日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
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11 巻, 2 号
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巻頭言
研究
  • 後藤 拓
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 2 号 p. 90-98
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
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    目的:妊娠期・育児期の父親の関与についてのアセスメント項目を明らかにすること.

    方法:1980年から2020年までに公表された和文献4件,海外文献16件,計20件の文献をレビューマトリックス方式で分析した.

    結果:20件の文献から,妊娠期9件,育児期12件の2つの時期の尺度が確認された.妊娠期の尺度からはアセスメント項目として【パートナー】,【育児】,【胎児】などの9カテゴリが抽出された.育児期の尺度からは【家庭】,【父親自身】,【パートナー】などの9カテゴリが抽出された.

    考察:妊娠期・育児期の父親の関与についてのアセスメント項目は,子どもの世話だけでなく,家事やパートナーとの関係も含んだ複数のカテゴリから構成された.また,宗教上の考え方などを含めて,使用されている国の文化を反映している項目もあった.

  • 山下 千絵子, 藤井 智子
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
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    目的:住民組織に属するメンバーによる地域課題の捉え方の特徴を明らかにし,行政保健師との協働への示唆を得る.

    方法:行政協力組織に属するメンバーを対象にグループインタビューを実施した.逐語録から地域課題の捉え方に関する内容を抽出しカテゴリ化した.

    結果:研究協力者は3住民組織11名で平均年齢は71.5歳であった.住民組織メンバーは,【日常の中で人々の暮らしを経年的に把握する】,「高齢者」「男性」などに着目し【暮らしの困りごとから課題を見立てる】,さらに心配な高齢者に焦点をあて【住民の命を守るための課題を掘り下げる】ことを行っていた.

    考察:特徴として,住民との人間関係を土台に相互扶助的な関わりのある範囲を重視し,困りごとに対応した経験で培われた枠組みから課題を見立てていた.住民組織メンバーの捉える生活に密着した地域課題と行政保健師の専門的判断を重層的に共有することが協働の基盤となると考える.

  • 長野 扶佐美, 小出 恵子, 岡本 玲子
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
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    目的:自治体に勤務する保健師の活動経験の実態と「活動の成果を見せる行動」との関連を明らかにする.

    方法:対象は中国地方5県の自治体に勤務する保健師である.基本属性,活動の成果を見せる行動,活動経験(努力経験・省察経験・職場被支援経験)についてMann-WhitneyのU検定,Kruskal-WallisのH検定で分析した.

    結果:活動の成果を見せる行動では,経験年数・設置主体・職位のいずれも関連はなかった.努力経験有無別活動の成果を見せる行動得点では,経験あり群がなし群に比較して5分野で有意な差が見られた.省察経験との関連でも同様に有意な差が見られ,職場被支援経験との関連では内省支援,精神支援に有意な差が見られた.

    考察:自治体に勤務する保健師の活動の成果を見せる行動の向上には,PDCAサイクルを丁寧に回すこと,省察経験を多く積むこと,職場として内省支援・精神支援ができる環境を整える必要がある.

活動報告
  • ―職務特性に応じた健康情報配信による効果の検討―
    重松 美智子
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 11 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
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    目的:営業職の職務特性にあわせた健康情報配信による健康管理への効果を明らかにし,職域における健康支援方法のあり方を検討する.

    方法:製薬企業A社の営業職へ健康保険組合より毎月営業職に特化した健康情報をメール配信し,その効果の有無をアンケートにより調査,分析した.

    結果:アンケート回答率は39.4%,配信した内容を一度でも読んだ人は83.5%であった.読んだ人では,配信した健康管理に対する知識,態度,行動は,全ての項目において配信前後で有意な変化を認めたが,行動変容の割合は小さかった.読んでいない人では,一部変化を認めた項目はあったが,読んだ人と比較するとその変化の割合は非常に小さかった.

    考察:営業職の生活習慣にあわせた健康情報は,営業職の健康管理に効果があることが明らかとなったが,行動変容の割合は小さかった.今後は情報配信と併せて,営業職が健康行動を取りやすい労働環境の整備の必要性が示唆された.

  • 藤本 優子, 山下 正, 都筑 千景
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 11 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
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    目的:地域包括支援センターが作成した事業目標(年度の活動目標)の根拠として用いたデータと提示方法の実態を明らかにすること.

    方法:地域診断記録から根拠として再掲されたデータと事業目標が連動していた資料を対象にした.根拠とされたデータを出典元や収集方法に基づいて設定した5つの枠組みに分類し,質的・量的データごとに整理した.活用方法は具体的な提示方法を記述し,量的・質的データの補完状況をまとめた.

    結果:事業目標の根拠には基本的な人口統計学的データや,相談票等を活用した自圏域の量的データが用いられていた.質的データにはインタビューや事業参加者の様子を観察したデータが収集されていたが,加工していない生データがそのまま用いられていた.

    考察:他圏域と比較ができるように行政がデータを一括して提供したり,分析手法をサポートするなど,委託型センターが効果的にデータを活用できるような体制の検討が望まれる.

国際委員会報告
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