心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
57 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
特集/心身医学の臨床における発達障害特性の理解
  • 岡本 百合
    2017 年 57 巻 1 号 p. 18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
  • 傳田 健三
    2017 年 57 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder : ASD) は, 社会的コミュニケーションおよび対人相互性反応の障害, 興味の限局と常同的・反復的行動を主徴とし, 乳幼児期に発現する精神発達の障害である. DSM-Ⅳでは広汎性発達障害という上位概念のもとに, 自閉症, アスペルガー障害, 特定不能の広汎性発達障害などの下位分類が存在したが, DSM-5ではASDという概念で統一された. 近年, ASDへの関心と需要が高まっている一方で, 十分な診療が行われているとは言い難いのが現状である. 本稿では, 自閉スペクトラム症について, ①概念の変遷, ②診断と臨床像, ③治療, ④経過と予後, ⑤心身医学におけるASDの特性理解について述べてみたい.

  • 村上 佳津美
    2017 年 57 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    注意欠如・多動症 (attention deficit hyperactivity disorder : ADHD) は, 多動性, 衝動性, 不注意の3主徴とする疾患である. 診断はDSM-5に基づき, 前述の3主徴の項目で行われる. しかし, 3主徴とも年代により症状が大きく異なるため, 診断においては年代の考慮も必要である. 鑑別診断においては特に自閉症スペクトラム症との鑑別が重要で, 困難である. 治療, 支援においては環境調整, 親への心理社会的治療, 子どもへの心理社会的治療, 学校などの関連専門機関との連携という4領域を組み合わせた心理社会的治療が優先され, 必要に応じて薬物療法を行う. 薬物はメチルフェニデート徐放剤, atomoxetineを使用するが, 適応は慎重に行う.

  • 石﨑 優子
    2017 年 57 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    発達障害児はその発達特性により, 学校や集団で不適応を起こしやすく, また自己の感情表現が苦手なため, 身体化して心身症を発症しやすい. よって子どもの心身症, 問題行動や不登校に対峙する際には, 背景にある児の認知の問題, すなわち発達特性を知り, 特性と児を取り巻く環境の関係について考えることが重要である. そしてその問題の解決に向けては, 児を取り巻く環境, 特に学校関係者と連携し, 児の特性に応じた配慮を求めることが肝要である.

  • 岡本 百合, 三宅 典恵, 永澤 一恵
    2017 年 57 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    精神科・心療内科の臨床場面では, 背景に自閉症スペクトラム (ASD) をもつ成人例が多いといわれている. 特に知的障害のない高機能ASD者は, 診断が遅れ, それまでにさまざまな傷つきを経て不適応に至っている例が多いと思われる. われわれは, ASD特性をもつ思春期青年期の若者の臨床像と支援について論じた. 受診した42例について, 過去の心身症症状について検討したところ, 幼少期に心身症症状を呈し, 思春期青年期に気分障害, 不安障害, 摂食障害などに変化していく例が多かった. また, 青年期の適応良好例に前思春期・思春期前期に治療を受けていた者が多かった. 心身症症状として表れる幼少期または前思春期・思春期前期に何らかの治療や支援があると, その後の適応が良好となる可能性が示唆された. また, 摂食障害とASDは共通点も多い. 症例の紹介とともに, 関連性について論じた.

  • 澤原 光彦, 村上 伸治, 青木 省三
    2017 年 57 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    本稿では, 成人の心身症を含む精神医学的諸問題とその背景にある発達障害的特性について, いくつかの代表的な症状を呈した症例の素描を提示し, 筆者の見解を述べた. 発達障害を背景に生じうる状態像として, ①統合失調症類似の状態, ②うつ病・抑うつ状態, ③双極性障害・双極Ⅱ型障害, ④心身症, ⑤心気症的こだわり, ⑥強迫性障害, ⑦摂食障害, ⑧境界性パーソナリティ障害, を挙げた. これら精神医学的な各症状においては, 症状の表層にのみ関心を奪われ, 背景の発達障害的問題に配慮した支援を行わなければ, 難治化・遷延化の危険がある. 診断においては, 常に成育史に関心を払い, 患者の症状がその疾患の典型病像とどのように異なっているかを細心の注意をもって吟味する必要がある.

原著
  • —複線径路等至性モデルによる検討—
    河西 ひとみ, 辻内 琢也, 藤井 靖, 野村 忍
    2017 年 57 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    本研究は, 過敏性腸症候群 (IBS) の軽快・治癒プロセスを明らかにすることを目的とし, 主観的に軽快・治癒に至った7名のIBS患者にインタビューを行った. 分析には質的研究法の複線径路等至性モデル (Trajectory Equifinality Model : TEM) を使用した. 結果, プロセスは3型に分けられ, すべての型が 「IBS症状の発現」 から 「とらわれ」, 次に 「対処行動」 と 「IBS症状の一部軽快」 に至るまでは同じ径路をたどったが, 以降の径路は 「環境調整」 と 「心理的葛藤に直面」 に分岐した. 分岐後は, いずれの径路を選択した型も, サポート資源を受け取ることによって, すべての型において 「受容的諦め」, 「人生観の変化」, 「IBS体験への肯定的意味づけ」 という認知的変容体験を経て, 主観的な軽快・治癒に至った. また, 7例中3例において, 他者からの受容・共感と, 変化への圧力の相補的な働きがプロセスを推し進めた可能性が示唆された.

  • 中井 義勝, 任 和子, 鈴木 公啓
    2017 年 57 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー

    食行動異常のため受診した患者を対象に, DSM-5診断基準を用いて回避・制限性食物摂取症 (ARFID), 神経性やせ症摂食制限型 (AN-R) とAN過食・排出型 (AN-BP) の診断を行い, その臨床症状を3群間で比較検討した. ARFIDは, 食行動障害および摂食障害群570例中83例 (14.6%) で, 全例が女性であった. ARFIDはAN-BPに比し初診時年齢が若く, 罹病期間が短かった. 精神病理を検討した結果ARFIDが3群間で最も低いことを示唆する結果であった. 今回検討した思春期以降のARFIDの臨床症状は欧米で報告されている小児のARFIDの臨床症状と異なる点があった.

書評
feedback
Top