を加えた「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」を組織し,多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアの人材育成に取り組む大学間合同IPEへと発展させた.これらの取組は文部科学省から「当初計画を超えた優れた取組」との評価を受けた.そして,2017年以降も長崎大学の予算で本コンソーシアムの活動は続いており,開発した授業科目を継続開講している.本発表では,薬学部が先導する地域医療教育に特化した大学間合同IPEの具体的な内容と今後の展望について報告する.

誌上シンポジウム:質的研究から見えるもの
  • 今福 輪太郎
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-004
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    卒前医療者教育ではProblem-Based Learning(PBL)等の学習者のアクティブ・ラーニングを促す教育手法が広く導入されてきた.これまでは,その教育効果を測定するために量的研究が多くなされてきたが,そこでの学生の学習経験や学びを深めていく過程を探索した質的研究は十分に実施されていないのが現状である.質的研究の目的は,現場や当事者内で実際に「何が」「どのように」「なぜ」起こっているのかを深く理解することにあり,その研究の視座は対象となる事象のプロセスにある.つまり,学習プロセスの検証において,学習者や教育者の個々の気持ちや認識,信条,価値観に加えて,学習者間や学習者-教育者間の動的で相互作用的な関係性を捉えることが重要になる.本稿では,教育現場の参与観察やインタビュー調査によって得たデータを分析した質的研究の紹介を通して,質的研究が目指すものやそれによって見えてくるものを考察していく.

  • ―薬学教育学研究室での取り組み―
    永田 実沙, 安原 智久, 曾根 知道
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-007
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    昨今,薬学に求められる「人,社会,教育」を対象とした研究を行うには,これまでの量的なアプローチだけでは不十分であり,質的なアプローチが必要になった.質的研究による成果報告も増えたが,質的研究にはその特性上,新たに一人で研究を始めることには独特の困難がある.本総説では,当研究室にて実践している質的研究のうち,2016年4月に発災した熊本地震の際に,モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)によって被災地支援活動に従事した薬剤師の思いを明らかにした修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた研究と,本学5年次に実施したTeam Based LearningとProblem Based Learingを組み合わせた学習に対する学生の思いを,Steps for Coding and Theorization(SCAT)と因子分析・クラスター分析した結果を合わせた混合研究の2つを紹介する.質と量の双方の観点を持ち続け,目的に合致した手法を選び,時には重ね合わせることは,薬学教育研究がさらに発展するために必須である.

  • 榎田 めぐみ, 田中 佐知子, 佐口 健一
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-011
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    教育とは,学修者の行動に価値ある変化をもたらすプロセスである.教育を通じて学修者には行動変容が生じ,より望ましい状態,より高いレベルに向上する.教育効果を教育による学修者の成長の証として捉えると,それをどう測定するかが重要となる.現状,アンケートの実施やパフォーマンス評価等の量的研究が多くみられる.しかしながら,教育を通じて学修者が何を感じ,何を思い考えたか,またその経験をどう意味づけ,それをどう次に活かそうと考えたか,といった視点で学修者の成長を捉えることも教育効果を明らかにするうえで大切である.本稿では,上で述べた視点から学修者の成長を捉えようとして取組んだ質的研究の概要を紹介し,「学修成果を明らかにするための手法としての質的研究」について考えていきたい.

  • ―質的な解析と量的な解析のコラボレーション
    片岡 竜太
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-014
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    質的研究とは「社会現象の自然な状態をできるだけ壊さないようにして,その意味を理解しようとする探求の形態を包括する概念」に根ざした研究である.質的研究を理解することは難しいが,医療人教育に携わる教員が,自ら行った教育実践について省察し,その改善を図ることを目的とする質的研究に限定して,その意義と具体的な研究の進め方について述べる.教育を教育者の視点で理解し,説明できて,教育に関連する状況の予測,改善につなげるように構造(モデル)化し,モデルを得るまでのプロセスを明示する.教育で生じた状況に関するリサーチクエッションを明確にして,インタビューデータ,学生が記載したポートフォリオデータなどについて,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA),M-GTA,などの方法を用いてモデル化を図る.教育者がより良い教育を実践するという目的の下で,省察して実践知を得る際に,モデルを基に判断や行動をすることができる.

誌上シンポジウム:医療職専門教育のアクティブ・ラーニングを充実するために―医学教育の取り組みから
  • 泉 美貴, 小林 直人
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-020
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/27
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    薬学を含む本邦の医療系教育は,長く一方向性で受け身の講義が主体であった.しかし,昨今人口に膾炙しているアクティブ・ラーニングは,学修効果の点でも,近年における医療情報の激増により授業中にすべてを教え込むことが不可能になってきたという社会情勢からもその有用性が増している.本来,アクティブ・ラーニングにおける「アクティブ」とは身体的なアクティビティーの高さではなく,主体的で協同的な深い学びを指している.学生が深く思考するためには,教育者は良い「問い」を発することが重要で,どの手法を用いるかはさほど重要ではない.アクティブ・ラーニングは大教室でも充分に実施が可能で,「シンク・ライト・ペア・シェア」やミニッツ・ペーパーなどは比較的簡単に導入できる.アクティブ・ラーニングを成功させるための重要な要素として,①雰囲気作り,②発問による刺激,③話させる・書かせること,④学生相互での学び,⑤経験や事例を通じた学びがあげられる.

  • 神代 龍吉
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-009
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/27
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    協同学習の一つである話し合い学習法(Learning through Discussion: LTD)を紹介する.この技法は学習者に主体性があり活動性・能動性が高い.学習者間の肯定的な依存関係,傾聴とミラーリングというマナー,自己の学びと仲間の学びを目指すものである.学習者は予習で学習素材を理解し,次いで自己の考えを加え,経験に照らし,授業に備える.教室ではシンク・ペア・シェア,ラウンドロビン,ジグソー等の技法を通じて,学習者は等しく発言し,自己の考えと他者のそれとを比較し,理解の相違を知り,自身の考えを外化する.LTDは主体的・対話的で深い学びを実現する学習法である.

  • 三木 洋一郎
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-018
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/27
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    医療専門職教育において,チーム基盤型学習法(Team-Based Learning, TBL)は,基礎と臨床を統合した問題解決型学習に適している点と,将来のチーム医療を見据えた協働スキルを養成できる点,自らの学修に対する責任への意識を高める点で,有望なアクティブ・ラーニングの手法である.TBLにおける準備確認テスト(RAT)や応用課題演習をオンライン化すれば,医療専門職教育において多用される症例画像等を高精細に提示できるとともに,評価とフィードバックを迅速かつ正確に行え,学修成果の向上が期待できる.その一方で,症例画像等の患者情報を保護しつつ,個人所有のノートパソコンを用いて試験を実施することには,多くの困難を伴いうる.これらの課題を解決するため,クラス全員がタブレット端末を利用するICT環境を整備した.このシステムの概要と技術的な課題や運用上の課題について紹介する.

  • 青木 昭子
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-016
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/27
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    講義は大人数に多くの情報を系統的に提供できる授業法であるが,一方的な知識の伝授となると学生の集中力も,興味も続かないことが多い.チーム基盤型学習(team-based learning: TBL)は1人の教員が大教室で100~200人の学生を対象に授業する際,効果的に少人数グループ学習をさせることができる教育方略で,予習,個人テスト,グループテスト,アピール,フィードバック,ピア評価の6つのステップがある.すべてを導入するのは困難だが,その仕掛けを活かして,アクティブ・ラーニングを実践したい教員のために,医学科3年生100人を対象とした「アレルギー」の60分講義を紹介する.4選択肢択一の形式でアレルギーについて基本的な知識を問う問題10問,難易度を上げた症例問題10題を準備する.それぞれ各自解答後,グループで相談しスクラッチカードを用いて解答する.スクラッチカードを使うことで学生はその場で解答の正誤を知り,正答に到達するまで自分たちのペースで議論することができる.個人テスト,グループテストを基本問題,応用問題の2種類で実施したため,60分ではフィードバックの時間を取ることができず,改善すべき点もあるが,複数の学生が能動的に学習できたと感想を述べており,有用な方法であると考えた.

  • ─問題基盤型学習からチーム基盤型学習へ,そして症例基盤型講義への移行を通した教育改革
    小田 康友, 福森 則男, 坂本 麻衣子
    原稿種別: 総説
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-021
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー HTML

    佐賀大学ではアクティブ・ラーニングを中心とした教育改善に取り組んできた.2001年にハワイ大学と提携してPBL(Problem-based Learning:問題基盤型学習)を導入し,2008年にはPBLを半減させてDuke-NUS(Singapore)大学方式のTBL(Team-based Learning:チーム基盤型学習)を併用し,さらに2016年にはTBLを廃止してCBL(Case-based Lecture:症例基盤型講義)とPBLの併用へと転換した.それは,受動的学修から能動的学修への転換の壁,学生の網羅的な知識基盤の構築と問題解決能力養成のバランス,運営コストに対する学習効率の問題に対処するための取組であった.本論ではこれらの経緯を総括し,医学教育におけるアクティブ・ラーニングの課題と展望を述べる.

原著
  • 安原 智久, 落合 千波, 永田 実沙, 串畑 太郎, 岩田 加奈, 近藤 真奈実, 小寺 未季, 栗尾 和佐子, 曾根 知道
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-023
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/04
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    本学では薬学部の2年次生を対象として,静岡県の開発した避難所運営ゲーム(HUG)を実施し,災害時の避難所の状況を知り,防災に対する意識を涵養する教育に取り組んでいる.本研究では,その2016~2017年度の成果を検証する.HUG実施前後で防災に関する基本的な意識に関するアンケートを行った.353名分の有効回答を因子分析し「研修への参加意欲」,「研修の必要性」,「薬剤師の可能性」,「個人の準備状況」の4因子を抽出した.抽出した因子をもとにクラスターを編成し,意識の変化を検証した.その結果,HUGの経験だけでも,学生の災害医療に関する学習意欲は向上し,災害時における薬剤師と自分自身の取るべき行動を考える契機になったと思われる.しかし,HUGの経験のみでは薬剤師が災害現場において担うべき役割は伝わらず,災害医療に対するモチベーションの低い学生層に対しての効果も限定的であることが示唆された.

  • ―病院と薬局薬剤師の比較―
    大野 拓恵, 加藤 隆治, 板倉 宏予, 柳本 ひとみ, 梅田 純代, サムソノー グレゴリー, 山田 惠, 黒澤 菜穂子
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-035
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/10
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    世界のグローバル化が進み,薬剤師業務における英語の需要が高まる中,学部英語教育の果たす役割は益々重要となる.この時流に応じた優れた薬剤師養成に資する学部英語教育のあり方を,薬剤師の実情・実感と学部英語教育との直接的なかかわりから検討するため,現役薬剤師を対象に1)「職場での英語使用実態と必要性の認識」,2)「学部時代の英語授業内容および有益度の認識」,3)「今後の薬剤師の英語技能に関する意識」の3つの区分から成るwebアンケート調査を行った.最終的に病院薬剤師120名,薬局薬剤師120名のデータが得られ,分析は「病院」群と「薬局」群の間の比較として行われた.結果から,病院薬剤師と薬局薬剤師の間で英語の必要性や学部英語教育の評価で違いが生じるのは,「研究者」としての立ち位置があるか否かによるということ等が示唆されると同時に,大学薬学部の英語教育への貴重なフィードバックが得られた.

  • 清水 典史, 井上 寛, 松延 千春, 椿 友梨, 白谷 智宣
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-037
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/24
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    我々は,学生の知識修得度の指標として,サポートベクターマシン(SVM)を利用して構築した試験合否予測モデルが導き出す合否判別を利用することを試みている.先の報告において,9月実施模擬試験結果を用いて薬剤師国家試験合否予測モデルを構築し,その予測精度を確認したところ,本予測モデルは比較的高い精度で合否を予測できることが確認できた.そこで今回,9月に加え,さらに学修が進行した11月及び1月に実施した模擬試験結果からも合否予測モデルを構築し,各予測モデルが導き出す合否判別を指標として個々の学生の知識修得度の推移を調査した.その結果,9月の段階で学修が進んでいる学生は後半に伸びてくる学生よりも薬剤師国家試験合格率が高い傾向にあった.また,総合得点を指標とした場合には捉えにくかった個々の学生の学修の進行度が,合格判別を指標とすることで捉えやすくなることが示された.

  • 井上 信宏, 中島 りり子, 山内 理恵, 大野 修司, 久保 元, 浅井 和範
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-042
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/08
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    電子付録

    本研究では,薬学部6年生に対する改変型team-based learning(m-TBL)の成績向上効果を検討することを目的として,病態・薬物治療分野の問題を用いるm-TBL演習を実施した.従来のTBLと異なり,個人及びグループテストには難易度が同等になるように調整したそれぞれ別の問題セットを用いた.その結果m-TBL演習を行った試験群では,グループテストの得点が個人テストと比較して有意に高かった.また試験群と,同一課題を自主学習する対照群との,演習期間前後の試験成績を比較した結果,その得点向上率は試験群の方が有意に大きかった.さらにアンケートの顧客満足度分析の結果から各試験の難易度は同等と評価され,因子分析の結果と試験成績から,TBLに期待している学生ほど成績が高いことが明らかとなった.以上のことから,m-TBLが6年生の成績向上に効果的であることが示された.

  • 北原 加奈之, 栗原 竜也, 田中 広紀, 柏原 由佳, 縄田 修一, 杉田 栄樹, 内倉 健, 佐々木 忠徳
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-002
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
    ジャーナル フリー HTML

    本邦では標準化された卒後臨床教育プログラムはなく評価方法も確立されていない.そこで,我々は薬剤師レジデントを対象として,英国で開発された臨床能力の評価方法の1つであるCase-based discussion(CbD)を実施し,成長過程を可視化し得るかを検証した.CbDは「薬物治療の必要性評価」等の5項目で評価した.薬剤師レジデント78名と,専門・認定薬剤師(Board certified pharmacists; BCP)5名を対象とした.CbDを実施した結果,5項目すべてのCbDスコアが病棟の経験と共に増加し,4項目が統計学的に有意であった.BCPのCbDスコアは,全項目で最高点の6であった.以上より,CbDは,本邦においても臨床能力の成長プロセスを可視化し,若手薬剤師の教育ツールとして臨床能力の評価に応用できる可能性が示された.今後,多施設を含めた更なる検討が必要である.

  • 倉田 香織, 五十嵐 俊, 南郷 栄秀, 土橋 朗
    原稿種別: 原著
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-003
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/07
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    近年,Evidence-based Medicine(EBM)の実践とその教育の重要性が高まっている.本研究の目的は9ヶ月間に渡るEBM学習プログラムを通じて受講生である薬剤師にもたらされた教育効果を明らかにすることである.2016年4月から12月まで毎月1回,23名の希望者を対象にEBMの実践に必要な知識と技能を学習するためのワークショップ形式の研修会を開催した.EBMの実践に関する自己評価を,研究開始時,研修中,研修終了時および研修後の計4回実施して比較検討した.研修開始後の総学習時間に変化はないが,医学文献の閲覧時間は増加した.EBM教育を受けることで,医学文献に対する抵抗感が緩和されたものと考えられる.さらに,日常業務での疑義照会や処方提案の場面で,エビデンスを共有し意志決定する試みを経験していた.研修終了後も,EBMの実践に必要な知識と技能を維持していることが明らかとなった.

実践報告
  • 蓮元 憲祐, 平 大樹, 横井 正之, 角本 幹夫, 岡野 友信
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-031
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/04
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    治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring: TDM)は,薬学に特化した専門領域である.薬学教育モデルコアカリキュラムに規定されている様に,実務実習事前学習としてTDM教育が求められている.一方で,実習内容は各大学に委ねられており,個々の大学の実習内容を知る機会は少ない.そこで今回,立命館大学薬学部のTDM実習内容を紹介するとともに,学生のTDM実習に対する認識を調査した.本学では,病院だけでなく薬局を想定したTDM実践例として,薬物動態推定に基づき適切な服薬タイミングを推定するケーススタディを行っている.実習後のアンケートから,これらの有用性が認識されていることが明らかとなった.この理由として,薬局での薬物血中濃度推定に基づく服薬指導は学生のTDMの概念になかったためと推察される.これらより,座学での講義形式ではなく,ケーススタディの様な実臨床での実践例に基づいたTDM実習の有用性が示された.

  • ―脳神経センターにおける6日間の実習を通して―
    安高 勇気, 緒方 憲太郎, 神村 英利
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-006
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/17
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    現在,多くの薬学部5年生が将来のビジョンに「患者に寄り添う薬剤師」や「信頼される薬剤師」と掲げるものの,病棟実習開始時に「患者」ではなく「薬」に目を向ける姿勢を感じる.そこで我々は,福岡大学病院脳神経センターにおける6日間(約40時間)の薬物療法の実践実習を構築し,実習を通して実習生に生じる意識変化を検討した.実習開始時には薬に関する確認や指導ができると思う実習生が多かった.一方,実習終了時には患者の状態把握や薬の評価ができたと実感する実習生が増加した.また,将来,薬剤師として「把握力」が必要であると実感する実習生が最も多かったことより,実習生の目線を「患者」にシフトさせることができたと考えられる.改訂コアカリに基づく実務実習の目標は「薬剤師としての資質」の習得であり,短期間ではあるが難病や脳手術施行の患者に対して継続的に面談および薬物療法の評価を実施することで実習生の意識に変化をもたらすことができたと考える.

  • 渡部 俊彦, 薄井 健介, 河野 資, 鈴木 裕之, 林 貴史, 諸根 美恵子, 小嶋 文良, 伊藤 邦郎, 高橋 知子, 大河原 雄一, ...
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-030
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/09
    ジャーナル フリー HTML

    我々は,「薬剤師にフィジカルアセスメントを実践するための能力と自信を修得させる」ことを到達目標とした薬剤師のためのフィジカルアセスメント実技研修会を実施した.研修項目のうち心音,呼吸音,腸音,浮腫,対光反射について教育効果の解析を行ったところ,心音のアセスメント教育では,「アセスメント能力」および「アセスメント能力に対する自己評価」の両方において,十分な教育効果が得られていない結果となった.教育心理学に基づき対応策を検討した結果,「心音アセスメント」に関する教育の改善策として,心音アセスメントの実技研修を実施する前に「心音と心疾患との関係」についての導入講義を行い,受講者がアセスメント能力を模倣しやすい状態にすることが有効と考えられた.また,同様に自身の「アセスメント能力」に「自信」をもたせる方法を検討した結果,修得したアセスメント能力の精度を自己評価できる課題を受講者に課すことが有効であると考察した.

  • 國津 侑貴, 上田 智弘, 平 大樹, 森田 真也, 寺田 智祐
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-001
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    平成31年度より開始となる改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習に備え,実習施設である病院の薬剤師が主導となってルーブリック評価表を作成し,トライアルを行った.平成29年度3期からの1年間に当院で実習を行った計35名の実習生を対象としてルーブリック評価を試行した.評価値はいずれも実習経過に沿って上昇し,参加した薬剤師全員,実習生もそのほとんどがルーブリック評価への理解が向上した.評価項目の「具体例」が評価を行う上で有用であった.一方,最終評価が実習中に到達すべき基本目標の段階に到達しなかった実習生が半数以上存在し,薬剤師と実習生で最終評価に乖離がある程度みられたことから,評価項目や到達目標を密に共有する必要があると考えられた.臨床の場で働く薬剤師がルーブリック表をはじめとした目標を作成,評価を実践することが新評価体制のスムーズな導入のカギであると思われる.

  • 木下 淳, 松尾 実菜, 大渕 絢子, 河野 奨
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-019
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/07
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    現在,改訂薬学教育モデルコアカリキュラムに沿った臨床準備教育が実施されている.本研究では,臨床準備教育における概略評価表(例示)〈近畿地区版〉の「(5)地域の保健・医療・福祉への参画④災害時医療と薬剤師shows how」のアウトカムに到達させるための方略として,災害薬事に関わる薬剤師を招聘して避難所運営ゲーム(HUG)を用いた演習およびSGDを実施し,学生の満足度や理解度,修得レベルを測定することで,その教育効果を検討した.演習の流れへのスムーズな参加,演習・討議への参加,ニーズへのマッチに関するアンケートでは,5段階の評定尺度で中央値が4と高く,学生の自己評価と教員による測定において,すべての対象者が概略評価表の第1段階以上に到達した.これらの結果より,災害薬事に関わる薬剤師をファシリテーターとして招聘し,HUGとSGDを組み合わせた方略が,災害薬事教育において効果的な教育手法であることが示唆された.

  • 春日井 公美, 毛利 順一, 田中 怜, 中山 萌美, 飛田 夕紀, 川野 千尋, 小林 昌宏, 平山 武司, 黒山 政一, 厚田 幸一郎
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-036
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/26
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    平成25年度に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラム(改訂コアカリ)では,実務実習で継続的に広く関わる必要がある「代表的8疾患」が提示された.そこで,改訂コアカリ施行前の北里大学病院・東病院(当院)の実務実習における代表的8疾患の実習状況を調査した.病棟実習では学生1人あたり最小1疾患から最大6疾患,平均3.3疾患に関わっていた.半数以上の学生が関わった疾患は,がん,高血圧症だった.代表的8疾患に該当しない「その他の疾患」に関わることも多いことが明らかになった.今回の調査により,代表的8疾患を病棟実習のみで全学生に継続的に広く関わらせることは困難だった.そのため,薬局実習で学生が実習した疾患を聴取し,未実習の疾患を実習できる病棟へ優先的に配置するなどの配慮が必要であることが明らかになった.

  • 上田 昌宏, 大原 隆司, 高垣 伸匡, 伊藤 栄次, 大森 志保, 清水 忠
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2018-041
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/26
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    薬剤師が信頼性の高いプロトコールを作成するために,診療ガイドラインだけでなく,推奨文の根拠となっているシステマティックレビュー(SR)論文を評価・活用することが求められる.しかし,大学教育および生涯研修においてSR論文の評価と活用に関する実践的な教育についての報告はごく限られている.本研究では,SR論文の評価と活用を志向したワークショップの実践による知識習得度の変化と受講者のEBMの実践可能性への意識とワークショップの理解満足度について調査した.知識習得度確認試験の受講後の平均点は受講前に比べ有意に向上した(9点満点,Pre:2.29点,Post:5.16点,p < 0.001).本研究により,SR論文の評価と活用を志向したワークショップは受講者のSR論文の評価に対する知識習得度の向上およびEBMの実践可能性に対する意識づけに寄与することが明らかとなった.

  • 角本 幹夫, 服部 尚樹
    原稿種別: 実践報告
    2019 年3 巻 論文ID: 2019-025
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/26
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    立命館大学薬学部では,実務実習事前学習の取り組みとして,フィジカルアセスメントを教えている.今回,ピークフローとSpO2の測定手技,その臨床的意義を学生に教える際の教育上の工夫について紹介する.ピークフロー測定実習においては,ピークフローメーターの取り扱いと在宅医療における意義を説明した後,学生各自でピークフローを測定し日本人標準値と比較させた.ピークフロー値は,女性に対して,男性で有意に高いことが確認された.SpO2測定実習においては,パルスオキシメーターの取り扱いと在宅医療における意義を説明した後,学生同士で息こらえによるSpO2と脈拍の変化を観察させた.SpO2は,息こらえを行うことで経時的に低下した.脈拍も低下し,自律神経の活動に影響を与える種々の因子について教えた.本実習において,測定手技だけでなく生理的な変化を確認することによって,より効果的な学習ができたものと考えられた.

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