日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
Print ISSN : 2187-7122
ISSN-L : 2187-7122
3 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
研究
  • ―3か月児健康診査のデータ分析から―
    村井 智郁子, 林 知里, 横山 美江
    2014 年 3 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:母親の育児に関する相談事について3か月児健康診査のデータから実態を明らかにし,地域母子保健における効果的な支援のあり方を検討した.
    方法:大阪市B区の3か月児健康診査を受診した児の健診データのうち,個人情報を除外したものを用いた.
    結果:分析対象者は2,552人であった.相談事を記載していた母親は1,213人 (47.6%) で,相談内容は,「皮膚の手当て」が最も多く,「授乳」,「便」等が多かった.相談あり群は,第1子,集合住宅居住者,生活の困りごとのある者,気分や体調が悪い者,自分の時間がなく苦痛と感じている者に有意に多かった.一方,なんとなく不安と回答しながら,相談事を記載していない母親が36.1%認められた.
    結論:相談内容は現時点の問題が多く,相談事の有無には母親の背景要因が影響していた.不安があるが相談事を記載していない母親もおり,相談事記載の有無や項目数のみでは,育児不安や育児負担感を測れないことが示された.
  • ―離職を考えた状況と職場にとどまった思いの記述を通して―
    井口 理
    2014 年 3 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:保健師が離職を考える状況と職場にとどまった思いを記述し,離職意図に関連する保健師の「仕事の要求」と「仕事の資源」の概念を明確にする.
    方法:保健師8名への半構成インタビュー
    結果:仕事の要求は【仕事の量的負担】【業務内容の質的負担】【変容する多様な職務】【専門職としての役割葛藤】【対人関係の葛藤】【上司のリーダーシップ不足】【事業評価体制の未整備】【部門文化に対応する負担】【組織内での健康部門の軽視】【組織特性による対応困難】【仕事と個人のネガティブな相互作用】の11のカテゴリ,仕事の資源は【職務への満足感】【仕事の有意義感】【仕事のコントロール感】【他者からの評価・期待】【同僚・先輩・上司の支援】【家族・友人の支援】【雇用の安定感と厚待遇】【仕事と個人のポジティブな相互作用】の8つのカテゴリで構成されていた.
    考察:保健師の「仕事と要求」と「仕事の資源」は,個人/部署/組織レベルの階層構造をもち,仕事と個人が相互に影響していると考えられた.
  • 簗場 玲子, 桂 晶子, 安齋 由貴子
    2014 年 3 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:県が実施するALS在宅療養者派遣事業に登録している介護人は,仕事内容にどのような困難さを感じ,それをどのように対処し現在まで仕事を継続するに至ったのか明らかにし,介護人派遣事業の充実のため,県や保健所が担うべき役割について考察する.
    方法:宮城県ALS在宅療養者介護人派遣事業の登録介護人のうち5人を対象に, 半構造的面接法によるデータ収集を行った.
    結果:介護人の困難さの特徴として『ALS疾患の特異性に伴う患者・家族への対応の困難さ』,『ALS患者・家族との関係づくりの困難さ』,『一貫したケア提供のためのチーム体制づくりの困難さ』がみられた.困難へ対処として,『自己調整力』による対処と,『周囲からのサポート』があった.仕事を継続し『ALS患者介護人としての自己肯定感』 を得ていた.
    結論:本研究により,1) 困難さの共有化と心理的負担軽減への対応,2) ケアの目的と情報の共有化によるケアチームの連携強化,3) 仕事内容の周知,4) 法的整備や報酬問題への対策を視野に入れた保健師活動が示唆された.
  • 蔭山 正子
    2014 年 3 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:家族ピア教育プログラムについて,精神障がい者家族会未入会の家族を含めた会員外実施という点に焦点を当て,家族会の組織発展への影響を明らかにする.
    方法:自記式質問紙を用いた横断研究とした.プログラムを2012年度までに実施した全国の家族会59か所に質問紙を郵送した.プログラムの実施回数及びプログラムの会員外実施回数を独立変数,家族会の組織発展(客観的指標と主観的指標)を従属変数とし,重回帰分析で関連をみた.
    結果:回答があった56か所のうち42か所は会員外実施をしたことがあった.参加者793人のうち300人 (37.8%) が家族会未入会であり,300人のうち155人 (51.7%) がプログラム参加後に家族会に入会していた.会員外実施コース数が多いほどプログラムからの入会者数が多く,プログラムによって会員数・新しい会員・若い会員が増加したと評価していた.
    結論:家族ピア教育プログラムは,家族会の組織発展につながるプログラムだと考えられた.
  • 大森 純子, 三森 寧子, 小林 真朝, 小野 若菜子, 安齋 ひとみ, 高橋 和子, 宮崎 紀枝, 酒井 太一, 齋藤 美華
    2014 年 3 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:公衆衛生看護の実践に“地域への愛着” の概念を取り入れる根拠と,活動に有用な示唆を得るため,個人の内面や人と人との関係性と,地域との関係に着目して概念を分析した.
    方法:居住地の社会的な活動に携っている研究参加者9人にインタビューを行った.概念の特性,その形成に影響する要因,形成により期待される成果の3つの枠組みを用いて,データの意味内容に基づきカテゴリを抽出した.カテゴリ間の関係に着目し,個人レベル,個人間レベル,地域(近隣~自治体)レベルの3つの次元を組み込んだ概念の全体構造を検討した.
    結果・考察:各次元のカテゴリは,相互に作用し合い,常に個人の内外に変化をもたらす関係にあった.“地域への愛着” の形成が進むと,地域を志向した行動が促進され,形成により期待される成果が拡大・充実するプロセス構造をもつ概念であった.“地域への愛着” とは「日常生活圏における他者との共有経験によって形成され,社会的状況との相互作用を通じて変化する,地域に対する支持的意識であり,地域の未来を志向する心構えである」と定義づけることができた.
    結論:住民のQOLの向上と地域の力量形成を同時にめざす公衆衛生看護の実践における,本概念の有用性に関する示唆を得た.
学術実践開発委員会報告
feedback
Top