目的:本研究の目的は,公衆衛生看護における倫理的課題について,保健師が実際に遭遇している実態と主観的困難度,改善経験を明らかにすることである.
方法:全国の自治体保健師1,584人に,郵送による無記名自記式質問紙調査を行った(有効回答526人,33.2%).
結果:9割近くの保健師は,過去3年の間に,10項目の倫理的課題のいずれかに,平均20件以上遭遇していた.倫理的課題の改善経験がある者はない者より遭遇件数が多かったが,困難度がより低いわけではなかった.属性別には,遭遇件数が有意に多かったのは,最終学歴では修士以上,倫理研修受講経験ではあり群,地域特性では都市中心部であった.困難度は都市中心部・郊外よりも市部が有意に高かった.
考察:今後,公衆衛生看護における倫理教育を考える際,修士課程における実践的教育の強化や,地域特性に応じた教育プログラムの開発と展開を急ぐ必要がある.
抄録全体を表示