1. 福島県農試圃場より採集したインゲンモザイク病6株を用い,検定植物への汁液接種,dip法による電顕観察により病原ウイルスを調べたところcucumber mosaic virus (CMV), bean common mosaic virus, bean yellow mosaic virusの3種ウイルスと,日本で未報告と思われるウイルス1種が検出された。
2. 本ウイルスの寄主範囲はかなり広く,マメ科植物12種,ナス科植物7種,アカザ科植物3種,ゴマ科,ツルナ科,ヒユ科の植物各1種に感染が認められた。
3. 本ウイルスは低率ではあるがモモアカアブラムシ,マメアブラムシで非永続的に伝搬された。また粗汁液中の不活限界は耐熱性(10分)55-65C,耐希釈性1,000-10,000倍,耐保存性(15C) 5-10日であった。
4. 本ウイルスはクロロホルム処理,分画遠心分離,しよ糖密度勾配遠心分離により純化され,純化ウイルスを電顕観察すると径25-30nmの球形粒子が認められた。
5. 本ウイルスはpeanut stunt virus (PSV)と血清学的に密接な関係にあることが認められたが,chrysanthemum mild mottle virusとは血清学的にやや遠い関係にあることが示された。一方本ウイルスは,broad bean wilt virus, CMV-Y strainとは血清学的な関係は認められなかった。
6. 以上の結果から本ウイルスをPSVと同定し,PSVのJ系統(PSV-J)と呼ぶことにした。PSVが米国以外の国で検出されたのはこれが最初である。
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