日本植物病理学会報
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48 巻, 4 号
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  • 松本 直幸, 佐藤 徹
    1982 年 48 巻 4 号 p. 419-424
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    雪腐褐色小粒菌核病菌および雪腐黒色小粒菌核病菌の腐生能力をケンブリッジ法により評価した。病原力の弱い雪腐褐色小粒菌核病菌は腐生能力が高く,一方病原力の強い雪腐黒色小粒菌核病菌では腐生能力が低く,両病原菌の腐生能力と病原力の間には相補的な関係があることが明らかになった。しかし,雪腐黒色小粒菌核病菌の三つの生物型においてはこの関係は明瞭でなかった。
  • 植松 勉, Armand TAKATSU, 大畑 貫一
    1982 年 48 巻 4 号 p. 425-432
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    レタス腐敗病の病原細菌の一種であるPs. cichoriiを土壌および被害残渣から分離するための選択分離培地を考案した。その組成は,KH2PO4 0.5g, Na2HPO4・12H2O 3g,酒石酸ソーダ8g, (NH4)2SO4 5g, MgSO4・7H2O 25mg, Na2MoO4・2H2O 24mg, EDTA-Fe 10mg, L-シスチン50μg,メチルバイオレット1mg,フェネチシリンカリウム50mg,アンピシリンソーダ10mg,セトリマイド10mg,シクロヘキシミド25mg,フェノールレッド20mg,チウラム・ベノミル水和剤100mg,テルル酸カリウム25mg,寒天15g,蒸留水1lである。Ps. cichoriiの本培地での集落形成率はKing B培地よりも高く,酵母エキス加用普通寒天で分離される土壌細菌集落の92.9∼99.9%が本培地では阻止された。
  • 生長点近傍組織におけるウイルスの増殖・分布
    森 寛一, 細川 大二郎, 渡辺 実
    1982 年 48 巻 4 号 p. 433-443
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    生長点培養によるウイルスの無毒化法についての甚礎資料を得る目的で,TMVとペチュニア,タバコ,トマト,CMVとタバコ,ペチュニア,キュウリ,PVXとタバコ,ジャガイモ,Nicotiana glutinosa, Datura stramonium, PVYとタバコ,ジャガイモの各ウイルスと植物の組合わせについて,生長点近傍組織におけるウイルスの増殖・分布を主として螢光抗体法により,一部に電子顕微鏡観察を併用して検討した。
    いずれのウイルスと植物の組合わせにおいても,生長点分裂組織(tunicaおよびcorpus)とその下につづく組織の未分化な部位にはウイルス抗原あるいはウイルス粒子は検出されなかった。この生長点近傍組織でウイルスの認められない部位までの頂端からの距離は植物の個体によって異なったが,TMV, CMVでは約0.2mm, PVXでは約0.5mm, PVYでは約2mmまでであった。ウイルス抗原あるいはウイルス粒子はこれより下部の組織の分化が明瞭になり始める部位に認められ,下部へ向かって,感染段階の進んだ細胞が連続分布しているのが観察された。これは生長点の伸長にともなって,その下部の細胞が未分化の状態から分化した状態になるにしたがいウイルスが順次感染することを示すと考えられる。生長点近傍の葉原基は初めウイルスに感染していない生長点分裂組織から発生し,生長の初期(葉原基の長さ約0.5mmまで)にはウイルス抗原もウイルス粒子も認められなかった。葉原基の生長が進み内部に維管束が分化すると,ウイルスが篩部に認められ始め,そこから周囲の組織へ拡がった。葉原基では維管束が分化したのちに急速にウイルスの感染が進むようであった。
  • キュウリモザイクウイルスの接種葉における増殖・分布
    細川 大二郎, 森 寛一
    1982 年 48 巻 4 号 p. 444-451
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルスとタバコの組合わせで,接種葉におけるウイルスの増殖・分布を螢光抗体法を用いて検討した。
    ウイルスを接種した面の表皮を剥離し,剥離面の細胞壁を細胞壁分解酵素(ペクチナーゼおよびセルラーゼ)で部分的に分解したのち,螢光抗体で染色すると,表皮細胞内のウイルス抗原を検出することができた。
    表皮には25Cにおいて接種9∼10時間後に特異螢光が観察され,この特異螢光陽性部にその輝度の強さから第1次感染細胞と推定される細胞を認めた。第1次感染細胞はまれに気孔孔辺細胞の副細胞のこともあったが,ほとんどが普通の表皮細胞であった。ウイルスは第1次感染細胞から時間の経過とともに周囲の表皮細胞へほぼ同心円状に拡がった。この場合のウイルスの移行速度は20Cで8.4μm/時間,25Cで20.3μm/時間,30Cで26.3μm/時間であった。ウイルスに感染した細胞では,ウイルス抗原が最初に核小体と思われる部位に認められるが,のち細胞質に現われ全体的に分布し,その量が増加した。細胞質にウイルス抗原が現われ,その量が増加し始めた時期になると,この細胞に隣接した細胞の核小体と思われる部位にもウイルス抗原が認められるようになった。その後,この細胞でも前記の経過でウイルスが増殖し,この過程がくりかえされてウイルスが細胞から細胞へ移行し,増殖した。感染の進んだ細胞ではウイルス抗原が核,核小体と思われる部位,細胞質内に観察されたが,プラスチド内には認められなかった。感染細胞では核小体と思われる部位が2, 3個に増加している場合が多く,ウイルス感染の影響が推察された。
    葉肉組織では,ウイルス抗原が最初ウイルスの侵入部位から葉の水平方向および垂直方向に同時に細胞から細胞へと拡がり,裏面表皮に達したのちは,葉の水平方向の細胞間に主として拡がるようであった。
  • 牧野 孝宏
    1982 年 48 巻 4 号 p. 452-457
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    筆者が考案したドラモンド社製毛細管を使った新しい氷核活性検定法を用いると,純水の凍結温度は,-20C以下で,物理的衝撃による影響がなかった。また毛細管内試料の温度を容易に,また正確に制御でき,しかも冷媒温度と試料温度間に差がみられなかった。氷核形成温度と毛細管容積の間には0.93以上の相関関係がみられ,容積が大きいほど高温で凍結した。本法は偏差が小さく,氷核形成温度をより正確に測定できる点で,Valiらの方法よりすぐれていた。本法によって各種植物病原細菌保存菌株を調べたところ,P. syringae(ネギ斑点細菌病菌),およびP. syringae pv. pisiに強い氷核活性が認められた。しかしCorynebacterium, Erwinia, Xanthomonas属の各細菌には,ほとんど氷核活性が認められなかった。次に植物の芽から氷核活性の高い細菌を分離する方法を検討した。サクラ,中国サルナシ,アカガシ,ビワ,イチヂクの新芽を滅菌水中に浸漬し,室内光線下で静置すると,1∼3日後に浸漬液の氷核活性が高まり,この浸漬液から平板培養法によって,容易に氷核活性の高い細菌を分離することができた。
  • 小島 誠, 滝沢 勤, 上田 一郎, 四方 英四郎
    1982 年 48 巻 4 号 p. 458-465
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    酵素結合抗体法(ELISA)により,一般ほ場あるいは温室で育成したジャガイモの茎葉から容易にジャガイモ葉巻ウイルス(PLRV)が検出された。罹病塊茎を植え,生じてくる地上部のPLRV抗原量を経時的に調べた結果,萌芽後展開した葉で最も高く,生育が進むにつれて漸減した。その際,病徴発現以前に抗原の検出が可能であった。一般ほ場から採集してきた葉巻症状株,疑似株,無病徴株103株につきELISAによる診断と病徴の度合との関係を調べたところ,ほぼ一致した。しかし,疑似株,無病徴株から各々3株,1株が陽性と判定された(ほ場における1次感染株と考えられる)。一方,ジャガイモ塊茎,萌芽を用いてのELISAによる診断は非特異反応が高く困難であったが7),それらの汁液を加熱処理(50C, 10分間)することにより低下させることができたので,塊茎等を用いた診断も可能となった。さらに,病葉を小片にしてシリカゲル上で乾燥保存しても十分抗原を検出できることから,抗原の保存,郵送も可能となった。また,ELISAと免疫電顕法(ISEM)につきPLRV抗原検出感度につき比較したところ,ほとんど差がなく,両検定法ともng単位のウイルス抗原を正確に検出できることから,ジャガイモ葉巻病の診断には有用であると考える。
  • I. 病原性の異なる2菌株の対峙培養および対峙接種による変異株の生成
    生井 恒雄, 山中 達
    1982 年 48 巻 4 号 p. 466-470
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネいもち病菌の病原性の異なる2菌株(レース047と303)を供試し,培地上およびイネ葉上における変異株の生成を試みた。培地上における菌そう接合法,イネ葉上における混合パンチ接種法および対峙パンチ接種法により,両母菌とは異なる病原性を示す変異株が得られた。この変異株には,両母菌が侵害し得ないイネ品種,関東51号やツユアケに対して典型的な罹病型病斑を形成して,新たに病原性を獲得したもの(レース337, 317, 313, 137と037の各菌)と,両母菌の病原性を併せ持ったもの(レース347菌)の2種類が含まれた。また,これらの変異株のうち,レース337菌は培地上およびイネ葉上の両者から得られた。これに対して,両母菌からは病原性変異株の出現は認められなかった。一方,出現した変異株は,PDA培地上で形成される菌そうの色,形状が母菌とは異なり,これらは3種類に分けられた。以上の実験結果から,本実験で得られた変異株は両母菌の菌糸融合の結果生成された可能性が高いと推察された。
  • 阿久津 克己, 小林 裕美子, 渡部 忠一, 黄 耿堂, 見里 朝正
    1982 年 48 巻 4 号 p. 471-481
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    灰色かび病菌の第2次付着器形成に対する核酸塩基プリン関連化合物(cyclic AMP, 5'-AMP 5'-IMP, adenosine, inosine)の誘導効果をスライドグラス上で検討した。これらの物質はキュウリ葉上の場合と同様に第2次付着器形成を誘導するが,中でもイノシンが最も顕著な効果を示した。化学構造上イノシンの類似物質であるホルマイシンBをイノシン溶液に添加すると,第2次付着器形成の誘導効果が抑えられ,両者間に競合関係のあることが明らかになった。つぎにイノシン処理菌体では,RNA, DNA両画分への14C-ウリジン,14C-チミジンの取り込み量が1∼3時間に促進され,続いてたんぱく画分への14C-アミノ酸混合物の取り込みが促進された。一方,ホルマイシンBはDNA画分への14C-チミジンの取り込みに対して,イノシンと競合することを示したが,他の画分では競合関係はみられなかった。以上のことから,イノシンによる第2次付着器形成誘導には,DNA合成が関与し,そのDNAに基づくRNA,たんぱく合成など一連の生合成系が関与すると考えられる。
  • 鳥山 重光
    1982 年 48 巻 4 号 p. 482-489
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ縞葉枯ウイルス(RSV)には,3成分のリボ核酸(RNA)が含まれ,その分子量は,7M尿素変性ゲルを用いた電気泳動分析で,1.4×106, 1.0×106および0.9×106であった。Kleinschmidt法による核酸の電子顕微鏡像から,RSV-RNAは環状ではなく,両端のある線状分子として観察された。その分子の大きさは,約1μmと0.7μm長にピークをもつ,1.2μm∼0.2μmに分布した。10∼40%蔗糖密度勾配遠心で生ずるTop (T), Middle (M), Bottom (B)の各粒子成分と上記RNA 3種との関係については,RNA 1.4×106はB粒子成分に,RNA 1.0×106および0.9×106はM粒子成分に含まれると考えられた。M粒子成分は,ときにごく近接した2ピークとして生ずることがあるので,M粒子成分中の2 RNAはこの2粒子成分に含まれていることが示唆される。T粒子成分のRNAは,2.5%および5.0%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で一定のバンドを形成せず,RNAは分解しているように思われる。また,T粒子成分は純化の過程で硫酸セシウムや塩化セシウムを用いると多量に生ずることから,人工産物の可能性が考えられた。
  • 田村 修, 斎藤 泉
    1982 年 48 巻 4 号 p. 490-498
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ腐らん病病斑の進展の過程を時期別に病態組織学的に観察した。リンゴ樹の休眠期には,病原菌は樹皮組織内を単独の菌糸で進展し,菌糸進展部に先行した組織では細胞の収縮と軽微な褐変が認められた。5月にも単独菌糸が樹皮組織内を進展するが,菌糸進展部における寄主組織の褐変は顕著となった。気温が高くなるにつれて,組織の褐変はさらに顕著となり,健全組織との間の2∼3層から数10層の細胞壁はリグニン化し,さらにその外側に傷痍木栓組織が形成された。このような一連の変化によって,病原菌の菌糸は集合しやがて木栓組織を突破する。菌糸の集団的な樹皮組織の進展と木栓組織の新生が繰り返され,その結果,病斑の進展は緩慢になる。最も樹体活性の高い8月には菌糸の進展に対し寄主組織は速やかに反応し,3∼7層の厚膜コルク化細胞より成る木栓組織を形成し,これにより病原菌の進展はほぼ完全に阻止された。しかし,10月になると,罹病組織と木栓組織の間隙内で増殖した集塊状菌糸は木栓組織形成の不十分な部分から健全組織内へ再び進展した。
    リンゴ休眠期に人為的に樹皮に付傷した場合,5月中旬まで木栓組織の形成は認められないが,夏期に付傷したときは2週間後に木栓組織が形成された。すなわち,傷痍木栓組織の発達の速さや程度は季節によって著しく異なり,それによって発病およびその後の病斑進展が左右される。
  • 羽柴 輝良, 小池 賢治, 湯野 一郎, 山田 昌雄
    1982 年 48 巻 4 号 p. 499-505
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    品種越路早生を供試し,異なる温・湿度条件下におけるイネ紋枯病の菌糸および病斑の上位進展,出穂後の日数の経過と本病に対する感受性の変化を検討し,1日ごとの病斑進展のモデル曲線を作製した。1日当りの病斑の進展は湿度100%で気温が20Cでは0.48cm, 23Cでは1.13cm, 25Cで1.35cm, 28Cで1.58cmであった。この値を用いて日平均気温から算出した病斑のモデル曲線を作った。一方,異なる湿度条件下におけるイネ体上での病斑進展の割合は温度25Cで湿度100%に対してそれぞれ,湿度98%で0.99, 95%で0.96, 90%で0.87, 86%で0.38であった。この値を用いて,日平均気温から算出した病斑のモデル曲線に対して湿度による補正を行った。また,病斑進展が最適である温度28C,湿度100%条件下におけるイネ体の感受性の変化と病斑進展との関係から,出穂2日後の1日当りの病斑の進展は1.12cm, 5日後は1.32cm, 10日後は1.71cm, 15日後は1.59cmであった。上記の値を最適病斑進展度とし,気温と湿度から作製した病斑進展のモデル曲線にあてはめ,モデル値が最適病斑進展度を越える場合には,最適病斑進展度を上限値として補正し,3つの要因を組合せた病斑進展のモデル曲線を得た。本モデル曲線は実際に出穂後圃場における病斑の進展の調査結果(1977∼1981年度)とほぼ一致した。このことから,上記3つの要因を組合せた病斑進展のモデル曲線を用いることによってより精度の高い本病の発生予測が可能と思われる。
  • 古賀 博則, 小林 尚志
    1982 年 48 巻 4 号 p. 506-513
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. いもち病菌接種イネを全葉透明化染色法により固定,染色を行い,親和性組合せ(レース037とコシヒカリ)と不親和性組合せ(レース037とフクニシキ)間での初期感染過程を光顕によって比較観察した。
    2. 不親和性組合せの葉身における抵抗性発現は,侵入時と侵入菌糸の伸展時の2段階に存在することが認められた。
    3. 侵入段階での表皮細胞の反応には,無反応の場合と細胞内容物の顆粒化を伴う場合が観察された。前者は親和性および不親和性組合せのいずれにおいてもほぼ同率で出現することから,特異的抵抗性との関連性は少ないと考えられた。これに対して後者は不親和性組合せにおいて親和性組合せよりも,その出現率が著しく高く,両組合せ間に侵入率の差異が見出される時期と細胞内容物の顆粒化の出現時期とが一致することから,特異的抵抗性発現と密接な関係にあることが示唆された。
    4. 侵入菌糸の伸展阻害の場合においても,細胞内容物の顆粒化が密接にかかわっていることが示唆された。
    5. 表皮細胞が濃く褐変した感染部位は,不親和性組合せで観察された各感染部位のうち2∼3%にすぎず,むしろ親和性組合せにおいて高率で観察されることから,宿主細胞の濃い褐変化が特異的抵抗性の主要な発現とは考え難かった。
  • 鳥山 重光
    1982 年 48 巻 4 号 p. 514-520
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    東北地方(むつ市,盛岡市),栃木県西那須野地方,長野県伊那地方のオーチャードグラスにモザイク病の発生が認められた。病徴は軽いモザイク症状,鮮明なクロロティックストリーク症状,えそ性の病斑を伴う症状など変化に富む。病原ウイルスは,直径約28nmの球形粒子で,分子量約1.4×106の核酸および分子量29,000のコート蛋白を含み,不活化温度は80∼85Cであった。ウイルスは汁液接種でオーチャードグラス(アキミドリ),コムギに高率で感染した。エンバク,オオムギ,ライムギにも低率で感染したが,トウモロコシ,アワ,エノコログサ,チモシー,ブロムグラス,ライグラス,トールフェスキュなどに感染しなかった。病徴の異なるオーチャードグラスのウイルス分離株CLおよびMの各抗血清(力価320倍)は,CFMVと強い陽性反応を示したが,CMMVとPMVとは反応しなかった。本ウイルスは不活化温度が高いが,以上の性質から,オーチャードグラスに発生しているウイルスはCocksfoot mottle virusであると結論できる。本病の和名をオーチャードグラスモザイク病,ウイルスの和名をコックスフットモットルウイルスと記載することにしたい。
    わが国のオーチャードグラスの栽培品種,アオナミ,アキミドリは本ウイルスに対し感受性が高く,次いでキタミドリで,オカミドリは感受性が低かった。本モザイク病の発生は長期連作草地でとくに注意を要する。
  • 小金沢 碩城, 佐久間 勉
    1982 年 48 巻 4 号 p. 521-528
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ腐らん病菌をリンゴ樹皮煎汁培地で培養後,培養ろ液をエーテル抽出し,このエーテル抽出物をリンゴ樹新梢に吸収させたところ,自然条件下で発病したリンゴ腐らん病に類似のネクロシスを生じた。エーテル抽出物をろ紙クロマトグラフィーまたはカラムクロマトグラフィーにより分画したところ,3画分に毒性が認められた。これらの毒性物質は標品と薄層クロマトグラフィーでの挙動および紫外線吸収スペクトルを比較して,フロレチン酸,p-オキシ安息香酸,プロトカテチュ酸と同定した。これらの物質はリンゴ樹に特異的に含まれているフロリジンが分解されて生ずるものとして知られている。フロリジン分解産物は高濃度でのみ毒性を示し,かつ,供試したリンゴ以外の植物に対しても毒性を示した。
  • 沢井 功, 奥野 智旦, 伊藤 貴子
    1982 年 48 巻 4 号 p. 529-531
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 田村 實
    1982 年 48 巻 4 号 p. 532-533
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In 1981, bacterial leaf and flower spot of zinnia was found in Ishikawa pref., Japan. The disease first appeared on the leaves as yellowish small circular spots. Those spots slowly enlarged to angular shape about 5mm in diameter and became reddish or dark brown. Lesions of flower were dark or blackish brown spots. The bacteriological tests and host range indicated that the pathogen was Xanthomonas campestris pv. zinniae (Hopkins & Dowson 1949) Dye 1978.
  • ペチュニア(Petunia hybrida)の花器官におけるタバコモザイクウイルスの増殖・分布
    細川 大二郎, 森 寛一
    1982 年 48 巻 4 号 p. 534-537
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 守
    1982 年 48 巻 4 号 p. 538-541
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A protozoa feeding on Pseudomonas syringae pv. mori was isolated from a subculture of the bacterial strain. The organisms formed plaques on culture of P. s. mori and the other bacteria including Xanthomonas campestris pv. citri and Erwinia carotovora subsp. carotovora. Some cultural conditions for plaque formation and the other properties of the organisms were also reported.
  • 小林 喜六, 宇井 格生, 斉藤 泉
    1982 年 48 巻 4 号 p. 542-543
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 荒瀬 栄, 谷舗 充信, 糸井 節美
    1982 年 48 巻 4 号 p. 544-546
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 村越 重雄, 細矢 俊一郎
    1982 年 48 巻 4 号 p. 547-550
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Isolates of Botrytis cinerea Persoon resistant to iprodione were obtained from three tomato fields in Kanagawa prefecture, Japan. The minimal inhibitory concentration value of iprodione for the isolates was about 25ppm. The isolates were cross-resistant to procymidone and vinclozolin. Resistance to benomyl was also found in all the iprodione resistant isolates in this experiment. The virulence of the isolates on broad bean leaves were correspond to that of sensitive isolates. One of the isolate had an ability to develop the disease even on the tomato leaves that treated with 500ppm solution of iprodione, procymidone, vinclozolin, benomyl or thiophanate-methyl.
  • 宮原 和夫, 松崎 正文, 田中 欽二, 佐古 宣道
    1982 年 48 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new disease of onion (Allium cepa) caused by mycoplasma-like organism (MLO) was found in Saga Prefecture. The typical symptoms of diseased onion leaves were yellowing and stunting with fasciculation. Hypertrophy of the diseased onion bulb was decreased while flower clusters of the bulb were teratoid. The diseased onion bulb during storage was sprouted earlier than healthy one. In ultrathin sections of the diseased onion, MLO was observed in the sieve tubes of diseased leaves. In transmission tests with 5 species of wild planthopper and leafhoppers, only Macrosteles orientalis could inoculate and transmit the MLO to onion seedlings. The inoculated seedlings expressed the typical symptoms 20-28 days after transmission tests and MLO was detected in the sieve tubes of the onion leaves. The transmission rate of MLO by naturally infested M. orientalis ranged from 3.3 to 33%. The results indicate that the causal agent of this disease seemed to be MLO, and this disease was proposed to name “Onion yellows”.
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