感情特性が5つの対人相互作用量(娯楽,援助要請(道具),援助要請(情緒),援助提供(道具),援助提供(情緒))にどのような影響を及ぼすか検討した.大学生408名を対象に多面的感情特性尺度を実施し,5つの対人相互作用の各々に対する頻度,結果予期,効力予期について評定を求めた.パス解析の結果,全ての対人相互作用において肯定的感情特性が結果予期と効力予期を高め,その結果,対人相互作用量が増加することが明らかになった.一方,道具的な援助の要請では,否定的感情特性が効力予期を低下させ,その結果,対人相互作用が抑制されることが示された.しかし,情緒的な援助要請では,否定的感情特性が結果予期を高め,その結果,対人相互作用量が増加することが示された.また,道具的,情緒的な援助の提供に共通して,否定的感情特性が効力予期を低下させ,その結果,対人相互作用が抑制されることが示された.これらの結果は,否定的感情特性と結果予期,および効力予期との関係が対人相互作用の種類によって異なることを示唆している.
抄録全体を表示