日本公衆衛生看護学会誌
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最新号
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巻頭言
研究
  • ―医療的ケア児が地域の小学校に入学する際の課題と保健所保健師の支援―
    竹中 響, 村嶋 幸代
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 3 号 p. 142-151
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:医療的ケア児(以下,医ケア児)の母親が地域の小学校入学に向けて行った準備の内容や契機を調査し,医ケア児が地域の小学校に通うための課題を明らかにすると共に,保健所保健師の支援の在り方を検討する.

    方法:小学校就学に向け行った就学準備について,小学1~3年生の医ケア児の母親3名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

    結果:母親は《教育関係者の理解を得るために試行錯誤を繰り返す》,《譲れないポイントと希望を明確にする》等,希望の実現のために行動していた.一方,医ケア児が《就学するための仕組みが不明瞭である》と感じていた.

    考察:母親は就学の仕組みが不明瞭と感じながらも,譲れないポイントと希望を明確にし,自ら行動していることが明らかになった.保健所保健師は,母親の気持ちを受け止め,立ち向かう力を引き出すとともに,教育機関を巻き込んだ地域ケアシステムを構築する力量が必要である.

  • ―健康診査やがん検診に関する情報入手の媒体に焦点をあてて―
    石附 史帆, 山下 愛, 笹木 智香, 矢川 果南子, 本多 麻耶, 平野 美千代
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 3 号 p. 152-162
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:健康診査やがん検診の情報を入手している情報媒体に焦点をあて,高齢者の健康診査,がん検診への受診行動(以下,受診行動)に関連する要因を明らかにする.

    方法:65~84歳500名を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った.項目は,ヘルスビリーフモデルを参考に,受診行動の有無,健康診査・がん検診に関する情報入手の媒体等で構成した.分析は二項ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:有効回答数は264部であった.受診行動には,不安が軽減される(OR=4.68),健康診査・がん検診を受けることが面倒(OR=0.37),入院・通院しており必要ない(OR=0.43),情報入手の媒体では「役場・保健所」(OR=1.63)が有意に関連していた.

    考察:高齢者の受診行動には,予防行動に対する利益の自覚が重要である.また,行政機関からの情報は,高齢者の情報への信頼につながり受診行動に結びつく可能性がある.

  • 吹野 信浩, 松浦 治代, 金田 由紀子
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 3 号 p. 163-171
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:看護学生が保健師の職業選択を強化した要因を明らかにする.

    方法:勤務経験3年までの保健師8名に半構造化面接を行いKJ法により統合分析した.インタビュー内容は公衆衛生看護学実習を中心とした保健師になりたい気持ちを強化した出来事とした.

    結果:【周囲からの支え】【住民の日常に関わりたい】【地域の多様性】【理想像の具現化】【保健師の奥深さ】【環境全体を統合してみる力】【保健師の関係づくりの姿勢】【住民も保健師も生き生き】の8つの島に集約された.

    考察:予防活動等で日常生活に関わりたいという気持ちの芽生えにより保健師への関心が高まり,仕事の奥深さを感じることや理想となる保健師との出会い,住民が生き生きしている姿を感じることで職業選択が強化されており,効果的な実習体験を準備する必要がある.教員の支えによる影響も大きく,教員が学生に親身に肯定的な声かけを積極的に行っていくことも必要である.

  • ―中国帰国者と定住コリアンを対象として―
    呉 珠響, 斉藤 恵美子
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 3 号 p. 172-178
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:本研究は,外国にルーツをもつ高齢者の複数の身体的疾病や障害を有することに関連する要因について明らかにすることを目的とした.

    方法:65歳以上の中国帰国者と定住コリアンを対象に,自記式質問紙による集合調査を実施した.目的変数は,複数の身体的疾病や障害を有している状態とした.また,説明変数は,基本属性,社会経済的状況,社会関係等とした.

    結果:ロジスティック回帰分析の結果,対象者が複数の疾病や障害を有することには,使用言語(家庭外)が日本語以外の言語のみ(OR=8.09,95%CI [1.73, 37.83]),認知機能低下のリスクがあること(OR=6.27, 95%CI [1.87, 21.09])が関連していた.

    考察:複数の身体的疾病や障害を有する外国にルーツをもつ高齢者に対する支援では,言語への配慮に加え認知機能低下のリスクの可能性にも配慮した支援策を講じることが必要となることが示唆された.

  • 林 孝子, 小林 恵子
    原稿種別: 研究
    2022 年 11 巻 3 号 p. 179-188
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:成人期の生活困窮者への保健師による支援内容を明らかにすることである.

    方法:A県内の人口10万人以上の市に所属する保健師10人に,成人期の生活困窮者への支援内容についてインタビューによる半構造化面接を行い質的帰納的に分析した.

    結果:10人の保健師から語られた16事例を分析した結果,保健師の支援内容として9カテゴリ,3コアカテゴリが生成され,その内容は『訪問により健康や生活を気遣い,支援の糸口とニーズを見出す』,『生活困窮者の障害や健康のリスクへの対応』,『地域生活の継続を目指した多様な支援チームづくり』であった.

    考察:保健師は保健医療職の専門性を生かして,訪問で健康と生活を気遣い支援ニーズを見出し,障害や健康のリスクに対応すること,地域住民と協働し,縦割りの壁を越えた支援チームで地域生活の継続を支援することの重要性が示唆された.

活動報告
  • 後迫 由衣, 松浦 幸重, 山下 十喜, 中谷 久恵
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 11 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/28
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    目的:A県では2019年から「A県精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」に基づき措置入院患者の退院後支援を実施している.目的は措置入院した精神障害者に退院後支援を行った保健師が認識した支援および支援体制の変化と課題を明らかにすることとした.

    方法:A県保健所保健師10名を対象に半構造的個別面接を実施し,ガイドラインに基づく退院後支援により保健師が認識した支援および支援体制の変化と課題を検討した.

    結果:【個別支援の機会の増加による支援の質と責任感の向上】【管轄地域や都道府県を越えた保健所連携の強化】等の変化があり,【同意が得られない本人への継続支援】【支援終了の判断基準と評価方法の不明確さ】等の課題が明らかになった.

    考察:ガイドラインに基づく支援は,個別支援の質の向上や,支援が可視化されたことで連携が強化された一方で,評価方法の検討や同意を拒む本人への支援の必要性などが示唆された.

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