日本植物病理学会報
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60 巻, 4 号
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  • Triwidodo ARWIYANTO, 後藤 正夫, 露無 慎二, 瀧川 雄一
    1994 年 60 巻 4 号 p. 421-430
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ストレリチアから分離された青枯病菌,Pseudomonas solanaceayum (Str-10菌株)の非病原性突然変異株(Str-10 op)を用いて,トマト青枯病の発病抑制効果を調べた。Str-10 opを前接種すると,バクテリオシシ感受性および耐性のいずれの病原性菌株による青枯病の発病も著しく抑制されたが,抑制程度は各病原性菌株によって異なった。高温(30∼37°C)ではこの抑制効果は発現しなかった。トマト苗に処理したStr-10 opの28日目の根面部での生存濃度は2×106cfu/g生根また根圏部での生存濃度は2×105/g乾土であった。この菌株は根の組織に定着可能で土壌表面から上部2cmまで茎組織内を移動した。青枯病の発病抑制効果は,病原性菌株に対するStr-10 opの比率が1.0以上の場合に顕著に発現した。したがってStr-10 opによる発病抑制には誘導抵抗性の関与が示唆された。
  • 朴 杓允, 大野 藤吾, 西村 正暘, 甲元 啓介, 尾谷 浩
    1994 年 60 巻 4 号 p. 431-440
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    用いた固定法はグルタルアルデヒドと四酸化オスミウムによる通常の二重固定法(GA-Os法)と両者の固定剤を混合して同時に処理する混合固定法(GA+Os法)の二つである。毒素及び水処理した感受性日本ナシ葉をこの二つの固定法で化学固定し,細胞壁と原形質膜の間で見られる膜片を微細構造的に,定量的に,組織化学的に調べた。いずれの固定法でも,ミエリン状膜片と小胞状膜片の二つのタイプが毒素及び水処理した組織で観察されたが,処理区でその発生量は異なっていた。GA-Os法で固定した対照区の組織ではかなりの量の膜片が認められたが,一方,GA+Os法で固定した対照区の組織ではその発生は抑えられた。この結果はGA-Os法で固定した対照区の組織の膜片の多くがアーティファクトであり,GA+Os法が膜片の発生を抑えることに効果があることを示す。しかし,アーティファクトの発生を抑えるGA+Os法を用いても,毒素処理した感受性葉組織で多くの膜片が見出された。この結果は観察された多量の膜片は単なるアーティファクトではなく,毒素処理の結果生じた病理学的変性像であることを示す。膜片の組織化学的特質,構造的特質,形成機序を詳しく考察した。
  • 佐藤 章夫
    1994 年 60 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    蒸留水で2回洗浄したジャガイモ疫病菌の胞子(遊走子のう)を用い,直ちに14×で発芽試験を行うと,再蒸留水に懸濁した胞子の間接発芽は強く抑制された(3時間で9%の発芽)が,北海道農業試験場の水道水に懸濁した胞子は速やかにかつ高率に発芽した(3時間で78%)。この水道水に含まれる無機イオンが間接発芽に好適と考えられたので,8種の無機塩(CaCl2, Ca(NO3)2, MgCl2, MgSO4, KCl, K2SO4, NaClおよびNa2SO4)の種々の濃度の溶液の間接発芽に及ぼす影響を調べた。これらの溶液に胞子を懸濁して22×に22時間置いた後,14×に冷却して発芽させたところ,発芽にもっとも好適な溶液は0.3mMのCaCl2で(1時間で71%の発芽),0.3mM MgSO4がこれに次いだ(65%)。ナトリウムおよびカリウム塩の効果は小さかった(<23%)。 Na2SO4以外の供試塩類は陽イオン10mMの濃度で発芽を強く抑制した(0∼5%)。水素イオン濃度も間接発芽に影響し,CaCl2濃度が0.1mMの時,最適pHの8.0では1時間で90%の発芽が見られたが,pH 4.5では発芽は完全に抑制された。以上の結果および水道水の含まれる陽イオンのAnn. Phytopath. Soc. Japan 60 (4). August, 1994 447種類と濃度を踏まえ次の処方の塩類溶液を調製したところ,間接発芽に極めて好適であった:0.2mM CaCl2, 0.05mM MgSO4, 0.05mM KH2PO4, 0.5mM NaHCO3, 0.01mM Fe-EDTA-Na。この溶液を用いて間接発芽に及ぼす胞子濃度の影響を調べたところ2.5×104個/ml以下の濃度ではほとんどすべての胞子が発芽したが(2時間で97%), 105個/ml以上では発芽が顕著に抑制された。
  • 西村 範夫, 工藤 和一
    1994 年 60 巻 4 号 p. 448-453
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    サトイモ乾腐病の病原菌(Fusarium oxysporum)の分化型と培養的及び形態的性質を調べた。サトイモ科の植物に対応するF. oxysporumの分化型については報告が見あたらず,また本病病原菌の寄生範囲は次の17分化型,lycopersici race 2, melongenae, cucumerinum, melonis, niveum, lagenariae, conglutinans, cepae,allii, asparagi, arctii, batatas, spinaciae, fabae, fragariae, radicis-lycopersici, raphaniと異なることが接種試験により明らかになった。この結果,本菌に対して分化型colocasiaeを新設することを提案し,また本病とF. solani f. sp. radicicolaによる乾腐病を区別するため,本病をサトイモ萎ちょう病に変更することを提案した。
  • 三瀬 和之, 森 正之, 中屋敷 均, 小山 毅, 奥野 哲郎, 古澤 巖
    1994 年 60 巻 4 号 p. 454-462
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ブロムモザイクウイルス(BMV) ATCC66株の感染性in vitro RNAを転写できるcDNAクローン(KU1株)の全塩基配列を決定し,BMVロシア株と比較した。BMV RNA1, 2, 3それぞれにおけるKU1株とロシア株の間での相同性は97%以上で,transitionタイプの置換がtransversionタイプの置換よりも多かった。Sindbis様植物RNAウイルスに保存されている3つの領域でのアミノ酸変異のほとんどは類似アミノ酸への変換であった。RNA1と3の5′端非翻訳領域の塩基配列は両株間で完全に同じであったが,RNA2では7つの塩基が異なっていた。いずれのRNAの3′端の塩基配列の変異も想定される2次構造に影響を与えないものであった。KU1株,ATCC66株ともに外被タンパク質遺伝子の5′端非翻訳領域において2つの隣接したアデニン塩基が欠失していた。RNA3のシスロトン間領域に存在するオリゴ(A)配列のアデニンの数はATCC66株では一定ではなく,KU1株のRNA3のcDNAでグアニン塩基が1個含まれていたのに対して,ATCC66株のRNA3では2個以上のグアニン塩基が認められた。
  • 成沢 一彦, 皆川 博孝, 山岡 裕一, 勝屋 敬三
    1994 年 60 巻 4 号 p. 463-468
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Puccinia recondita f. sp. tritiの精子器を有する宿主植物の感染葉片を表面殺菌し,人工培養上に静置する方法で培養菌株を確立した。1/4濃度Murashige and Skoog培地の無機塩類,ビタミンおよびグリシンに蔗糖40g/l, 2, 4-D 0.0019/l,カイネチン0.0001g/l, peptic peptone 4g/lおよびbacto agar 8g/lを添加した培地上でのコロニーの生育が最も良好であった。培養菌株のコロニーは,白色から黄色でフェルト状から綿毛状の表面をし,細い菌糸で構成されていた。菌糸細胞はhaploid 1核を有していた。
  • 真田 正幸, 伊東 理世子, 下川 英俊, 松下 亀久
    1994 年 60 巻 4 号 p. 469-477
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    TMVの普通系でホワイトバーレー葉を接種してもβ-1, 3-グルカンハイドロラーゼ活性は誘導されないが,TMVのトマト系(TMV-T)では同酵素の活性が誘導された。下葉にTMV-Tを接種した同植物の上葉で検出された同酵素活性の増加はTMV-Tに対する全身的な獲得抵抗性と相関的であった。チャレンジ接種した上葉に形成される局部病斑の大きさとその数は,それぞれコントロール植物の30%に減少した。しかし,下葉を接種後2日目に切除した同植物の上葉では同酵素活性の増加はみられず,またTMV-Tに対する獲得抵抗性も現れなかった。ホワイトバーレーの切り取った半葉をサリシレート溶液(0.2mM)に浮かべて25°Cでインキュベートすると,β-1, 3-グルカンハイドロラーゼ活性の増加とTMV-Tに対する抵抗性が出現した。さらに,下葉にサリシレート(1mM)を注入した同植物の上葉でも同酵素活性が増加し,TMV-Tを接種したとき抵抗性が出現した。一方,ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動パターンから,TMV-Tの接種葉や抵抗性を示す葉には2本の同酵素のアイソザイムの存在が確認された。最後に,ホワイトバーレーにおけるβ-1, 3-グルカンハイドロラーゼ活性の増加と抵抗性の誘導に及ぼすTMV-Tとサリシレートの関与及びその意義について考察した。
  • 田村 勝徳, 寺岡 徹, 細川 大二郎, 渡辺 実
    1994 年 60 巻 4 号 p. 478-482
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    5属19種70菌株の植物病原細菌について,シリンゴマイシン活性の検定用指示菌であるGeotrichum candidumに対する生育阻害活性を調査した結果,トウカエデ斑点細菌病菌Pseudomonas syringae pv. aceris,テンサイ斑点細菌病菌P. syringae pv. aptata,ムギ類黒節病菌P. syringae pv. japonica,エンンドウつる枯細菌病菌P. syringae pv. pisi,キウイフルーツ花腐細菌病菌およびネギ斑点細菌病菌(ともにP. syringaeに属し,病原型は未定),ハクサイ褐条細菌病菌P. viridiflavaに活性が認められた。これら7種細菌のうちP. viridiflava以外の6細菌の培養液から上記生育阻害活性を指標として分離・抽出された生理活性物質は,いずれもインゲン,コムギ,エンドウ,テンサイおよびネギに壊死症状を誘導した。また各細菌からの毒素はいずれもP. syringae pv. syringaeのライラック分離株の培養液から抽出されるシリンゴスタチンとシリカゲルTLC上でほぼ同様の挙動を示し,各種糸状菌に対する抗糸状菌活性の程度も文献に記載のあるシリンゴマイシンのそれとよく一致したことから,シリンゴマイシン様毒素と考えられた。以上のことから,これら4病原型の細菌がpv. syringae以外にシリンゴマイシン様毒素を産生する細菌であることが初めて明らかにされた。
  • 伊達 寛敬, 那須 英夫, 畑本 求
    1994 年 60 巻 4 号 p. 483-486
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    岡山県内に導入したナス青枯病抵抗性台木“トルバム・ビガー”が青枯病細菌III群菌汚染圃場において本病が多発した原因を解明する目的で,本台木の抵抗性発現に及ぼす温度の影響を調べた。高温条件(30∼35°C)下で“トルバム・ビガー”は,III群菌に対して罹病性となり,IV群菌に対して発病度が高くなる傾向であった。しかし,高温条件下においても,I, II群菌に対しては安定した抵抗性を示した。25, 30, 35°Cの各静置培養条件下での供試菌株の増殖性には各菌群間に顕著な差はみられなかった。これらのことから,青枯病細菌のIII群菌に対する“トルバム・ビガー”の罹病化は高温条件(30∼35°C)に起因すると考えられた。
  • 高松 進, 林 伯年, 古田 秀雄, 真柄 紘一
    1994 年 60 巻 4 号 p. 487-490
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    逆転写-polymerase chain reaction (RT-PCR)法を用いて,ユリ潜在ウイルスに自然感染したユリ葉から外被タンパク質遺伝子を直接クローニングした。クローニングされたcDNAの長さは876塩基対で,291個のアミノ酸をコードしていた。得られたcDNAクローンのうちひとつのクローンは,Memelinkら(1990)の報告したLSV外被タンパク質遺伝子との相同性が,塩基配列で87.6%,アミノ酸配列で97.6%であった。
  • 伊藤 真一, 矢野 彰吾, 田中 秀平, 亀谷 満朗
    1994 年 60 巻 4 号 p. 491-495
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Plasmodiophora brassicaeの休眠胞子スフェロプラストを調製し,ゲノムおよび染色体DNAの解析に用いた。休眠胞子スフェロプラスト由来のDNAは高分子量を保持しており,制限酵素の基質,およびRAPD-PCRの鋳型として利用可能であった。休眠胞子スフェロプラストを用いてパルスフィールドゲル電気泳動を行うと,565∼2,200kbに少なくとも13本の染色体DNAが分離された。これらの結果から,休眠胞子スフェロプラストは,本菌のゲノムおよび染色体DNAの解析に有用であることが示された。
  • 中屋敷 均, 小林 括平, 津下 誠治, 奥野 哲郎, 古澤 巖
    1994 年 60 巻 4 号 p. 496-500
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カリフラワーモザイクウイルス(CaMV), CM1841系統は,昆虫媒介性に関与するウイル遺伝子(ORF II)にアミノ酸置換がある非昆虫媒介性のCaMV分離株として知られてきた。CM1841感染葉では,ORF II産物(p18)蓄積量が昆虫媒介性のCaMVと比較して少ないが,病徴発現初期には昆虫媒介性のCaMV系統の25∼50%程度のp18が蓄積している(Nakayashiki et al. J. Gen. Virol. 74: 2469-2472, 1993)。そこで病徴発現初期におけるCM1841系統の昆虫媒介性を検討した。通常のアブラムシ頭数(10∼20)による検定では媒介は認められなかったが,多頭数(200∼300)のアブラムシを用いて検討を行ったところ,これまで非昆虫媒介性と考えられていたCM1841系統でアブラムシによる媒介が初めて確認された。
  • 家城 洋之
    1994 年 60 巻 4 号 p. 501-506
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ベンゾイミダゾール系薬剤のそうか病防除効果が低下している愛媛県下の7ほ場,大分県下の2ほ場および宮崎県下の1ほ場から分離したそうか病菌(Elsinoë fawcetti Jenkins) 59菌株のベノミル耐性検定を行った結果,ベノミル1μg/ml添加PDA培地で生育できない感性菌,1μg/mlで生育する弱耐性菌,50μg/mlで生育する中等度耐性菌,500∼1,000μg/mlで生育する強耐性菌の4種類に分類された。これら3種類の耐性菌に対するベノミル250μg/ml(実用散布濃度)の防除効果を接種試験で検討したところ,中等度および強耐性菌では無散布同様全く防除効果が見られなかったが,弱耐性菌では感性菌の場合よりやや防除効果が劣る程度であった。ジエトフェンカルブとチオファネートメチルの混合剤添加培地で弱および中等度耐性菌が強耐性菌より高濃度で生育が見られ,ジエトフェンカルブに複合耐性を示した。一方,ジチアノン単剤およびチオファネートメチルとの混合剤に対してすべての耐性菌は交差耐性が見られなかった。また,これらの薬剤を処理後に強耐性菌を接種したところ,防除効果が認められた。
  • 瓦谷 光男, 草刈 真一, 守田 伸六, 田中 寛
    1994 年 60 巻 4 号 p. 507-513
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナスの土壌伝染性病害感染について,葉中の8種の酵素活性を測定し,それぞれの病害に特徴的な活性の変化を調べた。
    半身萎ちょう病株では,β-1, 3-グルカナーゼ,ポリガラクツロナーゼ,アミラーゼの活性が健全株に比べて明らかに高かった。
    半枯病株では,アミラーゼの活性が健全株に比べてやや高かったが,青枯病との差が明瞭ではなかった。
    青枯病株ではペルオキシダーゼ,スーパーオキシドジスムターゼ,アミラーゼで,健全株に比べて高い活性がみられた。特にスーパーオキシドジスムターゼの活性増加は顕著であった。
    これらの結果から,ナスの健全株からの採取葉を対照にして,β-1, 3-グルカナーゼ,ポリガラクツロナーゼ,アミラーゼの活性が高ければ半身萎ちょう病,ペルオキシダーゼ,スーパーオキシドジスムターゼ,アミラーゼの活性が高ければ青枯病と判定できると考えられる。
  • 吉田 政博, 小林 研三
    1994 年 60 巻 4 号 p. 514-522
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    メロンがんしゅ病病原放線菌の形態形成を明らかにするため,胞子の発芽から形成過程の形態的性状の変化をイースト・スターチ寒天培地上で観察した。胞子の発芽は,28°Cの培養条件において接種後1時間目まではみられなかったが,3時問目からわずかに発芽胞子が確認された。その後,24時間目までにはほとんどの胞子が発芽したが,不発芽胞子も存在した。形態観察において,発芽時の胞子の著しい表面構造の変化はなかったが,培養3時間目の発芽が始まるまでに胞子の大きさは大きくなり,膨潤することが認められた。発芽管は胞子の1∼3箇所から生じ,発芽菌糸は分岐・増殖して24∼48時間目には基生菌糸体を構成し,その菌糸先端はやや膨大して気菌糸を分化し,先端はフック状を呈した。72時間目には気菌糸はさらに太くなり,フック∼オープンループ状の形態を示すようになった。培養5日目までには,気菌糸に隔壁の形成が開始され,典型的なRetinaculum-Apertum型の胞子鎖が認められるとともに,胞子鎖が絡み合った疑似胞子のうの形成も始まった。その後,培養時間の経過とともに疑似胞子のうが増加し,胞子鎖が減少していった。また,10日目頃になると成熟した疑似胞子のうには粘液状の物質で覆われたものもみられた。14∼21日目以降,粘液状の物質で覆われてマット状になった基生菌糸体上に疑似胞子のう,胞子塊,およびわずかな胞子鎖の存在する状態となり,安定した菌そうになると考えられた。
  • 市川 和規, 佐藤 豊三
    1994 年 60 巻 4 号 p. 523-526
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new disease of aster was found in Yamanashi Prefecture, Japan, 1989. Dark brown or tan-colored spots with dark margin appeared on the leaves, stems and flower buds of the host. A species of Stemphylium isolated from the lesions was pathogenic to asparagus, tomato, soybean, stone leek and onion as well as aster. The pathogen was identified as S. vesicarium from its conidial morphology and host range. The fungus is new in Japan and aster is new host for it.
  • 古谷 眞二
    1994 年 60 巻 4 号 p. 527-530
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The effects of temperature on formation and germination of sclerotium-like structures (SLS) and conidia, and penetration of Pyricularia zingiberi Nishikado into host cells were investigated. Maximum temperature for SLS formation was 23°C on potato carrot agar, and SLS on the residues of mioga plants produced easily conidiophores and conidia at 32°C. Abundant conidia were also produced on the surface of infected ginger leaves at 28°C, and the optimum temperature for conidial germination was 30°C in nutrient solution. Optimum temperature range for appressorial formation was 20-23°C on the leaf epidermis of ginger. Optimum temperature range of penetration from the appressoria was 25-28°C.
  • 角谷 晃司, 豊田 秀吉, 後藤 幸雄, 大内 成志
    1994 年 60 巻 4 号 p. 531-534
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Virulent bacteriophages (phages) were isolated from a field soil infested with the host bacterium, Pseudomonas solanacearum (strain K-101) and examined for their physical and chemical properties. The phages were classified into two types on the basis of their plaque morphologies (small obscure or large clear plaques against the indicator bacterium K-101), and the phages were isolated and purified through a series of plaque isolation. An electron microsopic observation indicated that the phage isolate forming a small plaque had a polygonal head with three tails and the other a smaller head with two tails. The electrophoretic patterns of DNA fragments obtained by the digestion with some restriction endonucleases were completely different between these two types of isolated phages. The RFLP was detected among the small plaque-forming phage isolates, although there was no difference in morphology of phage particle and infectivity against some different strains of the host bacterium.
  • 佐藤 豊三, 塩谷 浩, 植松 清次, 小林 正伸, 中村 靖弘
    1994 年 60 巻 4 号 p. 535-539
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In 1991 and 1992, the black rust of a gipsy type cultivar of carnation caused by Puccinia arenariae was found in Chiba and Kanagawa Prefectures. Teliospore germination and basidiospore formation of the pathogen were most vigorous under 15-20°C. The pathogen was confirmed to be a microcyclic rust fungus without spermogonia and to produce 2-celled basidia. It was proved to attack 4 species of caryophyllaceous weeds as well as the cultivar by inoculation with teliospores.
  • 池田 武文, 戸田 忠雄, 田島 正啓
    1994 年 60 巻 4 号 p. 540-542
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Responses of different resistant families of Pinus thunbergii and P. densiflora to the pine wood nematode (Bursaphelenchus xylophilus) were investigated from the view points of xylem water conductance and histological features. Survived pine seedlings after inoculation with pine wood nematodes reacted to the nematode invasion independent of the strength of resistant families as follow: partial loss of xylem water conductance caused by embolism, destruction and degeneration of parenchyma cells in dysfunctional xylem area, and normal parenchyma cells and cambium in functional xylem area. These reactions are the expression of resistance of P. thunbergii and P. densiflora to pine wood nematode invasion.
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