(1)
Cephalothecium 菌の培養濾液で處理することにより稻熱病菌分生胞子の發芽及び稻苗の葉稻熱病に對する感受性に如何なる影響があるかを明かにするため本實驗を施行した。
(2) 原液區より32倍稀釋區迄は胞子の發芽並に附着器の形成は觀られない。64倍區に於て僅かに發芽並に附着器の形成を認めえたが, 128倍區に於ても尚對照區に比較して可成濾液の影響を認めえた。
(3) 濾液が發芽並に附着器形成を抑制するのはそのPH及び滲透壓によるものではない事から
Cephalothecium 菌の新陳代謝産物によるものであると觀ている。
(4) 栃内氏培養液に25°Cで60日間培養した濾液を原液とし, その15倍, 30倍, 60倍, 120倍, 240倍稀釋液を作り, それに稻苗の根部を48時間浸漬した後稻熱病菌を接種した。
(5) 濾液處理後の稻苗の生育は對照の蒸溜水區に比較して, 地上部も地下部も共に惡影響は認められなかつた。
(6) 處理苗は稻熱病に對し著しい感受性の低下を示し, 120倍に稀釋しても濾液は尚可なりの效力を持ち, 240倍稀釋度迄は稻熱病菌に對する抵抗力を稻苗に與えうるものと考えられる。
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