日本公衆衛生看護学会誌
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最新号
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原著
  • ―複線径路等至性モデリングによる分析―
    竜田 登代美, 西井 崇之, 植村 直子, 畑下 博世
    2025 年14 巻2 号 p. 25-34
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/31
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    目的:市町村統括保健師が自らの役割を遂行するプロセスおよびその活動に影響を与えた要因を明らかにすることである.

    方法:A県内の市町村統括保健師7人に,半構造化面接を行い複線径路等至性モデリング(TEM)分析を行った.

    結果:径路は,「統括保健師のイメージをもつ」「前任者が敷いたレールを歩きながら業務管理を行う」「人材管理を行う」「組織管理を行う」の4期に区分された.また,【I型:発展型】【II型:停滞型】【III型:喪失型】の3通りの類型化が導き出された.社会的助勢(促進的要因)は,事務分掌に明示,一人で背負わない環境,首長を含む上司の理解,内省を繰り返すことであり,社会的方向づけ(阻害的要因)は,事務分掌に明示がない,事務職との考え方の相違などが明らかになった.

    考察:統括保健師になる前に前任統括保健師との協働体験が重要であると考えられた.市町村統括保健師の役割遂行のために環境整備と支援の必要性が示唆された.

研究報告
  • 白井 和美, 巽 あさみ
    2025 年14 巻2 号 p. 35-44
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/28
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    目的:A市の子育て経験者によるアウトリーチ型産前・産後サポート事業を受けた母親の気持ちを明らかにする.

    方法:子育て経験者による訪問支援を受けた母親10名に対し半構造的面接を行った.研究方法は質的記述的研究法を用いた.

    結果:子育て経験者によるアウトリーチ型産前・産後サポート事業を受けた母親の気持ちとして【誰にも頼れない育児の不安や孤独感の辛さから救って欲しいという願い】,【子育て経験者という大人と過ごす安心感】,【他者の助けと自身の成長による育児への自信】,【子育て経験者への親しみと感謝】の4つのコアカテゴリが抽出された.

    考察:母親は,子育て経験者には専門職のように身構えず,その揺るがない子育て経験に基づき提供された情緒的・手段的支援に安心感や感謝を抱いていた.子育て経験者による傾聴や共感等の寄り添いによる時間をかけた支援は,母親の気持ちの安定につながっていた.

  • 尾無 徹, 畠山 陽介, 川原 恭一, 澤田 彩華, 猪浦 智史
    2025 年14 巻2 号 p. 45-53
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/31
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    目的:内発的動機づけ尺度の日本語版を作成するとともに新任期保健師に適用可能かを検討する.

    方法:内発的動機づけ尺度の中核的な側面3下位尺度21項目を翻訳,逆翻訳した.また,予備調査及び研究者間で検討することで,質問項目の内容的妥当性を確認した.次に,全国の500市町村の新任期保健師を対象に調査紙を郵送して回答を得た.得られた結果については,項目分析,信頼性・妥当性を確認するために探索的因子分析,確認的因子分析,既知集団妥当性,信頼性の検討を行った.

    結果:324名を分析対象とした.分析の過程で9項目削除し,3因子,12項目の最適解を得た.Cronbachのαは全体で0.86,KMOが0.84(P<0.01),モデル適合度はRMSEA=0.09,GFI=0.91,AGFI=0.86,CFI=0.94であり,許容できる値と総合的に判断した.

    考察:一連の分析結果から,本尺度の一定の信頼性,妥当性が確認された.新任期保健師教育の振り返り等の場面で活用できる可能性が示唆された.

活動報告
  • 吹野 信浩, 大羽 みゆき, 藤原 美智子, 松本 弘美, 檀原 三七子
    2025 年14 巻2 号 p. 54-61
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/17
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    目的:2023年度に地元の関係機関と連携体制を再構築してA大学の『まちの保健室』活動を行った.その活動を振り返り,地元の関係機関が連携しながら行う『まちの保健室』活動の効果について検討することを目的とした.

    方法:『まちの保健室』活動報告書及び会議の議事録,活動時に行った参加者へのアンケート等を表にまとめ,概観し評価を行った.

    結果:少人数から構成される『実務者会議』を立ち上げ課題を共有した.それにより,地元の関係機関で協働した共催事業の実施に繋がり連携する機会が増えた.そして,ボランティアと住民の意識・意欲の向上や活動に参加した学生から地元就業への思いが強まった発言がみられた.

    考察:地元の関係機関が課題を共有し住民の声を大切にしながら互いの強みを活かして協働することで,より大きな活動となることや多くの住民の健康づくりに働きかけることができる.そして,活動に参加した学生の地元への愛着に繋がり得る.

国際委員会報告
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