薬学教育
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総説
  • 蓮元 憲祐
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-002
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/11
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    高度化が進む現代の医療では,医師や薬剤師,看護師をはじめとする医療専門職種が各々の専門性を活かして「チーム医療を実践」することが求められている.そのような背景で,薬剤師が専門性を発揮できる分野の一つである治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring; TDM)に関する事前学習に注目した.一般にTDMが実施されることが多い病院内でのケースだけでなく,薬局においてもTDMの考え方を取り入れた服薬指導を可能とするような学習プログラムを開発・実践した.その教育効果として,8割以上の学生で実践的ケーススタディの有用性が得られており,講義形式の実習に比べて学習効率が高い可能性が示された.また立命館大学では,上述に加え,近年注目が集まっているファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics; PGx)に基づく個別化投与設計にも注力している.その結果,PGxの処方提案への応用に関する認識が顕著に向上し,高い学習効果が得られることを見いだした.

  • 土井 信幸, 富澤 崇
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-005
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
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    日本ではデジタル社会に向けて教育改革が行われているが,薬剤師に必要なICTリテラシー教育についても議論を深める必要がある.薬剤師・薬局の医療ICT化(薬局に特化したものをPharma Techと呼ぶ)の導入や活用は,薬剤師業務の中心がモノからヒトへと変化する中で,医療アウトカムの増大,医療サービスの向上,患者の利便性を高める上で不可欠となっている.医療者である薬剤師にとって単にPharma Techを使いこなすだけではなく,患者のUX(user experience)デザインを意識したPharma Techの活用が求められる.しかし,現状の薬剤師のICTリテラシー教育の中ではUXデザインを意識したものは皆無である.そのため,治療アプリは薬理学や病態生理学と,情報セキュリティーは関連法規と,SNSの活用はコミュニケーション学と,Pharma Techは調剤学と,というように既存科目の中にICTリテラシー教育を組み込み,その中でUXデザインを意識した教育を産学連携で行うことが重要と考える.

  • ―新たな繋がり構築を目標として―
    永田 実沙, 青江 麻衣
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-016
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
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    大学教員は個々の裁量が大きく負担度も自律性も高い職業であり,やりがいがある.一方で,ワークとライフの分別が困難な業務が多くもあり,結婚・出産・育児・介護などのライフイベントが発生した場合に困難を抱える場合がある.本来ライフイベントの発生に男女差はないはずだが,現状,女性研究者の離職が比較的多い状況となっている.我々は,どのような原因や葛藤が就労継続を困難にしているかを明らかにすることが第一歩になると考え本シンポジウムを企画した.本シンポジウムでは,ライフイベントと就労継続の困難さについて,特に育児に焦点を合わせて情報共有するとともに議論を促すことを目的とした.本総説では,シンポジウムの実施内容と共にシンポジウム実施後に実施したアンケート結果,また現在進行中の「就業継続」に関する質的研究の概要について報告する.

  • 青江 麻衣
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-019
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/21
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    近年,薬学部の定員数増加及び少子化傾向を背景に,一部の薬科系大学では,退学率及び留年率が増加傾向にある.そこで,最適な補習・補完教育の構築を目的とし,学生の特性により適する学習方略を検討するため,1)問題演習型補講,2)事前学習動画を用いた講義型補講の2つの方略を企画・実践し,その学習効果を検証した.その結果,前者では,成績中位群(第2群)において,非受講者の方が受講者より成績が高いこと,後者では成績中下位群(第3群)において,補講受講者の方が非受講者より成績が高いことを明らかとした.さらに,ゲーミフィケーションの概念を取り入れ,独自に作成した構造式かるたを用いた学習方略の立案・実践し,その評価を行った.その結果,学生間での事前共同学習が促されることで学習効果につながることを見出した.これらの研究より,学生の特性に合わせた学習方略を選択することで,効果的な補習・補完教育を提供し得ることを示した.

  • 池村 舞, 橋田 亨
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-022
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/21
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    薬学部が6年制となり,より高い資質や能力を持つ薬剤師の養成が望まれている.研究活動は,医療の発展に寄与するためのエビデンスを創出する上で有用であるだけでなく,薬剤師としての業務を行う上で必要な幅広い能力を養成することができる.我々の調査から,研究室在籍期間が長いほど,研究経験を積んでいる傾向にあったものの,6年制薬学部卒業者の経験値は,4年制薬学部卒業後に2年の修士課程を修了した者の経験値と比較すると,低い傾向にあった.この結果も踏まえ,主として臨床研究の経験の少ない薬剤師を対象に,効率的で有意義な研究活動の一助となるよう,研究の意義や方向性を定期的に見直すための「研究テーマ進捗状況報告書」を独自に作成し,運用している.臨床能力の高い薬剤師を養成するために,ひいては,薬物治療の発展のために,基礎研究・臨床研究を問わず,薬学生や薬剤師が積極的に研究に取り組む機会を設けることが重要である.

  • 浦嶋 庸子, 石見 拓, 木下 淳, 赤塚 敬司, 小畑 友紀雄
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-013
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
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    薬学教育モデル・コアカリキュラムでは,「一次救命処置(心肺蘇生,外傷対応等(BLS: Basic Life Support)を説明し,シミュレータを用いて実施できる」ことが求められている.BLS講習として,近年では簡便かつ短時間で,実践的なトレーニングが可能であるPUSHコースが知られており,薬学教育での導入に適していると考えられる.本総説では,「すべての薬剤師がBLSを身に付けたニューノーマル時代に」と題してシンポジウムを行い,心臓突然死やBLSに関する基本的な知識および技能について共有した上で,大学における薬学生へのPUSHコースの実践例と受講者の意識変化,地域の薬局が関与したBLSの症例,および薬剤師に今後求められる役割について議論した.本総説では,その内容について紹介する.

誌上シンポジウム:臨床準備教育の方略を考える~近畿地区統一評価基準の活用を踏まえて~
  • ⻆山 香織, 安原 智久
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-007
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/14
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    「薬学実務実習に関するガイドライン」では,大学への指針として,「実習施設に対し,大学における学習内容と到達度に関する情報を実習開始前に提供することが重要である」と述べられている.近畿地区では,毎年,近畿全域の実習施設に近畿14大学の約2,400名の学生が割り振られ,実習施設は各大学から多様な学生を受け入れることになる.各大学独自の評価基準で学生の到達度を提示すると,実習施設では混乱が生じることが懸念される.そこで,近畿地区調整機構では,学生の到達度を統一の基準で評価し実習施設に提示することで,実習施設が受入れ学生の到達度に合わせ実務実習を円滑に最適化できるのではないかと考えた.また,評価基準の作成を通して,大学における臨床準備教育の内容について改めて見直すきっかけにつながるものと期待した.本稿では,「臨床準備教育における概略評価表(例示)〈近畿地区版〉」の作成の経緯と運用状況について紹介する.

  • 清水 忠
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-016
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/14
    [早期公開] 公開日: 2022/02/02
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    我々は,2016年度より薬学教育モデル・コアカリキュラムで明示された「薬剤師として求められる基本的な資質」のうち,基礎的な科学力と薬物療法における実践的能力を橋渡しできるような分野横断型の実習として,4年次の実務実習事前学習において,医薬品化学担当教員と実務家教員が連携した橋渡し教育を行っている.本シンポジウムレビューでは,基礎系教員と実務家教員が連携し医薬品の配合変化を題材として,臨床現場で生じうる問題を基礎薬学系科目の知識を踏まえて理解・予測する体験型教育の概要と受講生の評価について紹介する.さらに,2021年度以降に実施を予定している臨床準備教育における概略評価表(例示)〈近畿地区版〉を用いた評価の計画について述べる.

  • 上田 昌宏, 恩田 光子
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-028
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/14
    [早期公開] 公開日: 2022/01/26
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    1次資料を含めた医薬品情報の評価と,患者情報を踏まえて最適な医療を提供し,EBMを実践できる薬剤師の養成が求められている.大阪薬科大学(現大阪医科薬科大学薬学部)では,実務実習でEBMを実践できるように4年次にチーム基盤型学習を用いたEBM演習を行っており,演習の中で患者問題を抽出し,医学論文の評価,適用へとつなげている.2020年度は,新型コロナウイルスの影響による制限で,2019年度に比べ演習内容を縮小しての実施となった.本シンポジウムレビューでは,演習前後で行った理解度確認試験を年度毎に検証することで,本演習の教育効果を報告する.また,EBM演習での学習内容を評価するために,臨床準備教育における概略評価表(例示)〈近畿地区版〉を用いた評価について述べる.

誌上シンポジウム:みんなで考えよう!でら困った学生~多様性をみとめあう実務実習~
  • ―多様性をみとめあう実務実習―
    日比 陽子
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-023
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
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    社会は,思考方法や行動様式が異なる様々な人が混在して成り立っている.環境を認識する方法や思考の癖が異なる人同士が関わりを持った場合,それぞれが持つ「常識」の違いから摩擦が生じることも往々にしてある.長期実務実習では年間何人もの実習生が11週の長期間「職場という共同体」に滞在する.彼らの興味も行動様式も様々で,指導薬剤師の「こうあるはず・こうあるべき」の範囲を外れた個性を持つ実習生に出会ったとき,「でら(※名古屋弁で「非常に」の意)困った!」ことになる.病院では,病棟実習など実習生が特定の薬剤師に長期間指導を受ける場合に問題が発生しやすい.担当する薬剤師によって仕事の進め方や大切にしていることも様々なので,実習生と指導薬剤師の組み合わせは重要である.本総説では多様な人間同士が認め合い協働する方策を考える題材として,多くの指導薬剤師が「でら困った」経験をしている実務実習をとりあげる.

  • ―Myers-Briggs Type Indicatorを用いて認知の仕方の違いを理解する―
    大里 洋一
    原稿種別: 総説
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-014
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
    ジャーナル フリー HTML

    薬学生の病院・薬局実習において,しばしば指導者が実習生の言動が理解できず思考停止になることがある.なぜ実習生の言動が理解できないのかを紐解いていくと,知識・技能に関する問題,態度や行動特性に関する問題,そして性格や価値観に関する問題に大別できる.さらに,指導側の薬剤師と実習生との間でコミュニケーション・ギャップが生じるのは知識・技能以外の問題が多いことに気づく.なぜなら,これらの学問は現役の指導薬剤師でも体系的な学習をしてこなかったからだ.しかし,態度や行動特性に関する学問の多くは体系化されているため,新たに学ぶことは可能である.また性格や価値観の捉え方もMBTI®など適切なツールを使えば理解することはできる.薬剤師は独自の専門性を維持しながらも,必要とされているスキルを身につけることが実習生とのコミュニケーションのみならず様々な関係者に貢献する上で重要であると思われる.

原著
  • ―薬学部1~4年生によるオンライン授業への評価―
    安原 智久, 坂 優香, 串畑 太郎, 上田 昌宏, 永田 実沙, 曽根 知道
    原稿種別: 原著
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-038
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー HTML

    COVID-19の感染拡大により始めたオンライン教育は我々に新たな教育上の選択肢を与えた.しかし,オンライン教育の学生からの評価については丁寧な調査と分析を行う必要がある.本研究では,2020年度を通して,様々なオンライン授業及びCOVID-19流行下での対面型の授業を経験した摂南大学薬学部の1~4年生にアンケート調査を行い,特定の科目や学年に限らない総論的な薬学部生のオンライン授業への評価を調査した.アンケートは2021年3月に無記名方式でGoogleフォームを用いて行い,1~4年生それぞれ,123人(53%),128人(62%),90人(41%),62人(29%)から回答を得た.薬学生のオンライン授業への総論的な評価は,学習領域によって捉え方が大きく異なっていることが明らかとなった.特に,知識領域の学習では対面型よりも高い支持と自己効力感があることも示唆された.今後は領域や目標,学習者の属性に最適化された,オンライン授業も含めた授業デザインを検討する必要がある.

短報
  • ―新規学修プログラムの開発に向けて―
    刀根 菜七子, 三島 健一, 藤岡 稔大
    原稿種別: 短報
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-017
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/26
    ジャーナル フリー HTML

    福岡大学薬学部では入学後にリメディアル教育を実施している.2014年度入学者が卒業に至るまで追跡した成績データと,アンケート調査の結果を解析することで,これまで明らかになっていなかった本学における生物リメディアル教育の長期的な効果を検証した.成績解析の結果,リメディアル教育の受講により,入学時に実施したプレイスメントテストIで見られた学力差は早期に解消し,その効果は卒業時まで維持された.またアンケート調査結果から,リメディアル教育開始時には回答者の65%が抱えていた生物に対する苦手意識の改善につながったことが分かった.さらに第105回薬剤師国家試験の合格率は非受講者と比較し,受講者の方が高かった.これらの結果から,リメディアル教育の受講により早期に生物への苦手意識を取り除くことは,学生が薬学を学ぶ上で,卒業に至るまでの長期にわたる学修意欲の維持・成績向上に寄与することが示唆された.

  • 福野 修平, 長井 克仁, 下川 隆臣, 小西 廣己
    原稿種別: 短報
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-024
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/02
    ジャーナル フリー HTML

    改訂薬学教育モデルコアカリキュラムでは,卒業時に薬剤師として求められる10項目の基本的な資質(10の資質)が提示されているが,卒業後も10の資質が向上されるか否かは不明である.本調査では,大阪大谷大学薬学部同窓会に連絡先を登録している517名を対象として質問紙調査を実施し,医療機関で働く中で10の資質が偏りなく習得されているか検討した.質問紙は無記名式とし,メールで送付し,Googleフォームで回収した.設問は10の資質に関する15項目とし複数選択式とした.質問紙の回収率は22.2%で,男女比や薬剤師歴はほぼ均等であった.病院薬剤師と比較して薬局薬剤師の薬剤師としての心構えと地域の保健・医療における実践的能力の習得度は高く,チーム医療への参画と研究能力は低かった.結論として,10の資質間で習得度には大きな偏りがあり,研究能力は医療機関で薬剤師として働く中で最も習得困難な資質と示唆された.

  • 土井 信幸, 小見 暁子, 中島 瑞貴, 富澤 崇
    原稿種別: 短報
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-035
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/02
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    今後,薬剤師による医療ICT(薬局に特化したものをPharma Techと呼ぶ)の活用は医療アウトカムの増大,医療サービスの向上,患者の利便性の向上などを目指す上で不可欠となる.しかし,Pharma Techの活用には薬剤師・薬学生のICTリテラシーが重要と考える.そこで本調査では,2021年3月時点で公開されている薬学部を有する大学(77大学,79学部)のシラバスを調査した.調査項目は,科目名,担当教員の所属・専門分野,開講学年,授業形式,GIO・SBOs,学習評価などとした.薬学部のICT系科目の設置率は1年次が最も高く,その内容は入学時オリエンテーションに近い内容であった.一方,ICTの医療アウトカム・サービスの向上などの臨床応用を目的とした授業の設置率は5.9%であった.このことは4年次以降の高学年でのICT系科目の設置率が低く,授業に臨床経験のある実務家教員の関わっている割合が11.8%と低いことが一因と考えられた.

  • 弓削田 祥子, 西丸 宏, 加瀬 義夫
    原稿種別: 短報
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-026
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
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    武蔵野大学薬学部6年生に対して実施した薬剤師国家試験と同形式の試験(9月~2月に計6回実施)における総合計および各科目の成績推移をグループ化できるかについて,3年間(2017–2019年度)のデータを用いたクラスター分析を行って検討した.その結果,総合計およびすべての科目について上位・中位・下位の3グループに分類することができたが,その構成人数は科目によって異なる傾向を示した.また,すべての科目について総合計との相関が見られた.ある時点の試験成績から薬剤師国家試験の合否に関して有意に影響がある科目を見いだせるかについて多重ロジスティック回帰分析で検討したところ,薬理など複数の科目で合否に影響がある可能性が示唆された.本研究は,各学生の早い時期の試験成績から,学習到達度の把握や今後の成績推移の見通しを予測し,国家試験対策における学生指導や学習方略の構築を検討する際に有用な知見となる可能性を示している.

  • ―自己効力感,達成関連感情,学習方略の関連―
    児玉 典子, 藤波 綾, 湯 立
    原稿種別: 短報
    2022 年 6 巻 論文ID: 2022-003
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/27
    ジャーナル フリー HTML

    本研究では,薬学生の薬学英語学習について,自己効力感,達成関連感情,学習方略の関連性をControl-Value Theoryを用いて検討した.質問紙は,池田の試験場面における達成関連感情尺度日本語版と森の英語に対する自己効力感尺度の項目の表現を一部変更して用いた.学習方略使用尺度については,森の英語学習使用方略尺度の項目を参考に作成した項目を因子分析した結果,「推測方略」,「理解方略」,「作業方略」,「熟考方略」に分類された.相関分析の結果,positiveな達成関連感情の「楽しさ・希望・誇り」は,自己効力感,学習方略との間に先行研究と同様に正の相関が見られた.一方,新しい知見としてnegativeな達成関連感情である「怒り」は「希望・誇り」,「熟考方略」との間に正の関連が認められた.

実践報告
  • 相良 英憲, 恵谷 誠司, 黒川 陽介, 小野 浩重
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-023
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/02
    ジャーナル フリー HTML

    災害医療において,大学における教育は充実しているとは言い難い.教育内容についての理解度を熟知することも難しい.そこで,災害医療に対して学生がどのように理解し,認識しているかを視覚的に把握することを目的に,質的データ分析の一つであるテキストマイニングを用いて検討した.学生の自由記述をテキストデータに変換して,重要キーワードリストとキーワードコンセプトマップを作成し,学生の理解度を視覚した.キーワードコンセプトマップを詳細に読み解くことにより,学生の理解,ならびに知識と認識の繋がりの概略を把握することが可能と考えられた.学生の考えの全体像を,各キーワードの関連性と共に理解できることは,学生教育において発展性を期待できるツールの一つになると考えられる.テキストマイニングを用いた質的データの可視化は,薬学教育において学生の理解度を把握するための有益な方法になると考えられた.

  • 堀尾 福子, 池田 徳典, 石黒 貴子, 瀬尾 量, 内田 友二
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-041
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/02
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    電子付録

    感染症によるパンデミックを収束または制御する手段として期待されるワクチン及びその接種では,ワクチン接種希望者へ安定的かつ速やかに供給と接種を提供できる体制を構築することが重要である.その課題の一つとして接種の打ち手の確保がある.欧米では薬剤師もワクチン接種の打ち手となっているように,今後日本でも薬剤師が貢献できる可能性が期待される.このような背景により,学部4年生を対象とした上腕筋肉注射シミュレータを用いた実習を実施し,その効果を検証した.実習前と比較し実習後では,筋肉注射の知識・技術のどちらも向上しており,かつ高い満足度が得られた.さらに,学生の自信獲得にも繋がっており,自己効力感が育まれたと考えられた.また,「今後役に立つ」「学んでおくべき」と考える学生が実習後では増加し,学生の意識にも変化をもたらした.これらの結果より,学部教育における筋肉注射実習は有用な実習であると考えられる.

  • 林 輝明, 上田 昌宏, 中澤 公揮, 橋本 佳奈, 桂木 聡子, 天野 学, 清水 忠
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-039
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー HTML

    基礎実習や臨床事前実習の学習効果を向上させるためには,受講生が既に学習済の内容が実習内容と繋がっているかを予習し,関連する部分の知識を整理した上で実習に取り組むことが望ましい.我々は,臨床事前実習コースの化学的な知識を踏まえた配合変化の学習において,チーム基盤型学習(TBL)を導入し,応用演習の部分に実習を位置づけた方略を構築した.授業終了後に行ったアンケートの因子分析およびクラスター分析の結果から,臨床に関連する化学的な知識に自信がなくてもTBLを経験することによって,実習内容が理解できたと実感している可能性が示された.TBLと実習を組み合わせた本授業方略が,化学的な知識と臨床を繋ぐ実習内容の理解度を高める可能性のあるプログラムであることが示唆された.

  • 青江 麻衣, 上田 昌宏, 江﨑 誠治, 清水 忠
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 6 巻 論文ID: 2021-040
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    本研究では,臨床事前実習を終えた4年生と臨床実習を終えた5年生を主な対象としたTBL法を用いたEBMワークショップの効果を測定した.学習成果は,ワークショップ開催時および2ヶ月後に実施した知識習得テストと,ワークショップ後のアンケートで評価した.参加者の文献評価能力は,ワークショップの2ヶ月後にも変化がなかった.臨床実習後の5年生は,臨床実習前の4年生に比べて,ワークショップ開催時および2ヶ月後のいずれにおいてもテストの平均点が高かった.アンケートの結果,5年生は4年生に比べてグループワークへの参加やEBMの必要性の認識を高く評価していた.この結果は,EBMに関するスキルの向上と,臨床実習中のEBMの必要性に対する意識の向上によるものと考えられる.臨床実習後にEBM講習会を実施することで,より強固なEBMスキルを身につけることができ,EBMの必要性に対する意識もさらに向上すると考えられた.

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