日本公衆衛生看護学会誌
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10 巻, 2 号
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巻頭言
研究
  • 加藤 美保子, 水田 明子
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 2 号 p. 26-33
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:看護学生が国際保健活動に関心をもった時期やきっかけを把握する.援助規範意識と国際保健活動への関心との関連,国際保健活動への参加意欲,参加の障壁を明らかにする.

    方法:無記名式質問紙調査を看護学生に対して行った.学年,国際保健活動への関心度,援助規範意識,関心を持った時期ときっかけ,参加意欲,参加意欲の関連要因について把握した.

    結果:高学年ほど「関心あり」は有意に少なく,「関心あり」の援助規範意識が「関心なし」と比較して有意に高く,関心があるが参加意欲のない学生には,外国語への自信がない者が有意に多かった.高校生以降に,発展途上国に関するテレビや体験談をきっかけに関心を持った学生が多かった.

    考察:学生の国際保健活動への関心を高めるためには,学生の援助規範意識を高めることや,必要な語学力などを含んだ体験談などによる情報提供が求められる.

  • ―地域コミットメントを含めた活動別の検討―
    後迫 由衣, 和泉 比佐子, 小寺 さやか
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 2 号 p. 34-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:高齢者の社会活動について,地域コミットメントを含めた関連要因を活動別に検討すること.

    方法:地縁組織等に所属する65歳以上の625人の住民に無記名自記式質問紙調査を行い(有効回答率80.5%),社会活動を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った.

    結果:個人活動,社会参加・奉仕活動,学習活動の高得点群はいずれも地域コミットメント尺度の総得点が高いことと関連があった.また,個人活動は主観的健康感が高い,友人の数が多い,友人の誘いがあること,社会参加・奉仕活動は友人の数が多い,社会活動に良い認識がある,行政職員の誘いがあること,学習活動は,主観的健康感が高い,社会活動に良い認識がある,掲示板を閲覧することと関連があった.

    考察:高齢者の社会活動の関連要因は活動別に異なり,各活動に適した支援をすること,特に地域コミットメントを向上することの有効性が示唆された.

  • ―指導者の評価による縦断調査―
    佐伯 和子, 水野 芳子, 平野 美千代, 本田 光
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 2 号 p. 43-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:就業1年目保健師の家庭訪問能力の発達過程を明らかにした.

    方法:指導保健師が新人保健師の家庭訪問能力36項目を1年間に3回の縦断調査で評価した.

    結果:12か月後に各項目で自立レベルと評価された新人の割合の平均は37%であった.信頼関係構築の項目の評価は高く,総合的な判断の項目,近隣地域など複雑な要素の項目,家庭訪問の本質的意義の理解などの項目の評価は低かった.4か月後と12か月後の36項目の評価の相関は高かった.自立レベル割合は1年間で多くの項目に有意差があり,4か月後から8か月後の変化は大きく,12か月後へは緩やかだった.

    考察:家庭訪問能力の発達は,項目により異なることを前提に指導をすること,項目の到達レベルは就業初期と1年後の相関が高いことから基礎教育での基本的な訪問技術の強化が示唆された.また,12か月後の到達レベルは要指導段階であり,2年目も継続した現任教育が必要である.

  • 入江 柚希, 平野 美千代
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:集団凝集性の構造及び集団凝集性に関連する要因をもとに,介護予防を目的とした高齢者自主グループにおける集団凝集性の実態を明らかにすることを目的とする.

    方法:自主グループに参加する65歳以上の者270名に質問紙調査を実施した.項目は属性,グループの特性,集団凝集性,グループ活動への参加意欲で構成した.

    結果:調査票は回収数227部,有効回答数194部(有効回答率71.9%)であった.因子分析の結果,集団凝集性は4因子11項目で構成され,因子はグループ活動に対する魅力,強固な連帯感,メンバー同士のつながりの強さ,目標への協力体制と命名した.また,集団凝集性の各因子は性別,年齢,主観的健康感に有意な関連が認められた.

    考察:自主グループの参加者は,活動自体や参加者同士の交流をもとに凝集していることが示された.また,年齢や健康状態に合わせた活動を展開していく必要性が示された.

  • 市戸 優人, 喜多 歳子
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:高校生の親による家庭内性教育に影響を与える要因を明らかにすること.

    方法:高校生の親5~6 名のグループを構成し,フォーカスグループインタビューによりデータ収集を行った.データは,質的帰納的に分析を行い,抽出されたカテゴリーをPRECEDE-PROCEEDモデルの各要因に演繹的に分類した.

    結果:4グループ(N=22)にインタビューを実施した.25カテゴリー,51サブカテゴリーが生成された.家庭内性教育の影響要因として,[親が子どもに性教育を行う覚悟],[同世代の子どもを持つ親からの支援],[親が性教育の方法を身につけること],[学校の性教育との連携]などが抽出された.

    考察:明らかになった影響要因から,家庭内性教育の役割と機能の向上に向け,親の知識や態度に働きかける健康教育や,学校,家庭,地域の連携を目指した環境整備などのヘルスプロモーション活動が公衆衛生看護の支援として示唆された.

活動報告
  • ―教室参加者の社会活動の満足度に着目して―
    深川 周平, 森本 友香, 平野 美千代
    原稿種別: 活動報告
    2021 年 10 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/30
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    目的:A市B区の介護予防教室の参加者の特徴と,参加者の社会活動の満足度が高いプログラム内容の特徴を明らかにする.

    方法:B区の委託機関が開催する介護予防教室の参加者に記名自記式質問紙による集合調査を実施した.基本属性,社会活動の満足度を測定し,委託機関の介護予防教室のプログラム内容と併せて分析した.

    結果:調査票は回収数427部,有効回答数422部だった(有効回答率98.8%).対象者の平均年齢は78.1±6.1歳で,女性が全体の91.2%を占めていた.参加者の社会活動の満足度の得点が高い委託機関が主催する教室のプログラムには,参加者の貢献意欲や習慣的な運動の動機付けを促すような特徴がみられた.

    考察:社会活動の満足度の得点が高い介護予防教室では,参加者に対する社会活動の動機付けや主体性を引き出すような関わりが共通してみられた.委託機関による関わりは,参加者の教室以外の幅広い社会活動を促す関わりだったと言えるだろう.

学術実践開発委員会報告
国際委員会報告
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