日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
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4 巻, 2 号
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巻頭言
研究
  • ―職域の定期健康診断の結果から―
    伊澤 貴美子, 呉 珠響, 斉藤 恵美子
    2015 年 4 巻 2 号 p. 112-120
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/05
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    目的:本研究は,職域の定期健康診断の腹部超音波検査による脂肪肝有所見男性と非有所見男性の検査値,自覚症状,生活習慣等を比較し,脂肪肝有所見男性の特徴を明らかにすることを目的とした.
    方法:都内の一事業所の定期健康診断で腹部超音波検査を受けた男性216人を対象に,脂肪肝有所見者群(114人)と非有所見者群(102人)の2群間で検査値と生活習慣等を比較した.
    結果:脂肪肝有所見者群は非有所見者群と比較して,BMI,腹囲,血液検査の有所見の人の割合が統計的に有意に多く,20歳からの体重増減を自覚している人の割合が有意に多く,1回30分週2回以上の運動を1年以上実施している人の割合が有意に少なかった.また,脂肪肝有所見者群の中で特定保健指導の情報提供対象者は31人(31.6%)であった.
    考察:脂肪肝有所見者への保健指導として,健診結果の検査値を対象者と確認すること,対象者が生活の中で運動習慣を身につけることを支援することの重要性が示唆された.また,特定保健指導の情報提供対象者についても,脂肪肝有所見の場合には個別や集団での保健指導の必要性が示唆された.
  • ―子どもの虐待問題に携わる専門職へのインタビューをとおして―
    松原 三智子, 岡本 玲子, 和泉 比佐子
    2015 年 4 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/05
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    目的:保健分野で予防的に支援が必要な親の子どもへの不適切な関わりを明らかにすることである.
    方法:子どもの虐待問題に携わっている専門職24人に,半構造化面接を実施しデータを得た.分析は,要約的内容分析を参考にした.
    結果:不適切な関わりは,「希薄な関わり」として【親が自身のことを優先して考え,親役割や責任に欠ける】【子どもの生活リズム・生活習慣・衣食住などが整えられない】【子どもの発達に合わせた対応・時間共有ができない】【子どもの意図・サイン・気持ちがくみ取れず,寄り添うことができない】が生成された.また,「過剰な関わり」として【力をもって制する】【子どもを否定・否認する態度を示す】【子どもに過剰な干渉,理想や期待を押し付け一体化する】【威圧的な言葉掛け・叱責・怒りを子どもにぶつけて制御する】が生成された.
    結論:不適切な関わりにおける「希薄な関わり」はネグレクトと心理的虐待の,「過剰な関わり」は身体的虐待と心理的虐待の前段階の状態であることが示唆された.
活動報告
  • ―分析と公表の重要性の気づき―
    中山 貴美子
    2015 年 4 巻 2 号 p. 130-138
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/05
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    目的:本研究の目的は,熟練保健師と研究者が脊髄小脳変性症患者への活動の改善にともに取り組んだことによって,熟練保健師が実践を変化させる過程を明らかにすることである.
    方法:アクションリサーチを用いた.参加者は,熟練保健師4名であった.研究者は,大学教員1名であり,会議への参加による相談等を行った.
    結果:熟練保健師は,脊髄小脳変性症患者に関わりにくさを感じていた.そこで,熟練保健師は,研究者と共に脊髄小脳変性症患者に共通する地域課題を明確化したことで,自己の役割に気づいた.そして,根拠に基づいたよりよい活動に転換した.その後,Plan/Do/Seeを強化したダイナミックな活動に変化した.
    結論:熟練保健師が実践を変化させる過程は,地域課題を分析し,活動をまとめて公表しながら活動を改善させるものであった.
  • ―母子保健活動と保育園・幼稚園との連携―
    植松 勝子
    2015 年 4 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/05
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    目的:発達障害者支援法により,地方自治体では,支援体制の基盤整備が進んでいる.A県B町の発達障がい児支援基盤整備(就学前幼児教育期)に関して,保健師が発達障がい児支援コーディネーターとなり,「発達障がい児支援ネットワーク事業」をB町第4次総合計画の中間見直しを契機に進めた.その第一段階として2010~2012年(平成22~24年度)の3年間の事業を振り返り,事業推進における保健師の役割,今後の母子保健活動と就学前の幼児教育の連携のあり方と今後の課題について検討した.
    結果:新規事業の「巡回相談」「発達相談」「4歳児発達相談」「個別支援計画策定」等の実施にあたり,保育者と保護者,保護者と心理士等の関係性の構築が重要であり,その間接的支援者として保健師の役割は重要であった.
    今後の課題:スクリーニングの標準化(1歳半・3歳児健診,4歳児発達相談)と保育者・保健師のスキルアップ,事業の継続に関する関係機関の連携体制の強化が必要である.
第3回日本公衆衛生看護学会学術集会
教育講演Ⅱ
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