日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
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5 巻 , 3 号
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巻頭言
研究
  • 舟迫 香, 春山 早苗
    原稿種別: 研究
    2016 年 5 巻 3 号 p. 210-218
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:接触者健康診断でIGRA検査陽性が判明したときから治療終了までの間の潜在性結核感染症患者の治療を受ける体験について明らかにすることである.

    方法:潜在性結核感染症の治療を完了した5人を対象に,半構成的面接法によるデータ収集を行った.

    結果:潜在性結核感染症患者の体験は,潜在性結核感染症という疾患の告知を受け,選択肢を提示され,疑問や困惑がある一方で恐れの思考や感情が生じ,治療を選択することだった.また,発病予防のための治療であるにも関わらず,副作用の出現や食事・嗜好品の制限,受診のための時間拘束から,日常生活を制限される負担感や,友人や医療従事者から結核患者として扱われたことによる困惑があった.

    考察:患者の体験の特徴は,疾患の理解がしにくく不確かさが生じやすいこと,治療継続への負担感や治療の必要性に対する疑問を抱きながらも,自分自身の対処や他者との関わりによって治療完了に至ることだった.

  • 大塚 敏子, 巽 あさみ
    原稿種別: 研究
    2016 年 5 巻 3 号 p. 219-229
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:発達上“気になる子ども”をもつ保護者への保育士の支援経験を明らかにする.

    方法:“気になる子ども”の保護者への支援経験がある保育士12名に対し半構造化面接を行った.研究方法は質的帰納的研究方法を用いた.

    結果:“気になる子ども”を持つ保護者への保育士の支援の実態として【核心を伝える下準備としての基本的な関係づくり】,【方法や時期を見極めた上での核心の伝達】,【保護者の気持ちに配慮した専門的支援活用のための支援】,【情報共有や助言による保育士自身の安心感】,【期待した反応が得られない保護者への強い困難感】の5つのコアカテゴリが抽出された.

    考察:保育士は,保育実践の場を持ち,日々保護者とも接点があるという強みを活かして保護者との関係を深めながら子どもの発達への気づきの促しや専門的支援の勧奨を行っていた.一方,拒否的反応や困り感のない保護者に対しては強い困難感を抱いていることが明らかとなった.

  • 久富 沙織, 水野 芳子, 仁村 優希, 瀧澤 莉代, 三宅 杏, 佐伯 和子
    原稿種別: 研究
    2016 年 5 巻 3 号 p. 230-238
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:本研究は地域で行う見守りに対する地域在住の高齢者と壮年者の意識を明らかにする.

    方法:大都市での見守りについての調査の自由記載欄に記載のあった,高齢者97人と壮年者121人を対象とした.回答内容をコード化し,サブカテゴリーの抽出,カテゴリーの抽出を行い,質的帰納的分析を実施した.

    結果:抽出されたカテゴリーは,高齢者では【住民が楽しく交流できる機会があるとよい】,【地域の現状と自分の体力を天秤にかけた上で参加するかどうかを決めたい】,【安否確認をしてもらいたい】などであり,壮年者では【地域で濃密な関係を持ちたくない】,【できる限りで参加したい】,【住民だけではなく公的な関与が必要である】などであった.

    考察:高齢者と壮年者はともに,地域での交流による住民同士の関係づくりや見守りの必要性を認識する一方で,自身は労力や責任の少ない形での地域活動への参加を望んでいた.公的機関は住民の状況を把握した上で活動をサポートし,見守り活動を促進できるように働きかける必要がある.

  • ―2005年と2010年の比較―
    塩見 美抄, 岡本 玲子, 岩本 里織
    原稿種別: 研究
    2016 年 5 巻 3 号 p. 239-249
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:本研究は,行政機関で働く保健師の2005年と2010年との実践能力の獲得実態を,所属機関別,経験年数別に明らかにすることを目的とした.

    方法:各年で無作為抽出した全国の保健師を対象として,郵送による無記名自記式の質問紙調査を行った.質問紙では,公衆衛生基本活動遂行尺度(BAPH),事業・社会資源の創出に関する保健師のコンピテンシー評価尺度(CMC),保健師の専門性発展力尺度(PDS)を用い,SPSS 18.0で調査年間の差を分析した.

    結果:有効回答数は,2005年1,112名,2010年1,035名であった.各尺度と因子の得点は,すべて2010年が有意に高かった.経験年数と所属機関別にみた結果,BAPHでは5年以下と6–15年の都道府県,PDSでは5年以下の都道府県を除き,2010年が有意に高かった.CMCでは,5年以下と6–15年の市町村,16–25年の政令市等にのみ有意な上昇が認められた.

    考察:今後は,経験,所属による差を是正する教育が必要である.

活動報告
  • 嶋澤 順子
    原稿種別: 活動報告
    2016 年 5 巻 3 号 p. 250-258
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:市町村保健師による精神障害者地域生活支援内容を明らかにし支援方法への示唆を得ることである.

    方法:4市町村の精神保健福祉担当課に所属する保健師4名に半構造的面接調査を実施し,質的記述的分析を行った.

    結果:支援内容は,ニーズの顕在化による支援の開始や集中,医療継続の確認と調整,当事者の主体的な精神病症状管理促進による悪化の予防と対策,家族の助力の確認と維持,世帯の経済的安定維持に向けた親族・専門機関との調整,在宅ケアサービスの適用とモニタリング,生活者である本人と周囲の人々との関係性把握と調整,主体的に自立していくことへの支持と促進,の8カテゴリーであった.

    結論:支援は,多様な相談経路からの導入に続き医療と地域生活継続の基盤形成,次いで生活者として地域に生きる力の獲得というプロセスであった.方法として,プライマリレベルの多様な相談を受けて医療につなげる,他機関からのサービスと協働し補い合いながら家族を支える,障害者がその人らしく生きていける居場所を地域の中につくる,という示唆を得た.

  • 田邉 綾子, 鶴田 来美, 長谷川 珠代, 蒲原 真澄, 塩満 智子
    原稿種別: 活動報告
    2016 年 5 巻 3 号 p. 259-265
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
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    目的:本研究は,高校生の友達との人間関係の実態と思春期ピアカウンセリング講座(以下,講座)受講者の人間関係構築に関する認識を明らかにすることを目的とした.

    方法:講座を受講した高校生を対象に,友達との人間関係や人間関係構築に関する認識について自記式質問紙調査を実施した.

    結果:約9割の高校生は友達と喧嘩の経験を有しており,自ら仲直りをする人は約6割であった.講座受講者の人間関係構築に関する認識をみると,8割以上が多様な価値観をもった人がいると感じ,友達のことを大切にしようと思っていた.

    考察:高校生は友達とのコミュニケーションを通して,人間関係の築き方を学ぶ時期である.講座受講は他者の意見を傾聴し,友達の多様な価値観を尊重することの大切さを感じるきっかけとなり,人間関係の構築についての認識を深める機会となった.

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