日本公衆衛生看護学会誌
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4 巻, 1 号
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巻頭言
研究
  • 呉 珠響, 斉藤 恵美子
    2015 年 4 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:日本の都市部で生活するフィリピン女性の食習慣の文化変容について明らかにすることを目的とした.
    方法:エスノグラフィの手法を用い,6名のフィリピン女性に半構成的面接を実施した.
    結果:収集したデータから141の構成単位を抽出し,29個のサブカテゴリから【フィリピンスタイルを続ける】【おやつとしてミリエンダをとる】【調理法を和風に変える】【日本の味にアレンジする】【和食を手軽に取り入れる】【食事に野菜を取り入れるようになる】【健康のために和食にするようになる】【日本スタイルを当たり前に受け入れる】の8カテゴリに分類した.
    考察:日本に定住しているフィリピン女性を対象とした保健指導などの機会には,文化変容についてもアセスメントし,健康に関わる自国の習慣の維持または変化や,日本社会の習慣や文化の受容の過程に着目することの必要性が示唆された.
  • 表山 知里, 工藤 禎子
    2015 年 4 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:市町村で働く中堅期保健師のwork-life balance(以下, WLB)実現への示唆を得るために,WLBへの自己評価,及び自己評価の高低に関連する要因を明らかにする.
    方法:無記名自記式の質問紙による郵送調査を行い,北海道125市町村の366人 (有効回答率58.1%) を分析した.WLBへの自己評価(100点満点)は低値群と高値群に分け,基本属性,職場環境,仕事・生活への認識等との関連についてFisherの直接確率検定,ロジスティック回帰分析を行った.
    結果:WLBへの自己評価の平均値は63.2点,中央値は70点であった.低値群は,疲労を持ち越し,職場環境・仕事への認識が否定的で,生活満足感が低かった.ロジスティック回帰分析では「職員を大切にしている組織である」「メリハリをつけて働き,業務が終われば周囲に気兼ねなく帰ることができる」「家庭内での役割に満足」「休養の質に満足」と回答した人が,有意にWLBへの自己評価が高かった.
    結論:中堅期保健師のWLB実現には,仕事と生活のメリハリ,家庭の役割への満足,リラックス・リフレッシュできる質の高い休養,組織の取り組みが重要であると示唆された.
  • 岩本 里織, 岡本 玲子, 小出 恵子, 西田 真寿美, 生田 由加利, 鈴木 るり子, 野村 美千江, 酒井 陽子, 岸 恵美子, 城島 ...
    2015 年 4 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,東日本大震災により被災した自治体における職員の身体的精神的な健康に影響を与える苦悩を生じる状況を明らかにすることを目的とした.
    研究方法:研究参加者は,東日本大震災で甚大な津波被害を受けたA町職員30名であり,半構成質問紙による個別面接調査を行った.調査内容は,被災後の業務で印象に残っている内容や出来事などである.分析は,研究参加者の語りから,身体的精神的健康に関連している内容を抽出しカテゴリ化した.
    結果:研究参加者の平均年齢は40.6歳,男性17人,女性13人であった.研究参加者の語りから2つのコアカテゴリ,9つのカテゴリ,19のサブカテゴリが抽出された.
    結論:被災した自治体職員は,自身も被災者であり家族など親しい人々の死にも直面し,職務においては,津波による役所建物などの物的喪失や同僚の死による人的喪失が重なり,業務遂行の負担が大きく,身体的精神的健康に影響を与えていることが考えられた.震災後の早期から職員の健康面への継続的な支援が必要である.
  • 鈴木 浩子, 斉藤 恵美子
    2015 年 4 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:子どもへの虐待や不適切な養育が疑われる,またはその発生が心配される家庭に対する保健師の訪問による支援の結果から,母親にみられた変化を明らかにする.
    方法:子どもへの虐待や不適切な養育が疑われる,またはその発生が心配される家庭を訪問している経験年数5年以上の自治体保健師9名に,訪問事例に関する半構造化面接を実施した.面接で語られた18事例を分析対象とし,逐語録から「支援により改善したと考えられる母親の変化」についての文脈を抽出,分析した.
    結果:支援による母親の変化を分析した結果,《不適切な育児の改善》《育児に対するネガティブな思いの解消》《母親の身体的・精神的健康状態の改善》《地域サービスの利用とつながりの拡大》《保健師への信頼の深まり》の5カテゴリーを抽出した.
    結論:保健師の支援により,母親の育児の改善や,地域サービスにつながり育児サポートの拡大などの変化がみられた.今後,母親の変化と虐待予防との関連を検討することが必要と考える.
  • ―20歳代女性労働者のヘルスリテラシーとライフイベントおよび子宮頸がん検診受診行動との関連―
    河田 志帆, 畑下 博世
    2015 年 4 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    目的:20歳代女性のヘルスリテラシーとライフイベントおよび子宮頸がん検診受診行動との関連を明らかにする.
    方法:20~30歳代の就労女性2,078人を対象に無記名式自記式質問紙調査を実施した.回収した1,233人(回収率59.3%) のうち20歳代女性729人を分析対象とし,ヘルスリテラシー尺度得点の中央値未満を低群 (以下低群),以上を高群(以下高群) とし,単変量解析を行った.
    結果:低群は高群に比較し,高等学校卒業者,未婚者,妊娠歴がない者,検診受診歴がない者の割合が統計的に有意に多かった.ヘルスリテラシーを従属変数として年齢と学歴を調整した単変量解析の結果,婚姻歴有のオッズ比1.75(95%信頼区間1.09–2.82),妊娠歴有のオッズ比1.82(95%信頼区間1.07–3.11),検診受診歴有のオッズ比1.85(95%信頼区間1.36–2.51)であった.
    結論:ライフイベントや検診受診行動を通じた看護職の働きかけがヘルスリテラシーを向上させる可能性がある.
第3回日本公衆衛生看護学会学術集会
学術集会長講演
教育研修委員会報告
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