目的:本研究の目的は,市町村が主体的に実施する既存の保健事業の改善を図るための公衆衛生看護技術を明らかにすることである.
方法:研究参加者は,保健事業を改善した経験のある経験年数5年以上の保健師とした.半構造化個別面接を実施し,質的記述的に分析した.
結果:既存の保健事業の改善は【保健事業の改善の必要性の判断】を契機とし,【効率的・効果的】かつ【地域特性に応じた改善策】の検討を行う場合と,【実施上の課題に即応する改善策の検討】から始まる場合があった.保健師はその後【組織の合意形成】を行い,必要時に【実行性を高めるOn the Job Training】を設定していた.全てのプロセスにおいて【保健師・関係者の意思決定の推進】がみられた.
考察:【実施上の課題に即応する改善策の検討】とは,保健事業の方法や内容を一部変更することにより継続するための技術と考えられた.保健師による保健事業の改善のプロセスには,熟考しながら効果と効率性を目指すものと,実施上の課題に速やかに対応し,保健事業の継続を目指すものがあることが示唆された.
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